ファイトキャンプが終わる頃には日本からの出稽古の選手も成長が見れる。それが嬉しいんだ
──あなたがさきほど言った圧力は、ハードな練習に裏打ちされていると感じます。そのタフなカーディオは、スパーリングでつけているのですか? ラントレなどもしているのですよね?
「いや、走るのは減量の時だけだ。俺はとにかくスパーリングをたくさんするんだ。実はこのインタビューの前にもジョニー・エブレン(現Bellator世界ミドル級王者)と5Rのスパーをしてきた。結構ハードなやつだ。本当に俺はスパーリングが大好きなんだ。戦う事で自分が保てるから、たまに試合の為のトレーニングでスパーをしている事を忘れるんだよな。だから『ショーン、お前は試合の為のトレーニングを今しているんだ。楽しむ為にスパーをしているんじゃない。お前の仕事の為だぞ』って言われるよ」
──スパーリングのことは以前も聞きましたが、そのスタミナもほとんどスパーでつけているとは……。パートナーも大変ですね。
「いまエクストリーム・クートゥアーには、トム・アスピナル(現UFC世界ヘビー級暫定王者)も来ているし、そういえば、日本人も俺のジムにいてスパーリングしてるぞ。名前は分からないが。実はジムに何人も日系がいるんだよな。みんな、すげーいいヤツばかりで大好きなんだよ。何がいいかって、ヤツらみんなナイスなのに、俺は『オイ、そこの弱いヤツ、女々しく戦ってんじゃねぇよ』みたいな事をいって本当ワルに見えると思うんだ。俺のこと、頭おかしいヤツって最初は思われるんだけど。ファイトキャンプが終わる頃には皆ちょっとハートも強くなっているように見えるし、その成長が見れるのが嬉しいんだよな」
──あなたがチマエフやアンカラエフら錚々たる面子のプロ練習を回して、ゲキを飛ばしている姿を見た事があります。そして率先して強い選手とスパーする。出稽古から帰る選手が逞しくなるのも分かります。
「そいつも確か無敗のヤツだったよ。Jiggly Puff(※ポケットモンスターの「プリン」の英語名称)って呼んでたけどな(笑)。とにかく日本人はいつもナイスでリスペクトがあって最高なんだ。それで俺に会うと俺は傲慢なアメリカ人だろ? 怒鳴るし、侮辱するし、だから俺と過ごすと皆ちょっと鍛えられている気がしてそれが本当にいいんだよ。みんな礼儀正しいだろ? それがまた腹立たしくてさ(笑)。『おい、俺は今からお前を殴って鼻でも折ってやろうと思ってるんだから、ナイスでいるのは止めてくれよ。かかって来いよ。俺を痛めつけていいんだから。そんで俺のことを『クソヤロー』って言っていいんだ、って」
──あなた自身が遠征した出稽古先でもそうですね。誰とでもやる。日本に来たときも、練習したくなるんじゃないですか。
「そう。日本に行くのにワクワクしている理由はもう一つあって。俺はPRIDEを見て育ったんだ。PRIDEはUFCよりずっと最高だった。マジで学校の課題も放置してずっとPCでPRIDEを見てたんだ。あのドラムも本当大好きなんだよ、PRIDE。最高だ。UFCとPRIDEが対抗戦やっただろ? ジェフ・モンソンとか、チャック・リデルも最高だけど。対抗戦ではアリスター・オーフレームを応援したりな」
──PRIDEのルールセットについてはどう思う?
「俺が言えるのは、PRIDEはマジで残忍だったよな。“弱い男”には無理なんだよ。サッカーボールキック、いいよな。グラウンドヒザなんて、いまじゃ蹴られたくないからわざわざマットに手を着くやつもいる。復活しねぇかな。垂直エルボーもな。また採り入れてもいいんじゃないか? ヤバい、ちょっと懐かしくなってきたな。この試合でしっかり勝って早く日本へ行きたい。そこでセッションしようぜ」
──了解です。では最後に日本のファンにメッセージを。
「日本のファン、みんな聞け。お前らみんな礼儀正し過ぎるんだよ。もっと怒れ。もっとフィジカルにだ。もっとバイオレントになれ! だが、皆マジで大好きだ。お前らの為に相手を血まみれにしてやるからな。ぜひ、U-NEXTで俺の試合を見てくれ。そして、みんな、2週間後に日本で会えるのを楽しみにしているよ」