キックボクシング
レポート

【DEEP☆KICK】4人の新王者が誕生!啓斗が佑典をTKO「Krush・K-1のベルトを狙っていきたい」、上村雄音「RISEに行って活躍したい」、中嶋愛樹斗「次はRISEで強い選手たちを倒していきたい」、KING陸斗「RISEで1番になりたい」

2024/09/11 22:09
DEEP☆KICK 712024年9月8日(日)テクスピア大阪  今大会では-51kg/-53kg/-55kg/-57.5kgの4階級におけるベルトを懸けた戦い、4大タイトルマッチを開催。その前に行われたプロ本戦4試合では内3試合がKO決着という激戦の連続で大会に確かな勢いをつけると、4大タイトルマッチ4試合ではその全てがハイレベルな内容となり、-51kgではKING陸斗、-55kgでは中嶋愛樹斗、-53kgでは上村雄音、-57.5kgでは啓斗という4人の新王者が誕生した。  続々と新王者、そして更に上へと羽ばたいていく選手たちが誕生していくDEEP☆KICK、次回大会は10月27日(日)豊中市・176BOXにて『DEEP☆KICK ZERO 16/17』の開催が決定している。 ▼ダブルメインイベント2 DEEP☆KICK-57.5kg王座決定トーナメント決勝 3分3R延長1R〇啓斗(ALL-WIN GYM)TKO 3R 0分34秒 ※レフェリーストップ×佑典(月心会チーム侍)※啓斗が-57.5kg第4代王座に就く。  4大タイトルマッチの締め、大トリを務めるのは6月より始まった「DEEP☆KICK-57.5kg王座決定トーナメント」の決勝戦。準決勝を共に逆転KO勝利で勝ち上がってきた同士、勝利全てをKO勝利で奪い取っている啓斗と、打ち合い上等のベテランファイター佑典が激突。両者は共にKrushを主戦場に戦うK-1ファイターであり、DEEP☆KICK-57.5kg第4代王者決定戦はK-1ファイター対決という構図となった。  試合は1R、リング中央に陣取る啓斗とサウスポーの構えからリングを周る佑典となると、互いにローで前足を削りながら踏み込むタイミングを計り合う。その中で啓斗はジャブを突きながらストレートへのつなぎを、佑典は右フックにミドル・ジャブを放ちながらこちらも好機を狙っている印象。するとラウンド後半、佑典は左ストレートや右フックを度々ヒットさせていく、啓斗も左右のフックにボディと放っていくが佑典の堅いガードは崩せないか、1Rは佑典がやや優勢か。  2R、早々に試合が動く。開始早々ジャブ・左フックにストレートで1Rより強く圧をかけていく啓斗、佑典はやや下がらされるも冷静に対処しながら細かくパンチを返していく。その最中、佑典のカウンターの左ストレートが啓斗にヒットしダウン、佑典がファーストダウンを獲得する。啓斗はすぐに立ちあがり笑みを見せると再開後すぐに再び圧をかけていき左右のフックにストレートで挽回を放っていく。  対して佑典も冷静にガードを固めながら左ストレートを中心にパンチを返していく。啓斗はダウンのダメージが度々見えるも根性がある、決して倒れずに前に出るもダウンを獲り返すには至らずラウンド終了、2R終了時点でのオープンスコアは2名が17-20、1名が18-20と3者共に佑典を支持。  3R、勝利するにはKO勝利しかない啓斗はワンツーにフックで逆転の一撃を狙っていく。しかし佑典はここでも冷静だ、ガードを堅く固めながら右フックにヒザ・ストレートと返していき、確かな安定感を見せる。このまま佑典の判定勝利かと思われたその時だった、啓斗が佑典をコーナー付近に詰めてから放ったワンツーがクリーンヒット、佑典がリングに倒れこむとレフェリーは佑典が失神していることを確認し即座に試合終了を宣告、  啓斗が逆転の一撃失神KO勝利という劇的かつインパクト抜群の勝利でDEEP☆KICK-57.5kg第4代王者戴冠を成し遂げた。  実行委員の1人がボソッと漏らした一言「こんなことあるんだ」この言葉が全てを物語っているだろう。感情を爆発させる啓斗、DEEP☆KICKベルトを腰に巻くと最高の笑顔を応援団に向けた。  試合後、啓斗は「最初はベルトは見てないとか色々言いましたが、やっぱり手にすると嬉しいですね。いつもお世話になっている周りの人たちが喜んでくれているのが何より一番嬉しいです」と屈託のない笑顔で話すと「佑典くんとやるのは、シンプルに普段からお世話になった先輩だったので嫌には嫌でした。で、戦ってみても「やっぱうまいなぁ」って、しっかり対策されててうまいことやられてるなって感じました、倒された時も『だるっ!』って感じで、3Rは倒すしかないって思ってたんですがセコンドから冷静に行けって言われて、3R目は逆に冷静に戦えました、  そのおかげでコンパクトにワンツーも打てて最後のストレートに繋げられたんだと思います」と語った。そして今後の展望については「K-1ファイターに憧れてK-1の世界に飛び込んだので、Krush・K-1のベルトを狙っていきたい、何よりやっぱりKOってのが一番おもろいと思うし、僕の勝利は全てKO、なのでこれからもKOを重ねていきたいです、最後に僕の試合、おもろかったでしょ!」と最後まで笑顔でベルトを握りながら語った。 [nextpage] ▼ダブルメインイベント1 DEEP☆KICK-53kgタイトルマッチ 3分3R×KING剛(ROYAL KINGS)判定0-3 ※27-30×3○上村雄音(BKジム)※上村が-53kg第6代王座に就く。  今年3月にDEEP☆KICK-53kg第5代王者に輝いたKING剛の初防衛戦、挑戦者としてベルトに挑むは同級2位の上村雄音。両者は昨年3月に対戦経験があり、その際は判定の割れる激戦になるも2-1で上村が勝利を収めており今回が2度目の対戦となる。しかし前戦にこれといった差はなく、両選手共に「次こそは完全に決着をつける」と試合前に話している通り、今試合に懸ける思いは強そうだ。  果たして1R、剛は相変わらずどんどんと前に圧をかけていき右フックにローで打ち出る。対する上村はサウスポーから前蹴りにミドルで距離を獲ると近い距離ではストレートにフック・アッパーと打ち分ける。ヒットなどお構いなしに前進してくる剛にやや上村はやりずらさがあるだろうか、ラウンド中盤より近い距離でのヒザが好機と見るや、ヒザでボディを中心に上村は攻めていく。それでも前に出る剛は左右のフックにバックハンドブローを放つと、上村もボディの攻撃に加え左右のフックで打ち合いに応じる。  続く2R、遠い距離での右前蹴りに右ハイキックをヒットさせる上村、しかし剛はお構いなしでさらに圧をかけていくと、再び近い距離での打ち合いに持ち込みストレートに右フックを返す。近い距離での打ち合いは剛に分があるかと思われたが1Rより放っている上村のヒザが印象的だ、打ち合いは互角も都度放たれるヒザにて僅かに上村が優勢の印象を受ける。2R終了時点でのオープンスコアは3名共に19-20で上村が支持される。  3R、ここで逆転を狙いたい剛は怒涛のラッシュで前に前にと圧をかけていく。上村もヒザ・前蹴りを入れながら打ち合いに応じていくがラウンド早々にバッティングにて上村が右瞼の上から出血、一時試合がストップする。再開後は両者共にギアを更に上げ近い距離で打ち合う、中で上村はストレートにフック、ヒザを放つと剛も決して止まることなくパンチの連打を繰り出していく。その構図はラウンド終盤まで続き、残り時間10秒のコールが鳴り響き試合は判定決着かと思われた直後、上村の右フックが剛にクリーンヒット、剛がヒザを折ったところでダウンが宣告される。これが決定打となり、判定は3者共に27-30で上村を支持、1年半ぶりの再戦は再び上村が勝利を収め、DEEP☆KICK-53kg第6代王者に輝いた。  手を上げ歓喜の声を上げる上村。試合後、上村は「目標やったDEEP☆KICKのベルトが取れて、嬉しいとか感情の高ぶりというよりは、まずは一安心、ホッとした感じです、以前2度ベルトに挑戦してその時は気負いとか取らなアカンみたいなのが強かったんですが、今回はそういうのが全くなくて3回目はいつも通り戦えました」と話すと剛との再戦について「相手よりも自分の蹴りとか、パンチの精度を上げることだけ意識して練習してて、ヒザも作戦でこれも当たるよみたいなやつの一個でした。セコンドからヒザ入るぞっていうのが聞こえたんで、それに反応してヒザ打って『ああ、ちょっと効いてるな』っていうのもあったんで、結構打っていったって感じですね。  今回はやっぱり倒したいってのが大きくて、前回も2-1やったし、完全決着したかったので、なのでバッティングで止められた時は『うわぁ』って、どうしても倒しに行きたいって気持ちでした、なので最後ダウンは取れたけど正直な気持ちは倒しきりたかったが本音ですね。あの打たれ強い剛選手を倒してこそ一つ階段を登れると思ってたので、でもやっぱり剛選手も王者として一回も下がらなかったし、覚悟を持って前に出てきてるのも分かってたし、その辺はやっぱり尊敬します、リスペクトを持って戦えたことは嬉しかったです」と語った。  次なる舞台については「やっぱりRISEに行って活躍したいです、今回ベルトを獲るっていう一つの通過点を通って階段を上れた気がするので、もっともっと強くなって上を目指したいですね」と語った。  同日、横浜で行われた「RUF presents RISE WORLD SERIES 2024 YOKOHAMA」では同門であり第8代RISEライト級王者である中村寛(BKジム)も勝利を収めている。その中村同様にRISEにて更なる活躍を狙う上村、3度目の正直でベルト奪取を達成した上村の次なる戦いにも注目だ。 [nextpage] ▼ダブルセミファイナル2 DEEP☆KICK-55kgタイトルマッチ 3分3R×真琴(NJKF誠輪ジム)判定0-3 ※28-29×2、28-30○中嶋愛樹斗(誠剛館)※中嶋が-55kg第8代王者に就く。  昨年9月にDEEP☆KICK -55kg第7代暫定王者に輝いた真琴が正規王者を狙うDEEP☆KICK -55kgタイトルマッチに、挑戦者決定トーナメントを勝ち上がってきた中嶋愛樹斗が挑戦する。真琴は当王座に加えNJKFスーパーバンタム級王者と異なるルールの2本のベルトを同時に持つ若き猛者。対すす中嶋はACCEL第5代日本バンタム級王者に加え、ここまでプロ戦績9勝(8KO)で負けなしを誇る実力者。この両名の激突は試合前から注目されていた。  1R、互いにこの階級では長身の両者は開始早々から近距離で打ち合うと、中嶋がバッティング被弾により試合が一時中断となる。再開後、再び打ち合いになると今度は真琴がローブロー被弾で試合が止まるなど、互いに勢いは見えるも少々粗さがあるのか。再開後、前蹴りやローを打ちながらフック・ワンツーで踏み込む中嶋に、細かくスイッチしながら距離を保ち左右の蹴りにカーフ・フック・ストレートを合わせていく真琴という展開に。1Rは互角の印象。  続く2R、開始早々に中嶋はパンチのラッシュで打ち合いに出向くと、真琴もそれに応じ打ち合いで返す。そこからは1R同様、踏み込んでのパンチで好機を狙う中嶋と、自信の距離を保ちながらパンチ・蹴りを合わせる真琴となる。真琴はその中で中嶋のパンチをガードやスウェーで避けながら、ジャブにカーフ・近い距離ではヒザを入れるなど、やはり確かな上手さが見える、対する中嶋も決してひるまずにどんどんと踏み込み威力あるパンチを振るっていく。  その展開が続いていくかと思われた矢先、中嶋のカウンターのストレートが真琴にヒットし、真琴がダウン。中嶋がファーストダウンを奪取する。手を上げ喜ぶ中嶋は、ここを逃すまいと怒涛のラッシュをしかけていく。しかし真琴は崩れない。むしろパンチの連打に飛びヒザ・顔面前蹴りをヒットさせていくなど王者たる意地を見せつけラウンド終了。2R終了時点でのオープンスコアは3名共に18-20で中嶋が支持される。  最終ラウンド、ここで逆転を狙う真琴は開始から圧をかけていくと、カウンターのストレートにフック・ハイキックと仕掛けていく。中嶋も決して後手には回らずストレート・ボディ・フック・バックハンドブローでこちらもまた倒しに向かう。互いに一歩も譲らない。飛びヒザにカウンターパンチ・アッパーに前蹴りと多彩な技でKOを狙い合う両者だが、最後までどちらも倒れることはなく試合は終了。  判定は2Rの中嶋のダウンが活き2名が28-29、1名が28-30で3者共に中嶋を支持し、中嶋が判定勝利を収めDEEP☆KICK-55kgのベルトを奪い取った。  判定後「やったー!!」と喜び周り、DEEP☆KICKベルトが腰に巻かれると涙を流し喜んだ中嶋。試合後、「海翔くん(長谷川海翔/誠剛館)が無敗でDEEP☆KICKのチャンピオンになったのが本当にカッコよくて、僕も同じようになりたいなって思いが強かったので今実際に獲れて本当に嬉しいです。優しくて、僕の事可愛がってくれてる大好きな先輩に近づけたのが嬉しいです。でも何よりは普段から館長だったり、先輩とか家族とかスポンサーの皆さんとかジュニアの頃から応援してくれている人たちもいて、本当にその人たちにベルトを取った姿を今日見せれて僕も本当にホッとしたし、みんなの前でずっとベルト取るって言ってて、それを有限実行できたことが一番嬉しかったですね」と語ると、2Rのダウンについて「正直、『あ、真琴君って倒れるんや』ってビックリしました。打たれ強いイメージもあったし本当に強い選手なので、だから自分のパンチでも倒せるんやって、なんでダウン取った時も喜びより最初にビックリが一番でした。勝った瞬間はもう、やばかったです。過去最強の選手・最強の王者に勝てたことが嬉しかったし、正直な話ビックリしかなかったですね、嬉しすぎてマイクでも何をか決めてたんですけど、全部忘れちゃいました」と語った。  そして次なる展望について「自分の目標が今日一つ叶ったので、次はRISEで強い選手たちをDEEP☆KICK王者としてバンバン倒していきたいなって思います」と語った。  これで10戦10勝8KOと、同門の長谷川海翔同様に全勝無敗でDEEP☆KICK王者に輝いた中嶋。果たしてこの無敗記録はどこまで続くのか。 [nextpage] ▼ダブルセミファイナル1 DEEP☆KICK-51kg王座決定トーナメント決勝 3分3R延長1R○KING陸斗(ROYAL KINGS)判定3-0 ※30-28×3×一樹(Reborn kickboxing gym)※KING陸斗が-51kg第4代王座に就く。  DEEP☆KICK最軽量級であるDEEP☆KICK-51kg、2022年に新設され今回が第4代王者を決める戦いとなる。対戦するはKING陸斗と一樹。両名は今年4月に対戦経験があり、その際は陸斗が判定勝利を収めており、そして早々の再戦は王座決定戦だ。何より一樹は第2代王者決定戦に、陸斗は第3代王者決定戦に出場するも互いにベルト目前で敗れた同士とベルトに懸ける思いも強いだろう。  果たして1R、早々からハイキックにフックツーと繰り出した陸斗はリングをグルグルと周り始める。やはりフットワークにはかなりの自信があるだろう、ローを放ちながら途端にワンツーやフックで踏み込み再びリングを周っていく。対する一樹、リング中央に陣取るとじっくりと陸斗の動きを観察しながらジャブにミドルと繰り出すもやや手数不足の印象。陸斗はハイスピードでリングを周りながらヒットを着実に重ねていき、1Rは陸斗が優勢。  2R、1R同様の構図になると陸斗はハイにミドル、フック・ストレートと繰り出していく。一樹は1Rより近い距離で圧をかけていきコーナーに詰めストレートにフックを放っていく。一樹はここでヒットが欲しいところだが陸斗の高いディフェンス能力には毎度のことながら驚きだ、スルスルと攻撃を避けながら着実にヒットを重ねる。2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-19、1名が20-18と3者共に陸斗を支持。  最終ラウンド、ここで挽回を狙いたい一樹は一層に圧を強めミドルにワンツーと放っていく。しかし陸斗は冷静、変わらずリングを周りながら自分の距離を保つとストレートにヒザ、ボディとヒットさせていく。残り時間1分、一樹は打ってこいとアピールしながらドンドンと前に打ち出るが、陸斗は冷静に対処しながらここでも着実にヒットを重ねていき試合は終了。  判定は3名共に30-28で陸斗を支持し、3-0で陸斗がDEEP☆KICK-51kg第4代王者の椅子に就いた。  試合後、喜びながらもどこか納得のいかない表情を見せた陸斗は試合後、再戦した一樹について「やっぱ気持ちが強いなっていう印象でした。ただ今回はちょっと自分の中ではダメな内容だと思うので王者としてもっと練習して上を目指します」と答えると「去年、安尾選手(安尾瑠輝/K-1ジム心斎橋チームレパード)に2Rで倒されてるのもあって、ずっといつどのタイミングで(パンチ・蹴り)もらうか分からなかったので、3分3Rが長く感じました。1R・2R・3R全部そうでしたが、やっぱり2Rは意識することはありました」と語った。 「3R動き続けるスタイルは疲れないって言ったら嘘になりますけど、このスタイルが自分の一番の武器やと思ってます。ここまで2連続1RKO勝利でしたが1RKOにこだわってるわけではなく、デビューしてから代表に倒せるときがいつか来るっていうのを教えてもらってずっと練習してたので、毎回倒そうと思って試合はしてなくて、タイミングよく当てれば倒せるってだけですね」と答えた。  次のステージについては「RISEの51kgのランカーの選手をしっかり倒していきたいです。まずは松本天志(TARGET SHIBUYA)選手とやりたいです。そして那須川龍心(TEAM TEPPEN)選手や他の選手を倒していってRISEで1番になりたいなって思います」と語った。  現在17歳と現役高校生ながらも確かな自分のスタイルを持ちDEEP☆KICK王者戴冠を達成した陸斗。自身の語る「世界一の選手」に向けてまだまだ突っ走る。 [nextpage] ▼第4試合 DEEP☆KICK-55kg契約 3分3R○井上大和(NJKF TOKEN KICKBOXING GYM)判定3-0 ※30-27×2、30-28×クレイジーハスキー尚吾(REVOLT)  同級3位にランクインしている井上大和が福岡からの刺客・クレイジーハスキー尚吾と対峙。井上は当日、-55kgタイトルマッチに挑む中嶋愛樹斗との挑戦者決定トーナメントに4月に敗れて以来の復帰戦、対する尚吾は第3代KPKBスーパーフェザー級王者戴冠歴のある猛者だ。  試合は1R、井上はジャブを中心に素早く動きながらコンパクトに攻める。尚吾はじわじわと圧をかけながらローに威力抜群のパンチを思う存分にぶん回す。そんな最中、尚吾がバッティングを被弾し試合が一時中断されると、今度が井上がバッティングを被弾、ダメージは大きいか、長くインターバルが取られる。続行が危ぶまれるもドクターの判断により試合は再開され、井上は再び素早い動きを見せながら着実にヒットを重ねていく。  2R、左右のフックをぶん回しながら前に打ち出てくる尚吾、その勢いたるや尚吾がパンチを放つたびに観客席からどよめきが聞こえるほどだ。しかしそれでも井上は止まらない、一発の被弾が命取りと思われるような尚吾のパンチを避けながらジャブにワンツー・フックと細かくパンチをヒットさせていく。都度放たれるローも印象的だ、2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-18、1名が20-19と3者共に井上を支持する。  3R、さらに歩を強める尚吾はガードを固めながら前に圧をかけ左右のフックをこれでもかと振り回す、井上は下がらされるもストレートのカウンターをヒットさせるなどここでも被弾は許さず、自身のヒットを稼ぐ。それでも尚吾のパンチはやはり脅威だ、どれだけ打たれても止まることなく前進し一撃必殺のパンチを振るう、井上は臆することなくストレートにハイキックと素早く動き続けながらヒットさせる。井上の勇気・技術、尚吾の気迫・打たれ強さに多くの人がド肝を抜かれただろう。ヒヤヒヤするような試合が続いていくも、ついに井上はクリーンヒットを許さず試合終了、判定は2名が30-27、1名が30-28で3者共に井上を支持し、井上が判定勝利を飾った。 [nextpage] ▼第3試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R〇中田史斗(究道会館)TKO 3R 2分16秒 ※セコンドタオル投入×大輝(NJKF理心塾)  DEEP☆KICK同級1位であり3月に当日、同級王者として防衛戦を行うKING剛との王座決定戦に敗れ今回が復帰戦となる中田史斗と、NJKFフライ級6位にランクインしておりDEEP☆KICKに4月に初参戦を果たすも敗北とこちらも復帰戦となる大輝のランカー同士の対戦。  1R、圧をかけながら細かいパンチからミドルに繋いでいく中田に、サウスポースタイルから左ミドルにストレートを繰り出す大輝。ラウンド中盤には中田はステップを踏みながらカーフを軸に前足を削っていく、大輝は近い距離での膝を中心に返していくなど互いに攻勢を見せるも1Rは互角の印象。  2Rからは如実に互いの狙いが見えると、中田は細かいパンチにボディへの打ち分けをしながら前足へのカーフ、大輝は左ミドルにストレートからヒザにと繋いでいく場面が増えていく。ラウンド後半にはやや疲れとボディのダメージが見える大輝に中田はパンチでラッシュをかけていき好印象を見せると、2R終了時点でのオープンスコアは3名共に20-19と2Rの攻勢が活き中田が支持される。  最終ラウンド、セコンドからの檄で気合を入れ直した大輝はストレート・バックハンドブローなどで逆転を狙っていくが、ギアを上げてきた中田にやや後手に回されていく。中田は止まらずどんどんパンチをまとめていくと左フックからの顔面へのヒザでファーストダウンを奪取する。  決めに行く中田は右ミドル連打からパンチ連打と怒涛の攻めを見せるも大輝にローブローを当ててしまい試合が一時中断する。再開後、大輝は残りの力を振り絞り打ち合いに出向くが、最後は中田のヒザで再びダウンを喫したところでセコンドがタオルを投入。3R2分16秒、中田が復帰戦をTKO勝利で飾った。  中田はこれで5勝(4KO)2敗1NCと倒し屋らしい風格が出てきた。 [nextpage] ▼第2試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R〇仁(LEGEND GYM)TKO 1R 1分22秒 ※レフェリーストップ×山口丈瑠(パラエストラ東大阪)  第1試合に続きプロデビュー戦同士の戦いとなった仁と山口丈瑠の1戦は、1R1分22秒という早々のKO決着にて幕を閉じることとなった。ゴングが鳴ると互いにローを放ちながら距離を測る中で、山口は前足へのインローに左ミドル、ワンツーを放つと、仁は圧をかけながら威力あるパンチで前に出る。  そして早くも試合は急激に動く。威力あるボディにフックと仁がパンチで押していくと、強力な右フックでまずはファーストダウンを奪取。決めに行く仁、山口は挽回を狙い打ち合いに向かうも仁のカウンターの左フックで2度目のダウン。ダメージを見たレフェリーが試合を止め、仁が1R1分22秒、鮮烈のTKO勝利のデビューを飾った。 [nextpage] ▼第1試合 DEEP☆KICK-65kg契約 3分3R〇舩谷竜生(TEAM TEPPEN)TKO 2R 0分28秒 ※レフェリーストップ×山口祐平(TeamFreeStyle)  プロデビュー戦同士の1戦、長身の舩谷竜生と現32歳のプロデビューとなった山口祐平の試合はのっけから気迫のこもった打ち合いに。  1R、サウスポーに構える舩谷は長身を活かして前蹴りにミドル・ハイでパンチに繋いでいく。対する山口は舩谷の蹴りに苦戦もじわじわと中に入っていき威力のありそうなフックにストレートで応戦する。ラウンド後半には互いにコーナー際でパンチで打ち合うと舩谷の右フックが山口を捉えファーストダウン。  ラッシュをかけてくる舩谷に山口は真向の打ち合いに挑み、そのまま舩谷を押し返す場面が見えるもゴング間際に舩谷の左ストレートで山口が2度目のダウンを奪われる。  立った山口だが、ダメージがあるか。2Rに入ると早々に舩谷のパンチラッシュで3度目のダウンを奪われる。こうなると舩谷は意気揚々、立ち上がりパンチを振るってくる山口を最後はワンツーで沈めレフェリーストップ、4度のダウンを奪った舩谷がプロデビュー戦でTKO勝利を飾った。 [nextpage] 〈オープニングイベント〉NEXT☆LEVEL提供試合  OPイベント、アマチュアファイトでは計6試合が開催。中でもOP第5試合に出場した山田真也(パラエストラ東大阪)は松村羚央(及川道場)と対戦すると2R、ストレートからのヒザでファーストダウンを奪うと最後はストレートで2度目のダウンを奪いTKO勝利を収めた。  山田は8月25日に行われたアマチュアキックボクシング大会「NEXT☆LEVEL 95」でも2試合に出場し2連続KO勝利とアマチュア試合では3連続KO勝利を飾っており、プロで活躍するのが待ち遠しいファイターがまた1人現れた。  またOPファイトのインターバルにはTEPPENGYM OSAKAの京谷祐希(TEAM TEPPEN)の愛娘「みれい」ちゃんがラウンドガールとして登場。まだ年長さんながらもしっかりラウンドボードを持ち上げ、会場に笑顔を見せると所々から「かわいい~」と声が上がり、試合とは一転して和やかな雰囲気が流れた。 (文・三野龍生/写真・石本文子) ▼OP第6試合 -57.5kg契約 1分30秒2R×江口岳穂(FightClubRush.)判定0-3 ※19-20×2、18-20◯朴 竜佑(VALIENTE) ▼OP第5試合 -65kg契約 1分30秒2R×松村羚央(及川道場)TKO 2R 0分57秒 ※レフェリーストップ◎山田真也(パラエストラ東大阪) ▼OP第4試合 -60kg契約 1分30秒2R△平見颯一(NJKF心将塾)ドロー 判定0-1 ※19-19、19-20、20-20△野村亮之(NJKF TOP GUN GYM) ▼OP第3試合 -53kg契約 1分30秒2R×野呂星利愛(TEAM TEPPEN)判定0-3 ※18-20×2、19-20◯伊藤菜の花(VALIENTE) ▼OP第2試合 -36.5kg契約 1分30秒2R△藤原あこ(ROYAL KINGS)ドロー 判定1-0 ※19-19×2、20-19△阪上星愛來(VALIENTE) ▼OP第1試合 -33kg契約 1分30秒2R×山木 俊(京都亀岡キックボクシングジム)判定0-2 ※19-20×2、19-19◯中村琉輝(TeamFIST)
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