2023年10月21日、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド・アリーナで開催の『UFC 294: Makhachev vs. Volkanovski 2』の前日計量が20日に行われ、アレクサンダー・ヴォルカノフスキーが、マカチェフとの再戦に向け、準備を怠らなかったことを明かした。
メインの「UFC世界ライト級選手権試合」(5分5R)に出場する王者イスラム・マカチェフ(ロシア)が155ポンド(70.30kg)でパス、挑戦者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)が154.5ポンド(70.08kg)でパスした。
当初、マカチェフのライト級王座には、同級1位のシャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)が挑戦予定だったが負傷欠場。代わりにフェザー級王者のヴォルカノフスキーが緊急参戦し、一階級上のマカチェフに再び挑戦することになった。両者は2023年2月以来、8カ月ぶりの再戦となる。
MMA26勝2敗(UFC13勝1敗)のフェザー級王者にして、今回はライト級王座挑戦者のヴォルカノフは、前戦でマカチェフに要所でスタンドバックに回られ、フィニュシュされずもコントロールされたが、回を重ねるごとに強さを増して、最終回には右ストレートを効かせて、マカチェフに引き込ませ、あわやの場面を作った。判定は3-0(48-47, 48-47, 49-46)でマカチェフが王座防衛も、“絶対王者”につけいる隙があることを露呈させた試合となった。
前日計量を0.5ポンドアンダーでパスしたヴォルカノフスキーは、計量後の公式インタビューで減量について問われ、「実際かなり重かったんだけど、身体の作り方は分かってるから、順調に落ちて、すごくいい状態に身体を作れて準備万端さ。自分が何をしなきゃいけないか分かっていた。そういう部分を改善し、すでに自分自身の経験を踏まえて十分に出来ることっていうのもこの試合にはある。それらをしっかり機能させること。自分をハードな状況に置き続けて、ハードなラウンドをこなし、疲労に対処しながら戦う」と、MMA12年目の経験で、スクランブル参戦のコンディション調整を行ってきたことを語った。
一階級上の王者を追い込んだ前戦は、高い評価を得たが、試合後のヴォルカノフスキーは、敗因をしっかりと分析していた。
「すべての試合、勝ったものからも学びがあって、勝利した試合でもやっぱり間違いというものは必ずどこかに見つかるものだ。いわんや、負けた試合や接戦だったらなおさら学ぶべきことは山積みで、実際に試合で起きていたことはテクニックそのもの以上のものがあるというか、そこのディテールというのが見えてくる」
それは、マカチェフ戦でも同様だった。試合後、ヴォルカノフスキーは、来るべき再戦に備え、そして自身の進化のために、検証を怠らなかったという。
「なぜ上手くいかなかった? 逆になぜ上手くいったか、なぜこれはここで上手くいくのだろうか──そこには小っちゃな小っちゃな戦いがたくさんあって、ミリ、センチメートルの世界でほんの刹那で何かが変わる世界でやっているから、たとえば『このアッパーハンドをくれ』と攻防してみてその詳細を紐解いていくようなことをしてるんだ。
チェスの対戦のような頭脳戦で、自分はこの一手を打つとなると、じゃあ相手の動きは次はどうだ? ということをやり、その理解と、己の筋肉のメモリーというのを照らしわせる──そういう作業の繰り返しだったよ」 7月の前戦では、自身の階級に戻り、暫定王者ヤイール・ロドリゲスと対戦。テイクダウンで圧倒し、3Rのロドリゲスのミドルにカウンターの右フックを合わせ、その直後にテイクダウンを奪いパウンドでTKO勝ち。王座統一に成功するとともに、5度目のフェザー級王座防衛に成功している。
「これは俺が望んでいたリマッチだ。あの負けは痛かった。再戦を望んでいたし、再戦は必ず来ると信じていた。それを実現するために自身のベルトを守る必要があった」と、マカチェフとの再戦は織り込み済みだったとヴォルカノフスキーはいう。
「最後はやるか、やられるか、それだけだ。俺はあきらめない。俺は自分が世界最高のファイターだと信じている。多くのことが懸かっているけれど、ショーを見せることができるんだ。チャンスであり試練であるけど、俺は見事にパスするつもりだ。待ち切れないよ」