2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナにて開催された『ONE 172: TAKERU vs. RODTANG』の大会終了後、チャトリ・シットヨートンCEOが、大会当日に中止が発表されたONEフェザー級(70.3kg)キックボクシング3分3R、マラット・グレゴリアン(アルメニア/初代K-1スーパー・ウェルター級王者)vs.海人(TEAM F.O.D/SB世界スーパーウェルター級王者)についてコメントした。
「このような大きい試合に出る選手全員が試合をしたいはずです。恐れている場合はしない場合もあります。今回のONE 172の中で一番の見どころであった海人vs.グレゴリアンの試合がなくなったことは大変残念でもありましたが、おそらく一番簡単な道を選んだのだと思います」と、海人がグレゴリアンとの試合を恐れて戦わないことを選んだと発言。
海人は計量とハイドレーションテストを規定時間内にパスしており、グレゴリアンは3時間の規定時間内に姿を現わさず、規定時間外に計量とハイドレーションテストを行ったという。その際に海人側の立会人はいなかった(グレゴリアンが計量することを知らされていなかった)。
ONEのルール説明では「割り当てられた3時間の規定時間内にハイドレーションテストおよび計量を通過できない場合、その時間外に尿検体を提出し、その後計量ができる。これ以降、体水分状態が適切な状態で選手と対戦相手の双方の体重差が105%以内であれば、キャッチウェイトの交渉が可能になる」となっている。
その場合は「キャッチウェイトが合意に至った場合、選手はファイトマネーの一定割合を対戦相手に譲り渡す」との規定。
今回は交渉で不成立となったため、計量をパスしている方が不戦勝扱いとなるべきでは、と問われると「海人が試合をしないことを望んだことにより試合がなくなったので、戦いたいなら戦うべき。恐れを持っているから戦わない道を選んだのではないかと考えられます。今回計量が合わなかったのは僅かな差なので戦うチャンスはあったはずだと僕は考えます」とチャトリCEO。
さらに「試合はなくなって海人は勝利してないが、海人はファイトマネーは全部もらった。そこはクリアにしておきたい。でも本当のファイターだったら、これが5ポンド(約2.27kg)違ったら分かる。でも今回は300グラムだけ。海人は小規模なプロモーションで戦うべきだと思う」と、300グラムくらいのオーバーだったら戦うべきだと主張。海人は小さな大会で試合をしていればいい、とした。
しかし、海人陣営(所属ジムの代表)はこの発言に対してSNSにて反論。
「逃げたのはグレゴリアンで海人じゃない! 体重オーバーの事だけ言うてるけど、体重の事は仕方ないと思ってるし、1キロオーバーだろうと2キロオーバーだろうと、こっちはやるって伝えてるやろ!その上でこっちは、計量規定時間内まで待った。それでもこっちに連絡があったのは、グレゴリアンが、こんな事やってられへん言うて、計量に来てないって事の説明しかしてもらってないし、計量規定時間までに来なければ失格って聞いてるねん。
それでも試合に穴あけたくないし、楽しみにしてくれてる人にも迷惑かけたくないから、待ってたのに、なんの連絡もなしに、計量規定時間を1時間も2時間も過ぎて、計量に来て、勝手に計量してハイドレーションして、その上、体重もオーバーして、なんの謝罪もなく、ハイドレーションいけたから、ペナルティー払うから試合しろっておかしないか!
それやったら、計量規定時間もいらんやろ。そんな事が通るなら、その辺で喧嘩してるのと一緒やろ。体重超過の350グラムの事と体重オーバーした事だけクローズアップしてるけど、それ以前やねん!」と、「計量規定時間までに来なければ失格」と聞いていたという。また、規定時間が過ぎても待っていたにも関わらず、グレゴリアンが海人側の立会人がいないところでハイドレーションテストと計量を受けたことに強い不信感があったとする。
計量規定時間とは何なのか、と。日本の団体の多くは、規定時間内に計量に来なければ(交通事情や不可抗力での遅れは除いて)失格、計量を通過している方の不戦勝となる。または、体重超過した場合は規定の体重差ならば双方が合意のうえでグローブハンデ、減点、罰金の支払いなど複数のペナルティで試合が成立する場合がある。
海人陣営はONEの説明不足に対しての不信感から、試合を受けなかったとの主張だ。
また「あと、お金も1円ももらってないから、ホラばっかりふくな!」とファイトマネーは支払われていないとしているが、これはチャトリCEOが「もらった」と日本語で喋ったため、実際にはこれから支払うということかと思われる。それにしても、その旨は海人陣営に伝わっていない様子。
日本の団体とは違う様々なやり方が、海人vs.マラット・グレゴリアンという黄金カードを消滅させてしまったと考えられる。双方の間でどのようなやり取りがあったのか、海人陣営にどう伝わっていたのかは定かではないが、計量の規定時間内に現れず、体重もオーバーしているグレゴリアンではなく、海人が試合を受けなかったことが試合中止の原因だとするのは違うのではないか。