MMA
レポート

【Naiza FC】圧倒的なレスリングで福田龍彌をコントロール、エレンガイポフがフライ級王座防衛。ナカムラは元UFCジュマグロフに初回TKO負け、フェザー級はカブドラハマノフが新王者に

2023/12/06 21:12
【Naiza FC】圧倒的なレスリングで福田龍彌をコントロール、エレンガイポフがフライ級王座防衛。ナカムラは元UFCジュマグロフに初回TKO負け、フェザー級はカブドラハマノフが新王者に

(C)NAIZA FC

 2023年12月6日(水)、カザフスタン バリスアリーナにて『Naiza FC 55』が開催された。

 日本から、元修斗世界フライ級王者で現DEEPフライ級暫定王者&DEEPフライ級GP優勝の福田龍彌(MIBURO)がメインイベントに登場。また、DEEP3連勝中のマサト・ナカムラ(レンジャージム)がセミファイナルに出場した。

▼Naiza FCフライ級選手権試合 5分5R
〇ディアス・エレンガイポフ(カザフスタン)王者・15勝3敗
[5R判定3-0] ※50-45×3

×福田龍彌(日本/MIBURO)挑戦者・21勝8敗1分
※エレンガイポフが王座防衛

 福田は、DEEPフライ級GP4試合も含め、8連勝中。2023年9月の前戦『RIZIN.44』では、山本アーセンと対戦し、巧みにジャブを当てて、距離をコントロールした福田がペースを掴み、2Rにはアーセンのカーフを見切り、テイクダウン狙いも切って流れを掴むと、3Rにパンチでアーセンの右眉をカット。さらに左目も塞ぎ、TKO勝ちとなっている。

 試合後に福田は、「フライでやるんだったら、日本人相手に作るより海外勢と。現に8連勝しているので。日本を代表して海を渡って、このスキルで。それが海外の人らにどう通用するか確かめたい。日本でやるよりかは、人生として考えたらいい。海を渡ってみたいという気持ちがあります」と語っていた。

 福田が挑戦するディアス・エレンガイポフは、3月の『Naiza FC 50』でラジザホン・ウズベコフに4R ギロチンチョークで一本勝ちで新王者となった。今回が初の防衛戦となる。

 28歳でスイッチヒッターのエレンガイポフは、14勝中6つのKO・TKO勝ち、6つの一本勝ちと、打撃でもサブミッションでも試合を決める、決着率86%のフィニッシャーだ。

 右でも左でも強いオーバーハンドを振り、左右ロー・左ミドルも強力。レスリングではシングルもダブルも、ケージの有無にかかわらずいずれもこなす。相手のレッスルアップにがぶりを合わせてのハイエルボーのギロチンチョークや、相手の頭が下がればすぐにニンジャチョークやダースチョーク、ブラボーチョークを狙うなど首系を得意とするが、バックテイクからのリアネイキドチョークも3つマークしている。

 3月のウズベコフ戦では、4Rに相手の低いダブルレッグをがぶり、アームインギロチンチョーク狙いからノーアームギロチンに切り替えてそのままマウントで絞め上げて、タップを奪っている。組みの強さからか、これまでKO・TKO負けしたことはないタフファイターだ。

 サウスポー構えの福田にとって、同じサウスポーで構えてくる可能性もあるエレンガイポフの左右のオーバーハンドに注意し、組みの圧力には頭を下げたくない相手だ。

 キャリアの初期に一度RNCによる一本負けを喫しているものの、2つ目の判定負けを4年前に記録して以降は、負けてないエレンガイポフを相手に、福田は精緻なスタンドを軸としたMMAで上回ることが出来るか。注目のタイトルマッチだ。

 12月1日の『ONE Friday Fights 43』のONEストロー級(※56.7kg)では、DEEPフライ級GP準優勝の本田良介(タイガームエタイジム)がONE初参戦し、フィリピンのデイブ・バンギギに左ハイを効かせてテイクダウン&バックコントロールで判定3-0勝利したばかり。DEEPフライ級GPファイナリストは、ともに海外強豪相手に白星を掴みとれるか。

 右手で胸を叩いてからケージインした福田。続けてエレンガイポフは子供たちに先導されて花道を進む。

 1R、ともにサウスポー構えから。中央を取るエレンガイポフ。福田は右ジャブ。エレンガイポフも右ジャブを返す。シングルレッグで詰めて尻下でクラッチして持ち上げ中央側にリストしテイクダウンはエレンガイポフ!

 クローズドガードの福田は下から三角絞めも、ヒザ裏では組めず。肩を出して横にかついで抜いたエレンガイポフはサイドに。左手で1発鉄槌のエレンガイポフに腰を切って片足を戻した福田。ハーフから左でオーバーフック。金網まで動き上半身を立てて、立ち上がり!

 すぐにダブルレッグに入るがエレンガイポフは強いレスリングでテイクダウン。福田の立ち上がりにサイドバックからヒザ。パンチを入れる!

 2R、ワンツーの左をかすらせるエレンガイポフ。福田も左を振って前に。右ジャブのダブルを突くが場内は沸かず。エレンガイポフの左オーバーハンドに拍手が起こる。右ハイをガード上に突くエレンガイポフ。福田は左ストレートで入るが、それをかわしたエレンガイポフはカウンターのダブルレッグテイクダウン! マット中央でクローズドガードになる福田に、頭を胸につけるもいったん体を離して、福田の蹴り上げをさばいてパス! サイドから右で枕、左で脇差し。

 ここもブリッジから足を戻す福田はハーフに。時折左のパウンドのエレンガイポフだが、決定打を打たせない福田。ニーシールドにしたところでホーン。

 3R、近い距離に行く福田。間合いを取るエレンガイポフは遠間から左オーバーハンドをガード上に突いて左右ステップ。追う福田に右の飛び込みを突く。ジャブを突いて圧力をかける福田。ジャブの刺し合いは福田が制するも、エレンガイポフは組みに。シングルレッグで金網まで押し込むと右で小手に巻く福田は金網背に。

 左差しからダブルレッグに切り替え、脇を潜るエレンガイポフに正対する福田だが、身体が伸びたところをエレンガイポフはボディロックテイクダウン。腹から落ちてすぐに立つ福田になおもついていき、足を束ねようとするが、足を抜いた福田は金網背に片ひざ立ち。その立ち上がりに福田を肩口にかつぎ、後方に投げる水車落としのビッグテイクダウンはエレンガイポフ!

 4R、詰めて右ボディストレートの福田。オーソに変えるエレンガイポフに右ストレート! しかし、ここもダブルレッグテイクダウンはエレンガイポフ! ケージ背に福田は右小手巻き立つが、押し込むエレンガイポフに、福田は左ヒザ!

 ぴくりとも沸かない場内だが、嫌ったエレンガイポフが離れる。詰める福田。右の打ち合いからついにエレンガイポフの組みを切った福田が前に。金網を背にしたエレンガイポフだが、ここでシングルレッグから回ってテイクダウン! ここもケージレスリングではなくてもテイクダウンを奪えるレスリング力を見せる。サイドを奪うエレンガイポフは福田にケージを蹴らせないように動かすとマウントを奪ってコントロールしてホーン。

 5R、先に中央に出る福田。エレンガイポフの右ジャブに左アッパーを狙うも空を斬る。右ジャブで前に出る福田は左に繋ぐが、サークリングするエレンガイポフ。さらに左で詰めるが、そこを潜り組むエレンガイポフ。左で差してシングルレッグをヒザ上に乗せる形でテイクダウン。すぐに片ヒザ立ちになる福田だが後手に。

 金網使い立とうとする福田に左で差して押し込むエレンガイポフ。残り2分20秒。突き放した福田は追って右を振るが、ここにカウンターのシングルレッグはエレンガイポフ。スプロールする福田に足を手繰りダブルレッグテイクダウン。立ち上がる福田の背後からヒザを突き、残り1分。

 正対した福田にボディロック狙うエレンガイポフ。差し上げようとする福田にまたも正面から脇潜りスタンドバックにつくと、エレンガイポフはジャーマンスープレックス! 立とうとする福田をコントロールして5R目のホーンを聞いた。

 驚異的なスタミナで最後まで力が落ちなかったエレンガイポフ。打撃のなかでカウンターで組んで盤石の動きで福田を完封した。

 判定は3-0(50-45×3)でエレンガイポフがフルマークで勝利し、王座防衛。福田も手を叩いて勝者を祝福した。 ケージの中で敗因を問われた福田は、「完全に実力不足ですね。すごいディアス選手、強かったです。(また戦いたい?)ちょっと自分の実力不足と向き合って、また強くなったら戻ってきたいと思います」と語った。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント