MMA
インタビュー

【UFC】ヘビー級暫定王者アスピナル「新グローブはパッドが少ない。ナックルを硬くするために手をガソリンに浸した」×挑戦者ブレイズ「ヘビー級は異なる基準で評価されるべき」

2024/07/28 07:07

カーティス・ブレイズ(ヘビー級4位)「JJがパウンド・フォー・パウンドというなら、もっと試合をしないと」

──この試合は「暫定」タイトルでなく、正規タイトルとして認められるべきだと思う?

「これがリアルなベルトかどうかといえば、俺の考えでは本物のベルトだよ。ジョーンズ対ミオシッチは単なる引退試合だと思っている。失礼かもしれないけど、彼らはどちらもあと1、2試合で引退するだろうからね。だから、これは彼らにとって最後の大金を稼ぐ試合で、それで終わりだということさ」

──デイナ・ホワイトは、ジョン・ジョーンズについて熱心に話しています。

「デイナは世界で最も偉大なプロモーターの一人だからね。彼はどうやって盛り上げるかを知っている。それが彼の仕事であり、彼はその分野で最高の一人なんだ。だから驚かないし、実際には期待しているよ。最後の一滴まで、ジョン・ジョーンズで稼ぎたいんだろうし、みんなに見てもらいたいんだろう」

──ジョーンズがパウンド・フォー・パウンドという意見については?

「それならもっと試合をしないといけない。これはスキルの観点だけの話じゃないからね。試合をしていなければパウンド・フォー・パウンドにはなれないよ」

──あなたとアスピナルの初対決は、あなたが勝っているとジョーンズは言っていたが?

「俺もそう感じていた。みんなもその試合を何度も見たことがあるだろうけど、40回くらい見ても飽きないね。本当にリズムをつかみ始めていたから、勝っていると感じていたんだ」

──今回のアスピナル対策は?

「もっとパンチや打撃を使うことに慣れるために、少し小さい相手とトレーニングすることを増やしたよ。それが唯一の調整だと思う」

──ある時期、あなたはMMAに100%、真剣に取り組めていないと言っていた。真剣に取り組むようになったきっかけは?

「デンバーに移った時だね。それまでは基本的にジムでトレーニングをしていて、スパーリング相手もいなかった。運動神経とレスリングのスキルだけで、UFCと契約した。でも、ガヌーとのUFCデビュー戦の後、自分が成長するためにデンバーに移ってエレベーション・ファイトチームに参加した。それがキャリアで最高の決断だったと思っている」

──ヘビー級ファイターのMMAスキルについて、もっと評価されるべき?

「ほとんどのファンはハイライトしか見ていないと思う。セットアップの方法、ジャブを使ったり、スタンスを変えたり、インサイドローを使って相手を惑わせたりするのを見ていない。ただ、顔面にパンチが入って相手が倒れるのを見ているだけだ。デンバーの試合で友人のドリュー・ドーバーがブラジル人と(ライト級で)戦っているのを見たけど、本当に激しく打ち合っていた。ヘビー級ではそんなことはできない。軽量級のような打ち合いをしていたら、すぐに致命傷になる。ヘビー級ではジャブ一発で倒れることもあるからね。だから、ヘビー級は異なる基準で評価されるべきだと思う」

──12-6エルボーの解禁と、グラウンド状態の定義の変更についてどう思う?

「グラップラーにとって非常に有利だと感じる。多くの人がグラップラーを嫌っているから少し驚いているけど嬉しいよ。特にエルボーの解禁によって多くの技術が生まれると思う」

──同じシカゴ出身のベラル・ムハマドについてどう感じている?

「素晴らしいよ。同じエリアから2人の選手が出てきて、どちらもサウスサイドで育ったんだからね。シカゴにいた時に彼と出会わなかったのは不思議なくらいだ。もし、ちゃんとやるべきことをやっていたら、もっと早くベラルに会っていたかもしれない。でも、2人ともベルトを持ち帰るチャンスがあるのは本当に素晴らしいことだと思う」

──ゲームプランは?

「試合に入る時、これをしなければならないというゲームプランを持つことはない。それで罠にハマるかもしれないからね。プランは持たずに、その場に応じて動く。もしテイクダウンの機会があれば、それを狙う。機会がなければ、無理に狙わない。そして、打撃でも彼を倒せると信じている。もちろんテイクダウンして、自分の土俵に持ち込めれば良いけど、立った状態でも問題なく戦える」

──敵地で戦うことについては?

「何度も経験している。レスリングのバックグラウンドがあるから、他の高校や大学に行ってブーイングされるのが大好きだったよ。それがエネルギーになるんだ。UFCでは少し違って、皆の声は全く聞こえないんだ.オーストラリアでマーク・ハントと戦った時も、ファンの声は全く聞こえなかった。それにブラジルで戦う準備もしていたんだよ。正直言うと、ブラジルのファンの方がイギリスのファンより怖いって聞いているから、それと比べたら問題ないよ」

──ところでアレックス・ペレイラのヘビー級転向についてどう感じていますか。

「彼にとっては悪いアイデアだね。彼のために準備した計画を教えてあげるよ。すぐにタックルしてテイクダウンするつもりだ。彼を自由にテイクダウンできると分かっているのに、打撃戦に応じる必要は無い。彼もそれを知っているはずだから、対戦相手選びには慎重になっているんだと思う。タイ・トゥイバサや、ランキング15位くらいなら勝てるかも。でも、トップ5の生粋の重量級と対戦しても勝てないだろう。もしヘビー級で戦うなら、ぶちのめすよ。スキルというよりも、俺のほうが重い。ヘビー級では本当に重要なことなんだよ」

──敵地での試合は?

「クールだよ。少し歩き回ったけど、ファンはみんなリスペクトしてくれて、とても親切だ。アスピナルを応援するけど、君もいい奴だと言ってくれるファンもいる。それで十分だよ。尊敬さえしてくれれば、応援してくれなくても、好きじゃなくても構わない」

──ジョーンズとミオシッチは引退試合になると予測していたが、ジョーンズと対戦する機会がなくなるのは残念?

「少し残念だけど、それほど悲しくはない。ベルトを持っているし、お金も手に入る。他にも話題性のある試合はあるし、さらにお金も稼げる。満足さ」

──試合後にはまたトムとビールを飲む?

「そうしたいね。トムは尊敬できる男だし、特に問題はない。こういう試合が一番好きなんだ。純粋に技術で勝負する。彼は俺より2歳若いんだ。ここは医療も整っているし、彼とはまた戦わなきゃいけないだろうと思ってた。でも、ベルトをかけて戦うとは思ってなかったけどね」

──なかなかタイトル挑戦権を得られなかったことについては?

「2018年2月にマーク・ハントを倒して、6月にアリスターを倒した。それなのに、ダニエル・コーミエーとデレック・ルイスの暫定タイトルマッチが行われた。タイトルマッチに出るべきだったのは自分だ。その時が一番、俺は何をすれば良いんだよって思った。でもそれが理由で、ガヌーとの再戦を受けたけど上手くいかなかった。自分がオンラインで派手なことを言わないからチャンスを逃していることも分かっている。クレイジーな投稿をしないし、派手なインタビューもしない。それは自分で理解している。そうすることで不利になることも分かっている。でもそれが自分なんだ。レスリング出身だから、相手に悪口を言ったりしない。試合の前後で握手をする。礼儀正しい道を進んで、予想より時間はかかったけど、タイトルマッチの挑戦権を得たんだ」

──アメリカで再戦をしたかった?

「ファンも会場も関係ない。フェイスオフも関係ない。たぶん、俺はフェイスオフでは毎回負けているが、関係ない。ファンは彼を助けることもできないし、俺を傷つけることもできない。だから会場は全く関係ない」

──あなたは吃音のある人々を代表している一面もあります。多くの人からアドバイスを求められているのでは?

「そういう連絡は何年も前から受け取っている。自分が吃音の代表者として見られるとは思っていなかったんだけど、父も吃音があって、自分もそれを受け継いだ。遺伝的なものであって、CTE(慢性外傷性脳症)ではないと強調しておきたい。これが一番よく聞かれる質問だからね。娘も吃音があるから気がかりだ。子供たちは残酷だからね。吃音がある人や、吃音のある人と関わりのある人たちに、自分を見て、やりたいことが何でもできると感じてもらいたい。警官になりたければ警官になれる。父は警官だったし、最近退職したけどね。教師や宇宙飛行士、何でもいいんだ。吃音なんて気にしないでほしい。

 昔は、名前を聞かれた時に、『自分の名前も言えないの?』って思われるのが嫌だった。でも今では、逆に彼らを判断する。成長した大人が、自分の名前を言えないなんて思うほど無知なのかと。自分は吃音があるけど、それを乗り越えたんだ。でもそれには時間がかかった。27、28歳くらいまでね。高校の頃は、答えを知っていても手を挙げなかった。笑われるのが嫌だったんだ。吃音のある人たちにも知ってもらいたい。『もし人があなたを笑ったとしても、それは彼らの性格の悪さを示しているだけで、あなたに問題は無い』とね」

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.333
2024年7月23日発売
UFC6連勝で日本人初の王座を射程に入れた平良達郎、ペティス下した堀口恭司ら軽量級の雄を特集! RIZIN井上直樹×高木凌、K-1から金子晃大、玖村将史らを直撃。武尊×野杁×与座も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント