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インタビュー

【UFC】王者ペニントン「正直今が本当のピークだと感じてる」×元王者にして挑戦者ペーニャ「私ほどのマインドセット、決意、意志、根性を持っているファイターはいない」

2024/10/04 22:10
【UFC】王者ペニントン「正直今が本当のピークだと感じてる」×元王者にして挑戦者ペーニャ「私ほどのマインドセット、決意、意志、根性を持っているファイターはいない」

(C)Zuffa LLC/UFC

 2024年10月6日(日本時間7日)に米国ソルトレイクシティのデルタセンターにて『UFC 307: Pereira vs. Rountree』(U-NEXT配信)が開催される。

▼UFC世界女子バンタム級選手権試合 5分5R
ラケル・ペニントン(米国)王者 16勝8敗(UFC13勝5敗)1KO/TKO 4SUB ※UFC6連勝中
ジュリアナ・ペーニャ(米国)挑戦者 11勝5敗(UFC7勝3敗)3KO/TKO 5SUB

 コメインでは「UFC世界女子バンタム級選手権試合」(5分5R)として、王者のラケル・ペニントン(米国)に、元王者で同級1位のジュリアナ・ペーニャ(米国)がに挑戦する。

 ペニントンは、2024年1月に、アマンダ・ヌネスが返上したベルトの王座決定戦でマイラ・ブエノ・シウバに判定勝ちして王座獲得。MMA16勝8敗で6連勝中。

 対するペーニャは、王者ヌネスから唯一、一本勝ちで王座を奪取し「UFC史上最大の番狂わせの一つ」を成し遂げたバンタム級元王者。2022年7月のダイレクトリマッチではヌネスに判定負けで王座陥落。2年2カ月ぶりの再起戦となる。MMA11勝5敗。

 ペニントンが初防衛成功なるか、ペーニャが王座返り咲きなるか。

 試合前メディア向けインタビューでの両者との一問一答は以下の通りだ。

ペニントン「『TUF18』ではブローラーに分類された。今ではより洗練されたMMAファイターだと感じている」

──初めてUFC王者として迎えるファイトウィークは、いつもと違いますか。

「私の場合、前回のキャンプで本当にギアを一段階上げた感じだったんだけど、試合前に体調を崩してしまって、ゲームプランも全部ダメになった。でも、最終目標はどんな形でもいいから世界タイトルを獲得することだったから、それを成し遂げられた。

 今回のキャンプは正直、久しぶりにすごく楽しめたキャンプだった。これまでとは違った視点でいろいろなことを考えたり、新鮮な気持ちになれたわ。14年間のハードワークをしっかり受け入れて、自分らしさを手に入れることができた。自分がコントロールできるのは、自分自身だけ。だから一番大事だったのは、『自分自身にどう勝つか』を考えることだった。それが本当に楽しかったし、自分自身を深く分析して、本当にギアを変えた感じがしたわ。だから、今回、確かにいつもと違うキャンプになった」

──今回の試合は、2013年の『The Ultimate Fighter 18』からの因縁になりますが、この試合はあなたにとって個人的なもの? それとも周りが騒ぎすぎているだけでしょうか。

「周りは確かにいろいろ騒いでいるけど、これは間違いなく歴史に残る試合だと思うわ。最初、ダナは私たちが決勝で対戦すると思っていたみたい。でも彼女(ペーニャ)がシーズンを勝ち取って、私はファイト・オブ・ザ・シーズンを獲得した(vs.ジェサミン・デューク)。でもその試合で私は手を骨折したり、前腕に裂傷を負ったりしたわ。だから、結局私は準決勝で敗れて、彼女と試合ができなかった。11年後に私たちのストーリーがここで辿り着いたの。長い間この試合を望んでいたけど、ようやく実現したわ。だから言うまでもなく、この試合にはすごくワクワクしてる。彼女に対しては確かに敵対心があるわ。彼女は私の神経を逆なでする存在ね。ジュリアナを(TUF)ハウスに入る前は知らなかったんだけど、すぐに彼女の性格を知ってしまった。それ以来、ずっと臨戦態勢よ」

──以前、「ジュリアナが契約書にサインするのをずっと待っていた」と言っていたけど、この試合は実際に組まれたことがあったのでしょうか。彼女は、「ラケルとの試合は一度もオファーされなかった」と言っていました。

「何度も試合をリクエストしてきた。真実かどうかは分からないけど、周りの人は『ジュリアナはあなたと戦いたがっていない』と言ってたわ。でも、ジュリアナのことだから、100%違うことを言うだろうけどね。私は何年もこの試合を望んできたけど、なぜか実現しなかっただけ。それが現実よ」

──プロモーションをしないあなたは女子バンタム級の代表としてふさわしくない、とジュリアナは言っていましたが、その発言については?

「みんなジュリアナが『おしゃべり学』の修士号を持ってることは知ってるでしょ。彼女はただ喋って、そうやって自分を目立たせてるだけ。で、私が『UFC Embedded』を断ったって、どうやってそんなこと知ってるのかしら? 私が何をしてるかなんて、彼女が知るはずないのにね。まあ、彼女はただ喋ってるだけよ。でも、私はいつも私自身でいるだけ。自分に正直でいるの。わざわざ余計なことをして、くだらない口喧嘩をする必要は感じないわ。

 この14年間、ただ自分の道を歩んで、ここまでたどり着いたの。私以上のことを成し遂げていない彼女が、私を批判するなんて笑える。彼女は大番狂わせで勝ったけど、その後5ラウンドでボコボコにされたじゃない。あれでどうやってこの階級を代表するつもりかしら? でも一つ言えるのは、私は王座にしっかりと居続けるってこと。ベルトは絶対に守るわ」

──この試合で勝てばアマンダ・ヌネスの女子バンタム級最多勝利に並びます。

「正直に言うと、14年前にこのキャリアをスタートした時、こんなに続けるとは思ってなかったわ。スポーツ医学がここまで進歩するとは思っていなかったし、ある程度の年齢に達したら、特にアスリートとしては引退を考えると思ってた。35歳になると、年齢的にもかなり高いって感じるわよね。それに、身体に負担をかけ続けることにもなる。でも、スポーツ医学が本当に大きく変わってきたから、正直今が本当のピークだと感じてるの。昔は“31歳か32歳まで戦おう”って思ってたけど、戦っていると時が経つのはあっという間なの。気づいたら1年の半分が終わってるなんてこともよくあるわ。だから、ここまで続くとは思ってなかったけど、戦い続けてきた。今は本当にピークにいるし、すべてのピースが揃ってきた感じがして、すごくワクワクしてるわ」

──ジュリアナも、彼女のコーチも「パワーでは自分たちに分がある」と言っていました。試合の展開はどう考えていますか。

「私たちは『TUFシーズン18』の最後の2人で、ここに長く居続けてる。ダナは何年も前から、『もっとパンチを出せ』って毎試合言ってくるの。色々な人に『お前のパワーはすごい』って言われてきた。私は女性とトレーニングすると相手を苛々させてしまうことが多いから、男性とトレーニングすることが多いの。私のパンチには切れがあるし、どんな状況でも勝てるスキルがあると確信してるわ。

『The Ultimate Fighter 18』に出た時は、私は“ブローラー”って分類されてたけど、今では自分が総合的なMMAファイターだと感じてる。柔術も強いし、レスリングも得意よ。コーチたちはいつも『レスリングの試合に出たい?』って聞いてくるくらいよ。彼女のコーチが何を言おうと、彼女が何を言おうと関係ない。私はこの試合に向けて、より洗練されたファイターだと感じてるわ」

──今回の大会はアンダーカードでケイラ・ハリソンが出場する。彼女は「ケトレン・ ヴィエラに勝ったら、この試合の勝者と戦う」と言っていた。それに加えて、さっき「私ならケトリン、ジュリアナ、あなたの3人を同じ夜に倒せる」とも言っていた。王者として、こういう大物の相手が現れるのは嬉しい?

「彼女は自分がやるべきことをしているだけよ。自分を売り込んで、盛り上げて、自分自身の一番のサポーターになってるわ。でも、正直、少し落ち着いたほうがいいと思う。今、彼女はたくさんの才能が集まるUFCという大舞台にいるんだから。彼女の発言は、この階級を軽視してる気がするけど、彼女もいずれ謙虚になる時が来る。

 まあ、それでもすごいことだと思うわ。まるでホーリー・ホルムがやってきた時のようね。彼女も大きな期待を背負ってきたけど、ケイラはその新しい時代のホリー・ホルムみたいに、大きな期待を背負ってる。でも結局、彼女もただの一人の女性に過ぎない。それに、今のところみんなが対戦相手のケトレンを過小評価してるわ。彼女たちは素晴らしい戦いを見せてくれると思うし、この試合が次の挑戦者決定戦になると思ってるわ」

──ソルトレイクシティでの参戦は、隣りのコロラドからできるだけ多くの家族が参加できるようにという意図があって選んだものなのでしょうか。

「違うの、これはオファーされた場所だっただけで、私はどこで戦うとか、試合を断るようなタイプじゃないの。これまでこのスポーツで世界中を回ってきたし、たまたまソルトレイクシティでの試合になっただけ。でも、ここに来た時、ホッケーの試合を観戦したり、メディア対応をして、ここのファンが本当に素晴らしいことに気づいたの。だから、会場の雰囲気がとても楽しみよ。しかも、家族が来やすい場所になったのは偶然の幸運ね。(パートナーの)ティーシャの家族も来るし、親しい友人たちもみんな来るの。これ以上ないくらい完璧な状況だわ」

──あなたのパンチ、特にジャブにキレがあると言われますが、自然に備わったものでしょうか。それとも天性のものでしょうか。

「私がこのスポーツを始めた時、バスケットボールやバレーボール、ソフトボール、体操なんかをやってたけど、格闘技は全くやってなかった。戦うのは好きじゃなかったし、育ってきた環境も戦いとは無縁だった。唯一戦った相手は、うるさいいとこで、私たちは“チップとデール”って呼ばれてたわ(※ディズニーのシマリスのキャラクター)。5カ月違いで生まれたんだけど、いつも私が勝ってた。でも、その時のテクニックは、正直言ってひどかったと思うわ。

 最初の格闘技のトレーニングに行った時、コーチに会って『明日から練習だよ』って言われて、次の日に靴下を履いたままマットに立ってたの。そしたら『靴下は脱がないとダメだ』って言われてね。それで手首にバンデージを巻かれたんだけど、何をしているのか全然わからなかったの。コーチが『今日はスパーリングだ』って言って、私は『それって何?』って感じで、まるで狼の群れに放り込まれたみたいだった。でも、そこからこのスポーツに夢中になったの。

 だから、キレのあるパンチは、私にとって自然に身についたものだと思う。もともとアスリートとしての能力があって、それを長年かけて磨いてきた結果だと思うわ。本当に、自分がこの世界で最高のジャブを持ってると感じてるのよ。もちろん、時間をかけてトレーニングすれば、そういうスキルを身につけられる人もいるけど、稀に、生まれつきその能力を持っている人もいるのよ」

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