前半戦のメインとなる第6試合に、グレゴリアンが登場する(C)ONE Champiosnship
2024年12月20日(金)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Friday Fights 92』(U-NEXT配信)の全対戦カード&試合順が決定した。
日本から野杁正明(team VASILEUS)、KANA(フリー)、士門・エイワスポーツジム(=吉成士門/エイワスポーツジム)の3選手が出場することで話題の今大会。士門は第2試合でリッティデット(タイ)と、KANAは第3試合でアニッサ・メクセン(アルジェリア/フランス)と、野杁は第4試合でリウ・メンヤン(中国)と対戦する。
武尊が出場した9月の『ONE Friday Fights 81』と同じく、日本人選手たちの試合が前半に集中した。
【写真】野杁を破ったシッティチャイがメイン
同大会のメインイベントは、フェザー級ムエタイ3分3Rのシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)vs.シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)。
シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に11回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。
ONEには2020年7月から参戦。2022年の「ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ」では決勝へ進出するもチンギス・アラゾフに判定負け。2023年9月にモハマド・シアサラニに判定で敗れ、2024年1月の日本大会ではマラット・グレゴリアンにKO負けを喫して連敗したが、5月の野杁正明戦で完勝を収めて実力者健在ぶりを示した。戦績は129勝(39KO)35敗5分。
シャドウはラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者。同タイトルは2022年2月にフリオ・ロボと王座決定戦を行って勝利し、手にしたもの。2022年にはラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)のウェルター級リーグ戦で優勝。2024年2月のFriday Fightsに注目の初参戦を果たしたが、マムカ・ウスビャンに判定負けを喫した。しかし、その後はエリック・ヘアー、ジミー・ピエノ、モハメド・シアサラニに3連勝と勢いに乗っている。
【写真】毎回シーソーゲームとなるスアキム。3連勝なるか
セミファイナルの第11試合には、スアキム・ソー・ジョー・トンプラジン(タイ)が登場。パンリット・ルージョメイサイワーリ(タイ)とキャッチウェイト (-63.5kg) ムエタイ3分3Rで対戦。
スアキムはルンピニースタジアムのバンタム級、スーパーバンタム級、スーパーフェザー級の三階級制覇王者で、2018年2月の『KNOCK OUT』に初来日。那須川天心への最強の刺客として大きな話題を呼んだが、那須川に5R判定負け。2019年7月には『RISE』で那須川と再戦したが、胴廻し回転蹴りで目尻を切り裂かれて流血、3R1分25秒、TKOで敗れている。
2019年12月には日本の『BOM』でチャンヒョン・リーにTKO勝ちし、BOMスーパーライト級王者になったが、2020年4月に突然の引退宣言。2023年7月、ONEで現役復帰を果たすもキリル・ホムトフにKO負け。9月にサマン・アシュリをKOして再起を果たしたのも束の間、2024年1月にはアレクセイ・バリカにKO負けを喫した。4月のデニス・デミルカプ戦では劣勢からの逆転KOに成功、9月にはオーティス・ワグホーンとのダウン応酬の接戦に競り勝っている。
パンリットは2023年2月の『ONE Friday Fights 3』から参戦。4戦目までは1勝3敗と冴えなかったが、2024年2月の『ONE Friday Fights 50』で2020年タイ・スポーツ省が選ぶファイター・オブ・ザ・イヤー(MVP)、ムエタイアワードでも年間最優秀選手賞を受賞した強豪コンクライにTKOで番狂わせの勝利を奪うと、そこから一気に4連勝を飾っている。
【写真】ONE全勝対決に臨むソンチャイノーイ
第10試合はアトム級ムエタイ3分3R、ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)vs.ヨッドナムチャイ・フェアテックス(タイ)。
ソンチャイノーイはS1ジュニアバンタム級王者の肩書きを引っ提げて2022年9月のNJKFに初来日すると、塚本望夢を1RでKO。2023年4月には『BOM OUROBOROS 2023』で名高・エイワスポーツジム(吉成名高)に3RでKO負けを喫したが、強烈な攻撃の数々で名高を苦しめた。2023年7月の『BOM』にも来日し、重い左右ローキックで場内をどよめかせ、5Rには首相撲からのヒザ蹴りでジュライ・ウォーワンチャイ(=石井寿来)に判定2-0で勝利している。ONEには2023年1月の『ONE Friday Fights 2』から出場し、7戦全勝(3KO)の快進撃。所属するゲッソンリットジムは、K-1など日本で大活躍したチャンプアを輩出したジムだ。
ヨッドナムチャイは2023年9月の『ONE Friday Fights 33』から参戦すると、こちらも6戦全勝(3KO)。前戦はソンチャイノーイと同じくラック・エラワンを破っている。Friday Fightsで全勝同士の激突となる。
【写真】10月、約2年ぶりにONE復帰を果たしたパンパヤック
第9試合はフライ級ムエタイ3分3Rで、パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)がイゴール・ベクレフ(ロシア)と対戦。
パンパヤックは2012年にラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座、2013年に同ライトフライ級王座を奪取して2階級制覇を達成。2014年にはルンピニースタジアム認定バンタム級王座、2015年に同フェザー級王座を奪取してこちらでも2階級制覇を達成している。2013年から2015年タイスポーツ記者協会の年間最優秀ファイター賞を3年連続受賞(史上唯一)。2019年9月からONEに参戦し、RISEフェザー級王者(当時)工藤政英を破るとこれまで4勝2敗。この2敗はいずれもスーパーレックに付けられたもので、スーパーレックとは4勝3敗1分。また、スアキムに2勝、サムエーに2勝、プラジャンチャイとは1勝1敗というトップの実力者。
ベクレフは2024年11月の『ONE Friday Fights 86』に初参戦、ギンサンレックを右ストレートで1RにTKOしている。
第8試合のバンタム級ムエタイ3分3Rでは、シブムン・シッチェブンタン(タイ)vs.アブドゥラ・ダヤカエフ(ロシア)が対戦。
シブムン・シッチェブンタン=シップムーン・シットシェフブンタムは2017年5月に当時ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者だったT-98に挑戦、判定勝ちで王座を奪った。また、緑川創とは2度対戦して1勝1分(ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王座決定戦で勝利し、2度目の王座に就いている)、日菜太にはKO負けを喫した。
一時は引退してYouTuberとなり150万人の登録者がいたが、2022年に現役復帰。『ラジャダムナン・ワールド・シリーズ』のスーパーウェルター級リーグ戦で準優勝を飾った。戦績は78勝(26KO)24敗2分。ONEには2023年9月に初参戦したがミゲール・トリンダーデに初回KO負け、2024年7月の2度目の参戦でもタイソン・ハリソンに判定負け。
ダヤカエフは2023年11月の『ONE Friday Fights 39』から参戦すると4連勝を飾ったが、2024年10月の『ONE Friday Fights 82』にてヨッドIQにONE初黒星を付けられた。
第7試合のアトム級ムエタイ3分3Rでは、ラック・エラワン(タイ)とコーコー・ソー・ソンマイ(タイ)が対戦。
ラックは2019年12月にルンピニースタジアム認定ライトフライ級王座、2020年3月にはプロムエタイ協会の同級王座、2022年には7チャンネルスタジアムのスーパーフライ級王座を獲得。2023年3月から『ONE Friday Fights』に参戦し、チューサップとマハーサムットに連続KO勝ちを収めて11連勝をマークしたが、11月のソンチャイノーイ戦で判定負けを喫して連勝がストップした。その後はSBの佐藤執斗に左フックでKO勝ち、ニコラス・レイテ・シウバに判定勝ちと再び連勝したが、2024年7月のソンチャイノーイとの再戦に判定で敗れ、9月もヨッドナムチャイに判定で敗れている。12月1日の『RWS』にて吉成名高との対戦が決まっていたが、家庭の事情でキャンセルしていた。
コーコーは2023年2月の『ONE Friday Fights 6』と4月の『ONE Friday Fights 14』に出場したが、いずれもクンスクレック・ブーンデクシアンに判定負け。前に出てパンチ&ヒジでアグレッシブな攻めの姿勢を見せた。
そして、前半のメインイベントとなる第6試合のキャッチウェイト(-77.12kg)キックボクシング3分3Rには、マラット・グレゴリアン(アルメニア)が登場。Abdelali Zahid(モロッコ)と対戦する。
グレゴリアンは2015年のK-1 WORLD GP初代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメントで3試合連続KO勝ち。初代王座に輝くと2019年5月にシッティチャイを破りGLORY世界ライト級王座も獲得。ONEには2020年12月に初参戦。2023年8月にONEフェザー級キックボクシング世界王者チンギス・アラゾフに挑むも判定負けでタイトル獲得ならず。2024年1月のONE日本大会ではシッティチャイと5度目の対戦でKO勝利を奪った。4月にはスーパーボンとONEフェザー級キックボクシング暫定世界タイトルを争ったが、判定で敗れている。戦績は67勝(35KO)14敗1分1無効試合。