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【RIZIN】鈴木千裕が下からの蹴り上げ&パウンドでケラモフを失神TKO! フェザー級新王者に。ムサエフの右ヒジ&右フックに武田光司が最終回に沈む、アブドゥルカリコフが地元アバソフを下す、マメドフが緊急参戦のギョクテペを圧倒

2023/11/04 21:11
 2023年11月4日(土)、RIZIN初の海外大会『RIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan』がアゼルバイジャン・バクーのナショナルジムナスティックアリーナにて開催された(U-NEXT配信)。 ▼第10試合 RIZINフェザー級(66.0kg)タイトルマッチ 5分3R×ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)[1R 1分18秒 TKO]〇鈴木千裕(日本/クロスポイント吉祥寺)※鈴木がフェザー級新王者に  大晦日にも繋がる注目のフェザー級タイトルマッチ。今回はアゼルバイジャンでのサークルケージを使用したRIZINルールでの変則王座戦となる。  王者・ケラモフはRIZIN4連勝中。中島太一を三角絞め、山本空良に判定勝ち、堀江圭功をリアネイキドチョークで極めると、2023年7月の前戦『超RIZIN.2』でも朝倉未来を1R リアネイキドチョークで絞めてタップを奪い、体重超過で王座剥奪となったクレベル・コイケに代わり、フェザー級のベルトを巻いた。  対する挑戦者・鈴木は、RIZIN5連勝後の2023年6月にクレベル・コイケが持つフェザー級王座に挑戦も、1R 腕十字を極められタップアウト。しかし、400g体重超過したクレベルが王座剥奪の上、試合はノーコンテストに。  続く2023年7月の『超RIZIN.2』で現Bellatorフェザー級王者のパトリシオ・ピットブル(ブラジル)と70kg契約で緊急対戦し、1Rに右フックでKO勝ち。大金星を挙げた。  ケラモフは、19勝のうち6つのKO・TKO、9つのサブミッションでの勝利を誇り、三角絞めが4回、リアネイキドチョークが2回、腕十字が2回、ギロチンチョークが1回の一本勝ちをマークしている。  ともにオーソドックス構え。相手の蹴りに合わせたカウンターのシングルレッグから軸足刈などでテイクダウンを奪うケラモフに対し、鈴木には左右の強打とオーソから左の三日月蹴りもある。  いかに打ち終わりに組まれずに打撃を当てて、組まれてもバック等ポジションを譲らずスタンドに戻せるか。その際の攻防が勝負のカギとなる。アウェイのメインで雷を落とせれば、フェザー級のベルトがついてくる。  五味隆典の『スケアリー』から自身の入場曲で花道を進む鈴木、対するケラモフはベルトを肩にケージイン。両国国歌斉唱。榊原信行CEOによるタイトルマッチ宣言。  1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るケラモフ。鈴木も押し戻し、ジャブ。ケラモフは右ハイでけん制。さらに右を当てて、鈴木の右の打ち返しを掻い潜って、鈴木の左足にカウンターのシングルレッグテイクダウン!  一瞬サイドポジシヨン、さらにハーフガードもここで腰を切りフルガードに戻した鈴木は、足を上げて三角絞めの動きに。そこで上体を上げて中腰になるケラモフに、鈴木は下から右のかかとで蹴り上げ!  一瞬動きが止まったケラモフに、鈴木は下から左右の鉄槌、パウンドラッシュ! ケラモフの動きが止まり失神、レフェリーが間に入った。  チャンピオンベルトを腰に巻いた鈴木はケージの中で、「こんにちは、チャンピオンの鈴木千裕です! l今回、俺はアゼルバイジャンが大好きになりました。人が優しくてご飯が美味しくてすごくいいところだと思ってここで試合をして、今回こういう結果で勝つことができて、リスペクトを持っているので、心の底から格闘技で戦って勝ちたかったので、ケラモフ選手、アゼルバイジャンを盛り上げてくれてありがとうございます!  これでファイトボーナスが出ます、たぶん僕に。その一部をアゼルバイジャンの何かに、少ししか寄付をすることはできないですが、困ったことがあったら言ってください。子供のため、格闘技のためなのか、ファイトマネーの一部を使ってアゼルバイジャンに還元します。  俺二刀流で、キックで現役チャンピオンで、総合でチャンピオンになって二刀流チャンピオンを達成しました。ありがとうアゼルバイジャン!」と語った(※試合後コメント「なぜ鈴木千裕はケラモフを下からTKOに下せたのか「フェイクの三角絞めから──」、金原正徳は「やりましょう、大晦日」も負傷でどうなる王座戦」) [nextpage] ▼第9試合 ライト級(71.0kg)5分3R〇トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)[3R 2分03秒 TKO]×武田光司(BRAVE)  王座にホベルト・サトシ・ソウザが座るRIZINライト級。  ムサエフは、2019年「RIZINライト級GP」覇者。2021年6月の「RIZIN.28」のライト級王座戦でサトシに一本負けで戴冠ならず。  2022年7月に「Bellator 283」でシドニー・アウトローを27秒KOする衝撃Bellatorデビューを飾ったものの、2023年3月のBellatorライト級ワールドGP1回戦ではアレクサンドル・シャブリーの前蹴りを受けて3R TKO負け。7月にアキラを71秒 TKOに下し、再起を飾っている。  対する武田は、元高校6冠グレコローマンレスラーで、元DEEPライト級王者。2018年10月に北岡悟に判定勝ちでDEEP王座を戴冠。大原樹里を相手に2度防衛に成功し、2020年9月から参戦したRIZINでは5勝5敗。  当時の修斗王者・川名雄生、PANCRASE王者・久米鷹介をいずれも判定で下すと、“ブラックパンサー”ベイノア、ジョニー・ケース、ザック・ゼインにも勝利。  しかし、2022年の大晦日にBellatorのガジ・ラバダノフに判定負けを喫すると、2023年4月の前戦ではルイス・グスタボにもスプリット判定で敗れ、2連敗中。  ムサエフは、オーソから左右を振って前のめりに打つ打撃のなかで、コンパクトな左と真っすぐの右、遠間からのオーバーハンドの右と打ち分けている。ケラモフよりもステップを踏み、右の上下の蹴り、スイッチして左の蹴りはローのみならずハイキックも強力でダミアン・ブラウンをTKOに追い込んでいる。  組みは左を振ってのニータップ、金網に詰めてのダブルレッグも見せるが、ケラモフ同様に相手の動きに合わせてのものが多く、安易に低めに外から蹴ると掴んでのテイクダウンが待っている。21勝中17のKO・TKOで、一本勝ちは2つ。立ちで打撃を効かせてグラウンドではパウンドが必勝パターンだ。  サウスポー構えの武田としては、右の蹴り、右オーバーハンドを被弾しない立ち位置から、いかに組みの距離にアプローチするか。間合いと組みに注目の武田だが、下になっての仕掛けの一発も目が離せない。  試合中盤で負傷はしたものの、グスタボの圧力を経験したことがムサエフ戦で活かせるか。序盤から機を見て倒しにくるムサエフに対し、武田はケージレスリングで相手を削っての後半勝負も想定したい。  武田は、ムサエフを「ハンドスピードの速さが世界トップレベルでインファイトでもミドルレンジでも、どんな距離でもやっぱりハンドスピードは世界一。僕はハンドスピードが速くないけど勝負できるところはもちろんあります。(勝つイメージは)1個しかない。タイでハンドスピードの速い選手ともいっぱいやってきたし。15分(レスリングを)やり続ける自信があります」と評し、国内でも、伝統派空手で空手国体入賞の実績を持つBRAVEの野村駿太を、スイッチを多用する仮想ムサエフに見立て、シミュレーションを重ねてきた。  日の丸ハチマキを頭に巻き、花道でストレッチをし、蹲踞の姿勢から花道を歩き始めた武田。セコンドに中村倫也がつく。背中を叩かれ、咆哮してケージイン。  対するムサエフの入場に場内は大歓声。ルスランコーチがセコンドにつく。中央で武田のグローブを上から叩いたムサエフ。  1R、サウスポー構えの武田、オーソのムサエフは身体が大きい。武田の左ローは空振り。ムサエフは慎重な入り。武田の左ミドルに右を合わせる! 武田の最初のシングルレッグは切るムサエフ。右ミドルを当てるムサエフに左ミドルを返す武田。左ハイは武田がブロック。  続く武田の組みも突き放すムサエフ。スイッチするムサエフ。組む武田は右で差すが組めず。突き放すムサエフ。武田は固執せず離れてステップ。中央を取るムサエフ。圧力かけて右ミドル。武田も左ロー。金網に詰まると右にステップ。その外足を取るムサエフは右ストレートから右で差すが、自ら腕を抜いて離れる。右前手で触る武田にムサエフは左、右で詰めてゴング。  2R、右インローのムサエフ。武田の右回りを阻止する。右前蹴りのムサエフ! 武田も左インロー。武田は足を入れ替えフェイントも動じないムサエフは右ローからワンツーの連打で崩れた武田が下に。  ハーフの武田にムサエフは肩固め狙い。「後ろ向いて立ってもいい」のセコンドの声だが、ムサエフの圧力に足を戻す武田。  場内の手拍子に再びハーフにするムサエフ。下の武田は抱き寄せて足を戻してフルガードで防御に徹する。残り1分。  3R、右インローから入るムサエフ。武田は細かいステップを変えず。左右にサークリングして的を絞らせずも組めない。  圧力をかけるムサエフは左右フックで詰めて右で押し込み。しかし、体を入れ替えるムサエフは、押し込み右ヒジ! 効かされた武田が左に回るところを右フックで武田がダウン! パウンドのラッシュに動けず。レフェリーが間に入った。  10年ぶりの母国凱旋試合でTKO勝利したムサエフは、「ご来場ありがとうございました。RIZINの関係者、ご協力してくださった皆さまに感謝いたします。長く話したくないですけど、いつも応援してくださった国の皆さん、戦争で人生を失った皆さんにこの勝利を支えます。またアゼルバイジャンの皆さんに感謝します」と語った。武田はキャリア初のTKO負けとなった。 [nextpage] ▼第8試合 ライト級(71.0kg)5分3R×ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)[判定0-3]〇アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)  アゼルバイジャンのアバソフは、現AMC Fight Nights Globalライト級王者。プロ戦績33戦で試合決定率60%超えのフィニッシャーだ。  シャハリヤル・アバソフの指導の下でトレーニングを積み、プロデビューとなった2013年6月のGEFC-アゼルバイジャンに参戦し3連勝で優勝を果たす。14年の連戦で2連敗となったが、その後は12連勝。16年12月のAMC Fight Nights Globalでマゴメドサイギッド・アリベコフに敗れ連勝ストップも、再び連勝街道を走り22年6月までに13連勝。  19年に4月にはカザフスタンのカウト・ハミトフに判定勝利しAMC Fight Night Globalのライト級王者に輝いた。21年4月のAMC100周年記念トーナメントでは、シャミル・アミロフとのタイトルマッチに臨み1R終盤にパンチによるTKO勝利を挙げ、22年6月にマリフ・ピラエフを破り3度目の防衛。その勢いで9月にはアゼルバイジャン代表としてDWCSに出場し、現UFCのイズマエル・ボンフィムに判定負け。再起戦となった23年3月のNaiza FCではカザフスタンのカニベック・シャハニベクウールにリアネイキッドチョークによる一本勝ちを収めている。  MMA29勝4敗、どっしりと構えたオーソドックスからの右の強打とクリンチボクシング、シングルレッグテイクダウンと一つひとつの強度が高いアバソフは地元でどんな試合を見せるか。  対するアブドゥルカリコフは、散打の世界的名手。2013年9月にロシアのREAL STEEL 2013でプロMMAデビューを果たすと、14年からはアマチュアMMA世界大会にも参戦し、9戦7勝2敗。プロ2戦目の15年4月のM-1 Challengeでは現UFCのヨエル・アルバレスを34秒、スピニング・ヒール・キックでKO。2019年7月のRIZIN参戦まで7連勝を記録。しかし、川尻達也にテイクダウンを許し、初黒星となる判定負けを喫した。  その後、3連勝を含む5勝1敗。UFCをリリースされたばかりだったアレクサンダー・ヤコブレフにも判定勝ちしたが、2022年8月にジョージアのKSWファイター・ラウル・トゥタラウリにスプリット判定負け。しかし、RCCで再起を果たすと、23年4月の「RIZIN LANDMARK 5」で負傷欠場したジョニー・ケースの代役の雑賀“ヤン坊”達也に1R右フックでKO勝ち。RIZIN初白星を飾っている。  アブドゥルカリコフは、早いフットワークと打撃のコンビネーションで試合を組み立てていくストライカー。そのパンチの距離は長く、散打の蹴りにも注目だ。  勝者が一気にライト級トップ戦線にからむ強豪対決となる。  1R、左右のパンチから入るアバソフ。アブドゥルカリコフは右前蹴りも、それを肩口で掴んだアバソフが金網まで詰めるも足を抜くアブドゥルカリコフ。バッティングで中断後、再開。  詰めるアブドゥルカリコフは右を振りバックハンドも、詰めるアバソフは再び蹴り足を掴んで押し込み、放し際で右を振る。  再びアブドゥルカリコフのローブローで中断。サウスポー構えのアブドゥルカリコフは左の蹴り、さらにオーソに戻し右の蹴り。遠間に立つアバソフは強引に左右で詰めて左で差して押し込み。  右で小手に巻くアブドゥルカリコフ。右でシングルレッグ狙いも金網背にするアブドゥルカリコフは尻を着いてもすぐにスイッチで立ち上がる。圧力かけるアブドゥルカリコフにアバソフが左オーバーハンドを見せてゴング。  2R、すぐに詰めて左で差して金網に押し込むアバソフ。突き放すアブドゥルカリコフが左のショートフック。大きな左右のアバソフはシングルレッグへ。しかしケージ背にするアブドゥルカリコフは、足を手繰り頭が下がるアバソフにヒジを落とすがブレーク。  左、さらに右ショートフックのアブドゥルカリコフに、詰めてシングルレッグのアバソフだが崩せず。離れるアブドゥルカリコフは左前蹴りも、詰めるアバソフにローブローが入ったとアバソフは主張。再開。  サウスポー構えになるアブドゥルカリコフに、シングルレッグから足に挟んで引き出しスタンドバックにつくアバソフだがゴング。  3R、ともにオーソドックス構え。左前手を振るアバソフは左右で前に。下がりながらジャブを突くアブドゥルカリコフはワンツーも。いったんサークリングしたアバソフに、オーソから左ミドルを当てるアブドゥルカリコフ。アバソフは胴に組んで押し込み、シングルレッグも左を差すアブドゥルカリコフ。四つから体勢を入れ替えて離れるアブドゥルカリコフ。  右の前蹴り、バックフィストのアブドゥルカリコフをかわすアバソフはジャブを受けながらも右を振って押し込みシングルレッグへ。ここも頭が下がると鉄槌、ヒジを受けるシングルレッグで倒せないアバソフ。ブレーク。  アブドゥルカリコフは左三日月蹴り。さらに左右からアブドゥルカリコフから組んでダブルレッグテイクダウン! アバソフの立ち際をもう一度、ダブルレッグでテイクダウンしてゴング。  判定は3-0でアブドゥルカリコフが地元アバソフを下して勝利。試合後、アブドゥルカリコフは「アゼルバイジャンの皆さん、応援ありがとうございます。勝利は勝利、言葉で表すことは難しいです」と語った。 [nextpage] ▼第7試合 フライ級(57.0kg)5分3R〇メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)[判定3-0]×フェリット・ギョクテペ(トルコ)※※ジャスティン・スコッギンスは健康上の理由でドクターストップ、欠場  アゼルバイジャンのマメドフは、Eagles FCフライ級王者。2015年のKunlun FightでプロMMAデビュー後、白星と黒星を繰り返していたが、Eagles FCで連勝。2022年10月にRIZIN初参戦を果たしたが、手塚基伸の三角からのヒジ打ちにレフェリーストップによるTKO負け。23年4月の「RIZIN.41」で中村優作と対戦し、オーソから右の差し合いをかわしてすぐの左の返しでダウンを奪い、23秒 TKO勝ち。本来のハンドスピードと強さを発揮した。  スコッギンス欠場の代わりに緊急参戦のギョクテペは、25歳と若くMMA戦績4勝1敗。「Baku Open Grand Prix 2022」バンタム級で王者となっている。2つのギロチンチョークによる一本勝ち以降は、2つの判定勝ち。オーソからの思い切りのいい左右の打撃を持つが、粗削りな戦いは、6勝6敗のマメドフ相手にどこまで通じるか。  ギョクテペの黒星は、2022年1月のイスファク・セイード戦の判定負け。そのセイードは2023年9月に『One Friday Fights 32』に出場し、コンスタンティン・マラレスクルに判定勝ちで5連勝をマークしている。  トルコ、アゼルバイジャンを主戦場とするスクランブル参戦のギョクテペはビッグチャンスをモノにできるか。  1R、マメドフが左右を振ってギョクテペの打ち返しにカウンターのダブルレッグテイクダウン! 階級上のギョクテペを下にさせるとギロチンチョークにも警戒し、強いパウンド! 金網まで押し込み、頭を殺してパウンド。  下のギョクテペは出血しながらも腕十字を狙うが浅い。足をさばいてサイドを奪うと、グラウンドヒザ! ケージを蹴って返そうとするギョクテペの脇を差したまま押さえ込むマメドフはサイドからクルスフィックスでヒジ! 右手を足の間から抜いたギョクテペ。  2R、バックキックから詰めて早々にシングルレッグテイクダウンのマメドフ。フルガードのギョクテペにヒジ、パウンド。トップキープ。  3R、オーソから右ミドルを打ってそのままケージに押し込みテイクダウン、すぐにパスしてサイドからパウンドするマメドフ。脇を差して押さえ込むマメドフにギョクテペはケージを蹴るも返せず。ハーフからフルガードに戻すと、マメドフはギョクテペの頭をケージに向けて押し込む。マット側に頭を移動させるギョクテペをケージ側に押し込むマメドフ。  頭を抱えたギョクテペから頭を抜くマメドフは再びパスガード。上四方からヒザ、押し込み、ゴングに咆哮した。  試合後、マメドフは「ご来場ありがとうございます(場内から大歓声)。このような素敵なイベントありがとうございます。チームのみんなに感謝します。応援ありがとうございます」と語り、大きな拍手を受けた。 [nextpage] ▼第6試合 ライト級(71.0kg)5分3R×トゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)[1R 0分21秒 TKO]〇キム・ギョンピョ(韓国)  ライト級の対抗戦。  アゼルバイジャンのラギモフは、空手7年、コマンドサンボ4年の経験から、ヴァシフ・ナマゾフの指導の下でMMAに取り組み、21勝9敗。うち9つの一本勝ちでは4つの腕十字勝利を含む。ケラモフ、ムサエフ、マメドフの練習仲間だ。  2010年6月のIFFCでMMAプロデビューを果たすと破竹の7連勝。しかし、12年12月のECSFでアリエル・アバゲルに3R残り30秒のところで三角絞めを極められ連勝ストップ。その後も再び5連勝を飾ると、14年10月のM-1 Challengeではイヴァン・ブッシンガーとフェザー級王座決定戦を戦い、4R TKO負けで王座戴冠ならず。17年9月にはACBで水垣偉弥とともに参戦した中島太一とも対戦し、判定勝ち。  2019年から2020年までACAで3連勝も、以降は1勝4敗と厳しい試合が続いている。22年10月の「RIZIN.39」でマメドフのセコンドで来日した際からRIZIN参戦を希望しており、2023年6月のACAで元Bellatorで朝倉未来とも対戦したジョン・“マカパ”・テイシェイラとの試合がキャンセルとなったこともあり、今回、自国開催のRIZINでレギュラー戦線を目論む。  対するキム・ギョンピョは、第3代HEATライト級王者。19歳で韓国MMA STORYで格闘技を始め、15年2月のROAD FCでプロデビューすると1R TKO勝ち。THE OUTSIDERやロシアのMFPなどにも参戦し、デビューから5連勝。16年12月のROAD FCでパク・テソンに僅差で敗れ初黒星をつけたが、17年3月にはGRADIATORで1階級上のウェルター級王者・レッツ豪太に判定勝ち。10月のROAD FCでは後のUFCファイター、アルマン・ツァルキャンにテイクダウンされて判定負けを喫した。  18年6月の修斗大阪大会でキャプテン☆アフリカを1R パウンドアウトで再起。19年4月のAFCで一本勝ち後、7月のHEATではライト級王者のトム・サントスにTKO勝ちで新王者となった。20年9月のUAE Warriorsでシャミール・アミノフに1R三角絞めを極めて4連勝。  22年6月の「ROAD TO UFC」1回戦で中国のアシカルバイ・ジンエンスビエクを1R TKOに下すと、10月の準決勝でインドのアンシュル・ジュブリにスプリット判定負け、UFCとの契約はならなかった。  23年4月にRIZINに初参戦し、宇佐美正パトリックと対戦。宇佐美のローに合わせてテイクダウンを奪うとリアネイキドチョークを極めてRIZINデビュー戦を白星で飾っている。  ラギモフは前に出ながら左右のフックの強振しつつ、レベルチェンジにも反応する体幹の強さを持つ。対するキムは長いリーチで距離を測り相手の打撃に合わせたタックルをしてから自分の展開を作っていくスタイルだ。両者共にフィジカルが強く打撃でも寝技でも勝負を決める技術を持つため、勝負の鍵を握るのはスタミナ消費になるか。  1R、ともにオーソドックス構え。右オーバーハンドでダウンを奪うと中腰からパウンドラッシュ! ラギモフは足は越えさせずも、パウンドのラッシュにレフェリーが微妙なタイミングで間に入った。  RIZIN連続勝利を決めたギョンピュは、「主催者の皆さんありがとうございます。アゼルバイジャンの方々を前にこういう試合を見せるのは非常に難しかったです」と語った。 [nextpage] ▼第5試合 51.0kg 5分3R〇アナスタシア・スヴェッキスカ(ウクライナ)3-2-0[2R 4分20秒 腕十字]×ファリダ・アブドゥエバ(キルギス)2-1-0  アナスタシアは2022年RIZINスーパーアトム級ワールドGPに出場し、1回戦でRENAに敗れるも好試合を展開。RENAの欠場を受けて準決勝に進出したが伊澤星花に敗れた。今回は3度目のRIZIN参戦で初勝利を狙う。  RIZIN初となるキルギス出身のアブドゥエバはキックボクシングをベースとするストライカー。今大会最年少であり、プロ3戦目ながらアマチュアでの試合経験も多く、倒せる打撃力と当て勘を持っているという。  1R、ともにオーソドックス構え。右ロー、左ミドルは19歳のアブドゥエバ。スヴェッキスカもジャブ、左ロー。左右スイッチするアブドゥエバは長い左も見せる。  スヴェッキスカはシングルレッグから押し込みダブルレッグテイクダウン。アブドゥエバのリバーサルに下のスヴェッキスカは三角絞め狙いから腕十字! ブリッジしてまたいで極めさせないアブドゥエバ。スヴェッキスカはマウント三角でパウンドに切り替える。  2R、サウスポー構えから入るアブドゥエバ。オーソに戻して右ロー。スヴェッキスカは左右にステップして詰めると、その蹴り足を掴んだアブドゥエバを引き込んで返して上に。  ハイマウントのスヴェッキスカは右は脇下にヒザ。左は三角で首もとに置くと反転して三角絞めに。下からヒジを頭に突き、三角マウントに移行し、左ヒジを極めた。 [nextpage] ▼第4試合 フェザー級(66.0kg)5分3R×ホアレス・ディア(カメルーン)10-6-0[判定0-3]〇イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)10-3-0  カメルーン人ファイターのディアは柔道をバックボーンに持つも、打撃でプレッシャーをかける好戦的なスタイルを持つ。ノジモフはパンチと蹴りのバリエーションが多彩なソリッドストライカー。長いリーチを駆使して遠距離からの打撃、距離を詰めてくる相手を的確なジャブで落ち落として近づけさせない。  1R、サウスポー構えのディア。長身のノジモフはオーソ。タイガームエタイで金原と練習経験があるという。  右カーフ、右ハイと打ち分けるノジモフ。左ハイ、さらに二段蹴り。右の後ろ廻し蹴り。左カーフも。ノジモフの蹴り、ジャブで金網を背するディア。その押し戻しにノジモフは右ヒザを突く。  インターバルで椅子が無く、そのままマットに座るノジモフ。  2R、右で差すディアに。小手に巻いて投げるノジモフ。ディアの立ち際にダースを狙うが、ディアは組ませず立つ。  左カーフを突くノジモフ。さらに腹に三日月蹴り。ワンツー、右カーフも。詰めて右バックヒジを当てるノジモフ! 右後ろ廻し蹴りはかわしたディア。  3R、左右フックで前に出るディアは両差し。両腕をオーバーフックのノジモフはかんぬきでスープレックスも。すぐに立つ両者。  左のサイドキックで詰めるノジモフ。フェイントを入れながら、右ハイ! ブロッキングのディア。左関節蹴りのノジモフは右ストレート。  ディアは左右フックで押し戻し、右を振る。左ハイを突くディア。両手でブロックするノジモフも左右の蹴りで押し戻すがゴング。  判定は3-0でノジモフが勝利。MMA戦績を10勝3敗とした。 [nextpage] ▼第3試合 ライト級(71.0kg)5分3R×イリヤール・アスカノフ(カザフスタン)12-6-0[判定0-3]〇ヴラディスラヴ・ルドニエフ(ウクライナ)8-0-0  カザフスタンとウクライナのグラップラー同士による一戦。  アスカノフはリードハンドである左手の打撃で相手の距離をコントロールしつつ必殺のシングルレッグから寝技に持っていくスタイルで、一度グラウンドに持ち込んだら圧倒的粘着質で相手に立つ事を許さない強力なグラウンドコントロール力を持ち、これを続けられるスタミナを持ち合わせている。  対するルドニエフは幼少の頃よりコンバットサンボに打ち込み欧州、そして世界の選手権で優勝を重ねてきたコンバットサンボファイター。サウスポーの構えから繰り出される左ストレートは重い。  1R、サウスポー構えのルドニエフは左ストレート。オーソのアスカロフはシングルレッグからダブルレッグテイクダウン。下のルドニエフはフックガードから立ちに。その背中に乗るアスカロフ。立って背負って落としたルドニエフ。着地したアスカロフ。アスカロフは右の蹴り。ルドニエフは左ストレートからダブルレッグも差し上げるアスカロフ。  2R、詰めてダブルレッグテイクダウンはアスカロフ。上のアスカロフはヒジ。しかし、出血したのは上のアスカロフ。ルドニエフは蹴り上げられず。アスカロフは背中を見せながら立とうとするが、そこでバックに回るアスカロフ。ルドニエフは正対して立ち上がり。シングルレッグへ。尻をついたアスカロフは多量の出血。  3R、左ストレートを突くルドニエフ。アスカロフはシングルレッグへ。切るルドニエフ。続くアスカロフのダブルレッグを切ると、自らダブルレッグへ。ここはアスカロフも差し上げる。左を振るルドニエフに、アスカロフはシングルレッグを回して崩して金網に押し込み。ヒジを落とすルドニエフに、アスカロフも押し込みながらこつこつ右ヒザ。ルドニエフが鉄槌を落としてゴング。  ここまでのレフェリーは海外公式だが、読み上げられた判定はJMOCのオフィシャル。判定3-0でルドニエフが勝利した。 [nextpage] ▼第2試合 ヘビー級(120.0kg)5分3R×クエンティン・ドミンゴス(ポルトガル)11勝4敗[1R終了時 TKO] ※ドミンゴスが右ヒザ負傷〇ショータ・ベトレミドゥゼ(ジョージア)18勝2敗1分  見た目もファイトスタイルもインパクトのあるヘビー級同士による潰し合い。再戦となり、初対決ではドミンゴスの負傷によりベトレミドゥゼが勝利している。打撃勝負ではドミンゴス、寝技勝負ならベトレミドゥゼか。  1R、シングルレッグのベトルミドゥゼ。凌ぐドミンゴスは首相撲からヒジ狙い。ワンツーでケージを背にさせるドミンゴスだが、ベトルミドゥゼも左右の連打で押し戻して前に。金網に詰めてダブルレッグテイクダウン。細かいヒジ打ち。ハーフガードのドミンゴスは下のままゴングを聞く。  2R前に、今回もドミンゴスが続行できず、ベトルミドゥゼがTKO勝ち。ドミンゴスは右ヒザを冷やして座り込んだ。 [nextpage] ▼第1試合 ライトヘビー級(93.0kg)5分3R〇ハサン・メジエフ(ラトヴィア)13-0-0[1R 2分32秒 リアネイキドチョーク]×コンスタンティン・メルクロフ(カザフスタン)5-3-0  リハーズ・ビギスに続き無敗のラトビア人のハサン・メジエフがRIZINの舞台に上がる。メジエフは柔道のバックボーンを持ち、寝技が持ち味のグラップラー。コントロール力とパウンドの強さが光る。  コンスタンティン・メルクロフはヒョードルに憧れるカザフスタンからの刺客で、ファイトスタイルはアグレッシブで常にフィニッシュを狙いにいく。プロ戦績こそ少ないがアマチュアで培った総合力と経験でメジエフに挑む。  Bellatorと同じ「サークル」ケージ。RIZINでは初となる。  1R、メジエフがいきなりシングルレッグテイクダウン。下のメルクロフは亀になり立つが、メジエフは後方へジャーマンスープレックス。メルクロフがヒザ立ちになるとサイドバックから背後に回りリアネイキドチョークでタップを奪った。  メジエフはMMA13勝無敗。5試合連続の1Rフィニッシュになった。
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