海人インタビュー「今後の展開に繋げていくためにも圧勝圧倒」
――8月のティジャニ・ベスタティ選手とのGLORY世界ライト級タイトルマッチの試合映像は見られました?
「何度か見ました。感想としては試合中で感じたものと一緒で、上手いように相手に試合を作られたなと思いましたね。なかなか中に入れさせてくれなかったですし、なかなか来てもくれなかったので上手に作戦を立てられました。ベスタティ選手の技術で上手い部分はかなりあって、やりながらもこれをされたら嫌だなと思いながら試合していて、結局、最後まで距離感を掴めないまま負けてしまいました。改めて動画で見返すと、嫌なことはこうやったな、こうやったなと勉強できることが多かったですね」
――やられたら嫌だったものというのは明かせる範囲でどういうものがありました?
「技を先に出された部分ですね。どうしても相手に技を先に出されてしまうと、こっちは後出しになり、距離感を掴めなくなり、やりにくさはありました。僕が出そうとした攻撃を読まれていた部分もありましたし、僕の試合動画をかなり見て研究されていたと思います」
――ベスタティ選手はONEのシッティチャイ・シッソンピーノン選手、マラット・グリゴリアン選手には敗れていますが、間違いなく世界のトップクラスの選手です。世界との差はどう感じましたか?
「レベルの違いは正直、感じていないので、次やれば確実に勝てるという自信はあります。自分の試合運びができなかったミスがあったし、上手いこと相手に試合を作らせてしまったことも自分のミスだなと思っているので、世界と比べて自分とのレベルの差が離されているとは思わなかったです」
――ご自身の通用する部分や手応えを感じた部分はありますか。
「スピードやパワー自体も全然感じなかったですし、フィジカルトレーニングで自分の身体の軸も段々とできていると感じましたね。キレ、スピードに関しては自分の方が上回っていた部分もあったので、それが世界に通用するんだなと思いました」
――ベスタティ選手は試合後のインタビューでは、海人選手のカーフキックが効かされていたということも言われていましたが、それは試合中には感じていましたか?
「何回かカーフキックのいいのがバチバチ入った中で、当てた感触で効いているか、効かせていないのかが分かるので、いいのが入ってると思ったんですけど、ただそこから詰め切れられない自分の甘さを感じました」
――アウェーの地で戦うことで不利に感じた部分はありましたか?
「ただ単に自分が普通に負けたなと思っているので、あまりアウェー感は正直しなかったです。観客からブーイングはなく、日本の国旗を持ってくれていた人もいたみたいで、試合をやっている時は凄く盛り上がっていたのを感じましたし、僕自身が不利に感じることはなかったですね。僕は減量がほとんどないので、海外に行ってもそういうところは楽だった部分ではありますけど、オランダまで長いフライトの時間をかけて行ったことで、僕と今まで対戦してきた外国人選手もこうやって長い時間をかけて来日し、日本に着いても食べるものが違うので減量も大変だったんだろうなと思ったので、今まで来日して僕と戦ったくれた選手たちのありがたさをしみじみと感ることができました」
――海人選手ならではの素晴らしい気付きですね。2020年2月のピンペット・バンチャメーク戦で負けて以降18連勝し、約3年ぶりの敗北でしたことで気持ちを戻すのには時間はかかったのでしょうか。
「そうですね。ここで勝ってしっかり次に繋げようとしていたので落ち込みはしましたけど、僕を応援してくれている周りの人たちは負けた後も僕の復活を信じてくれていたので、自分自身も諦めていなかったですけど、周りの人はもっと諦めていなかったのを感じたので、このまま落ち込んでいる場合ではないなと思いましたね」
――いつぐらいに練習を再開したのでしょう?
「割とすぐでした。試合が終わって帰国したのが2日後で、そこからまた普通に走って練習しましたね。試合で肌で感じたものはすぐに動かないと自分の頭だけではすぐ忘れちゃうので、身体で覚えている範囲内のことを思い出しながら動いていました」
――海人選手は対戦してきた相手のテクニックをよく吸収していますが、今回も試合中にベスタティ選手とやって吸収したい部分もありましたか?
「そうですね、かなり勉強になったこともあったし、試合中に感じたことも、試合の動画を見直したことで、自分が今後世界で戦っていくことに使えるものはいっぱいあったので、自分のものにしています。明かせる範囲だと、やはり、自分の攻撃を出す前に先に攻撃を出されるというのがこんなに嫌なことのかと改めて思えたので、今後の対戦相手にも使える部分はあると思います」
――具体的に技術的なもので吸収したいものはありましたか?
「僕はこの階級では身長が高い方ですが、ベスタティ選手は遥かに背は高く距離感の制圧の仕方は上手かったので、自分もこの階級であれば相手よりも自分の方が高い時もあるので、そういうところは今後活かせるポイントなのかなと思いました」
――試合前は191㎝と長身の馬木樹里選手(岡山ジム)と対策もされていましたが、試合に活きたものはありました?
「馬木選手が協力してくれたことで身長差を含めた戦い方はイメージ通りでしたが、相手の戦い方は映像で見ていたものとはガラッと変わったことで戦い方に迷ってしまいましたね」
――今回の対戦相手のマサロ選手は元々知っていた選手でしたか?
「そうですね。K-1に出ていた時は見ていた選手で、いつの間にか出なくなったなとは思っていた選手でした。選手としての印象としては、バネのある選手だな。パンチとか蹴りも伸びてきますし、ヒザ蹴りも危険な技だと思います。でも、古い映像ばかりだったので、今回はあまり見てはいないです。古いのを今見ても自分のためにならないと思ったし、今重視していることは自分自身を変えることだと思っていたので、対戦相手を見るというよりは、自分がやらなければならないことを勉強して今回は作ってきました」
――どういう試合をイメージしていますか?
「もう圧勝圧倒しか考えてないです。正直言って僕はこの相手に手こずっているレベルではないと思っているので、どんな形でもしっかり倒して誰が見ても僕が勝っているという思われるような試合をしないといけません。僕もこのレベルだと自分で思いたくないし、今後の展開に繋げていくためにも、しっかり差は見せたいですね」
――試合を経て今までの環境と新しく導入した練習はありますか?
「8月終わってからはこの3カ月間は自分を作り直す期間だったと思うので、内容的なものは色々変えましたけど、新しい練習を取り入れたことはないです。内容的には細かいことになってくるので話せるものはないですけど、次の試合を見てもらったら変化を分かってもらえると思います」
――8月の試合とはまた違う海人選手の姿を見せられると。
「そうですね。日本で試合するのも久しぶりですし、見てもらっている人たちにまた新しい自分を見せて改めて世界に通じるのは海人だと思ってもらえるようにしないといけないので、そこは見せたいし、見せるつもりでいます」
――この前のSBシリーズ第四戦ではリング上でタイトル再挑戦を目標に掲げていましたが、そこに辿り着くためにどういったプランを考えていますか?
「今回のマサロ・グランダーにきっちり勝って、12月に開催されるRISEでGLORYの選手と組んでもらいたいと思っているので、そのためにも今回はしっかり勝ってアピールしたいなと。いま自分が一番獲らなければならないGLORYのベルトにむけて、自分より上にランキングされている選手たちをきっちり倒していって、1年後の来年の8月くらいにベスタティ選手にリベンジします」
――リベンジロードが楽しみですね。
「今回の試合内容によって12月に出られるかは全然変わってくるとは思うんですけど、どうであれ、GLORYの選手と一戦でも多く戦いたいので12月もしたいし、来年1月、2月とかにもやらせて欲しいなと思っています。先程、リベンジは8月と言いましたけど、僕的にはその前でも早ければ早いほど再戦はしたいです。GLORYランキングを見ると、僕は今4位で、上には3人いるので、簡単に言えば3人倒してしまえば、またベルトに挑戦できるので、1日でも早くそうできるようにします。僕はそこがゴールではなく、その先も見てるので、一つ一つ勝って次に繋げないといけないと思ってます」
――ちなみに試合後にGLORYの代表からご自身の評価は聞きました?
「試合後に挨拶をさせてもらって少し話をした時に『また出てほしい』と言ってもらえて、現地まで駆けつけてくれていたSBの緒形(健一)代表やRISE・伊藤(隆)代表にも『また海人にはすぐにリベンジさせるような道を作って進めていく』と言っていただけたので、それが実現できるかは自分の行動と、試合の内容にかかってくると思います。しっかり今ある環境に感謝してリベンジロードを作っていきます」
――復活を楽しみにしてるファンにメッセージをお願いします。
「今回は僕のホームグラウンドであるSBのリングでしっかり復帰戦をKO勝利で飾って、自分の強さを改めて見てもらう機会だと思っていますし、ファンの皆さんにまた進化した新しい僕の姿を見てもらえると思います。期待してください」