ムエタイ
レポート

【ONE FF】ジャパンキック王者・富岡勇成が強烈ボディブローでTKO勝ち、ONE初陣を飾る。コンスックがRWSから移籍のラムナムムーンレックからダウンを奪い勝つ、メンシコフがムエタイのKO大魔神を失神KO、コンペットが判定勝ち、ベラvs.ベロは流血の大激闘の末にベラが勝利

2025/02/14 22:02
ONE Friday Fights 972025年2月14日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼第2試合 キャッチウェイト(58.51kg)ムエタイ3分3R×グランプリノーイ・PKセンチャイ(タイ)[1R 1分12秒 TKO] ※レフェリーストップ〇富岡勇成(FormedGYM/ジャパンキックボクシング協会フェザー級王者)  富岡(日本でのリングネームは勇成)はジャパンキックボクシング協会所属で、2023年新人賞。2024年11月に皆川裕哉を破り19歳でジャパンキック協会フェザー級王者となった。現在7連勝中と勢いに乗ってONEに初参戦する。自身のSNSでは「骨の1本や2本は要らない。これ食ったらほんとにでかいぞ。人生懸けて勝ちに行く。失神するかさせるかもちろん失神させる」との意気込みを綴った。  グランプリノーイはオームノーイスタジアムの3チャンネルTVマッチを主戦場としている18歳。2024年は4勝3敗の戦績。ONEには初参戦。戦績は72勝28敗1分。  1R、グランプリノーイは右ローを蹴り、富岡は左ミドルと左三日月を蹴り、左右フックで前に出る。グランプリノーイもワンツー、右ミドル。富岡はグランプリノーイの蹴り足をキャッチしてのパンチ、ヒザ。左ボディを叩き込み、接近するとヒジ。  グランプリノーイのミドルをキャッチしてからの左ボディ、さらに左右のヒジを叩き込む富岡。グランプリノーイが身体を丸めて下がると、そこへ再びボディへのワンツー。  戦意喪失のグランプリノーイを見てレフェリーがストップ。富岡が見事なTKO勝ちでONEデビュー戦を飾った。  勝利者インタビューでは「左ボディはずっとセコンドに就いてくれる先生と練習してきたのでとても嬉しいです。最初から自分の左ボディが一発当たれば終わると思っていたので、もう終わりだなと思っていました」と話し、35万バーツのボーナスが贈られると「チャトリ、コップンカップ! サバーイ、サバーイ!」と大喜びした。 [nextpage] ▼メインイベント キャッチウェイト(62.59kg)ムエタイ 3分3R〇コンスック・フェアテックス(タイ/Fairtex Training Center)[判定2-1]×ラムナムムーンレック・Tded99(タイ/Tded99)  コンスックは2017年にルンピニースタジアム認定バンタム級王座を奪取し、その年のスタジアム・ファイター・オブ・ザ・イヤーを受賞。2019年にはスーパーバンタム級王座も奪取してヨードレックペット同様2階級制覇を達成している。また、プロムエタイ協会でも2017年にスーパーフライ級王座、2018年にバンタム級王座に就いた。2022年にも7チャンネルのライト級王座を獲得している。  ONEには2023年6月から参戦し、デッドゥアンレックとペットンローには敗れているが、ジャオスアヤイ、パイダン、ペットスクンビット、ジョアキン・オラギに勝利。2024年8月にヨードレックペットに完封勝利して実力を見せつけたが、10月にムアンタイにKO負けを喫した。ONE戦績5勝3敗。  ラムナムムーンレックは7歳でムエタイを始めた。2019年9月にS-1スーパーフェザー級王座を獲得し、2022年にはWMC世界ライト級王座も獲得。さらに2022・2023年にラジャダムナン・ワールドシリーズ(RWS)ライト級リーグ戦で2年連続優勝した。2021年にはタイのスポーツ局が選定するファイター・オブ・ザ・イヤー(MVP)にも選ばれている。  2023年2月に初来日し、笠原弘希とシュートボクシングルールで対戦。延長3回の大接戦となったが最後はバックドロップで笠原がシュートポイントを奪い勝利した。2024年2月の再来日では体重超過したが、レンタ・ウォーワンチャイに勝利。RWSからONEに移籍しての第一戦となる。  1R、サウスポー同士。ラムナムムーンレックが左ローを蹴っていき、コンスックも左ローを蹴り返す。ラムナムムーンレックが右ボディからの左フックを見せれば、コンスックは左ストレートからの右ボディと互いに攻めて攻められの展開。  ラムナムムーンレックの左ロー集中打にコンスックはジャブを突く。左ハイを蹴るコンスック。左ボディを打ったラムナムムーンレックは、コンスックの返しの左ストレートを見事にかわす。  2R、長いジャブを伸ばすコンスック。ラムナムムーンレックは左ローから右フックを強振したが、それをかわしたコンスックが左フックでダウンを奪う。コンスックは無理に倒しに行かず、ラムナムムーンレックは巻き返そうとパンチで前へ出る。お互いに相手のパンチをかわす目の良さ。左フックのカウンターを決めたラムナムムーンレックはインファイトを仕掛けていくがラウンド終了。  3R、前に出るラムナムムーンレックが右フック、左ストレート。コンスックは右ハイを蹴るが、ラムナムムーンレックが受けてボディを打ちに行く。アグレッシブに前へ出て右アッパー、左ストレート、左右フックで攻めるラムナムムーンレックだがコンスックは近距離になると組んで止める。コンスックはジャブ。ボディを打って行くラムナムムーンレックだが、コンスックに組まれヒザを蹴られてしまう。ヒジで逆転を狙い前に出るラムナムムーンレックだが、コンスックのジャブ、首相撲に追撃を阻まれる。  最後にヒジでカットして意地を見せたラムナムムーンレックだったが、判定は2-1でコンスックの勝利となった。 [nextpage] ▼セミファイナル(第11試合)ライト級 ムエタイ 3分3R〇ドミトリー・メンシコフ(ロシア/Empire Club/Kuzbass Muay Thai)KO 1R 2分59秒 ※左フック×テングヌン・フェアテックス(タイ/Fairtex Training Center)  メンシコフはアラゾフと同門。ロシア国内で7戦を経験した後、2018年9月からGLORYに参戦。3戦全勝をマークしたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に対する抗議としてGLORYがロシア戦士全員との契約を解除したため、その後はムエタイファクトリーやフェアファイトなどロシア国内の大会で試合を行っていた。11連勝で2023年6月にONEに初参戦し、いきなりライト級ムエタイ世界王者レギン・アーセルに挑戦したが46秒でKO負けを喫した。その後はルンラーウィー、ムーシネ・チャフィ、シンサムットに3連続KO勝ちを収めている。戦績は28勝(20KO)3敗。  テングヌンは左の強打を武器に2014年オムノーイスタジアム154ポンドトーナメントで優勝、2014年キングスカップチャレンジャートーナメント優勝などの実績を上げ、2015年からは『THAI FIGHT』に参戦。KOを連発してTHAI FIGHTのメインイベンターとなり、2015年THAI FIGHT 70kg級キングスカップで優勝。2020年と2023年には72.5kgでキングスカップを制覇している。  驚くべきはその戦績で102勝14敗4分、2015年4月以降は15連勝(12KOで11連続KO)のあとに3連敗も、その後は現在まで33連勝(27KO)。そのうち29KOが1R、10KOが2Rという怪物的なKO記録を持っている。キャリアのほとんどは外国人選手との試合。  1R、圧を強めていくのはメンシコフ。サウスポーのテングヌンはジャブを突き左インローを蹴るがメンシコフはお構いなしに入り込んで左右フックを打つ。メンシコフのパンチをかわして左ストレートを2発当てるテングヌン。さらに左インローでメンシコフの足を跳ね上げる。  コーナーに追い込むメンシコフは左右フックの連打。これにテングヌンがグラつくと、一気にラッシュを仕掛けて左フックからの右アッパー、そして左フックでアゴを打ち抜き、テングヌンは失神。  メンシコフが剛腕を爆発させ、4連続KO勝ちをマークした。 [nextpage] ▼第9試合 キャッチウェイト (-57.15kg) ムエタイ 3分3R〇コンペット・フェアテックス(タイ/Fairtex Training Center)判定3-0×テッパクシン・ソー・ソンシン(タイ/Lionheart Muaythai)  コンペットはルンピニースタジアムでフライ級&バンタム級の2階級制覇、元タイ国プロムエタイ協会ライトフライ級王者、BBTV(7チャンネル)フライ級・ライトフライ級・フェザー級の3階級を制覇したムエタイ6冠王。激闘の多さで有名な7チャンネルで戦ってきた、打ち合いも出来る万能型。2022年9月、K-1に初参戦して玖村将史を判定に破り、日本でもその名が知られるようになった。  ONE初参戦となった2023年1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』のメインイベントではプラジャンチャイに判定負け、3月のK-1では金子晃大に判定負けと連敗を喫するも、その後はONEで5連勝。2024年11月に小笠原瑛作を破ったチャーパヤックに判定負けで連勝が途切れた。戦績は88勝(13KO)19敗4分。  対するテッパクシンは2023年3月の『ONE Friday Fights 10』からONEに参戦。K-1で武尊と対戦したヨーキッサダーに2連勝した後に2連敗、その後は再び2連勝している。  1R、思い切り左フックを振るテッパクシン。コンペットが右ローを蹴っていくとテッパクシンも右ローを返す。右ストレートの連打で前に出るテッパクシンにコンペットはヒジで応戦。首相撲になるとコンペットがガッチリとロックしてヒザを蹴る。アグレッシブにパンチで前に出るテッパクシンだが、コンペットはヒジと右フックで対抗し、首相撲でロック。  2Rも前に出るテッパクシン。至近距離になると両者ヒジで打ち合う。テッパクシンの右ヒジ連打をダッキングでかわすコンペット。前に来るテッパクシンにテンカオを突き刺す。下がりながらワンツー、右カーフを蹴り、テッパクシンが入ってくるとヒジを打ち、首相撲に持ち込むコンペット。テッパクシンは前へ出てアグレッシブに攻撃を繰り出すが、コンペットは上手くかわす。  3Rも同じ展開。前に出て攻めるテッパクシンの攻撃をかわし、右カーフとジャブ、右ストレートでコンペットが迎え撃つ。巧みにジャブと右フック、右カーフを当てるコンペット。当てさせずに当てるを貫いて全ラウンドを終えた。  判定は3-0でコンペットの完封勝利となった。 [nextpage] ▼第5試合 女子アトム級 ムエタイ 3分3R×ベロ・ニカ(ミャンマー/Tiger Muay Thai)判定1-2〇フランシスカ・ベラ(チリ/Kai Muay Free Fighters)  ベロはボクシングで全国選手権優勝を収め、2017年からはラウェイに参戦。2017年7月に日本で開催された『ラウェイ・イン・ジャパン』にて高橋奈七永と対戦してドロー、2017年11月の再来日ではユリア・ ストリアレンコにKO負け。2019年1月にミャンマー王者になり、2020年1月までラウェイで戦って9勝(9KO)1敗8分。  2022年からはムエタイに転向し、タイの『ムエハードコア』と『THAI FIGHT』で活躍。17連勝を収め、THAI FIGHTロイヤルカップ53kgと54kgのタイトル戦を制した。2024年2月に判定負けを喫するも、8月の再起戦で勝利し、ONEと本戦契約を結び今回ONE初参戦を果たす。  また、ベロはミャンマーのアイドルオーディション番組(リアリティーショー)『ミャンマーアイドル』のシーズン3に出場したことから“ファイティングアイドル”のニックネームを持つ。  ベラは2023年2月の『ONE Friday Fights 4』からONEに参戦。ここまで2勝3敗の戦績。  1R、両者ともスピードのあるパンチを繰り出す。ベラが得意な首相撲に持ち込むと、ベロは顔を押してヒザを蹴らせない。離れると前に出るベラがワンツー、ジャブからの右ヒジも繰り出す。ベロはジャブを突き刺し、前へ出てくるベラにワンツー。ベラがベロをコーナーへ追い込む。  2Rも前に出るのはベラ。長いジャブを打って右ストレート、右ミドルにつなげる。ベロも打ち合うがベラのスピードと手数に下がる展開。右ストレートを思い切り繰り出すベロだが、ベラは接近するとヒザを突き刺す。  組みから離れ際にもパンチを止めないベラ。ヒザ、右ヒジ、左ストレートの猛攻に下がるベロ。サイドキックや前蹴りでベラを突き放そうとするが、ベロが強烈ボディからワンツー、首相撲からのヒザでベロを圧倒。  3R、ベロは立ち止まって左ボディと右ヒジ、右ボディも。ベラも下がらず長い左ジャブ、ヒザ。徐々にベラのペースが上がり、ワンツー、左ヒジ、ヒザと矢継ぎ早に攻撃を繰り出す。ベロがヒジを出すとベラは首相撲からのヒザ。  ベロは左ボディと右ボディストレートでボディを狙い撃ちするが、ベラは首相撲に持ち込むとヒザを連打。ベロは右ストレートを連打してヒジにつなげるが、やはり首相撲に捕まってヒザの連打をもらってしまう。  両者顔面を腫らし、流血しての大激闘。判定は2-1と割れたが、終始前へ出て攻め続けたベラが勝利した。両者に35万バーツのボーナスが贈られた。  ベラは「自分の実力を証明したかった。本戦契約に値する選手であることを見せたかった」、ベロは「ONEでの初戦で嬉しかったけれどとても疲れました。勝てなくてごめんなさい」とそれぞれインタビューに答えた。 [nextpage] ▼第4試合 フライ級 ムエタイ 3分3R〇クンポンノーイ・ソー・ソンマイ(タイ)KO 2R 0分12秒 ※左フック×チャートムンコン・チョーパヤック(タイ)  クンポンノーイはセクサンの弟でONE戦績3勝2敗。2勝がKO勝ちで2敗がKO負けという激闘派。チャートムンコンはONE初参戦。  1R、サウスポーのクンポンノーイは左ストレートで前へ。チャートムンコンも左フック&右ストレートで迎え撃つ。クンポンノーイの左ストレートでロープに座り込むチャートムンコンだがフラッシュでダウンにはならず。しかし、さらに詰めるクンポンノーイにチャートムンコンが右ミドルを蹴るが、それを受け流したクンポンノーイが左ストレートからの左フックで今度はダウンを奪う。ラッシュをかけるクンポンノーイだが、チャートムンコンも打ち合って耐えた。  2Rが始まった直後、チャートムンコンが右ストレートを打ち、クンポンノーイがダッキングでかわしての左フック一閃。離れようとしたチャートムンコンから強烈なダウンを奪い、レフェリーが即ストップした。  クンポンノーイには35万バーツのボーナスが贈られた。 [nextpage] ▼第3試合 女子アトム級 ムエタイ 3分3R〇ジュニア・フェアテックス(タイ)判定3-0×エミリー・チョン(中華人民共和国香港特別行政区)  ジュニアは真美を破るなどONE無敗の6連勝中の19歳。エミリーはKOKOZに勝利している19歳。  1Rから前へ出るジュニアが右ストレートを中心に猛攻。首相撲からのヒザ蹴り連打、右ヒジ、ボディからの顔面とエミリーを圧倒する。エミリーも右フック、左ヒジで反撃するがジュニアに前蹴りで止められる。  2R、エミリーが左右フック、右ストレートからの右アッパーと前へ出るがジュニアも強気にワンツー、前蹴りで応戦。打ち合いでもらって下がるエミリーだがすぐに前へ出て打ち合う。ワンツーをヒットさせて前蹴りで下がらせ、エミリーが前へ出てくると首相撲からのヒザ蹴り連打とジュニアが終盤は圧倒。  3R、ヒザや前蹴りも混ぜてパンチを繰り出すエミリーだが、ジュニアが右ストレートをヒットさせていき、左ミドルも混ぜる。右ボディストレートを突き刺してからの首ヒザの連打。右ストレートを顔面とボディへどんどん当てるジュニア。ワンツーで最後まで前へ出た。  判定3-0でジュニアが7連勝を飾った。
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