2024年10月5日(土)エディオンアリーナ大阪『K-1 WORLD GP 2024』にて、「K-1 WORLD GP 2024 無差別級アジア予選」で“エロジマン”ことエロール・ジマーマン(オランダ/キュラソー/Hemmers Gym)と対戦する“最強の侵略者”山口翔大(GENESIS)の、12月のK-1WGP決勝進出へ向けてのインタビューが主催者を通じて届いた。
山口は、空手で数々のタイトルを獲得し、22年9月にKrushへ参戦して木村太地から判定勝ち。12月にK-1のリングで佐野勇海をKOすると、23年4月にKrushでANIMAL☆KOJIから判定勝利を収めた。12月には星龍之介をKOで下し、24年7月のホーストカップで入田和樹から判定勝ちを収めて負けなしの7連勝となっている。
ジマーマンは対戦相手の腕の骨や頭蓋骨を骨折させたことから、“ボーンクラッシャー”のニックネームがつくも、日本では本名を短くして“エロジマン”の愛称で親しまれてきた。旧K-1の2008年では極真王者のエヴェルトン・テイシェイラから勝利。12年にはGLORY王者のリコ・ヴァーホーベンをKO。14年ぶりにK-1へ参戦した24年6月の「K-1 FIGHTING NETWORK ROMANIA 2024」ではギリシャのマイク・カラマスケタスを1RKOで破り、その強さを証明した。
日本人3選手が揃って決勝へ進みたい
――今回、K-1決勝トーナメントへ向けてのアジア予選となります。空手でチャンピオンとなりK-1の舞台で戦っていますが、ご自身では次の章という感じなのでしょうか。
「自分の中ではゴールを決めていなくて、すべて通過点だと思っています。なので、今はキック・K-1編に入っている感じですね」
――空手はパンチでの顔面攻撃はないですが、K-1はあります。そこの違いは感じますか?
「顔面有り無しはあまり関係ないと思っていまして、試合時間ですね。空手は本戦3分で勝負がつくことはありますが、K-1だと基本は3分3ラウンドなので1ラウンドにダウンを奪われても続きます。K-1ルールだと負けていても挽回できますし、逆もしかりですね。そこに違いを感じているだけなので、普段は空手の稽古も同じようにやっています」
――K-1用の練習だけではなく空手もやっていると。
「ほとんど空手ですね。ビッグミット打ちで追い込んだり、それがベースです」
――空手出身の選手だと与座優貴選手が、バンデージを巻かないで試合をするとアジャストしやすいと明かしていました。
「僕も、それはありますね。ガチガチに拳や手首を固めてしまうと手がパンパンになってしまうので、グローブが落ちない程度に弛めに調整してもらっています。手首が自由になってくるとスナップを利かせてパンチを打てるのと、あとはブロッキングも固めていない方が使いやすいですね」
――会見でも話していましたが、K-1WGPへの思い入れがあるようですね。
「自分は5歳から空手をやっていましたが、ずっと稽古なのでテレビも何も見れなくて。でも父親がプロ野球だと阪神タイガースと格闘技が大好きなので、稽古が終わって家に戻ってくると野球は終わって見れなかったんですけど、K-1の大会をテレビで見たり観戦に連れて行ってもらった記憶があります」
――どんな大会か覚えていますか?
「K-1の大阪での大会でしたが、あまり内容は覚えていないんですけど、勝った選手が戻ってくる花道に近い席でした。3回くらい観戦して誰の試合とかは記憶にないですが、フランシスコ・フィリォ選手やグラウべ・フェイトーザ選手、もちろんアンディ・フグ選手も好きでした。僕が空手をやっていたこともありますが、極真のマークが入っていたりとか、空手着での入場もありましたので、好きになりました」
――極真カラテに特別な想いがあるんですね。
「はい。自分が極真カラテをやらなかったのは、憧れは倒して超えるものだと思っていたからです」
――なるほど、それはK-1に対しても同じ思いがあると。
「自分が所属していた白蓮会館は、尊敬する南豪宏師範が“最強の侵略者”と呼ばれて活躍されていました。自分は南師範の直弟子として、自分の中では勝手に続編を紡いでいる感じです。白蓮会館は、他流試合に乗り込む侵略の歴史と、自流大会の王座を死守してきた二つの歴史の側面があります。今回は、旧K-1と新生K-1の対抗戦だと思っています」
――つねに挑戦者が美学なのですね。山口選手の体重はクルーザー級くらいだと思いますが、なぜ無差別級の試合を受けたのですか?
「空手時代は体重無差別級ですし、Krushの宮田(充)プロデューサーから出てほしいと言われれば、そこは“押忍”の世界なので」
【写真】重量級の胴廻し回転蹴りは迫力十分――迷いはなかった?
「今年の夏頃に話をいただいて、正直迷いました。僕はクルーザー級で無敗のままチャンピオンになることを目標にしていたので、それが無差別級になると未知数になります。でも最初にクルーザー級とって、無差別級にと思っていましたが逆になってもいいかなと思っています」
――無差別級へのチャレンジですね。
「僕は無差別級だと、新極真会の第12回世界大会に挑戦させていただいて結果を残せなかったので、その時のリベンジだと思っています。競技こそ違いますが、対世界で考えると」
――そんなテーマもあるんですね。練習は空手の稽古が中心ですか。
「それと3Kジムに練習へ行かせていただいていますので、そこでレベルを上げています」
――アジア予選に出場する日本人3選手を中心に合同稽古を行いましたが、あれは空手時代の日本代表という感覚と同じですか?
「谷川聖哉選手からの呼び掛けで実現しましたが、空手とは少し違いますね。空手だと合宿とかで同じ釜の飯を食って対戦相手の研究を一緒にしたりとかありましたが、スパーリングが中心でした」
――アジア予選を勝つと決勝トーナメント進出が決まります。そこへの思いも聞かせてください。
「12月の決勝トーナメントは、決勝戦で日本人対決をすることが理想だと思っています。ヘビー級WGPは来年海外でやるかもしれないという噂も聞いていますので、それは日本人が勝てないからだと思うんです。でも日本人が決勝で争えば展開も変わってくると思いますし、それこそ僕と同じようにヘビー級の試合を空手をやっている子どもたちが見れば、そこを目指してくれるかもしれない。そのためにもアジア予選を勝ち抜いて、日本人3選手が揃って決勝へ進みたいです」
――今回の相手はエロール・ジマーマン選手に決まりましたが、相手の印象を教えてください。
「10代の頃、テイシェイラ選手やグラウべ選手がジマーマン選手に負けている姿をテレビで見たことを覚えています」
――“エロジマン”と呼ばれています。
「エロジマンだか、のど自慢だか知りませんけど、新生K-1をなめんなよと思っています」
――最後に地元・大阪で試合をすることについて意気込みをお願いします。
「大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)といえば、西の空手の聖地。山口翔大と言えば、ここやと思うので、この場所で負けることはないですね」
――K-1だと大阪は過去2回、すべて勝利していますね。
「それもそうですし、JFKO全日本大会、白蓮会館の全日本大会、極真連合会の全日本大会、正道会館の全日本大会、すべて節目となる大きい大会で優勝しています。ここで負けることはないです」