(C)ゴング格闘技/Wakahara Mizuaki/ONE Championship
2024年1月28日(日)東京・有明アリーナで開催された『ONE 165』のメインイベントで、武尊(team VASILEUS)がONEフライ級キックボクシング世界王者スーパーレック・キアトモー9(タイ)に挑戦。5Rの激闘を繰り広げるも判定負けを喫した試合に、武尊と交流のあるラジャダムナンスタジアム三階級制覇王者の吉成名高(エイワスポーツジム)が決意をあらたにした。
試合前に本誌『ゴング格闘技(NO.330)』で対談を行っていた武尊と吉成。
大一番を前に、武尊は、「今回の試合は我慢勝負になると思っています。お互い、後半になるにつれて削られていくことになる。相手は蹴りも強いので、ロー、ミドル。ヒザ蹴りもガンガン来ると思います。とことん我慢して、最後に倒したい」と、5Rの死闘を予想し、最後に勝つと覚悟を示していた。
その言葉に、吉成も「スーパーレック選手はローキックがめちゃくちゃ速いので、その蹴りのスピードが見どころだし、武尊選手は圧の強さとそこからのパンチの回転の速さ、止まらない手数のスタイルを見たいです。どちらにしても終盤勝負になると思います」と、互いの強さが真っ向からぶつかりあう試合になると予想し、武尊にエールを贈っていた。
吉成名高はずっと声を張り上げて
— PaniCrew YOHEY (@sskingmaster) January 28, 2024
武尊選手の応援をしていました。
そして最後の武尊選手のコメントを聞きながら何かを言おうとしていた...
武尊選手の気持ちを背負って
2月12日のラジャの3階級制覇を賭けたタイトルマッチに絶対挑んでくれるはずだ!!… pic.twitter.com/C65l4UyvQ4
果たして、試合は両者の予想通りの激闘に。序盤からカーフキック、ローキックの打ち合いのなか、長くて速いローを当てるスーパーレックに武尊はダメージを負うが、3Rには武尊が怒涛のボディ打ちの連打でスーパーレックを追い込む場面を見せた。窮地を凌いだ、スーパーレックは得意のヒザ蹴りで応戦。最後は互いに死力を尽くした5Rで、判定3-0でスーパーレックが勝利した。
💥🦵強烈なローキック🦵💥
— ONECHAMPJP (@ONECHAMPJP) January 29, 2024
スーパーレック👑が容赦なく
武尊に浴びせたローキックをリングサイドから😱#ONE165 の試合を見るならABEMA PPV👉 https://t.co/cA6QZsWDtd#WeAreONE #ONEチャンピオンシップ pic.twitter.com/DdeIcha3kr
武尊🇯🇵の3ラウンドの猛攻を
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試合中、武尊の攻撃に観客席から力いっぱい「オイ、オイ!」「オーイィ!」と声を挙げる吉成は、スーパーレックのローを被弾する武尊に「足が効いてるからね……ヤバい」と心配し、ゴングに拍手を贈っている。
判定で敗れた武尊は、試合後のリング上で、「この試合は期待通りでしたか?」と問われ、「いや、絶対勝って世界一を証明して、ずっと応援してくれてたファンの人たちだったり、 今日会場に集まってくれた皆さんだったり、PPVで見てくれるみんなにパワーを与えたかったんですけど……」と語り、場内の大歓声に言葉を詰まらせた。
そして涙をこらえることが出来ず、泣きながら、「もうそのために今できる、今の体でできる限界ギリギリのところまでやりました。絶対に勝って、みんなに『武尊についてきてよかった』って思ってもらいたくて、死ぬ気で頑張ってきたんですけど……いま本当、地震とかいろんなことがあって、皆さん辛い思いしたり苦しい思いをしてる人がたくさんいると思うし、そういう人たちに僕が命がけで戦って、みんなにパワー与えて“頑張れば絶対いいことがあるんだよ”っていう風に見せたかったんですけど……、今僕ができる限界がここまでです。これ以上はもう、これ以上、僕は体作れません……」と、言葉を振り絞った。
そのとき吉成は、リング上の武尊に何かを叫ぼうとして、言葉を飲み込んでいる。
続けて武尊が「ほんとうに、今日は集まっていただいて本当にありがとうございました。僕を信じてずっとついてきてくれたファンの皆さん、本当にありがとうございました」と語ると、吉成は大きな拍手を贈っている。
2月12日(月・祝)には後楽園ホール『Rajadamnern World Series JAPAN』(RWS JAPAN)で、正規王者プレーオプラーオ・ペップラオファー(タイ)と「ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級王座統一戦」が決まっている暫定王者の吉成は、武尊の試合に、「ものすごい試合に刺激をいただきました。自分も明日から頑張ります」と大いなる刺激を得て、次は自身の大一番に向かう。
あれほどのローキックを受けても倒れなかった武尊。同時にあれほどの武尊のボディ打ちを食らっても耐えきったスーパーレック。信じがたいタフネスを見せて、歴史に残る死闘を繰り広げた両者の試合は、多くのファイターや格闘技関係者、格闘技ファンからも反響を呼んでいる。
会場観戦した皇治は「たけぽん、お疲れさん。ありがとう」と記し、平本蓮も現地から、「スーパーレック当たり前だけどめちゃくちゃ強かった。判定で敗れはしたけど、今日の武尊選手は世界中の強豪外国人を相手に子供の頃に見てきた死ぬ気で身を削って戦う侍魂を持つ、K-1選手のかっこよさがめちゃくちゃ詰まってた! かっこいいもの目の前で見せてもらいました!ありがとうございました」と素直な思いを綴っている。
また梅野源治は「武尊選手の気持ちの強さには驚いた!! 右ローをあれだけ食らったら普通は倒れてる。この試合にかける気持ち、試合を見れば凄くわかる。伝わってきた。最高の試合を魅せてくれた武尊選手・スーパーレック選手、二人に感謝」と、武尊の恐るべき根性を称えている。
試合後、病院に直行した武尊は会見には出席できず。
29日午後5時36分にXを更新し、「沢山のコメント、メッセージありがとうございます。みんなからの言葉に元気もらってます。僕の戦いが誰かの生きる力になってくれてたら幸せです。スーパーレック選手本当に強かった。腿は筋断裂、今は歩くことも出来ないし、何も考えれないけどしっかり前向いて生きます。少し休んで自分の中で答えを出してまた報告させて頂きます。沢山の応援本当にありがとうございました」と、ファンに感謝の言葉と、現状を報告している。
沢山のコメント、メッセージありがとうございます。
— 武尊 takeru (@takerusegawa) January 29, 2024
みんなからの言葉に元気もらってます。
僕の戦いが誰かの生きる力になってくれてたら幸せです。
スーパーレック選手本当に強かった。
腿は筋断裂、今は歩くことも出来ないし
何も考えれないけど
しっかり前向いて生きます。… pic.twitter.com/KXbF02ZYID