文・布施鋼治、写真・長尾迪
ノースエリア格闘技イベントBOUT48~GRABS祭り
2023年11月5日(日)北海道・札幌コンカリーニョ
▼メインイベント(第4試合)ミネルヴァ ピン級タイトルマッチ 3分3R
○撫子 (GRABS/王者)
〔判定3-0〕※29-28 30-29×2
×斎藤千種 (白山道場/挑戦者・同級4位)
※撫子が初防衛に成功。
「初めての(所属ジムの)自主興行だし、コンセプトはお祭り。メインに相応しい、会場全体を一緒に盛り上げるような試合にしたい」
試合の数週間前、地元札幌で行なわれる防衛戦について聞くと、撫子はやる気満々だった。強化している部分を聞くと、「パンチ」と即座に答えた。「前回の試合(今年9月10日、BOUTで実現した風羽戦)ではそのパンチをうまく当てることができなかった。今回は自分のパンチがうまく当たるポジションを意識しながら闘いたい」
その言葉通り、撫子はパンチを中心に組み立てた試合運びで、1Rから試合の主導権を握る。撫子の左フックで挑戦者・齋藤千種のアゴが上がる場面もあった。
撫子と斎藤は過去に二度対戦し、いずれも撫子が勝利を収めている。しかしながら油断は微塵もなかった。過去に撫子は藤原乃愛に1勝1分と白星なしで臨んだ3度目のタイトルマッチで判定勝ちを収め、NJKFミネルヴァ認定ピン級王座を奪取しているからだ。
案の定、過去の対戦から斎藤は相手の癖や傾向を十分に得ていたのだろう。斉藤は相手が攻撃した直後のスキを狙うなど、十分に対策したうえで挑戦していることがよくわかった。
それでも、総合力では撫子の方が一枚も二枚も上回っていた。パンチに加え、ミネルヴァルールでは認められた組んでからのヒザ蹴りを武器に挑戦者をじわじわと窮地に追い込んでいく。最終回(3R)、斎藤はハイキックで一発逆転を狙うが、撫子の勢いを止めることはできなかった。
判定は3-0で撫子。女子では最軽量級の試合とは思えぬ力強さと「チャンスがあれば倒す」という気概が超満員の観客に十分すぎるほど伝わっていたので、試合が終わってすぐに席を立つ者はほとんどいなかった。
地元での王座初防衛に成功した王者はピン級よりひとつ下の階級の開設と国際戦のマッチメークをマイクアピールした。撫子は来年以降もGRABS祭りの定期開催を希望している。