2024年11月9日(土)タイ・ルンピニースタジアム『ONE 169:Malykhin vs. Reug Reug』(U-NEXT配信)で、初代ONE女子ストロー級キックボクシング世界王座をジャッキー・ブンタン(米国)とアニッサ・メクセン(アルジェリア/フランス)が争う。
ブンタンは2021年2月にONE初参戦。パワフルな左右フックを武器にワンダーガール、エカテリーナ・ヴァンダリーバらに3連勝し、4戦目で現ストロー級ムエタイ世界王者スミラ・サンデルに挑戦したが判定で敗れた。その後は3連勝をマークしている。
メクセンはこれまでISKA世界K-1ルールバンタム級王座、WAKO世界K-1ルール同級王座、GLORYスーパーバンタム級王座(2度)、WPMF世界フライ級王座など合計16本ものベルトを獲得し、戦績は驚異の103勝(33KO)6敗という女子キックボクシングの生ける伝説(現在36歳)。サバットでもフランス王者、ヨーロッパ王者、世界王者になっている。ONEとは2020年8月に契約し、2021年9月に念願の初登場。クリスティーナ・モラレスを2RでKOして3連勝を飾ったが、2023年12月の暫定アトム級キックボクシング世界王座決定戦でペッディージャーに敗れた。今回は一階級上げてのONE王座獲りに臨む。
メクセンは「初代王座だから、歴史的なものだ。このタイトルを獲得できたら本当に素晴らしい」と17本目のベルト獲得に意欲を燃やす。
「間違いなく自分が勝つ。1カ月半前からハードなトレーニングを積んできた。調子は最高だし、戦う準備はできている。トレーニングのたびに全力で追い込んできたし、今回こそ自分の番だ」と万全の準備で絶対の自信を口にした。
体重については「これが自分の本来の体重なので、体重や食事制限などを気にする必要はなかった。ただトレーニングに集中した。パワーを増やすために少し筋肉をつけただけだ」と、ストロー級の方が本来の階級なのでトレーニングに集中出来たとし、「全てが完璧だ」とする。
対戦するブンタンのことは「彼女は完成されたアスリートで、ボクシングも上手い。だから、自分もボクシングをたくさん練習してきた。試合前の特訓はいつもと同様だが、もちろん、対戦相手に合わせてスタイルの調整はする」とパンチの上手さを警戒。
しかし「彼女は強い。けれども、自分がいるレベルではどの選手も強い。これまでにも強敵とたくさん対戦してきた。こうしたことは初めてではない」と、ブンタンは特別な強さを持った相手ではないとONEの公式取材で語った。
一方、対するブンタンは「理論上では自分がアンダードッグだ。自分にとって初めてのキックボクシングマッチだし、彼女のほうが倍以上の経験がある。それに、彼女は何度も世界チャンピオンになっている」と、メクセン有利の予想は否めないと認める。
しかし「だから、ワンダーガールとの(ONEでの)初試合を思い出すようにしている。そのときもアンダードッグで、不利だと思われていたけれども、それがモチベーションになった。ただ試合に出て、そのたびに新しいスタイルを披露するのが大事だ。もっと適応力を示して、前回よりもいいパフォーマンスをして、世界指折りのキックボクサーに勝ちにいく」と、ONE初参戦で不利の予想を覆したワンダーガール戦のような番狂わせを起こすとした。
メクセンには「強さとパワー、そして身体能力には自信がある」とパワーで勝てるとするが「強さをテクニックとして用いるような近道をしないようにしている。きちんと全力で正しいテクニックを使うようにしたい」とテクニックはテクニックでパワーだけに頼ることはしない、とも。
「これまでの全部の試合と同じように、この点が自分の強みになるだろうと思っている。グローブが大きくても関係ない。それでも強さを発揮できると思う」と、4オンスのオープンフィンガーグローブではなく8オンスのボクシンググローブでも自分のパンチ力は活きるはずとした。
「自分は常に自分自身を信じている。フルラウンドの戦いになるとしても、勝利を収めるつもりだ。今回はそういう試合になるような気がする。自分のなかの闘争本能をむき出しにして、相手にぶつけていきたい」と、フルラウンドの戦いを予想するブンタン。
「ありきたりな表現だけど、激しい攻防が繰り広げられるようなすごく面白い試合になると思う。ただ、自分のほうがもっと積極的に行くと思うけれど」と、激しい試合になる中さらに自分がアグレッシブに攻めていくとONEの公式取材で予告した。
9月にONEとの契約が発表されたK-1女子初代フライ級王者KANAは、数年前からメクセンとの対戦を熱望しており、ここでメクセンが初代女王の座に輝けば最初の挑戦者として選ばれる可能性も出てきそうだ。
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『ONE 169』ではロッタンvs.スミス、ブンタンvs.メクセンの他に立ち技4試合
▼第7試合 フライ級ムエタイ 3分3Rゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)タギール・カリロフ(ロシア)
ゴントーラニーは2018年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座、2022年に同ライト級王座に就いているサウスポー。サオトーとサオエークにも勝利し、2021年4月にギンサンレックに敗れるも2022年3月の再戦ではTKO勝ちで制している。2023年2月の『ONE Friday Fights 6』に初参戦すると、ギンサンレックを左フックでKOして返り討ちにし、その後はシャーゾット・カブトフ、内藤大樹、パルサ・アミニプール、シャリフ・マゾリエフ、そして日本でもお馴染みのジャオスアヤイを破り破竹の6連勝。しかし2024年6月、スーパーレックに判定で敗れて連勝がストップ。
カリロフはタイでムエタイを学び、現在はエカテリンブルクのサミンプライ・ムエタイ・ジムで練習を積む。ONE初登場は2021年2月のロッタン戦で、対戦相手の欠場による1週間前オファーのスクランブル参戦だったが、ロッタンを相手にスプリット判定まで持ち込んでいる。その後はデニス・ピューリックに判定負け、チョーファーに初回TKO勝ち、ブラック・パンサーを初回KO。2023年7月にはスーパーレックと対戦してTKOで敗れるも、11月にはヨードレックペットにスプリット判定ながらも勝利を収めている。前戦は6月にナックロップに初回KO負けを喫した。
▼第5試合 ストロー級キックボクシング 3分3Rサムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)ジャン・ペイメン(中国)
サムエーはルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級とスーパーフライ級の2階級、プロムエタイ協会ではスーパーバンタム級・スーパーフライ級・フェザー級の3階級を制覇。2011年にはルンピニー・ファイター・オブ・ザ・イヤーとスポーツライターズ・フレンズ・ファイター・オブ・ザ・イヤーの両方を受賞しているムエタイレジェンド。
2018年1月にONE最初のムエタイの試合を戦ったサムエーは、ONEフライ級ムエタイ世界王者にもなったが、2019年5月にジョナサン・ハガティに判定負け後、10月にストロー級転向。12月にはワン・ジュングァンに判定勝ちし、新設されたONEキックボクシング世界ストロー級王者となった。さらに2020年2月、ロッキー・オグデンを破りムエタイ世界同級王座も獲得して二冠王に。2020年10月にはジョシュ・トナーに2RでTKO勝ちし、初防衛に成功するも、2021年7月にプラジャンチャイに敗れて王座を失った。2023年6月の再戦でもプラジャンチャイにKO負け。前戦は9月にアクラム・ハミディを初回KO。戦績は374勝49敗9分。
“中国の天心”の異名を持つペイメンは、中国「EMLegend」等で活躍し、23勝18KOをマークするなど“最強中学生”として話題となり、2022年3月にONEデビュー。サムエーが持つONEストロー級ムエタイ世界タイトルマッチにも挑戦経験があるトナーと対戦し、2RでKO。7月大会ではアスランベック・ジクレーブを判定3-0で破り、10月にONE世界ストロー級キックボクシング王座決定戦に臨んだが、ジョナサン・ディベラに判定で敗れ戴冠ならず。2023年3月の再起戦で勝利するも、11月にはルイ・ボテーリョに判定で敗れた。2024年4月にアリーフに判定勝ちで再起。戦績は18勝(6KO)3敗1分。
▼第3試合 フェザー級ムエタイ 3分3Rエディ・アバソロ(米国)モハメド・ユネス・ラバー(アルジェリア)
アバソロは2022年11月にONE初参戦。リアム・ノーランに判定負けを喫したが、2戦目はニコラス・ラーセンにKO勝ち。3戦目ではシッティチャイに判定負けもパンチとヒジで激しく打ち合い、ヒジのカウンターでシッティチャイを相手に何度もピンチの場面を作って見せた。前戦は2月にルーク・リッシに判定2-1で惜敗。サーマートに憧れているという。
188cmの長身ラバーは2023年12月のONE初参戦でセーマペッチと対戦。左フックでダウンを奪われるも即座に右ストレートでダウンを奪い返し、さらに飛びヒザ蹴りからの左右フック5連打でダウンさせるも、完全に倒れていたセーマペッチの顔面にヒザを突き刺した。結果はラバーのKO勝ちとなったが、最後のヒザが物議を醸し、2024年2月にダイレクトリマッチ。初回KO負けでセーマペッチにリベンジを許した。
▼第1試合 ストロー級ムエタイ 3分3Rアリーフ・ソー・デチャパン(タイ/マレーシア)ボルター・ゴンサルベス(ブラジル)
アリーフは2023年4月のONE Friday Fightsから参戦し、4連勝(2KO)を飾ったが2024年4月にジャン・ペイメンに判定負け。続く7月のエリス・バルボーサ戦も判定2-1で敗れたが、8月にザカリア・ジャマリをKOして再起した。
ゴンサルベスは2016年頃からタイを主戦場とし、MAXMUAYTHAIやエクストリームムエタイで活躍。2017年にP-1トーナメントで優勝すると、2018年3月にはWPMF世界ライト級王座を獲得。2018年6月にはエクストリームムエタイ-60kg王座も獲得した。2019年10月にONE初参戦を果たすといきなりロッタンのONEムエタイ世界フライ級王座に挑戦したがスプリット判定負け、2020年12月にはMOMOTAROにTKO負けと連敗。2022年のONEムエタイ・フライ級ワールドGP準決勝でスーパーレックに初回KO負けし、その後も連敗とONE戦績1勝5敗と崖っぷちだ。戦績は72勝(36KO)9敗。