2024年3月15日(金)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催される『ONE Friday Fights 55』第1試合のバンタム級サブミッショングラップリングマッチにて、日本の石黒翔也(カルペディエム三田)と寒河江寿泰(今成柔術/トイカツ道場)が対戦する。
▼バンタム級サブミッショングラップリング 10分1R石黒翔也(カルペディエム三田)寒河江寿泰(今成柔術/トイカツ道場)
石黒は柔術衣を着た柔術も、道衣無しのノーギグラップリングも戦う柔術家。2023年12月のIBJJFシドニーオープンでは、ギ&ノーギともにメダルを獲得。ギはフェザーで優勝、無差別では3位、ノーギはフェザーで優勝し無差別で準優勝という好戦績を挙げている。また、2022年のIREでは寒河江の師匠の今成正和と掌底ありルールで戦い、勝利するなど柔術家の枠を超えた戦いを見せている。
対する寒河江もIREで倉本一真と対戦するなど、今成正和の一本を獲りに行くスタイルの後継者。柔道出身で柔術も戦うグラップラーで、2023年11月のADCCアジア・オセアニア予想では初戦を一本勝ちも2回戦で敗退。ONE FF初参戦で今成ゆずりの足関節を見せるか。まずはONE公式による石黒のインタビューから紹介したい。
外回りの動きをする寒河江選手と戦った時にどうなるのかっていう緊張感、楽しみがある
──タイに火曜から入りましたがいかがですか。
「まだ着いたばかりで、あとはホテルと会場の移動とかだったので、まだタイの暑さくらいしか満喫できていないですね(笑)」
──ONEでの初めての試合、ルンピニースタジアムでグラップリングマッチに臨む心境を教えてください。
「僕、全然ムエタイとか詳しくないんですけど、ルンピニースタジアムは聞いたことはありました。ジムの会員さんとかにルンピニーで試合をすることを言ったら『え、あそこでやるんですか!?』ってめっちゃ驚かれました。あそこはムエタイの聖地だから、寝技をそこの会場でやるっていう感覚が新しいのでびっくりされましたね。でもリングですよね。だからまた違う雰囲気なんだろうなと。観客もMMAやムエタイを見たい人たちが多いと思うので、どういう雰囲気になるのか楽しみですね」
──普段はオープンなマットで練習されていると思いますが、リングで戦うことにはどう感じていますか。
「リング際の攻防についてはまだよく分からないですね。出ちゃったらどうするのかとか。ケージだったら出ることはないので。リングは使いづらそうですね」
──ONE初戦が日本人対決になったことについては、どんな気持ちでしたか。
「話が来た時、日本、アジアからONEの選手を輩出したいんだなっていう想いみたいなのを感じました。ある意味今回は日本人対決ってことで、選別するために組まれたのかなって思います。ここで勝って日本で強い選手っていうのを証明できれば、次のステージに行けると勝手に思っています」
──今回の試合に向けた練習環境を教えてください。
「今回、セコンドに来ていただいている竹浦(正起)さん。首藤(健二)くん、サブミッション(高橋)くんとか、すごい足関が上手ですね。オファーがあったのが割と直近だったから、対策っていうのは難しかったです。ある程度、寒河江選手の強い部分は知っていたので、アジャストしてきた感じですね。実は、12月末に怪我(練習中にヒザの靭帯を負傷)してから1カ月半くらい練習をしていなかったんです。ちょうど練習復帰しようかなというタイミングでの試合オファーだったので、対策っていうよりも今までの実力を見せる感じですね」
──ONEルールのサブミッショングラップリングは初めてですね。どんな印象を持っていますか。
「めっちゃ良いルールだと思います。僕はポイントを取るルールがあまり好きじゃないです。普段はそっちの土俵で戦っているんですけど。僕はあまりポイントを取って勝とうっていうスタイルじゃないので。極めて勝つことを目指していつも戦っているので、そこに100%注げるのは良いルールだと思います。下から返されて、“あぁポイント取られた”とか点数のことを考えるよりも、“いかにどこでサブミッションを狙うか”っていうのは、自分と相性が良いと思います。判定とかで2人とも動きがない試合で終わるよりも、極まって勝ち負けが決まる方が良い」
──寒河江選手の印象は?
「得意なのはKガード、アームサドルとか。その二つっていうのは遠い位置と近い位置を狙うもの。それをうまく使い分けている選手ですね。遠い位置でも近い間合いでも安全ではないと思っています。寒河江さんも柔術をやっていると思いますが、僕は柔術をメインでやってきて、(ノーギ)グラップリングを始めたのが3年前くらい。だからどっちかっていうと僕は柔術ベース。
対して、寒河江選手はおそらくグラップリングのベースですよね。なので相性っていうのはやってみないと分からない。僕が練習している選手は“内回り”の選手が多いので、“外回り”の動きをする寒河江選手と戦った時にどうなるのかっていう緊張感、楽しみはあります」
【写真】IREの掌底ルールで寒河江の師匠・今成と対戦している石黒。
──試合展開の予想は?
「試合展開はまだルールをしっかり見ていないので分からないのですが、僕は相手のゲームに合わせようと思います。相手が立ちをやるなら下に行くし、下に行くなら立ちをやるし。そうしないと長い時間こう着状態が続くと思うので。自分の得意なところで戦うのは大事だけど、相手に合わせて試合を面白くして勝つっていうのをしたいです。だから試合展開は“相手次第”ですね。僕は結構オールラウンダー、どこからでも攻められる選手なので、ゲーム展開については心配していないです」
──試合は190カ国に生中継されます。
「自分が出る大会では一番大きな大会です。なので、その大勢の人たちにグラップリングの面白さ、それに自分のファイトスタイルを見せたいです。自分は型にはまっているタイプではないので、色々なところからアタック、リスクを取って戦うタイプなので。こう着しない戦いになるようにしたいです。
今回がフライデーファイツでは初めてのグラップリングだと思うので、今後のグラップリングの試合に関わっていくと思うので、自分の勝敗もそうですが、勝ってもつまらない試合はしたくないので、思いっきりアタックしていきます。みんながテレビの向こうで盛り上がる、“グラップリング面白い!”って思ってもらえるように頑張りたいです。ONEでは今後も戦っていきたいと思っていますし、その可能性に繋げるための大事な1戦が明日ですね。本大会で戦っていくために。最終的にはマイキー・ムスメシと戦いたいです。そこを目指してマイキーに敗れた選手達と最初当たるのかなと勝手に思っているんですけど、そういう選手に確実に勝ってマイキーと戦いたい。それが目標です。今回、運よくチャンスをいただいたので、それをモノにできるのか、自分自身でも楽しみです」
──最後にファンへメッセージを。
「いつも応援してくださる皆さん、ありがとうございます! 今回は、ONEで初めての試合です。日本人対決ですが、相手もとても強いグラップラーなので面白い試合になることは間違いないと思います。必ず一本を極めて勝ちます! また、これは僕の始まりであり最初のスタート地点なので、そこを楽しみに応援よろしくお願いします。ご期待ください」