2024年8月13日(日本時間14日)『Dana White's Contender Series 2024』(DWCS)の第1週(エピソード1)が開催され、4選手がUFCとの契約をかわした。
DWCSは、『ROAD TO UFC』と並び、「UFCとの契約を勝ち取るチャンスを得るための特別なプラットフォーム」。RTUとは異なり、基本ワンマッチでUFCにその存在・強さをアピールする場だ。
北米LFAや中国JCK、UAEW、BRAVE CF、Cage Warriors、PANCRASEなど世界各国の王者クラスが、このコンテンダーズシリーズの出場権を得て、さらに勝利とインパクトを残せば、UFCとの契約を獲得できる“狭き門”となっている。今回の第1週では、5試合中、下記4選手がUFCとの契約を獲得した。
UFCと契約した選手(第1週)
ミドル級メンスール・アブドゥル・マリク(米国)
ライトヘビー級ブルーノ・ロペス(ブラジル)
フェザー級ホセ・デルガド(米国)
フライ級ロニー・カヴァナ(英国)
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ともにLFAからDWCS出場対決は、マリクがマウントヒジでシュルツをTKO
▼ミドル級 5分3R〇マンスール・アブドゥル・マリク(米国)6勝0敗(5KO/TKO・1SUB)[2R 3分55秒 TKO]×ウェス・シュルツ(米国)6勝2敗(2KO/TKO・3SUB)
ともにLFA契約選手のマリクとシュルツ。
1R、ともにオーソドックス構え。シュルツは右の後ろ廻し蹴り、ジャブから左ミドルも、マリクの右に金網に詰まる。マリクのダブルレッグをスプロールするシュルツに押し込むマルクは離れる。
シュルツの大きな後ろ廻し蹴りはかわしたマリクは右ミドルを当ててワンツーで金網に詰めてテイクダウン。腕十字を狙うシュルツをかわすが、シュルツも左で差して立ち上がり左ロー、マリクも左右ミドル。
シュルツの後ろ廻し蹴りは力に欠ける。シュルツの左右の蹴りからの前進に右を合わせるマリク。
2R、左ミドル、右ハイキックを当てるシュルツ。マリクも左ハイ、左フックをガード上に当てる。右の後ろ蹴りを顔面に当てたシュルツ。
マリクの組みを切ってスクランブルにヒザ蹴り、バックに。背中を見せて金網に歩くマリクにダブルレッグテイクダウン。サイドバックからネルソンで頭を下げさせる。
首を抜いたマリクのターンで前に。テイクダウンにシュルツは下から腕十字もかわしたマリクがマウントからヒジ連打! レフェリーが間に入った。
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6日前代打出場のハメドが、「減点1」のメン・ディンに判定勝ち
▼ウェルター級 5分3R〇ラミ・ハメド(レバノン)13勝3敗(8KO/TKO・1SUB)[判定3-0]×メン・ディン(中国)34勝9敗(27KO/TKO・2SUB)
マイアミで練習するレバノンのラミ・ハメドは6日前代打出場。2023年のDWCSを負傷欠場していた。
メン・ディンは、アイルランドと中国のハーフで香港人。2023年10月の上海『JCK Fight Night』での2連勝から10カ月振りの試合。WLFではキックボクシングルールも戦っている。今回の試合に向け、チーム・オーヤマで練習を積んできた。
1R、手を下げステップを踏む伝統派空手スタイルのハメドに、左インローを蹴ったメン・ディン。ハメドの右ハイはかわす。遠間から左ジャブを突き、スイッチしたハメドが左ストレートを突き、左インローをヒット。
オーソに戻し右を突くハメド。メン・ディンは右を振ってケージに詰めてクリンチ。メン・ディンの左ヒザがローブローとなり中断。再開。
左ロー、右ジャブの出入りのハメドは、メン・ディンの入りに跳びヒザを狙う。ここはクリーンヒットは避けたメン・ディンは組むが、ハメドは右回りで切る。右ボディから再び組むメン・ディンだが、両脇を差し上げるハメドはヒザ。
離れてメン・ディンは右ボディから組むが、離れ際に左を突くハメドは跳びヒザでホーン。
2R、メン・ディンは左ローから。細かく足をシャッフルするハメドを追い、右ローのメン・ディンは後ろ蹴りを腹に突く。サークリングするハメドをワンツーで詰めるメン・ディン。サウスポー構えからかけ蹴りを突くハメド。ワンツーから組むメン・ディンだが、脇を差され崩せず。
メン・ディンの右カーフに左を合わせに行くハメド。押し込むメン・ディンのヒザがローブローと主張するハメドだが、レフェリーは続行を指示。メン・ディンの詰めに、ハメドは左のテンカオ。互いの右が交錯すると、メン・ディンは右ミドル!
しかしハメドも左ミドルを返し、ケージを背にしてカウンターを狙う。メン・ディンは、ハメドの左ストレートの飛び込みに合わせてボディロックと小外刈りでテイクダウンもホーン。
3R、ジャブのダブルで前に出るメン・ディン。さらに右ローの打ち合いも最後に打つのはメン・ディン。左ストレートをのどもとに突くハメド。追うメン・ディンは後ろ蹴り。その詰めに左の蹴りはハメド。右ローを下から蹴り上げるメン・ディンだが、ローブローに。中断。
再開。追うメン・ディンは「来い」とジェスチャー。左回りのハメドはステップを踏んで左ミドル。メン・ディンの下から蹴り上げの右ローが再びローブローとなり、1P減点に。
再開。ハメドは左回り。追うメン・ディンは組むが、ハメドが差し返して離れて左ボディ。右ミドルを突いて左回りを止めたいメン・ディンは組むも両脇を差しているのはハメド。離れて、みたび組んだメン・ディンだが倒す術に欠ける。メン・ディンのヒザ蹴りで離れる両者。ハメドの左右フックでホーン。
判定はメン・ディンに減点もあり、3-0(30-27, 29-27×2)でスクランブル参戦のハメドが勝利した。
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2度目のDWCS挑戦でLFA王者のロペスが逆転TKO勝ち、UFCと契約
▼ライトヘビー級 5分3R〇ブルーノ・ロペス(ブラジル)13勝1敗(6KO/TKO・5SUB)[2R 4分14秒 TKO]×ミハイル・サジニアニ(ジョージア)13勝3敗(12KO/TKO)
1R、ともにオーソドックス構え。サジニアニが遠間からシングルレッグ狙いも切るロペスは右ロー。サジニアニは左から右のオーバーハンド。ガードして押し戻すロペスはサジアニの右の攻撃をかわして、左ジャブ、右カーフを2発! サジニアニも右カーフを返し、ロペスの入りに左右フックを狙う。
ロペスは右ストレートで前に。しかし、サジニアニは踏み込んでの右オーバーハンドでロペスをダウンさせる!
立ち上がり下がるロペスにさらに右オーバーハンドを狙い、シングルレッグ狙い。ここで差し上げたロペスの入れ替えにがぶるサジニアニ。首を抜くロペス。大きな左を振って組んで離れ際に左を振るサジニアニ。ホーン。
2R、ロペスは右カーフ。跳びヒザを掴むサジアニだが離れるロペスは左ミドル、バックフィスト、ヒジ。サジニアニのシングルレッグを切ったロペスが右オーバーハンド。
サジニアニの左右をかわし、サウスポー構えにスイッチ。ダブルレッグを金網までドライブするサジニアニに体を入れ替え、離れて右テンカオ!
さらにサウスポー構えにスイッチしての左ヒザ! 動きが落ちたロペスに左ボディストレートを効かせる。くの字に腹を押さえて下がったロペスにサジニアニが左右ラッユで逆転TKO勝ちした。
LFAライトヘビー級王者のロペスは、2023年9月のDWCSに続く、2度目のチャンスでUFCとの契約を掴んだ。
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11日前オファーのデルガドがチャンスを活かしA1王者のフアレスをKO。クラウチ、ベンヘンと熱いハグ
▼フェザー級 5分3R〇ホセ・デルガド(米国)8勝1敗(4KO/TKO・4SUB)[2R 1分25秒 KO]×アーニー・フアレス(米国)7勝1敗(2KO/TKO・2SUB)
デルガドは、United Fight League、CageWarriors Northwest等を経て、LFA 188でカルロス・シルバとの連勝対決で初回KO勝ち。DWCS出場を決めた。
対するフアレスはUrijah Faber's A1 Combatフェザー級王者。2024年3月にカザフスタンのアブディカビル・カルダーに判定勝ちで7連勝。DWCS出場へ。
1R、ともにオーソドックス構え。先に右ローのフアレスにデルガドも左ミドルの蹴り返し。ワンツーをボディに突き、左ミドルも当てるデルガドは、フアレスの入りにシングルレッグテイクダウン。
立つフアレスに首相撲ヒザ、片足をかけるが、フアレスも脇を潜って両手を掴んで離れる。スイッチして左右の蹴りを自在に蹴るデルガド!
さらにシングルレッグでテイクダウンを奪うと、ガードのフアレスの足を捌きバックに。フアレスの立ち上がりに背中に乗るが、ボディトライアングルが組めず着地。右の蹴りで反撃のフアレスに、デルガドはまたも左右の蹴りからシングルレッグテイクダウン!
立つフアレスの左の内側に右ストレートを突く。右を返すフアレスだが、デルガドの動きは止まらず跳びヒザに。それを掴んだフアレスだが、離れたデルガドはバックスピンキックを腹に! さらにシングルレッグはフアレスが切る。
2R、デルガドの左前蹴りを掴むフアレスだが、足を抜くデルガド。ガード固めたフアレスの右ミドルに、スイッチしながら左を突くデルガドに、フアレスも左から右のフックを返す。
デルガドは右ジャブを刺し、ファレスの組みを切り、左ストレートをガードの奥に効かせると、左を見せてガードを固めさせて、テイクダウン狙いで頭を下げたフアレスにカウンターの左ヒザ! この1発でダウンしたフアレスをパウンドアウトした。
試合後、デルガドは11日前オファーの緊急出場だったこと、MMA Labのジョン・クラウチ、ベンソン・ヘンダーソンに感謝の言葉を述べ、両者と熱いハグをかわした。
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ブラッド・ピケットに師事するカヴァナが、LFA6連勝のホーを初回KO
▼フライ級 5分3R〇ロニー・カヴァナ(英国)7勝0敗(4KO/TKO・1SUB)[1R 2分25秒 KO]×アン・トゥアン・ホー(ベトナム)6勝1敗(3KO/TKO・1SUB)
『DWCS2024』第1週の第1試合では、フライ級でベトナムのアン・トゥアン・ホー(6勝0敗・23歳)、英国のロニー・カヴァナ(6勝0敗・25歳)が対戦する。
ロンドン出身、アイルランド人と中国人のハーフであるカヴァナは、香港人の母親に育てられ、8歳からテコンドーを始め、その後キックボクシングで活躍。K-1ルールの大会に出場し、5度の世界王者に輝き、MMAに転向した。
グレートブリテン・トップチームで元UFCのブラッド・ピケットに師事し、ナサニエル・ウッドら強豪とトレーニングするカヴァナは、2013年からアマチュアMMAを戦い、2019年にプロMMAデビュー。現在は英国Cage Warriorsで4連勝中で6戦無敗。
対するホーは、ベンソン・ヘンダーソンと同じMMA Lab所属で北米LFAでこちらも6戦無敗。ベトナムのタンフォンで生まれ、幼少期をベトナムで過ごした後に渡米し、MMAに出会っている。
1R、ともにオーソドックス構え。右ローのホー。右ハイはかわしたカヴァナ。ホーの右オーバーハンドに右を狙う。左ミドルを当ててカヴァナ。ホーの左ハイをかわすが、ホーも右をヒット。サウスポー構えにスイッチもオーソに戻し、左ジャブの刺し合い。
ホーの右ハイをスウェイでかわすカヴァナ。左ジャブも見切るが、ホーも右オーバーハンドをガード上に当てる。そのワイドスタンスに右ローを当てるカヴァナ。ホーがサウスポー構えにスイッチすると、その右前足に左ローを当てる。そこに前手の右フックを返すホーは右ローも。
ホーの左ジャブを頭を倒して避けるカヴァナ。ホーの左ハイもスウェイでかわすと、右ローを蹴り返し、左前蹴りで詰める。ともにサウスポー構えにスイッチ。カヴァナがオーソに戻すと、ホーもオーソに。
ホーの左ジャブ、右ローをかわしたカヴァナは踏み込んで右ローを当てると、そのままサウスポー構えにスイッチし左前蹴り。詰めて右を振る。左にかわしたホー。
ハイレベルな立ち技の攻防から、互いに左ジャブ、ホーの右ハイを掴んだカヴァナに足を抜くホー。カヴァナはワンツーを見せて右前蹴り。
ホーの左の入りにカヴァナは左フック! カウンターでもらったホーが大の字に崩れ、ハーブ・ディーンレフェリーがすぐにストップした。
追撃に入らず両手を広げたカヴァナはバック宙を見せた。