ONE Friday Fights 1002025年3月14日(金)タイ・ルンピニー・スタジアム※U-NEXTにてLIVE配信
▼フライ級 ムエタイ 3分3R○パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)TKO 3R 2分17秒 ※レフェリーストップ×マジッド・シダリ(イラン)
パンパヤックは2012年にラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座、2013年に同ライトフライ級王座を奪取して2階級制覇を達成。2014年にはルンピニースタジアム認定バンタム級王座、2015年に同フェザー級王座を奪取してこちらでも2階級制覇を達成している。2013年から2015年タイスポーツ記者協会の年間最優秀ファイター賞を3年連続受賞(史上唯一)。
2019年9月からONEに参戦し、RISEフェザー級王者(当時)工藤政英を破ると2024年12月までは4勝2敗。この2敗はいずれもスーパーレックに付けられたもので、スーパーレックとは4勝3敗1分。また、スアキムに2勝、サムエーに2勝、プラジャンチャイとは1勝1敗というトップの実力者。しかし、前戦でロシアのイゴール・ベクレフにKO負けを喫した。
対戦相手のシダリは今回がONE初参戦。“トラクター”の異名を持つハードパンチャーで、15戦のうち11試合でKO勝ち。『フェアテックスファイト』と『ムエタイエクストリーム』で初回KO勝ちを重ね、ONE出場のチャンスを得た。
試合順が変わり、メインイベントの後に行われた。
1R、サウスポーのパンパヤックは左ミドル、前蹴り。シダリはワンツーで飛び込むが首相撲に捕まる。パンパヤックの左右の前蹴りに飛び込んだシダりだが左ミドルを合わされる。さらに左ミドルで畳み込む。シダりの右ストレートには左ミドル、左服には左フックとヒザを合わせるパンパヤック。そして組むとヒザ。シダりはすでに疲労が見える。
2R、シダリは入り込むところに左ミドルを合わされ、離れても左ミドルを蹴られる。しかし、シダリが左へ飛ぶようにして飛び込んで左フックを放つとパンパヤックの腰が大きく落ちる。さらにフラつくパンパヤックだが、シダリは攻め込むことが出来ず逆にヒザをもらう。
回復したパンパヤックは左ミドル。しかし、再び飛び込んでの左フックを被弾するパンパヤック。シダリをテンカオで迎え撃ち、捕まえるとヒザをボディへ連打。パンパヤックの左ミドルを右腕で受け続けたシダリは右腕が下がる。
3R、シダリはまたも左フックを振るって前へ入る。首相撲に捕まえてヒザを連打するパンパヤックは、離れると左ミドル。飛び込んで打つシダリの右はかわす。シダリを左ミドルで迎え撃つパンパヤックだが、ヒザに行ったところでシダリの左フックをもらってグラつく。
逆転のチャンスに左右フックでラッシュをかけるシダリに、パンパヤックが左ストレートを打ち抜いてダウンを奪う。立ち上がるとパンパヤックが鋭い前蹴りを突き刺し、シダリは明らかなダメージを見せて下がる。パンパヤックが前蹴り、左ミドルで畳み込むと、もはや手が出ずレフェリーがストップ。パンパヤックのTKO勝ちとなった。
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▼メインイベント キャッチウェイト(-62.14kg)ムエタイ 3分3R○ムアンタイ・PK・センチャイ(タイ)KO 3R 1分06秒×イブラギム・アブドゥルメチドフ(ダゲスタン)
ムアンタイは2010年頃からルンピニーのトップ選手として活躍しているベテランで、2015年5月の初来日では梅野源治にTKO負け、2019年10月のONEでは健太に判定勝ちしている。『ONE Friday Fights』には第1回大会から出場、5回もボーナスを獲得している。クラップダム(KO勝ち)、ニコ・カリロ(TKO負け)、ヨードレックペット(判定勝ち)、ナビル・アナン(判定負け)、コンスック(KO勝ち)とトップ選手たちと対戦してきた。ONEでの戦績は8勝4敗。
アブドゥルメチドフはロシア国内でキックボクシング王者に3度輝き、2024年8月にONE初出場。ムアンタイのチームメイトを2RでKOすると、11月にはドゥアンソンポンも1RでKOしている。
1R、前へ出て行くサウスポーのムアンタイは左ミドル、左右の足を上げてフェイントを入れていく。アブドゥルメチドフはかなり威力がありそうな左右フック。ジャンプしてのヒジ落としからカカト落とし、さらには飛び二段蹴りと派手な技を繰り出す。片足を上げて入って行き、左ストレートを打つムアンタイ。アブドゥルメチドフは前へ出ると変則的な左アッパーからの右フック。スピードがある。
2Rも前に出るムアンタイは左ミドル、アブドゥルメチドフも右ミドルを蹴り、右フック。早い左右フックを繰り出すアブドゥルメチドフにムアンタイも左フックで応戦。アブドゥルメチドフは返しのパンチが速く、ムアンタイは危険なシーンがある。首相撲も使うムアンタイがヒジ。疲れの見えるアブドゥルメチドフに攻撃の手を休めないムアンタイ。アブドゥルメチドフはまるで自棄になったように遅いフックを振り回す。これにムアンタイが左右フック、座り込んだアブドゥルメチドフにヒジを2発垂直に落とすと、これがダウンに。
一気に襲い掛かるムアンタイが左右ヒジの乱れ打ち。アブドゥルメチドフもヒジを返すがムアンタイのヒジが次々とヒット、アブドゥルメチドフが組み付くと思い切り投げてマットに叩きつける。
3Rが始まるとすぐに距離を詰めるムアンタイにアブドゥルメチドフは右ストレート、左フック、ムアンタイのヒジにヒジで対抗するが、ムアンタイは組んでの右ヒジ。ムアンタイは左ハイからの右ハイ、アブドゥルメチドフも左右フックを返すが疲労からスピードがなく、ムアンタイは組み付くとそのままアブドゥルメチドフを押し倒す。
なかなか立ち上がらないアブドゥルメチドフはダウンカウントが数えられ、何とか立つもレフェリーがストップ。ムアンタイがらしいファイトスタイルでKO勝ちを飾った。
ムアンタイはボーナスを獲得、100回記念大会のメインの大役を務めた。
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▼コー・メイン キャッチウェイト(-79.37kg)キックボクシング 3分3R×シンサムット・クリンミー(タイ)KO 1R 1分58秒 ※右フック○ニキー・ホルツケン(オランダ)
シンサムットはムエタイジムを営む家庭に生まれ、4歳から練習を開始。兄は海外で活躍し来日経験もあるスッドサコーン。21歳で徴兵されるとボクシングでナショナル王者にも輝き、2019年の国際ミリタリースポーツカウンシルでのトーナメントではオリンピックボクサー2人から勝利を収めた。
兵役を終えてムエタイに復帰すると2022年3月にONE初参戦を果たし、ニキー・ホルツケンをカウンターの右でKOした。2022年10月にはONEムエタイ世界ライト級王座決定戦をレギン・アーセルと争い、判定2-1の僅差で敗れ、2023年3月の再戦でのタイトルマッチではKOで返り討ちにされた。その後は2蓮敗を喫したが、1月にナウゼット・トルヒーリョを初回KOで破り復活。キックボクシングルールは今回が初。
41歳のホルツケンは元GLORY世界ウェルター級王者。10歳でボクシングを始め、キックボクシング、ムエタイも習得。ラモン・デッカーに師事し、K-1でブアカーオ、SBでアンディ・サワーらと対戦。2013年12月のGLORY東京ではウェルター級トーナメント優勝、初代王座についた。2018年11月からONEに参戦し、これまで5勝(4KO)4敗。2024年1月のONE日本大会では秋山成勲とMIXルールで対戦し、1Rのボクシングルールで秋山をKOしている。
4敗のうち2敗はレギン・アーセルの王座に挑戦して敗れたもので、さらに1敗は今回対戦するシンサムットに2022年3月の対戦でKO負けを喫したもの。3年ぶりの再戦となる。
1R、前に出るホルツケンは右カーフを蹴っていき、シンサムットがロープを背負うと後ろ廻し蹴り2連発。シンサムットが押されてバランスを崩す。その後も前へ出て圧をかけるホルツケンがジャブと右カーフで攻めていくが、打ち合いになったところで右の相打ち、シンサムットがダウンを奪う。しかし、シンサムットも被弾したためフラつく。
再開後、前に出るホルツケンにまたも打ち合うシンサムットだったが、ホルツケンの右フックがヒット。シンサムットは立ったまま失神し、前へ倒れた。レフェリーが即座にストップ。凄まじい逆転KO劇に場内は大いに沸いた。
ホルツケンは35万バーツ×2のダブルボーナスを獲得。「相手も効いていたのが見えていたので倒しに行った」と試合を振り返った。
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▼第10試合 キャッチウェイト(-63.50kg)ムエタイ 3分3R○スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ)TKO 2R 0分30秒 ※右ヒジ打ち×コムアウット・FAグループ(タイ)
スアキムはルンピニースタジアムのバンタム級、スーパーバンタム級、スーパーフェザー級の三階級制覇王者で、2018年2月の『KNOCK OUT』に初来日。那須川天心への最強の刺客として大きな話題を呼んだが、那須川に5R判定負け。2019年7月には『RISE』で那須川と再戦したが、胴廻し回転蹴りで目尻を切り裂かれて流血、3R1分25秒、TKOで敗れている。
2019年12月に日本の『BOM』でチャンヒョン・リーにTKO勝ちし、BOMスーパーライト級王者になった。しかし、2020年4月に突然の引退宣言。2023年7月、ONEで現役復帰を果たすもキリル・ホムトフにKO負け。9月にサマン・アシュリをKOして再起を果たすも2024年1月にはアレクセイ・バリカにKO負けを喫した。4月のデニス・デミルカプ戦では劣勢からの逆転KOに成功し、9月にはオーティス・ワグホーンとの接戦を制した。
コムアウットはONEで6勝2敗。ヨードレックペットには敗れているが、パンリットやアバターからは勝利を収めている。
1R、前に出るのはコムアウット。フックを出して来るところへスアキムはジャブを打っていく。コムアウットが来るところを迎え撃つ形のスアキムだが、コムアウットの右フックをもらう。ジャブを突くスアキムにコムアウットは左右フック、ガードを下げてかわすスアキムだがかなり危ない位置。ヒザを突き刺すスアキムにコムアウットが前へ出て左右フック、スアキムにロープを背負わせるがスアキムは右ヒジを振ってコムアウットは下がらせる。ジャブを突くスアキムは、前へ出るコムアウットに右ヒジ。
2R始まってすぐにコムアウットがフックを出しながら前へ出たが、左ボディを打ったところスアキムが右ヒジ一閃。ダウンを奪う。、立ち上がったコムアウットは頭から流血。試合続行となったが、スアキムが右ヒジを連打するとコムアウットがしゃがみ込み、スアキムがTKO勝ち。4連勝となった。35万バーツのボーナスもゲット。「ジャブを出そうとしたらスペースが出来たのでヒジを出した。またONEで戦わないかと誘ってくれたから今の自分がいます」とスアキム。
すると、なんとシャドウ、ジャオスアヤイに連続しての本戦契約が発表された。
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▼第9試合 フライ級ムエタイ 3分3R○ジャオスアヤイ・モー・クルンテープトンブリー(タイ)TKO 2R 1分37秒 ※左前蹴り×デニス・ピューリック(カナダ/ボスニア・ヘルツェゴビナ)
ジャオスアヤイはタイ国BBTVスタジアム・フェザー級8位として、2019年11月の「第3代K-1フェザー級王座決定トーナメント」に初来日。1回戦で安保璃紅を必殺の飛びヒザ蹴りでKO、準決勝でも卜部弘嵩との延長戦に及ぶ激闘の末に勝利。決勝こそ江川優生の左ボディに沈んだものの、鮮烈なインパクトを残した。2020年3月『K'FESTA.3』で小澤海斗からも勝利を収めている。2022年8月の「K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」では1回戦で玖村修平にKO負けを喫した。
『ONE Friday Fights』には2023年6月から参戦し、初戦のペットスクンビットには初回KO勝ちも、8月の2戦目ではコンスック・フェアテックスに判定負けを喫している。11月にはパイダンをKO、12月はラジャのスーパーフェザー級王者ペットスクンビットから判定勝利を収めた。2024年4月はゴントーラニーに判定負けしたが、5月にプンルアンを左フックで初回KOに仕留めた。9月にはスリヤンレックと大激闘の末に判定勝ち。2025年1月にはヨードレックペットを2RでKOしてみせた。戦績は81勝(29KO)39敗2分。
ピューリックは2015年1月にK-1に初来日、卜部功也にKO負け。2022年5月の『ONE 157』でONE初参戦を果たし、シャーゾット・カブトフに判定負け。8月にタギール・カリロフに判定勝利、2023年5月にヨードレックペットにTKO負け、12月にニューイエンにKO勝ちと勝ち負けを繰り返し、2024年4月にジェイコブ・スミスに判定勝ちも2024年6月にロッタンに判定負け。ブアカーオが所属するバンチャメークジムでムエタイを学んだほか、テコンドー、空手、MMAの経験もある。
1R、ジャオスアヤイの右ハイをもらったピューリックは前へ出ていきなり右ヒザを突き上げる。ジャオスアヤイは左右に動きながら右ロー、ワンツーを狙う。さらに左ハイから得意の飛びヒザ蹴り。これをかわしたピューリックは右カーフを蹴る。ジャオスアヤイはワンツー、アッパーの連打。ピューリックもこれに打ち合う。そこへジャオスアヤイは飛びヒザ。ジャオスアヤイが身体を沈めてからパンチを打つのは飛びヒザ蹴りのフェイントか。軽快なステップで動き、パンチを当てていくジャオスアヤイ。
2R、ジャオスアヤイはワンツーから飛びヒザ、さらにパンチをまとめてアグレッシブは攻撃を見せるが、ピューリックが右を打ち返す。被弾しながらも前へ出てワンツー、アッパー、右フックを打ち込むジャオスアヤイ。ピューリックも右を打ち返す。手数が多いのはジャオスアヤイで、右ヒザをボディへ突き刺すとピューリックは一気にペースダウン。ボディ連打から頭部へのパンチをまとめてダウンを奪った。
再開後のファーストアタックでは、三日月蹴り気味の左前蹴りを突き刺し、ピューリックは腹を抑えて倒れ込み、ジャオスアヤイの鮮やかなTKO勝ちとなった。当然、35万バーツのボーナスが支給された。さらに、本戦契約も発表。ジャオスアヤイは男泣きした。
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▼第7試合 フェザー級ムエタイ 3分3R○シャドウ・シンハマウィン(タイ)KO 2R 2分51秒 ※右ヒジ打ち×ハッサン・バーダニラッド(イラン)
シャドウはラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者。同タイトルは2022年2月にフリオ・ロボと王座決定戦を行って勝利し、手にしたもの。2022年にはラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)のウェルター級リーグ戦で優勝。2024年2月のFriday Fightsに注目の初参戦を果たしたが、マムカ・ウスビャンに判定負けを喫した。しかし、その後はエリック・ヘアー、ジミー・ピエノ、モハメド・シアサラニに3連勝と勢いに乗っている。
バーダニラッドはONE初参戦。
1R、バーダニラッドが前蹴りと右ロー、シャドウが左ミドルを蹴って来るとキャッチして右ローを蹴る。ガードを高く上げ、右ストレートと右フックを狙うバーダニラッド。シャドウは右ミドルを中心に蹴り、右ハイも織り交ぜる。バーダニラッドは左足を上げるフェイントを多用し、右足を前に出してサウスポーになっての攻撃も。強い右ローを当てていくのはバーダニラッド。シャドウは左ボディストレート、ヒジ。
2R、前に出ていくシャドウだがバーダニラッドは上手いコンビネーションを繰り出す。バーダニラッドがヒザで入って来るところにシャドウは右ヒジ。首相撲の離れ際に右ストレートを入れるバーダニラッド。右ストレート、右フックの大きなパンチでKOを狙っていくシャドウにバーダニラッドはロックする首相撲を見せる。ボディを攻めるシャドウにバーダニラッドは身体を丸めてしまう。
シャドウはバーダニラッドをコーナーへ詰めると左右のボディ、そしてヒジ。バーダニラッドもヒジで応戦するが、右フックを打ったところでシャドウが右ヒジを振り下ろして一発KO。戦前に予告していた通り、ヒジでのKO勝ちを飾った。
5連勝を飾ったシャドウに35万バーツ(約150万円)のボーナスが贈られた後は、ONE本戦との契約も発表された。シャドウは飛び上がって喜び、「トレーナーたちとずっと練習してきた技です。ボーナス有難うございます。チャトリさんありがとうございます。兄弟の誕生日が今日で、父の面倒を見るために今日は会場に来れなかったんですがいいプレゼントになりました」と語った。
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▼キャッチウェイト(-63.5kg)キックボクシング 3分3R○サンガルティット(セーンアティット)・ルークサイコーンディン(タイ)判定3-0×スーパー・ヤイ・チャン(ミャンマー)
セーンアティットはプロボクシングで19戦無敗(9KO)、WBAアジア・スーパーライト級王者となっている。今年初めにONEと契約し、今大会でデビューを迎えることになった。ロッタンとは義理の弟となる。
チャンはラウェイ出身の20歳で、2024年8月にONEデビューすると判定負けも、2025年1月には初回KO勝ちを飾った。
サンガルティットのセコンドにはロッタンが就く。1R、チャンは前後にステップを踏み、サンガルティットは左ローを蹴っていく。蹴りを多用するサンガルティットだが、ジャブから打ち下ろしの右ストレートを見せる。ジャブを打っての右ボディストレートも。右ローを蹴ってワンツーで入って行くサンガルティット。チャンは右ロー、右ハイ。サンガルティットは左ミドルを蹴って右ストレートへつなぐ。蹴ってパンチにつなぐサンガルティットのパンチの打ち方が非常に綺麗だ。
2R、右ローや左ミドルを蹴って前へ出るサンガルティットは右ストレート、左ボディにつないでいく。サンガルティットが左ミドルから右ストレート、左ボディからの右ストレート。チャンも強気に打ち合うが下がり、そこへステップインしてのサンガルティットの左を出してからの右フックがヒット、ダウンを奪う。
左ボディと右オーバーハンドで追い込んでいくサンガルティットだが、チャンも負けじと打ち返す。ラッシュを終えると一度冷静になるサンガルティット。圧はかけるがあまり手は出さない。
3R、右カーフから飛び込んでの左ボディから右フック。左インロー、右ローを蹴る。チャンは飛び込んでの右フックを繰り出すがサンガルティットはかわす。再びチャンが入って来ようとするところへ右ストレートのカウンターで迎え撃つ。チャンは左ハイ2発、左ロー。
チャンのワンツーにサンガルティットは右ストレートのカウンター。残り1分を切るとチャンが勝負を懸けて打ち合いに行くが、前へ出るのはサンガルティット。右アッパー、左ボディを打つサンガルティットにチャンも強気に打ち合う。サンガルティットが前へ出てきたチャンをかわして左ボディを打ったところで試合終了。
判定は3-0でサンガルティットが勝利。ONEデビュー戦を白星で飾った。
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▼第4試合 キャッチウェイト(-52.61kg)ムエタイ 3分3R○ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)判定3-0 ソンチャイノーイ×ティーヤイ・ワンコンオームMBK(タイ)
ソンチャイノーイはS1ジュニアバンタム級王者の肩書きを引っ提げて2022年9月のNJKFに初来日すると、塚本望夢を1RでKO。2023年4月には『BOM OUROBOROS 2023』で名高・エイワスポーツジム(吉成名高)に3RでKO負けを喫したが、強烈な攻撃の数々で名高を苦しめた。2023年7月の『BOM』にも来日し、重い左右ローキックで場内をどよめかせ、5Rには首相撲からのヒザ蹴りでジュライ・ウォーワンチャイ(=石井寿来)に判定2-0で勝利している。
ONEには2023年1月の『ONE Friday Fights 2』から出場し、8戦全勝(4KO)の快進撃。所属するゲッソンリットジムは、K-1など日本で大活躍したチャンプアを輩出したジムだ。
対するティーヤイもFriday Fightsで2勝2KO、2試合ともボーナスを獲得している激闘派ムエタイ。
1R、強いローの蹴り合いからソンチャイノーイが右フックの強打。ソンチャイノーイは飛び込んで左を打つとすかさず右ボディストレートを打つ。ソンチャイノーイが左ボディを打つと、ティーヤイも負けじと左ボディを打つが、そこへソンチャイノーイが左フックを合わせて“当たったぞ”と笑顔を見せる。
2R、ソンチャイノーイは左を打ってブロックさせての右ボディストレート。そのボディへ前蹴り、またも右ボディストレート、右ミドル。ティーヤイは右ローを蹴り返していく。負けじとソンチャイノーイも右ローを蹴り、右ローのラリーが繰り広げられる。盛り上がる場内。
ソンチャイノーイは右ボディストレートを狙い撃ち。前へ出るティーヤイは左フックと左ヒジで自信満々の表情で打ち合いを挑む。距離が出来ると、ソンチャイノーイはなんと飛び蹴りを繰り出す。余裕の表れか。
3Rも意地の張り合いのようなローの蹴り合い。ソンチャイノーイが入って来るとティーヤイはヒジで迎え撃ち、両者組みになるとソンチャイノーイが回してコカす。左フックの相打ち。ティーヤイが入って来るとソンチャイノーイは左フックを合わせる。打ち合いに行くティーヤイだが、ヒットを奪うのはソンチャイノーイだ。蹴り足をキャッチしての右ではティーヤイが転倒する。
試合が終了すると両者笑顔で抱き合い、場内からも歓声が沸き起こる。判定3-0でソンチャイノーイが9連勝を飾った。
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▼第2試合 キャッチウェイト(-63.5kg)ムエタイ 3分3R○アリ・コユンジュ(トルコ)判定3-0×重森陽太(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDライト級王者)
重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。2021年7月にはスアレックから勝利を収め、KNOCK OUT-REDライト級王者にも輝いた。2023年2月、悲願であったラジャダムナンスタジアム王座に挑戦したが、判定負けで奪取ならず。
その後は所属を変えて8月のKNOCK OUTに参戦したが、バットマンに判定負け。11月にオープンフィンガーグローブ戦に初挑戦し、ルンペットを2RでTKOに破った。2024年2月の『RWS JAPAN』ではサミンデットに判定負けを喫したが、4月はセーンダオレックから左フックで2度のダウンを奪って勝利すると6月にレンタを破り国内最強を証明。9月には『ONE Friday Fights』に初出場、シン・ドンヒョンにKO勝ちした。さらに10月はマルコス・リオスに延長戦で判定勝ち、11月にカンボジアでのクンクメールとの対抗戦でも勝利している。12月にはUNLIMTEDルールに初挑戦したが、倉本一真にTKO負け。戦績は44勝(19KO)8敗6分。
今回は初参戦のコユンジュとキャッチウェイト(-63.5kg)ムエタイ3分3Rで対戦。戦績は14勝3敗。
1R、重森はジャブを突きながらジリジリと前へ出て行くと、コユンジュはいきなり前へ出ての左ボディから右ロー。強い右ローを蹴っての右ストレートも繰り出す。前後にステップを踏んで飛び込んでの攻撃を繰り出すコユンジュ。左右のフック連打をもらって重森が下がり、さらに連打するコユンジュ。さらに重森の蹴り足をキャッチして大きくコカす。
コユンジュのペースで進む中、重森は体勢を立て直して左ミドル、右ロー。コユンジュが飛び込んで来るところに右ミドルを合わせ、すかさず右ストレート。コユンジュは飛び二段蹴り、飛びヒザと大技も繰り出して印象付ける。重森は右ヒジを振るうが空振り。
2Rも飛び込んでの前蹴り、飛び込んでの左フックを繰り出すコユンジュ。重森は左インロー。コユンジュは勢いよく前に出て、その勢いにバランスを崩してしまう重森。ツーステップで前に入った重森は右フック。徐々にペースをつかんできた重森は右ミドル。コユンジュの右ハイを空振りさせた重森は、自分の前を通り過ぎていったそ、というポーズでパフォーマンス。コユンジュが右ミドルを放ってきたところへワンツーの右ストレートをクリーンヒットさせる。
3R、右インローと右ストレートの重森にコユンジュは叩きつけるようなワンツー。左ボディから右フックの強打も叩きつける。首相撲では重森がコカす。重森は前蹴りから左ストレート、次は左の三日月を突き刺す。コユンジュのダイナミックな左右フックを両腕ブロックする重森だが、大きな音がするため見栄えが悪い。そこへ重森はヒジを打つ。重森は三日月蹴り、左ヒジ。コユンジュはバックキックを繰り出す。
両者手を上げて勝利をアピールしたが、判定は3-0でコユンジュが勝利。パワフルでアグレッシブな攻めの姿勢が評価されたようだ。