2024年10月26日(日本時間26日23時)、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナにて『UFC 308: Topuria vs. Holloway』(U-NEXT配信)が開催される。
メインイベントは「UFC世界フェザー級選手権試合」。
2024年2月にアレクサンダー・ボルカノフスキーを2R KOに下し、15戦無敗でフェザー級新王座についたイリア・トプリアに、4月にジャスティン・ゲイジーを5R KOに下しBMF王者となったマックス・ホロウェイが挑戦する、5分5R戦となる。
▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5Rイリア・トプリア(ジョージア)王者 15勝0敗(UFC7勝0敗)※UFC7連勝中 145lbs/65.77kgマックス・ホロウェイ(米国)挑戦者・2位 26勝7敗(UFC22勝7敗)※UFC3連勝中 145lbs/65.77kg
試合前の会見で挑戦者は「イリアのスタミナが優れて見えるのは、試合の序盤で相手にダメージを与えてるから。つまり相対的に相手が消耗しているだけなんだ」と語り、序盤に被弾しないことで5R戦の自信を見せた。
ホロウェイ「エキサイティングな試合は自分で作り出さなきゃいけないんだ」
──イリア・ トプリアの発言は、あなたを怒らせるというよりは、困惑させることのほうが多いのでは?
「そうだね。彼の言うこと全部に困惑してるって感じかな。俺が試合を望んでないのに、UFCから強要されているとかさ。彼は……いや、なんていうか、ジャスティン・ゲイジー戦の後の俺みたいに、見た目までおかしくなった気がしてるんだ。クレイジーだよ」
──トプリアが自信を持っていることは明らかですが、「ライト級タイトルに挑戦する」とか「マックスとの試合はジョシュ・エメットより楽な相手だ」と言っているのは本音だと思いますか。それとも自らを奮い立たせるために言っているのでしょうか。
「正直に言って、分からないよ。でも、もしそれが最高のパフォーマンスをするために必要なことなら、それでいいんじゃないか。好きなだけ話しても構わないけど、結局のところ、まもなく俺と戦わなきゃいけないんだ」
──トプリアは「試合開始10秒でケージ中央を指差す」と発言していましたが、どう思いましたか。
※ホロウェイは前戦の残り10秒でケージ中央を指さし、ゲイジーと足を止めての殴り合いを展開。結果、ホロウェイは5R 4分59秒でKO勝ちを収めている。
「全く意味が分からないよ。彼はそんなことを言う資格を得てないと思うんだ。彼はただの“物真似ファイター”だ。タトゥーから振る舞いまで、試合へのアプローチも全部真似してる。しかも、彼が真似してる相手は俺の親友(コナー・マクレガー)なんだよ。
実際、彼はジョシュ・エメットとの試合でエキサイティングな試合をするチャンスがあった。あの試合を振り返って欲しい。エメットが殴り合いに持ち込もうとした時に何が起こったか分かるだろう。テイクダウンして塩漬けにしようとしたよな。エキサイティングな試合は自分で作り出さなきゃいけないんだ。それなのに彼はただ誰かの功績に乗っかろうとしているだけ。すでにマクレガーの振る舞いを真似ているし、今度は俺の戦い方を真似ようとしている」
──アレキサンダー・ ボルカノフスキーに勝利を収めた彼が優れたファイターであることは間違いがないと思いますが、あなたはキャリアのなかでジョゼ・アルド、コナー・マクレガー、アレキサンダー・ ボルカノフスキーなど歴代のベストファイターと戦ってきました。彼らと比べて、トプリアをどう評価していますか。
「間違いなく強いよ。優れたファイターだ。多くの人が忘れてるけど、彼はUFCに入ってきた時はグラップラーやレスラーとして認知されてたんだ。それが、年が経つにつれて、相手を次々とノックアウトし始めた。ボクシングも一級品だ。ファイターとして、彼が弱いなんて言うのはただの嫉妬だろう。彼は自分がやるべきことをやって、この位置まで登り詰めたんだから、そこに対して敬意は持ってる。でも、試合当日に俺と対峙したら、面白いことになるよ」
──あなたはアレキサンダー・ ボルカノフスキーと3度戦っていますが、彼とのストーリーはもう終わったと感じていますか。
「彼に3敗しているから、1勝は取り返さなきゃならない。最終的には絶対に勝ちたいって思ってるよ。でも、彼に対してはいつも尊敬の念があるんだ。お互いリスペクトし合ってるよ。というか、誰と戦う時でも基本的にリスペクトはある。オクタゴンに上がって、全力で戦い合うっていうのは、特別な人間にしかできないことだから」
──トプリアは「自分が次世代のMMAをもたらす」と言っているが、どのように感じますか。
「たぶん、それは試合を盛り上げるために言ってるんだろうな。別に彼が他のファイターたちと何か違うことをしてるとは思わないよ。みんな打撃をするし、レスリングもするし、グレコローマンだってやる。みんな同じことをやってるよ。彼はMMAファイターであって、それを上手くまとめ上げてるだけなんだ。彼が『次世代』って言ってるのも、俺とほんの数歳しか違わないんだよ(※ホロウェイは32歳、トプリアは27歳)。俺も早くからUFCでやるべきことはやってきた。多くの人が俺がどれだけ若かったか忘れてるんだよ。たしかESPNが投稿してたけど、彼と同じ歳の時、俺はすでにタイトルを取って、防衛もしてたんだ」
──『UFC300』の後、多くのジャーナリストやファンがこの試合を年内で最も楽しみにしている試合だと挙げていました。まだこの試合が発表されてもいなかったのに、そういう声があったことは誇りに感じますか。
「もちろんさ。俺の名前がアレックス・ペレイラやジョン・ジョーンズと並んで挙げられて、試合を期待されるのは凄いことだ。こんな風に話題にされるのは、とても光栄なことだよ」
──ボルカノフスキーがこの試合を分析したとき、「特に後半のラウンドでマックスが優位に立つ」と予想していました。あなた自身も、後半に優位な展開になると思いますか。
「まあ、どうなるか見てみよう。何が起こるかなんて誰にも分からないからね。でも、俺は最近良い具合に相手に一発を当てて倒してきたから、それはやっぱり楽しいよ。最終的に、どうなるかは試合を見てほしい。イリアは自分のスタミナに自信があるみたいだけど、ほとんどの場合、彼のスタミナが優れて見えるのは、試合の序盤で相手にダメージを与えてるから。つまり相対的に相手が消耗しているだけなんだ」
──トプリアがマックス相手に序盤でダメージを与えられなかったら……ということですね。もし、今回ベルトを取り戻したら、前回よりも特別な意味を持つでしょうか。
「いや、そんなことはないね。みんなが俺のキャリアをどう見てるかは分からないけど、俺にとっては、アイドルみたいに尊敬していたジョゼ・アルドと戦って勝った時が最高の瞬間だったんだ(※2017年6月『UFC218』で3R TKO勝ちし、王座統一に成功)。彼がまだ戦ってるっていうのがすごいよ。誰かが『彼の年齢(38歳)は嘘なんじゃないか』って話してたけど、あの動きはヤバい。真の王者であるアルドと戦って、勝った瞬間を超えるものは、この先無いと思う」
──今週、ライト級ランキングで3つ順位が上がったことが話題になっていますが、試合をしてないのに順位が上がったことについてはどう感じていますか。
「ランキングって本当に不思議だよ。正直言って、ベルトを持ってない限り、ランキングなんて大した意味はないんだ。だから、順位が上がったりするのは面白いけど、結局のところ、一番上じゃなければ負けてるのと同じって考えだ」
──もし今回の試合後に2つのベルト(※フェザー級とBMF)を肩にかけたら、どっちを防衛するか悩むことになるでしょうか。
「全然悩まないよ。UFCが『これをやれ』って言えば、その通りにやるだけさ。フェザー級には今、面白い試合が増えてきてるし、新しい挑戦者も出てきてる。ディエゴ・ロペスやモフサル・エフロエフもランキングを駆け上がってきてるしね。もちろん、ライト級ファイターと俺とのマッチアップを考えるのも楽しいだろう。でも、まずはイリアだ。今は彼に集中してるから、その質問は試合後にしてくれ」
──アレキサンダー・ ボルカノフスキーが、オーストラリアでの試合をすごく望んでいて、あなたが勝ったら2月にオーストラリアで戦える可能性が高いと言っていました。その可能性についてどう思いますか。
「まずはイリアとの試合が最優先だ。それが終わったら、12月には家族と旅行するって約束してるから、ちょっと準備期間が短すぎるかもしれない。それに、マネージメントにオーストラリア人が二人いて、向こうの税金の話を聞いたら、やっぱりベガスが良いなって思ったんだ(笑)」
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『彼は素敵な人だった』と記憶されたい
──リングアナのブルース・バッファーに「アンド・ニュー(新王者誕生)!」とコールされるのがモチベーションになってるって、数年前に話してたました。そしてついに4月の『UFC 300』でBMFタイトルを獲得して、そのコールを聞けたわけですが、今回もまた聞きたいと?
「ああ、『アンド・ニュー! そしてBMFタイトル統一王者!』ってね。BMFタイトルは、正直言ってよく分からないよ。最初は『フェイク(偽の)タイトル』って言われてたのに、今じゃみんなが欲しがってる。しかも、俺がこの試合でBMFタイトルを賭けないってことで怒ってる人たちがいるけど、俺にそんなフェイクタイトルを賭ける権限があるわけじゃない。しかも対戦相手のトプリアがフェイクタイトルのフェイクを持ってるなんて、もう意味が分からないよ。この世の中がどうなってるのか、俺にはもう理解不能だ」
──あなたはこれまで5Rマッチを15試合も経験していますが、今回のタイトルマッチに活かされると思いますか。
「経験は素晴らしいものだと思うけど、経験なんて一発で全て奪われることもある。イリアはその一発の破壊力を持ってるし、俺もその一発を磨いてきた。だから、経験は経験でしかない。この試合は世界タイトルマッチだ。彼は勝つべき試合に勝ってきたし、俺も勝つべき試合に勝ってここにいる。そして、俺たちは戦う。それだけのことさ」
──この試合はハワイやMMAにとってどんな意味を持つでしょうか。
「すごく大きな意味を持つよ。俺が再び王座に返り咲いて、ハワイに戻ることができる。しかも15ポンド重くなって、肩には素晴らしいゴールドのベルトを掛けてね。最高だよ」
──今回の試合に勝てば、自動的にイスラム・マカチェフとのライト級タイトルマッチが約束されることになります。ハビブ・ヌルマゴメドフとの対戦が実現しなかったことを考えると、ワクワクするのでは?
「いや、もしあなたがUFCの社員なら話は別だけど、俺はその話を聞いたことがないよ。だけど、もし本当にライト級タイトルマッチに直行できるなら最高のニュースだね。ずっと言ってきた通り、ハビブ戦が実現しなかったのは残念だったけど、イスラムは『ハビブ2.0』と呼ばれてるし、彼は俺との試合に前向きだと思う。以前はあまり興味を持ってなかったかもしれないけど、今はその気になってるみたいだしね。とはいえ、まずはイリアとの試合が最優先だ」
──これまでUFC世界フェザー級暫定王座、UFC世界フェザー級王座、BMFライト級王座とタイトルを獲得してきた、あなたのモチベーションは?
「次の試合がいつだって一番の試合なんだ。それが俺のモチベーションを保ってる理由さ。それに、次世代のモチベーションになることも俺を突き動かしてる。今、ハワイではいろいろ大変なことが起きてるけど、みんなに希望が必要なんだ。俺がその小さな希望や光を与えられる存在でありたいと思ってるよ」
──ファイターとしてどのように記憶されたい?
「正直、ファイターとしてじゃなくて、ただ『素晴らしい人』として記憶されたい。それだけなんだ。戦いのことじゃなく、みんなに『彼は人格者だった』と思ってもらえたらそれでいい。UFCのスタッフやみんなが俺のことを話す時、『彼は素敵な人だったよ』って言ってくれるようにね。記録や成績も大事だけど、俺にとっては、どうやって他の人を扱うか、その方がずっと大切なんだ。だから、もし君たちが『マックスはいい人だった、インタビューの時や話をする時、いつも素晴らしかった』って思ってくれるなら、それだけで俺は十分だよ」
──ゲイジーとのBMFタイトルマッチは。そのベルトに本物の価値を与えたのだと思います。あと、もう1人の“BMF”だと思うのがダン・イゲです。彼は4時間でロペスと戦うことを決めましたが、ハワイアン同士のBMF戦についてはどう思いますか。
「それは最高だろうな。2人のハワイアンが頂点に立つなんて、まさに頂点での戦いだ。2人の戦士が戦うのはクールだよ。もしそれがハワイで実現できたら、さらに最高だけど、まあそれはたぶん難しいだろうな。ハワイでの問題は、UFCの問題じゃなくて、ハワイ側の問題なんだよ。俺がベルトを持ってた時にも、ハワイでのイベントをやろうとしたけど、結局うまくいかなかった。何が問題なのかは分からないけど、ハワイの事情だよ。でも、次に大きなチャンスがあるとしたら、たぶんベガスだろうな。ハワイアン同士のBMF戦なんて、これ以上ピッタリなものはないよ。面白いだろう」