キックボクシング
インタビュー

【RISE】無効試合からの再起戦となる志朗、初来日南米選手と対戦「井上尚弥vs.ルイス・ネリのように軌道が読めないパンチが来るんじゃないか」

2024/06/27 14:06
 2024年6月30日(日)東京・後楽園ホール『RISE 179』にて、バンタム級(?55kg)3分3R延長1Rで“The Jewel”クリスティアン・マンゾ(アルゼンチン)と対戦するRISE世界バンタム級王者・志朗(BeWELLキックボクシングジム)が公開練習を行った。  前足重心でパンチ主体のミット打ちを行った志朗は、インファイトを意識した近距離でのパンチコンビネーションを繰り出すなど、ボクシング技術に磨きをかけたことがうかがい知れた。 狙っているのは蹴りです ――『ABEMA presents RISE ELDORADO 2024』で負傷した鼻の具合はいかがですか? 「全治1カ月ちょっとと言われていて、それまで安静にしつつ徐々にスパーリングとかをしていました。特に攻撃をもらってもいないので、普通に治りました」 ――今は鼻に軽く攻撃が当たっても大丈夫なんですね。 「全然気にならないレベルになりました」 ――全治1カ月の期間というのは、気持ち的にはどんな感じでしたか? 「完全決着をつけようと思っていたのがノーコンテストで終わってしまったので、その申し訳なさがありましたね。1ラウンド闘ってお互いに分かった部分があると思うので、当たりそうな攻撃や相手が狙っていた攻撃や危なかった場面とか、3分間しか闘っていないけど、チームでも話し合って分かったことは多かったです」 ――再起戦が久々の後楽園ホールになりました。久しぶりに“聖地”後楽園ホールに出場する気分はどうですか? 「タイにいた時もどこでも試合をしていましたし自分たちは格闘家なのでどんな場所でもやるべきことは同じです。素直にどこでも試合をやるぞっていうスタンスなので、そんなに特別な感情もなかったです」 ――後楽園ホールには何か特別な思い出はありますか? 「5ラウンド終了間際でのKOとか、1ラウンドKOの試合は後楽園ホールが多かったですね。あとはやっぱり観客との距離が1番近いじゃないですか。そういう意味も含めてすごい近くで見てもらえるので、観客全員にしっかり見てもらいたいです」 ――リング上からは、リングサイドに座っているお客さんの顔ははっきり見えますか? 「見えていますね。後楽園ホールの雰囲気は格闘技の聖地なだけあって好きですし、自分が他の人の試合を見にいく時も後楽園ホールだったらテンションが上がりますし、見やすいので楽しんで行ってほしいです」 ――今回の再起戦の相手は、アルゼンチンからやってくるクリスティアン・マンゾ選手になりましたが、試合映像はご覧になりましたか? 「何試合か見ましたけど、何をしてくるのか分からなかったです。日本人のスタイルはコンパクトにきれいにじゃないですか。だけどこの間の井上尚弥vsルイス・ネリのように軌道が読めないパンチが来るんじゃないかと思ったら、危ないパンチはあるのでそこは結構警戒しています」 ――その井上vsネリのように、1ラウンドが要注意ということになりそうですね。 「1ラウンドが要注意ではあるんですけど、逆に1ラウンドからいけるチャンスはあると思うので、すぐに決めれそうだったら決めにいきます」 ――先日のRISE WORLD SERIES 2024 OSAKAでの、田丸辰vsジョン・ヒョヌの試合はご覧になりましたか? 「見ましたけど始まったらすぐ終わっちゃったので、特に感想はないです。だけど蹴りは上手いなって思いますし、やっぱりトータルでできる選手だなというのは見ていて思いましたね」 ――試合後に田丸選手は「秋に横浜で闘いましょう」と発言されていましたが、そのメッセージはどのように受け止めましたか? 「お互い思っている事だと思いますし、年内完全決着というのは自分たち選手にとって1番やってほしい事なので、そこに向けて今回は内容も見せていかないといけないなと思っています」 ――今回のマンゾ戦をクリアしたら、田丸選手との再戦ということになりそうですか? 「そうですね。自分はそこも見据えて練習をしているので、今回の試合は期待してもらいたいです」 ――先ほどの公開練習でのミット打ちが、重心もかなり前に出ていてボクシング主体に見えたのですが、ボクシングは今やり込んでいる状態なんですか? 「日によってボクシングとキックを分けているんですけど、今回はボクシングスパーも結構多めにやっていて、毎週違う相手とスパーしているので毎回違う攻略方法を考えなきゃいけないという面も含めて、いつもと違う練習ができました」 ――どんなクラスの選手とスパーリングしていたんですか? 「クラスはそこまでトップではないですけど、プロボクサーの人でバンタムからスーパーフェザーなどいろんな階級、身長の人とやっていました。今回相手が外国人なので、何が来てもいいように対策も込めて色んなタイプの人とスパーリングしました」 ――南米選手特有のパワーにも驚かなそうですね。 「そういった点も含めて、パンチを振ってくる選手ともやりましたし、近い距離や遠い距離の選手など、ほとんどのタイプの選手とやりました」 ――パンチの当て方に重視を置いているんですか? 「やっぱり蹴りの方が得意なんですよね。だからパンチだけになった場合でも、圧倒できなきゃダメだなっていう思いがあるので、キックとパンチだけの練習の日を分けて練習しています」 ――ちなみに今度の試合は倒すとしたらパンチか蹴り、どちらになりそうですか? 「狙っているのは蹴りです。何パターンか見えているので、そこがはまればって感じですね。あと相手の身長も会ってみないと分からない部分がありますけど、パンチよりも蹴りの方を狙っています」 ――蹴りと決めている理由はありますか? 「最近の練習で良い感じに蹴りが当たってきていて、狙っている技のタイミングとか距離感が分かってきて、『そこではまれば絶対倒れるでしょ』って感じの技ができてきているからですね」 ――映像はあるにしても未知の相手だと思います。そういう相手と闘う時ってどんな気分なんですか? 「最近相手選手のセコンドかチームメイトか分からないんですけど、ちょいちょいインスタでDMが来たりリアクションみたいなメッセージが来るんですよ。海外らしいなって思うんですけど、そういう戦略なのか海外の選手は本当に何考えているのか分からないので気をつけなきゃいけないなと思いました。それがリングだと、日本人だったらジャブで来るところをフックやアッパーの連打で来るかもしれないので、そういった点もイメージしつつ練習しているので、何が来ても大丈夫です」 ――セオリーにない動きをしてくるということですね。 「やっぱり南米なので、怖いなと思います」 ――どんな内容のDMが来るんですか? 「自分が投稿したストーリーに『よろしく』みたいなメッセージが来て、面倒くさいからシカトしているんですけど、外国人らしいですよね」 [nextpage] 狙っている技は高確率で当たっています ――志朗選手がリングに上がる前に、戦略やプランを立てるというお話がありましたが、どちらかというと試合に入ってから考えるというよりも、大枠は試合に出る前に作ってからリングに向かうのでしょうか? 「基本的には試合が決まってからプランを考えています。試合当日に考えて攻撃を出しているっていう事は、体に染み付いていないと自分は思っているので、体が勝手に動くとか癖が治るまでが練習だと思っているので、試合当日には全てできている状態にしておきたいので、それまでの期間を自分は大事にしています。試合当日は考えても1つか2つくらいです」 ――自分が狙っているパターンを練習の中で繰り返しやるっていう事ですね。 「繰り返しと映像で見たり、あとは立ち位置や距離感を試したりしながら練習して、試合の時に同じ立ち位置や距離感になったら実践するっていう感じですね」 ――倒せる時は無意識の時が多いですか? 「この技を出そうとか考えて試合に臨んでいるわけではなくて、この距離でこのリズムでこの攻撃が来たら次はこれだなっていうのが、ある程度頭の中に入っているのでそれが試合で出ていますね」 ――ちなみに何パターンくらい毎回の試合で作るのかというのと、その通りにいく割合はどれくらいですか? 「作るパターンは1つの技に対して3つか4つは用意しているんですけど、プラスアルファでリスクを考えつつ、そのリスクを減らす練習をしています。それで倒すっていうのは少ないですけど、狙っている技は高確率で当たっています」 ――印象的なのはディーゼルレック戦でのハイキックなど、結構ハイキックが当たるタイミングが多いと思いますが、そういうのも今仰ったプランの中から出てくる技なのでしょうか? 「相手を下がらせてとか、相手が下がった時に合わせるとか、色々練習の中で試しながらその試合を意識しながら練習できるかが自分の中のテーマなので、そのテーマ通りにできていれば自然と出ているんじゃないかなと思います」 ――そういった中で、今回の南米の選手でパンチを振ってくるような未知の部分がある選手に対しては、どういったテーマで臨もうと思っていますか? 「何をしてくるのかも分かりづらいし対策もしづらいので、対策というよりは自分のスキルを増やしつつ、リスクを減らす練習をしていて、その中で倒す練習をしています。なのでシンプルな練習を入れつつ、自分の強さも上げていきました」 ――志朗選手は6月23日で31歳になりましたが、何か心境の変化はありますか? 「歳を取ったなと感じます(笑)」 ――どんな部分で感じますか? 「練習で違和感を感じたらちょっと休もうって思うようになりましたね。20代前半だったら「怪我してからがスタートでしょ」って思ってたんですけど、今はもう怪我をしたら1、2週間は動けない気がするので(笑)。ぎっくり腰とかもそうですけど結構危ないなって。だから練習量は20代前半に比べると減ったなと思いますね。合宿をしてもみんな10代とか20代前半なので、若いなって思います」 ――5月も鴨川合宿に行っていましたけど、周りの若さに勢いで押される事はありますか? 「勢いで押される事はないですけど、10代とか20代だったらもっと頑張れよって思います。同じ量をやるなよ、限界までやれよって。10代、20代は自分の限界を知って、ここまでいけば怪我をするとか。そこから調整をしていきます」 ――今回の試合が終わったら自分に何か誕生日プレゼントを買おうと考えていますか? 「全く考えていないです。試合以外考えられていないので、それくらい集中できているので、自分の勝利が少し遅れた誕生日プレゼントになれば良いかなと思っています」 ――最後にファンの皆様へメッセージをお願いいたします。 「6月30日は“聖地”後楽園ホールで久しぶりの試合ですが、メインイベントらしく良い勝ち方をするので応援よろしくお願いします」
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