引退興行を予定していた日に、フェザー級で復帰した
今回の『榊原社長に呼び出されました』に同席した佐伯繁DEEP代表は、2020年のRIZIN「バンタム級」で金原がビクター・ヘンリーに敗れたときのことを振り返り、「一時は引退興行の会場まで押さえていた」と明かし、金原も「いろいろあって(引退を)止めて、RIZINでの復帰戦(※2021年10月に階級を上げてフェザー級で復帰し、芦田崇宏にTKO勝ち)が、その引退興行と同じ日だった」と、今回の試合が運命的な巡り合わせにあったことを語った。
朝倉未来に一本勝ちしたヴガール・ケラモフが王座に就くフェザー級戦線は、混沌としている。今回、元王者のクレベルが金原に判定で敗れ、クレベルに一本負けした鈴木千裕がパトリシオ・ピットブル・フレイレにKO勝ち。
朝倉に判定負けした牛久絢太郎が萩原京平に判定勝ち。ケラモフに判定勝ちも、朝倉と牛久に判定で敗れ、平本蓮に判定勝ちしている斎藤裕は次戦が決まっていない。そして中原由貴が白川陸斗に、摩嶋一整が横山武司に、それぞれ判定勝ちしている。
金原はこの状況を、「こうなると思っていた。誰が1位になってもおかしくないし、“じゃんけんぽん”になる」と相性の問題としながらも、「ここに強い外国人が入ってきたら、全部、いままでの構図はひっくり返っちゃうなと想像していました。一番、怖いのはBellatorのフェザー級が来てないこと。それが来たときにいまの日本人、人気の話題の選手たちがどこまでやれるか。もうちょっと危機感を持たないと、全部食われちゃうなという感じがします」と、国内での鍔迫り合いの“先”を見据えて戦わなければ、ガラパゴス化が加速すると警鐘を鳴らした。
海外強豪を迎え撃つ立場となった金原だが、その役目は「若手に託したい」とも話す。
「真面目な話、僕が外敵を倒しても将来が無いじゃないですか。だから若い子たちが外敵とやって勝てるのか、負けるのか。“こいつらが世界に行ったときにどんだけ楽しみなのか”という構図にならないと」と、下の世代の奮起をうながした。
「僕自身はいますぐにでも辞めたいくらい」と苦笑するが、佐伯代表は、「実際、金ちゃんを越えられる日本人選手はいるのかな」と、若手の壁となるベテランの次戦の相手に頭を悩ませる。
「個人的には(朝倉)未来選手とのスーパーマッチが見られれば。摩嶋選手とはもうやっちゃったし」という佐伯代表に、金原は、「(摩嶋とは)もうやらないです(笑)。僕は摩嶋と未来、見たいです。(摩嶋は)減量がどうしても上手じゃないけど、一度練習をさせてもらってすごく強いですしね」と、隠れた実力者の上位陣との試合を見たい、とした。
翻って、自身の次戦については、「僕と誰と見たいですか。鈴木千裕? 勝ってくれたらやりたいですね。斎藤裕? これまでやってないですね。(ベテランより若い選手を望んできた?)でもやってみたら差があったんで、あんまり手ごたえがなかった」といい、「手ごたえのある相手」として、現王者の名前を挙げる。