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【RIZIN】2020年大晦日の3分間とその後を紐解く──井上直樹の7戦と元谷友貴の14戦「4年前とは違った試合になる」

2025/03/11 18:03
【RIZIN】2020年大晦日の3分間とその後を紐解く──井上直樹の7戦と元谷友貴の14戦「4年前とは違った試合になる」

(C)RIZIN FF

 2025年3月7日(金)、都内にて『RIZIN.50』(3月30日・あなぶきアリーナ香川)の合同公開練習会が行なわれた。

 既報通り、大晦日クレベル・コイケ戦からの連戦となる鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)は、カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)との試合に向け、「もう8連戦くらいやるつもりなので何ともない」「ガンといってドン!」「勝ってクレベルに繋げる」と勢いを落とすことなく、5月4日の『RIZIN男祭り』も含め、2025年の連戦に向かうと宣言。この項では、ほか香川大会に出場する選手たちの公開練習の模様とコメントを紹介しつつ、見どころを探った。

▼RIZINバンタム級(61kg)タイトルマッチ 5分3R
井上直樹(キルクリフFC)王者 18勝4敗
元谷友貴(アメリカントップチーム)挑戦者 37勝11敗1NC

 2020年大晦日以来、4年3カ月ぶりの再戦。

 前戦では、長いジャブ&右カーフを突く井上に、ダブルレッグを切られた元谷は左ジャブのダブルで強引に詰めて組みに。ここも切った井上は左ジャブから右の上下の蹴りで前進。スタンドで優位に立つと元谷をコーナーに詰める。

 そこで低いシングルレッグ、ハイクロッチに入った元谷を井上が同時に長い右手で元谷の右手首をキャッチしバック狙い。元谷は左足を掴んだまま巻き込み前転(横回転)でスイープし、トップを奪おうとするが、右手首をコントロールしていた井上はバックについていき、左手をマットに着いて、腰を引いて立ち上がり。

 ここで元谷も立ち上がった際で左手を首に巻いた井上は、元谷の肩を抱いて右足をかけて背中に。まだ足を組まれていない元谷は、定石通り腰をズラして右足の上に載って仰向けになるが、左腕を首に巻き続け、左足も二重がらみにしたままの井上は、トップを選択せずに、元谷の内側への向き直りもさせず。

 元谷が上体を起こしたところで腕を後ろ頭と二の腕で組み、引き起こして両足も組んでリアネイキドチョーク。タップを奪っている。

 試合後、本誌の取材に井上は、序盤から距離を取ってジャブ&ローを突き、元谷に圧力をかけて組んでくることを想定していたという。

 早い段階で低い姿勢で組んでテイクダウンを狙っていった元谷を切り、マウント狙いではなくバックを取った井上。序盤の間合いの競り合いから井上はペースを握っていた完勝劇だった。

 しかし、あれから4年3カ月。元谷は実に14試合をこなし、11勝3敗。うち黒星は瀧澤戦で首相撲の放し際に左フックをもらったものと、朝倉海のヒザ蹴りでのTKO、そして現UFCのヴィンス・モラレスとの判定負けのみとなる。

 対する井上は、元谷の半分の7試合で5勝2敗。黒星はGP準決勝で扇久保に判定負けと、2023年5月にフアン・アーチュレッタに判定負けの2試合を落としている。

 その間、井上はキルクリフFCでの練習を重ね、元谷はアメリカントップチーム入り。北米で自身より大きな選手と組んで、MMAのディテールを磨いてきた。

 1月の会見でも意気込みを語っていたバンタム級王座戦の両者は、会見ではシンプルにコメント。

 王者・井上は、ベルトがかかる防衛戦で普段の試合と異なることがあるかと問われ、「特にはないんですけど、4年前とはまた違った試合になると思うんで、またしっかり別の対策を立てて一人の選手として、しっかり対策を立てています」と、平常心ながら前回とは異なる試合になることを想定した対策を立てていると語った。

 そして「チャンスがあれば一本・KOを狙いに行きますし、しっかり判定でも勝つ、その工程をどんどん(積み重ねて)、1R目から3R目まで面白い試合ができればと思います」と、自身のすべきことを工程通りに進めて動きのある試合にしたいとした。

 対する元谷も4年前の試合を覚えているといい、「4年前の試合のことは覚えています。(足りなかったものは?)それを試合で見せます」と前回の轍は踏まない構え。

 5月にDEEPで平松翔、9月に太田忍、12月に秋元強真に勝利で、約3カ月間隔で3連勝を飾るハイペースな試合でも、「ずっとこんなペースでやってきたんで大丈夫です」と問題ないとした。

 アメリカトップチームからのセコンドは来日せず。NTTから春日井“寒天”たけしがつく予定だ。「自分の力をしっかり出し切って、いい結果に繋がるようにしたいと思います。頑張ります」と気を引き締める元谷に、井上は、「しっかり防衛して、美味しいうどんを食べて帰ります」と余裕を感じさせるコメントでイベントを終えた。

「無事是名馬」を地で行く35歳の元谷は、ダメージはあっても大きな怪我をせず、フィジカル差や年齢差を感じさせない動きで太田忍を極め秋元強真を完封している。試合を重ねることで幅を広げ、キャリアのピークを迎えているといっていい。

 そして、佐藤将光に完勝しキム・スーチョルを1R TKOに下す井上は、怪我に苦しみながらも、27歳でそのポテンシャルを発揮し、進化とともに安定感ある試合運びを見せている。

 いずれにとっても4年3カ月前とは違う王座戦で、最後にベルトを巻くのは王者・井上か、挑戦者・元谷か。

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