ファイトが自分の人生のメインになった
――グランプリを戦ってきた朝倉海、井上直樹といった選手とも自分が戦うかもしれないということは、いまはどの程度リアリティを持って感じていますか。
「まあ“強いな”と思って見ていましたよ。2人ともすごい強いなと。井上選手は少し波がありますけどね。試合によってめちゃくちゃ強いなと思うときと、今回どうしたんだろう、何かおかしいなというときがありましたけど。でも、絶対強いだろうなとは思っていいました」
――そしてそこに元谷選手もいて。そこの中に混じっていくワクワク感もありますか?
「怖さはありますね。今まで向こう(ONE)でやってて、こっちの評価軸と別なところだったので、比べられないというところはあったんですけど、これではっきり比べられちゃうなって。怖さや不安はあるんですけど、自信もあります」
――比べられるけれど、でも今までやってきたことが試せる、証明できる場でもあるんじゃないですか。
「そうですね。そういう場ですが“証明したい”という気持ちも別にそんなに無くて。僕は僕でやっているという感覚なんですよね。だから“誰だそいつ?”みたいな感じで言われて、“RIZINじゃ勝てねえだろう”とか言われても、僕は僕でやっているから、あまりそこを気にしてなかったですし、これからもたぶん気にすることはない。僕のMMAは“楽しい”の延長に、ただずっと“強くなりたい”があって、ずっとそれでやっているという感じで、“MMAの妙”もすごく得意ですけど、それをことさら見せたいとかは別に無いんです」
――では何を?
「やっぱり試合を通して何かを感じてもらえばいい。楽しくて、強さを追求していって、その中でいろいろ、僕も感じることがいっぱいある。たとえば、いいことをしていけばいいことが返ってくるとか、一般にも通じることを伝えていけたらいいなと。格闘技でも練習したらそれだけ返ってくるし、相手に良くしたら相手も良くしてくれる。相手が強くなれば自分も強くなれる。自分だけで強くなろうと思っても強くなれないんですよ。単なる強さ以上に大切なこと。格闘技は個人競技なので、いい意味でも悪い意味でも欠落している選手が多い。数字を追いかけたりとか、それも大事なことですが、それだけに目が行っちゃうと、本当に大切なものは見えなくなってしまう。最後、行く末に、変な結末が待っていないといいなと思うことが多いです。生きていくうえで必要な、大事な部分を、自分の試合や取り組みを通じて感じてもらえたら、と思っています」
――それをすごく厳しいMMAという競技の中で見せている。佐藤選手にとっては、ファイトが自分の人生のベースにある。ファイトベースなんですね。
「そうですね。たまたまそうなったという感じで。好きでやっていたら、これが自分の人生のメインになった」
――好きであることと、強くなることだと。そのMMAでさらに強い人たちと関わるということに関しての欲というものも変わらずありますか。
「それをやっていくうえでいろいろ感じてこれたし、いろいろな人と会えたし、いろいろな経験ができたから、好きで学べること、格闘技を通して豊かな人生を送ることに重きを置いていますが、強さを求めることが無くなっちゃうとどうなるんだろうなと」
――今後、他の試合がまだどうなるか分からないですけど、RIZINのバンタム級戦線でトップを取るということも視野には入っていますか。
「狙うことはあると思います。今回はちょうどリリースしてもらって、これからを考えているときに、急遽オファーだったので、今後については、この試合が終わったらゆっくり考えようと思っています。今は試合に集中しています」
――太田忍選手との試合は、どんな試合になると思っていますか?
「僕の中では展開はある程度見えているんですけど、どんな展開になっても自分は“全部で戦う”。どっちもキツいと思いますよ。それでも、僕もやってきたことがあるので自信はあります。それでどうにかできると思っています」
――その後のことはまた。
「またそのとき勝ったら聞きに来てください!」(→※計量前日の佐藤将光インタビュー)