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【RIZIN】平本蓮はいかに朝倉未来をKOしたのか──K-1、剛毅會、二瓶空手がMMA7戦で融合「平本蓮スタイルです」=全文

2024/07/30 16:07
 2024年7月28日『超RIZIN.3』(さいたまスーパーアリーナ)メインイベントのフェザー級戦(5分5R)で、朝倉未来(ジャパントップチーム)を1R、左フックでTKOに下した平本蓮(剛毅會)。  本誌既報通り、試合後インタビューでは、138秒TKO勝ちの動きを、これまでK-1等のキックボクシングで培った技術と、剛毅會空手、二瓶空手に共通する動きを、MMA用に融合させた「平本蓮スタイル」について語っている。  これまでの後の先のカウンターから「朝倉未来がやりたい距離よりも遠い距離」からいかに飛び込むか。“後ろ”を使う剛毅會空手、そして前後の動きのみならず、二瓶空手の左右のステップからの飛び込みで左を当てて、近い距離はK-1時代にゲーオをKOした回転の速い打撃を活かして朝倉をマットに沈めた(※朝倉は引退を表明)。 朝倉が得意とする右前手のフックを誘った、平本のステップと打撃  ともにサウスポー構え。平本はテイクダウンディフェンスの自信からか、重心を少し落とし踏み込んでいける体勢に。  朝倉の左ローに対し、後ろ足を少し抜いて、右足も引いて空振りさせた平本は、一瞬、右に頭を下げたフェイントから左にステップインして、右ジャブを突く。あえて朝倉の右手側に踏み込んだ平本の右ジャブを、朝倉は左にかわしながら、得意の右前手のフックを振った。  YA-MAN戦のときと同様に、入ってきた相手に右フックを合わせる朝倉の癖──それを見切っていた平本は朝倉の右に見事に左ストレートを合わせた。朝倉は右前手のフックを打つ時に体が開く。そこに、これまでより厚めにバンテージを巻いたオープンフィンガーグローブによる平本の左の拳が打ち抜かれた。  効かされた朝倉は、クリンチ気味に手を伸ばすが、テイクダウンディフェンスをやり込んでいる平本は組ませず。コンパクトな左右で剥がし、圧力をかけたところに不用意に出してきた、またも朝倉の右に今度はヒジから打ち下ろすような左フック打ち込み、ダウンさせて両手を着かせると、サイドバック気味に左手で朝倉の腰を抱きながら右の拳を連打し崩し、身体が伸びた朝倉を見て、レフェリーが間に入った。  度重なるイベントをキャンセルしてまで、都内での練習に加え、試合の直前まで貪欲に宇都宮まで足を運んでいた平本。朝倉未来を倒すために準備し、選択した戦い方は、MMA7戦に至るまでの試行錯誤の蓄積が結実し、“最後にリングに立っている男”に導いていた。  以下は、試合後の平本との一問一答全文だ。 [nextpage] コナーが言った通り、「精度はパワーに勝り、タイミングはスピードを凌駕する」 ──朝倉未来選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 「何も言えねー!」 ──それは嬉しい気持ちですか? 「そうっスね。あと本当練習してきた技が見事にハマったので、やってきたことは間違ってなかったなって。何度も何度も練習してきた技だったので。何も言えないです。やってきてよかったなって」 ──朝倉未来選手と実際に拳を合わせて、戦う前のイメージと違うところはありましたか。 「5Rなので1Rが特に勝負だと思ったのと、ラウンドマストとだったので前半からしっかりポイント取っていくことは意識していたのですけど、体が温まる前から、勝負の瞬間が1Rから生まれるので、ここで絶対勝負決めると決めてたので、良かったです」 ──今日、最初サウスポーに構えていたことに驚きました。あれは朝倉選手のテイクダウンを警戒しての作戦だったのでしょうか。 「いや、寸前の事前番組で『カーフ蹴ってくると思う』と言っていて、意識して嫌がっているのかなと思って“じゃあ、左から行ってあげようかな”って。でも総合に来てずっと左で試合しているのですが、左のほうが得意かもしれないです」 ──多くの見方は、平本選手はカウンター待ちと言われていましたが、小さくステップして左から右に飛んで、そして近い距離で打ち合いました。あれは最初からの作戦でしたか。 「練習していてどうしても待ちになってしまう部分も自分のなかでは理解していて。技術がいろいろ積み重なっていくなかでいろんな技術を吸収すると、やっぱり後手になってしまうというか。やっぱりリスクをどんどん減らして戦いたいなというのがあったのですが、実際これだと自分の武器が、回転数上がらないというのを意識していて。  距離感で外す練習もしていたのですけど、今回試合前に手塚(裕之)さんから、堀口(恭司)選手を育てた二瓶さん(の息子の)二瓶卓郎さんを紹介してもらって、ああいうステップとか、ちょっとこう抜く感じは一緒に練習して何度も何度もやってきたステップで、それが思いきり出て、バシーンって入って。自分から試合を作ろうとは思っていたので、あれはちょっと堀口さん意識みたいな感じのステップです(※手塚による二瓶空手の詳細は、『ゴング格闘技』NO.333に掲載)」 ──短い時間でそれを習得することができたのですか。 「もともとK-1の時は、アップライトでリズムを取ってやっていて、それを総合格闘技に溶け込めるようにするにはテイクダウンディフェンスに絶対的な自信がないとあのステップはできないので、それが完成されたからこそ今のスタイルができあがったという感じですかね」 ──二瓶さんから習ったステップはこれからも使って行きたい? 「僕の新スタイルなので、はい。もっといっぱい、練習していたパターンのひとつが今回当てはまった。何パターンもいろんなパターンの自分の必殺技を作ってきたので、どんどん見せていけたらと思っています」 ──いわゆる伝統派の空手のステップなのでしょうか。 「伝統派になりすぎると僕の体が向いていないので、剛毅會の空手の感じと、僕のキックボクシングと、伝統派の距離感の設定ですよね。“後ろ”を使うという、共通した部分があるので、それを噛み砕いて作ってきた感じなので、伝統派ともまたちょっと違うかもしれない、平本蓮スタイルです」 ──フルラウンドまでの想定はしていたのですか? 「もちろん想定はありますけど、ああいう距離感の微妙な差し合いというか、駆け引きからも、ずっと打撃のない時間も駆け引きの時間で、今回とにかく待つんじゃなくて我慢勝負だと思っていたので、一瞬の隙をつけた。1日三部練くらいやってきたので出てよかったです」 ──“行ける”となった瞬間は? 「一発、外したときにバコンと入った瞬間に、一瞬でガクンと落ちる感じだったので、これはチャンスだと思って、“今だ!”と思って。コナー・マクレガーの名言あるじゃないですか。『精度は──』なんだっけ、まあいいや。そんな感じです」(※「精度はパワーに勝り、タイミングはスピードに勝る」)。 ──この大舞台でこの相手に、MMA初フィニッシュの気分はいかがでしたか。 「ずっと計画していたことなので、3戦しっかり判定で経験積んで、4戦目からKO解禁しようかなっていう感じだったので、自分のなかではプラン通りです」 ──今までのテイクダウンディフェンス主体はあくまで過程であると? 「そうですね、これからも強くなっていく平本蓮をみんなに応援してもらえたらいいなっていう感じです。まだまだ進化途中なので。今日まだ全然グラップリング見せてないですけど、たくさん用意してきたので。まあ次の試合とかでどんどん進化している姿を見せていけたらいいなと思います」 ──テイクダウンディフェンスよりもタックルに行かせなかったのはどこが良かったのでしょうか。 「距離感ですかね。“後ろ”を使ってしっかりリングを使うという、距離感の微量な設定です。朝倉未来がやりたい距離よりも遠い距離でやろうっていう感じですかね」 ──最後に朝倉選手に声をかけていたと思います、それはどんな言葉を? 「内緒で」 ──ところで「もうひとつのベルト」を持っている鈴木千裕選手と試合後に揉めていたようでしたが、どういう状況だったのですか? 「いきなりペットボトルを投げてきたので、ナメてるなと思って。僕には当たらなかったけど僕は当てました。あのカモメみたいなヤツ!」 ──試合後のマイクで朝倉未来選手に「引退しないでください」と言っていました。心からの思いですか? 「そうです。格闘技界にいてほしいなと思います」 ──いずれ戦いたいのか、アイコンとして必要なのですか。 「戦い続けていればまたいつかやるかもしれないですね、だから戦い続けてほしいです」 ──左手の包帯は? 「親指思い切りバコーンてやって軽く脱臼してしまって、全然骨折とかではないです」 ──次の試合の時期や相手のプランがあったら教えていただけますか。 「年末じゃないですかね、盛り上がる試合をしていこうと思います」 ──試合前に国歌の件も含めて、話題になったニュースがあり、今回は朝倉未来選手との一戦に向けて、試合前は余計なノイズを入れたくなかったのでしょうか。 「そうですね、本当に集中したかったってことですかね。全部勝利にかけていたので。今ホッとしています」 ──平本選手はSNSで煽りをやっているイメージやトラッシュトークが前面に出がちだったと思いますが、格闘技への純粋な思いがあることが伝わってきます。そのあたりは敢えて見せないようにしているのですか? 「シンプルにそういうの飽きたので、シンプルに試合で見せようと思ったから。そういうの飽きました」 ──格闘家というスタイルを徹底していくのですか? 「いや、相手によるんじゃないですかね、はい。あんまりそういう設定はないです。自分がそのとき思った思いのままやるだけですね」 ──次回の出場の際は前々日インタビューに来てくれますか? 「もちろんです、もちろんです。はい、多分」 ──朝倉未来選手を倒したことで自分が格闘技界を引っ張っていく気持ちは? 「『アイム・ザ・ベスト!』僕がベストなので。俺だっていう。時代は俺だ!」 ──朝倉未来選手に「引退しないでください」と言いましたが、彼が復活したらどんな道を歩むと思いますか? 「いや、分からないですけど、復活は絶対すると思うので、辞めないでほしいっすね』 ──戦っていて復活するだろうなと分かるものがあったのでしょうか。 「朝倉未来の人間力ですかね」 ──それを感じたと? 「はい、感じます。(復活)しなくても、しても感じますししなくても感じます。辞めないでほしいっス」 ──朝倉未来観は変わりましたか? 「何も変わってないし、『俺も引退撤回したんであなたも引退撤回してください』っていう」 ──今回勝利しました。今後の展望・目標を教えてください。 「RIZINチャンピオンになったんですけど、もう1個、別のベルトあるみたいなので、それを獲りに行こうと思います」
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