計量前会見でこれほど多くの報道陣に囲まれていたロッタン。(C)ONE Championship
2024年11月9日(土)『ONE 169』(タイ・ルンピニー・スタジアム/U-NEXT配信)で、フライ級ムエタイ変則王座戦で対戦するロッタン・ジットムアンノン(タイ)と、同級3位のジェイコブ・スミス(英国)の計量前インタビューが主催者より届いた。
7日の計量でロッタンは1度目のトライでハイドレーションテストはパスしたが、体重は135.5LBS(61.46kg)でフライ級リミットの134.92LBS(61.19kg)を約260グラムオーバー。残り50分を切ったところでの再計量ではハイドレーションテストが1.0259で規定の1.0250以内をパス出来ず、体重計には乗らず会場を出た。
ロッタンは前戦の2024年6月、デニス・ピューリック戦でも約1.4kgオーバーで体重超過し、ハイドレーションテストもパス出来ず、キャッチウェイト戦になっており、2試合連続の計量ミスとなる。
その後、ロッタンとスミスは135.5LBS(61.46kg)でのキャッチウェイト戦に合意。ロッタンはONEフライ級ムエタイ世界タイトルをはく奪され、ファイトマネーの20%の罰金。試合はスミスが勝った場合のみ王座獲得となる変則王座戦となった。
両者は再戦。2022年5月に開催された『ONE157』のONEフライ級ムエタイ世界GP準々決勝で初対決し、ロッタンが判定勝ち。
その後、スミスはボルター・ゴンサルベスを1R KOに下して再起も、2024年4月の前戦でデニス・ピューリックに判定負けしている。
ロッタンは、スミス戦後、ジョセフ・ラシリ、ジドゥオ・イブ、エドガー・タバレスに勝利し4連勝。2023年9月に140ポンド契約でスーパーレック・キアトモー9に判定負け。前述の通り2024年6月に、スミスが敗れたピューリックに141.25ポンド契約で判定勝ちしている。
そのスミスについてロッタンは計量前に、「ジェイコブはとても強くてタフな相手だ。気持ちが強く、決して下がらない。あれだけ出血させたのに、立っているのが信じられなかった。前回はKO出来なかった。今回もガンガン前に出てくると予想している。スピードが無かったが、今回はそこを修正してきていると思う。彼の発言通り進化して、前より100倍強くなっていることを期待するよ」と、気持ちの強さを挙げながらも、どこか余裕の発言。
「今回の試合に向けて、栄養士やスポーツサイエンティストと一緒にフィジカルコンディションを向上させてきたので、万全の状態だ。いつでも戦える。フィジカルコンディションとスピードに重点を置いた練習を行なった」と語っていたが、栄養士をつけながらまさかの連続計量ミス。
「自分はとても粘り強くタフで決して諦めないファイターだ。試合の流れ次第でチャンスがあれば、もちろん、フィニッシュする」とKOを宣言している。
対するスミスは、「コンディションは完璧だ。ファンタスティックな状態だ。興奮して試合が待ちきれない」と、万全の体調ぶりをアピールし、その言葉通り、筋肉のカットが浮き出るボディで計量をパスした。
「ヤツはキラーだ。しかしそれは私も同じ。今回も相手をぶちのめす同士の戦いになる。彼に弱点があるなんて考えないようにしている。相手の弱点を突くことに比重を置いていない。自分が進化した点、特に攻撃の部分に意識を集中させて、攻撃的に戦うつもりだ」と、アグレッシブに戦うとしながらも、「ロッタンはこちらの想像以上に技術レベルが上がっているはずと警戒している。自分は感情的になりすぎず、頭を使って冷静に戦うこと。雑にならず、ゲームプラン通りに戦うこと意識している」と冷静さも併せ持つ。
とはいえ、ポイント狙いの戦いをするつもりはない。
「もちろん、KOすることが一番理想的だ。ただKOフィニッシュという結果は二の次で、とにかく前に出てKOを狙う戦いがしたい。私の過去の試合を見れば、私がポイント狙いの逃げの戦いをしないファイターだってことが分かるはずだ。私はどの試合でも常にフィニッシュを狙う」と、情熱と冷静の間で。フィニュシュを狙うとした。
この試合前に向け、ロッタンは圧勝すると発言しているが、スミスは「彼はチャンピオンだし、だから敢えて私を格下扱いにしていると思っている。もし本気で私をナメているなら、それは愚か過ぎる。リング上で驚く結果になると思う」と、アップセンットを予告した。
そして、ロッタンの連続計量ミス。ナメられた形となったスミスは、リング上でサプライズを成し遂げるか。
【写真】計量前会見での2ショット。ロッタンの右肩のベルトは剥奪された。
また、スミスは公式サイトのインタビュー(10月24日掲載)で以下の様に答えている。
──ロッタンとの前回の対戦について振り返ってください。
「前回の対決は、彼にとっては楽勝だった。自分は対戦するまで彼の実力がどれほどか、わかっていなかった。最初から最後まで、彼は常に自分の一歩も二歩も先を行っていた。それだけのことだ。
これについては言い訳しない。あの対決では自分にあれ以上のことはできなかったと思う。だが、その試合は2年前だったってことを思い出してほしい。自分にとってはONEチャンピオンシップでの初試合だった。4オンスグローブで試合をしたのは初めてだったんだ。ハイレベルな試合も、一流のムエタイ選手との試合も初めてだった。だから厳しい戦いだった」
──2年半越しの再戦ですが、今回はどの様な試合をイメージしていますか。
「あのときから、2人とも進化して成長してきた。当時は自分のタフさに頼り切って打撃を交わしたけれど、そのために相手の罠にはまってしまった。あまり細かいことは話したくないが、あの試合から多くのことを学んで、現在やこの先のスタイルに取り入れている。だからこそ今回は彼に勝てる気がするんだ。
試合展開を考えてみよう。5ラウンドは自分にとって有利だ。調子はいいし、いつも後半のラウンドで強くなる。ロッタンも同じだと思うが、自分が言えるのは、この試合に100パーセント勝つつもりで臨む、ということだ。
どうなるかは誰にも分からない。隙があればそこを狙う。だが、そうでなければゲームプランに基づいて、仕事をやり遂げるつもりだ」
──今回の試合はロッタン優位の声が多くありますが、それについてどう思いますか。
「今まはあらゆる面で以前より進化している。以前とタフさは変わらないうえ、ファイトIQは高まったし、総合的なスキルは10倍以上向上している。
それに、あの試合以来ずっとONEで出場し続けてきた。いまでは何度も出場しているのでかなり慣れて、今回の試合に向けての準備もできていると感じる。
今回の試合では、以前と変わらず荒々しくてタフなジェイコブ・スミスを見ることができるだろう。それに加えて、ファイトIQがより高く、気持ちのコントロールも上手にできるようになっている」
──今回のタイトル挑戦、自身にとっての意味は。
「(家族の)マクドナルドのハッピーセットのために戦うにしても、ONEチャンピオンシップの世界タイトルのために戦うにしても、自分には関係ない。自分が朝起きる理由は、自分がファイターだから、そしてすべての試合に勝ちたいと思っているからだ。
世界タイトル獲得という目標に向かって戦うことは信じられないことだ。子どもたちの未来を変える可能性がある。だから、毎朝起きてそういうことを考えるんだ。けれども、トレーニングには影響しない。目の前の目標が何であろうと、全力でトレーニングをするだけだ」
──王座を獲得した場合、初防衛戦は誰と戦いたいでしょうか。
「(2024年5月の前戦で負けた)デニス・ピューリックだ」
──最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
「いつも応援してくれて本当にありがとう。皆なのために土曜日は最高のショーを見せるので期待してほしい」