ペーニャ「TUF前のソルトレイクシティ大会でサウナで倒れて判定負けした。あの試合で戦ったことが自信になった」
──タイトルマッチに向けたキャンプは順調だった?
「キャンプは素晴らしかったわ。この18カ月間、この試合のことをずっと考えてきた気がする。今は少し現実感がないというか、実際にこの時が来たのが信じられない気持ちもあるわね。本当に現実なのかって感じることもあるけど、嬉しいし、モチベーションも高いし、興奮してるわ。準備は万全よ。
私にとって準備で一番重要なのは対戦相手じゃなくて、常に自分自身。自分の身体が健康で、試合を乗り越えられる状態かどうかを確認することが一番大事だからね。試合に向かうための戦いで、他のことは関係ない。ただ、自分の身体が試合に耐えられるかどうか、それが最も重要なことなの」
──あなたたちのストーリーは『The Ultimate Fighter 18』から続いていますが、ラケル・ペニントンが王者になると思っていましたか。
「正直に言うと、これは彼女に対して攻撃的な意味では全くないんだけど、私はラケルのことや彼女の試合、彼女が何をしているかについて考えたことはなかったの。彼女のキャリアの進み方や成長についても気にしたことはないわ。私の焦点は常に自分自身に向けていて、私ができることに集中しているのよ。
彼女がチャンピオンになるとは思ってなかったわ。でも、彼女がこのチャンスを得たのは間違いないし、ベルトを手に入れるために必要なことを全てやり遂げたのも事実よ。ただ、私にとっては、彼女が暫定王者のために戦っているように感じてたの。それは私がアマンダとの試合に出られなかったから(2023年6月の『UFC289』でペーニャは肋骨骨折で欠場)。それに付け加えるなら、その状況は完全に私の責任よ。アマンダとの試合ができなかったのは私のせいだし、彼女が暫定王座をかけて戦うことになったのも私の責任。だから、唯一責められるのは私自身ね」
──ラケルは「ジュリアナが私との試合の契約書にサインするのをずっと避けている」といくつかのインタビューで言ってるけど、オファーはあった?
「いいえ、それが意味不明なところなのよ。私たちは一度も試合を組まれたことがないし、彼女と戦うように言われたことも一度もないの。『The Ultimate Fighter 18』で優勝して以来、私は常に前を向いてきたの。後ろを振り返ることはなく、ずっと上を目指してきた。だから、下のランクのファイターのことはあまり気にしてなかったわ」
──「ジュリアナがまた欠場するかもしれないからケイラ・ ハリソンと戦う準備もしている」と言っていた。これはリップサービスだと思う?
「この発言に笑っちゃったのは、確かに私はいつも怪我をするからよ。だから、彼女がそう思うのも当然ね。でも試合当日には、彼女自身の考えが間違っていたと気付くことになるわ」
──ベラル・ ムハメド(UFC世界ウェルター級王者)がタイトルマッチ挑戦を前に「シカゴのスポーツは良い状況じゃないから、自分が王者になって活気づけたい」と言っていました。あなたがシカゴに2つ目のタイトルを持ち帰る可能性について、どう考えていますか。
「私も同じ希望を持っていたわ。初めて王者になった時、シカゴにベルトを持ち帰って、シカゴのスポーツシーンを盛り上げたかったの。だから、彼がチャンピオンになったのを見て、その希望が再び実現する可能性があることは嬉しいわね」
──あなたは今回のイベントに出ている選手の中で、ユタで試合をした経験がある数少ないファイターの一人です。ユタ州オレムでTUFに出る前に戦ったことがありますが(2013年2月『Showdown Fights 10』でディアナ・ベネットに判定負け)、ソルトレイクシティの標高で試合を経験していることは、他の選手に対してアドバンテージになると思いますか。
「そうね、その経験が私に自信を与えてくれる部分ではあるわ。その時期を振り返ってみると、その大会の前の大会のときに私は歩道を歩いていて車に轢かれたの。その後、数カ月もしないうちに、(『Conquest of the Cage 11』で)『メインイベントが欠場になったから、急遽出てくれ』と言われたの。それまでに、鼻を砕かれて大きな傷ができたし、車に轢かれたことで首や背中もひどく傷めていたけど、短期間で試合に出たのよ。結果は、友人や家族の前で腕十字で負けてしまって、初めての敗北で本当に悔しかったわ。すごく恥ずかしかったし、このスポーツから身を引こうとしたの。でも、その時、『2週間後に試合がある』と連絡が来たの。
『Showdown Fights 10』の時、私は153ポンド(約69kg)くらいあって、ソルトレイクシティで125ポンド(約57kg)級に出なきゃいけなかったの。結局、体重を127ポンド(約58kg)までしか落とせなくて、キャリアで初めて、そして最後の体重超過だったわ。試合前にサウナで気を失って、インストラクターが私の首根っこをつかんで引きずり出したんだけど、もう死んだと思われてたの。
その後も点滴をもらえなくて、水分補給もできなかった。手が痙攣して、最終的に地元の選手(ベネット)に判定で負けたの。でも、2週間の準備期間でソルトレイクシティで戦えたことは、すごく自信になったわ。ほとんど何もしてない状態で、あの環境で判定まで持ち込めたんだからね。どっちが勝ってもおかしくない試合だったと思うし、私にとっては自信を持つための要素の一つになってるわ」
──その大変な経緯を考えると、今回の試合で過去を乗り越えたいという気持ちもありますか。
「もちろんよ。自分自身に与えた宿題の一つが、『あの時は上手くいかなかったけど、今回は違う結果を出す』ってことなの」
──今回の試合が「キャリアで最も重要な試合」だと言っていましたが、それが準備やトレーニングにも影響しましたか。
「決まり文句みたいに聞こえるかもしれないけど、私が戦う毎試合が『人生で一番大事な試合』なの。ただ、もう若くないから(35歳)、特にそう感じているわ。でも、それに伴って経験や知恵も増えてきてる。
毎試合が重要だけど、特に今回の試合はそうね。もう一度王座を狙ってるから。ベルトを賭けた試合に何度も挑戦できるわけじゃない。長い間『ベルトが欲しい』って言い続けて、ようやくこの場に立てた。だから今はベルトを奪って、それを守り続けるために、常にタイトルマッチに出続けることが目標なの。だから、この試合は私にとって本当に大きなものだし、ベルトを巻くむためにできる限りのことをするわ」
──ペニントン選手は、「最終的に勝敗を分けるのは、どちらがこのタイトルをより強く望んでいるか」と言っていましたが、あなたの方が彼女よりこの勝利を強く望んでいる自信はありますか。
「私たちを並べて比べてみれば、はっきりするわ。ラケルは王者として、女子バンタム級をうまく代表できていない。彼女はプロモーションをせず、『UFC Embedded』も断って、女子MMAの顔になることを避けてきた。王者として、試合を宣伝しようとする姿勢が全く見られない。
彼女が自分の戦いを広めようとしていない時点で、それが全てを物語ってるのよ。私は女子MMAの顔になりたいし、私にはその役割をもっと上手くこなす自信があるわ。だからこそ、ベルトを強く望んでいるし、戴冠できると思ってるの」
──コーチのウェイン・グレゴリー(※ルンピニースタジアムで勝利した最初のアメリカ人、プロボクサー、ムエタイファイター、トレーナー)は、どんな存在?
「もしYouTubeでウェインの名前を調べたら、たくさんのノックアウトや試合を見られるわ。彼は5歳の時に戦い方やボクシングを学び、自分のキャリアを築いてきたの。彼の経験は私に大きな影響を与えてきたし、彼の助けなしでは今の私はいないわ。彼は自分のキャリアを持ちながら、私のトレーニングやメンタル面での成長をサポートしてくれていて、常に私に正しい道を示してくれるの。本当に素晴らしいコーチで、彼のおかげで今、タイトル戦に挑む自信を持ててるの。
それに、マイク・バレリやルイス・クラウディオといった他のコーチたちも含めて、私は本当に最高のチームに囲まれていると感じているの。彼らはそれぞれの分野の専門家で、柔術、MMA、ボクシング、ムエタイに関して言えば、私が最高のサポートを受けられているわ。彼らが私のために舞台を整えてくれて、私がただ試合に集中して自分の仕事をするだけでいいようにしてくれている」
──ラケル戦に集中しているとは思いますが、同じ大会でケイラ・ハリソンというビッグネームも出場します。ケイラとの試合が実現する可能性や、そのプロモーションについて楽しみにしている部分はありますか。
「『ラケル戦に集中しているとは思うけど』と言ってくれた質問の仕方が好きよ。今の私の仕事は、目の前にいるラケルに集中すること。ケイラは後ろの方にいるのよ。ケイラには彼女の仕事があって、私には私の仕事がある。ラケルに勝ったら、その後にケイラについて話すことができるけど、今は私とラケル・ペニントンのことだけに集中しているわ」
──長い間待ち望んでいたタイトルマッチですが、どんな展開を想像していますか。
「勝者コールで私の手が上がる瞬間しか想像していないわ。自信があるし、ケージの扉が閉まったら、私ほどのマインドセット、決意、意志、そして根性を持っているファイターはいないと思ってる。それが私を勝利に導いてくれると信じている」