「ヤン坊が必殺の右を決めるか、粕谷がグラウンドで制圧するか」(マモル)
注目試合②
▼第11試合 PANCRASEライト級次期挑戦者決定戦 5分3R
粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)
雑賀ヤン坊達也(DOBUITA)
「この試合は亀井vs.平田同様、組技vs.打撃ではっきりしている試合になると思います。グラウンドの展開が優勢な粕谷選手は絶対にテイクダウンしてコントロールからフィニッシュまで行く、という戦いをしたいだろうし、ヤン坊選手には伝家の宝刀である右のパンチがある。この二人も10cmの身長差があるので、一発で倒す力があるヤン坊選手が、粕谷選手に組ませずにワンパンチで決めるのか、見逃さないようにしたいですね。
あるいは粕谷選手がうまくテイクダウンしてグラウンドの展開に行けるか。フィニッシュもあるから、バックチョークなどを極める可能性もあるかもしれません。僕としては粕谷選手みたいなスタイルの面白さを伝えたいというのもあるので、当日は彼がテイクダウンしてグラウンドでの攻防になった時の細かい技術解説を大沢ケンジさんに頑張ってもらいたいところですね!」
──ケージ内のグラウンドの攻防をクローズアップして、解説を聞きながら観られるというのは配信の強みですね。
「そうそう。とにかくどちらに転がってもおかしくないし、その日、噛み合った方が勝つというのが格闘技ですけど、そういう中でも、今この階級は層が厚い。というのも実はこの試合を選んだ理由はもうひとつありまして。挑戦者決定戦というこの試合の勝者は、ライト級チャンピオンのアキラ選手に挑戦することになります。
僕は王者のアキラ選手のことを数年間コーチしていた立場ですし、いまだに繋がりもある仲間なので、このどちらかと当たることになるのはやはり気になります。正直どちらが勝っても“アキラやばいな”と思わされる強敵ですから。粕谷選手よりもさらにアキラは小さいので、ヤン坊選手のロングリーチから伸びてくる一発は脅威ですし、粕谷選手のグラウンドの能力も危険です」
PANCRAE330 雑賀ヤン坊達也 VS. シュウジ ヤマウチ
──勝者がチャンピオンへの挑戦権を得るということで、二人がぶつける気持ちの面も大きいでしょうか。
「そうですね。僕は粕谷選手が試合に勝ってインタビュールームに来てくれるたび、『次はタイトル?』なんて聞くんですけど、彼はいつも『いや……別に』と。まあもともと言葉数の少ないタイプで、UFC経験もありますけど、その頃もカメラの前で全然話せなくて怒られたという話も聞きました。それで『え? そうなの?』なんて返すと『試合が組まれれば』という答えが返ってきます。
それを見ていて思うのは、結局は一戦一戦の積み重ねでしかないから、目の前の試合に完全に集中して“絶対に負けない!”という戦いをしていれば、やっているうちにここに来たと言うだけなのでしょうね。それが飄々として映るのかもしれない。だからいつも通りしっかり準備している、ということでもあるだろうし、今回はさらにそれ以上で仕上げてくるに違いない。お互いにそうでしょうね。ヤン坊選手は以前ベルトに挑戦したけれど届かず、RIZIN参戦などもあって再びチャンスが回ってきました。もし今回勝ったら試合後にどんな話が聞けるのかな? と想像するのも僕としては楽しみです」
──ヤン坊選手は打ち合い上等で、仕留めどころで行くタイプ。勝っても負けてもKOという豪快さがあります。
「MMAって、一発当たったら倒せる選手がバッと仕掛けて倒すか倒されるかって言うのはあることで、そこでディフェンス度外視になったりする瞬間もありますからね。対海外という志向が強いことも含めて、これから自分がいちばん心・技・体で、技術的にもいい状態で良い結果を残せることが理想だと思いますので、そうなる前に打たれ弱くなったりということがないように、技術を身につけていくことは大事だなとも思います」