RIZINはルールセットが全く違う。目指している世界と異なる
──そんな怪我があったのですね……。PANCRASEでの国際戦では、ナザレノ・マレガリエ、カイル・アグォンに判定勝ちと2連勝。その後も、2020年7月にアキラ選手に判定勝ち、直近では中島太一選手との防衛戦が2021年5月で判定勝ちで、その中島選手は現在バンタム級王者、アキラ選手はライト級王者です。
「やっぱり両者ともにすごい強い選手でしたので、チャンピオンにふさわしい選手だなっていうのは肌で感じましたね」
──両者に勝っているISAO選手には5年間、黒星はついていません。自分がいる以上、フェザー級の王者にはさせないぞという思いも?
「もちろん、自分の階級で戦うのであれば(笑)、そうです」
──PANCRASEフェザー級は活況だと思いますが、どのように見ていましたか。
「PANCRASEも選手がものすごく増えてきていて、どんどんレベルアップしてきている中で、やっぱり自分がずっとチャンピオンでいたので、もっと1ランク、2ランク上のレベルでやっていきたいなっていう思いがずっとあって。だから“高見の見物”じゃないけど、そういう感じで見ていました。自分は海外との契約を進めたかったし、国内で試合をするという想定ではいませんでしたから」
──『フェザー級 日本人トップ』の一人と謳われるISAO選手は、Bellatorとの契約が発表されるまで、よくRIZIN参戦が噂されていましたね。朝倉未来選手の対戦相手として榊原信行CEOが名前を挙げたこともありました。ご自身としては世界に挑戦する前にRIZINに参戦して、国内で名を上げるという選択肢は考えなかったでしょうか。
「やっぱりそこはやっぱりブレずに、自分の目標とするところ(海外進出)に向かって進むことだけを考えていました。RIZINについては“違う競技”とは言わないまでも、ルールセットが全く違ってしまうので、戦い方がいろいろ変わってくるだろうなというのもあって、自分が目指している世界は、ケージでやっていてユニファイドルールなので、そこで戦えるように準備を続けていたかったです」
──なるほど。Bellatorに7年ぶりに参戦するにあたり、練習の取り組みなど、当時とはどういう部分が変わっていますか。
「うーん、細かいテクニックだったり、練習に対する気持ちとか、以前はただこう決まった練習をこなしていることもあったんですけど、今はしっかりやることを決めて、終わった後は反省して、インプットとアウトプットをしっかりできるようにしてこれたかなっていうのは思います」
──インプットとアウトプットを繰り返す。そうした目的がより明確な練習の間、目指すべきBellatorと契約を果たすも、なかなか試合が組まれず、その間に団体経営に関わる噂も出始めていました。不安になったり、契約自体を見直そうと思ったりしませんでしたか。
「マネージャーとかと話して、『早く試合を決めてほしい』とずっと言い続けて、それでもなかなか決まらなくて、『試合させてくれ』と。そんななかで準備はしていました。先方からも『準備していてくれ』と言われていたので、ずっと休みなくというか。こう、気持ちの休みなく続けていた感じです」
──……それは心身ともにキツいですね。常に身体を絞って、気持ちも切らすことが出来ない。なのに、試合が決まらなかった。
「『ショートノーティスでも(オファーが)来るかもしれないから、可能な限り準備してくれ』って言われていて。気持ちも切らさずずっと続けてましたね、体重も、食事の方とかも気にしながら」
──それが先ほどの「選手としていい生活が送れた」という言葉の意味だったのですね。
「そうですね、常に試合の準備をしていたので、厳しくも、自身を律したいい生活でした」