「殺し」を持っているヨンジェを引きずり込む
──なるほど。打撃の向上が上下の組みに繋がり、レスリングの組みがグラウンド打撃に生きる、MMAとしての進化ですね。さて、RTU1回戦の相手は韓国のソン・ヨンジェ選手となりました。相手の印象はいかがですか?
「きれいなボクシングができて、あとは“殺しを持っている”という感じです。
──戦績が6勝無敗1ドローで、プロの試合すべてでフィニッシュ勝利を挙げています。早いラウンドでのKOが多いという点はいかがですか?
「僕のほうはどんどん、どんどん引きずりこんで、苦しい試合をできればなと思っていますから、逆に向こうがスカ勝ちできなくて苦しい試合になっていったときの準備をどこまでしているのかというところですよね。」
──ドロドロの試合をしてやろうと決めているのですね。
「はい。そうなれば僕が勝つし、そうならなければ1Rで僕がぶっ倒れているっていう感じで(笑)」
──その点で言うと、ドロドロの試合になってからどういう選手なのかはかなり未知数なところも。ヨンジェの組みに関してはどのような印象ですか?
「見ている感じだと、弾き飛ばすバネのような意味での体の力が強いと思うので、力づくで組み技をきってくるような想定はしています。自分は最終的にはやるべきことは変わらないのでそこに向かってとにかく走り続けます」
──先ほど相手選手の印象として「殺しを持っている」ということでした。ワンツーのツーのタイミングが速く、右ストレートから左ボディの対角攻撃でのKOもあり、危険なパンチを持っていると思いますが、どこが鍵になると思っていますか?
「立ち合いでのプレッシャーの掛け合いの勝負だと思っていて、相手にとっても僕のテイクダウンは怖い部分だと思うので、もしかしたらあのワンツーは出せないかもしれないし、僕が立ち合いでビビって引いてしまったら、もう相手の射程に入ってしまうので、1Rの一番最初の入りが大事だと思っています。最初の1分、2分が重要ですね。1Rで自分がどう形を作れるのか。型にはめられれば最高ですが、うまくいかずに相手の体の力で切られて、立たれてもまた自分がプレッシャーをかけ続けられるか。そこはもう、ある意味自分との戦い的な部分があると思います。
あとはもう僕が自分の形が作れそうな時に、たとえばスタンドでバックが取れそうなときに思い切りアームロック仕掛けてくるといったような、そういう飛び道具の一発を狙ってくる可能性があれば脅威ですが、そういう選手ではないように思います」
──相手を想定した選手役を誰かにやってもらうなどの対策も?
「毎回そんなに相手はこうという意識はせずにやっています。テイクダウンして徹底的に押さえながらずっとコントロールし続けて、相手がバテるまで引きずりこむというベースが自分にはまずありますから。どちらかというとそういう自分のやるべきことを徹底していくための練習をしてきました。最初は押さえるだけになっていたというか、押さえることが目的になっていたのを、押さえながら相手が動いてきたら叩こうとか、相手が萎えたら一本取ろうとか。パンチを振るにしても一本取りに行くにしても、力がいることですし、そこには勇気も必要になるので、そういう怖さと戦いながら、ベースを積み上げてきた感じです」
──理想のフィニッシュは?
「一番いいのはパウンドを効かせて、一本を取れるといいですが、そう甘くはないとは思っています」