元谷の写真を“遺影持ち”した太々しい太田
2024年9月29日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.48』の追加カード発表記者会見が8月21日(水)、都内にて行われた。
RIZINバンタム級(61.0kg)5分3Rで、元谷友貴(アメリカン・トップチーム)vs.太田忍(THE BLACKBELT JAPAN)が決定。
元谷友貴と太田忍は、2022年7月以来、2年2カ月ぶりの再戦。前回は元谷がオリンピアンの太田を判定3-0で下している。元谷戦後、5勝1敗と大きく勝ち越している太田は、Bellatorからの凱旋、オリンピックイヤーに元谷にリベンジなるか。ATT入りした元谷は、2023年ヴィンス・モラレスと熱闘も判定負け。5月の前戦DEEPで平松翔に2R、リアネイキドチョークで一本勝ちしている。勝てば、井上直樹vs.キム・スーチョルの勝者への挑戦も見えて来るバンタム級コンテンダー争いだ。
会見には太田のみ出席し、「まず再戦、リベンジマッチを受けていただいた元谷選手ありがとうございます。リベンジマッチって簡単に出来るわけではないと思っていましたし、僕がここまで辿り着いたって自信もありますし、元谷選手をクリアすることで僕がずっと公言してきた2024年内でのタイトルマッチというのが現実的になって来ると思うので、しっかりフィニッシュしてタイトルマッチにつなげたいと思います」と、元谷へのリベンジを果たしてタイトル挑戦への足がかりにしたいとする。
※同大会にて井上直樹(Kill Cliff FC)vs.キム・スーチョル(ROAD GYM WONJU MMA)でバンタム級王座決定戦が行われる。
【写真】5月のDEEPで平松翔にリアネイキドチョークで一本勝ちした元谷
改めて元谷の印象を聞かれると「日本人のトップファイター」とひと言。勝負のポイントは「練習通りいくかいかないかだと思います」だとした。
リベンジマッチ実現を期待していたかとの質問には「したい気持ちはありました。でもこのタイミングかと言ったら…どちらでもよかった。タイトルを狙う上で、元谷選手に勝ったらタイトルマッチでもいんじゃないかという話をもらったのでしっかり勝ちたい。タイトルへの通過点でしかないと思っているので。リベンジマッチを受けていただいたことには感謝していますが、僕にとってはただの通過点かなと思っています」と、タイトルへの通過点に過ぎないと言い放つ。
2年前の初対決と比べると「スタンドもグラウンドも選択肢は僕の方にある。試合の流れを見て常に僕が優先権を取って進めたいと思います。スタンドでも寝てもフィニッシュ出来ると思うので、常にゴー・トゥ・フィニッシュで行きたいと思います」と、局面を選ぶのは自分だとした。
オリンピックが終わったばかりということで、2016年リオデジャネイロ五輪でグレコローマンスタイル59kg銀メダルを獲得している太田には、レスリングに関する質問が飛んだ。
「金8、銀1、銅1は多分過去最高じゃないですか。1964年の東京五輪よりも多い。レスリング大国の復活じゃじゃいですけれど、、今後の日本レスリング界の未来は明るいと思いました。最高でした」との感想から、「ありがたく勢い付けていただいたと思って、僕も後輩たちに負けないように戦っていきたいと思います」と、自分も頑張りたいと刺激を受けたと話す。
MMAでもキックボクシングでも海外勢は日本人よりもフィジカルが強い、重くなればなるほど日本人は不利と言われている中で、日本人選手が柔道とレスリングで結果を出しているのはなぜかとの質問には、「外国人選手だから強い、日本人選手は不利というのはそもそも違うと思っていて。ちゃんと練習している選手が勝つし、ちゃんと練習していない選手はフィジカルも強くなれないし、世界トップレベルの実力があるのは大前提で、プラスアルファで五輪という4年に一度の舞台でパフォーマンスをしっかり発揮する、照準を合わせる能力が日本人選手はあるし、そういう準備も出来ているしそういう環境も整っている。結果を残すためのプロセスがあった。必然的なメダル量産だったと思っています」との考えを示す。
また、そういう要素をMMAでもフィードバック出来るかとの問いには「勝つための練習が出来ているか、出来ていないかじゃないですか。人種とか体格とか骨格とかは全然関係ないと思っていて、勝つための練習が出来ていれば勝てるし、そのための練習が出来ていなければ負ける。格闘技はそれだけのことだと思っています」と語った。
元谷友貴(※コメント代読)
「太田選手とリマッチということですが、いま太田選手は僕が以前対戦したときよりも強くなっているだろうし勢いもすごいと思う。僕はこの試合に対してしっかり仕上げて、前回は判定勝ちだったのですが今回ははっきり決着させたいなと思います! 少しでも成長した元谷を見せたいと思います! いい試合しましょう!」
◆元谷友貴 Yuki Motoya
出身地:日本 石川県
生年月日:1989年9月14日
身長:170cm リーチ:173.5cm (68inc) 体重:61.0kg
所属:アメリカン・トップチーム
2015年末の旗揚げからRIZINに参戦し、国内外の名だたる強豪と数々の名勝負を繰り広げてきた歴戦の勇士。17年10月、DEEP二階級制覇を達成するとその大晦日ジャスティン・スコッギンスに一本勝ちで5連勝。19年7月、扇久保博正との死闘に僅差で敗れると大晦日にはBellatorとの対抗戦の副将戦で、のちのBellatorバンタム級王者パッチー・ミックスのフロントチョークに沈んだ。21年6月のRIZINバンタム級GP1回戦では岡田遼を終始打撃で圧倒するも2回戦で瀧澤謙太にTKO負けを喫しGP敗退。大晦日のGPリザーブマッチでは金太郎からフルマーク判定勝利を挙げた。22年4月にアラン“ヒロ”ヤマニハ、7月に太田忍、11月に倉本一真を次々完封すると、大晦日、ホジェリオ・ボントリンを相手に2R顔面ヒザ蹴りからのTKOで5連勝。23年5月、予てより対戦を希望していた朝倉海に無念のKO負け。大晦日、ヴィンス・モラレスと激闘の末に判定0-3で敗れRIZIN2連敗。24年5月、再起戦のDEEPで、負傷欠場の福田龍彌に代わり緊急参戦の平松翔にダウンを奪われるも一本勝利で復活を遂げた。今回RIZINバンタム級で頭角を現してきた太田忍を相手に再び力の差を見せつけて返り討ちにし、RIZINのタイトル戦線復帰を目論む。
◆太田忍 Shinobu Ota
出身地:日本 青森県
生年月日:1993年12月28日
身長:165cm リーチ:168.5cm (66inc) 体重:61.0kg
所属:THE BLACKBELT JAPAN
小学校1年からレスリングを始める。16年8月のリオデジャネイロ・オリンピックでグレコローマンスタイル59kg銀メダル獲得。その後東京オリンピック出場の道が閉ざされると、MMA挑戦を決意。20年大晦日、RIZIN初参戦にしてプロMMAデビュー戦ではベテラン・所英男に得意の腕十字を極められ一本負け。練習環境をパラエストラ柏(現THE BLACKBELT JAPAN)に変え、一からMMAに取り組む。21年9月にMMAデビュー戦の久保優太に判定勝ち、大晦日には祖根寿麻に2R TKO勝ちし、22年7月、プロ4戦目にして、トップ戦線で鎬を削ってきた元谷友貴と対戦するも実力差を見せつけられる。再起戦の23年4月に倉本一真を1RKOし、7月に瀧澤謙太にTKO勝利。10月には佐藤将光に判定1-2で敗れ連勝ストップ。大晦日には転向初戦の芦澤竜誠にMMAの洗礼を浴びせると、今年4月、バンタム級転向初戦の牛久絢太郎を完封。6月にはダブリン大会でBellatorでデビュー。MMAにおいては初となる国際戦でスペインのロジャー・ブランクを相手に1R 一本勝利し世界へ存在をアピールした。前戦では苦杯を喫した元谷を相手に、着実に成長を遂げているMMAの技術とスタイルを見せつけ、リベンジと同時に次期タイトル挑戦へのチャンスをものにしたい。