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2023年9月24日(日)さいたまスーパーアリーナにて『RIZIN.44』が開催され、フライ級でDEEP GP優勝の福田龍彌(MIBURO)が、山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)に3R TKO勝ちした。
▼第4試合 フライ級(57.0kg)5分3R
〇福田龍彌(MIBURO)
[3R 1分37秒 TKO] ※ドクターストップ
×山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)
試合は、打撃巧者の福田に対し、序盤からアーセンがスタンドで圧力をかけていく展開。「KOで勝てる気がした」というアーセンは、福田のジャブに対し、カーフキック、左ストレートを返すなど打撃で応戦するが、得意の組みには固執せず。
ジャブを当てて、距離をコントロールした福田がペースを掴み、2Rにはアーセンのテイクダウン狙いも切って流れを掴むと、3Rにパンチを被弾したアーセンが右眉をカット。さらに左目も塞がり、ドクターチエック。試合続行不可能と判断され、3R 福田のTKO勝ちとなった。
ドクターチエックの際にアーセンは、「お願い、お願い、いま止められないんだって」と続行を懇願したが、試合はストップ。アーセンは福田にハグされ、「脳は大丈夫だって」と語り、福田もアーセンの手を挙げた。
グレコ強豪のアーセンは、伊藤裕樹戦で見せた「無限レスリング地獄」を福田相手に披露することはなく、打撃での立ち合いに挑み、福田もアーセンの単発のテイクダウンをディフェンスし、精緻なジャブ・ストレートをヒットさせて、アーセンをTKOに追い込んでいる。
両者は試合後、何を語ったか。一問一答・全文を紹介したい。
福田龍彌「喧嘩じゃないから。そういう場でそういうジャッジ下されたら仕方がない」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「楽しかったっス! ハハハ! めちゃくちゃ楽しかった!」
──ドクターストップで試合終了となりました。それに対しては受け入れていますか。
「いや、もっとやりたかったし、最後までやらしてあげてほしかったですよ」
──試合後、アーセン選手には何をリング上で伝えたのですか?
「不本意やと思うから。アーセンくんからしても最後までやりたかったと思うし。でもレフェリーあってのことなので『仕方ないね』という意味です」
──対戦相手の印象は試合前にイメージしていたものと戦った後では違うところはありましたか?
「いやまあ、思ってた通り、でも気持ちはすごい思ってた以上に強かったなって思いました。やっぱり戦っていて気持ちいい男でしたね」
──試合を終えたばかりですが今後の目標・展望を教えていただけますか。
「えっとね。あんまり減量好きじゃないんですよ、戦うの大好きだけど。バンタム級とかで、いまフライ級はDEEPでタイトル持っているんですけど、バンタムで2階級制覇狙いに行っても面白いと思っているし。フライでやるんだったら、あまり日本人とやるためにフライまで作りたくないというか。今回わかってもらったと思うのでね、現に8連勝しているので。日本を代表して海を渡って、このスキルで。それが海外の人らにどう通用するかは確かめたいっていうのはあります。時間は有限なので。そんなに若くないのは把握しているから。だから、怪我が無いんやったら、どんどん試合をしていきたいって。はい、だから外国の人と当ててもらえると嬉しいです」
──RIZINにはテミロフ選手やドッドソン選手もいますが、やりたいと思いますか? また、指名したい外国人選手はいますか?
「じゃあ、ドッドソンさん、やりたいです」
──招聘してほしい人などいますか?
「いや。行きたい! 行きたいなと、旅行ついでというか。そうなんです、それでいろんな試合のためだけに行くというよりかはそれを通していろいろ経験したいなという感じなので、自分のスキルで海を渡って海外で仕事しようみたいな。やっぱりそっちの方がね、僕は日本でやるよりかは、人生として考えたらいいと思う。海を渡ってみたいという気持ちがあります」
──外国人選手の体格、フレームの違いなどを体験してみたい?
「まあ、体験してみたいのもありますし、そっちのほうが楽しそうですよね!」
──海外に渡りたいということですが、特定の団体があるのですか?
「いや? どこでも。海渡って、どこの国でも誰と? 何kgで? いくらで? って感じで。普通にそうやって、海外から試合を受けて試合をして帰ってくるみたいな。なんかその、請負い仕事じゃないですけど。ライブ一本いくらで、みたいな試合をやってみたい、そんな感じですね」
──どこかの団体でベルトをかけて戦いたいですか。
「それはないです。戦うのが好きなので、ベルトは好きじゃないから」
──アーセン選手のカーフキックは──。
「そう、あれは痛かった。1発めのが一番痛かったですね。ちょっと頭から(カーフのことが)外れてたから気を引き締められたというか、あのカーフで。なんか、想定してなかったわけでもないのですけど、別に。ちょとまあまあ、気の緩みですね。そこは反省点です」
──2R以降は右ジャブで距離を掴めてこれは勝てるという感じですか?
「距離掴んだりとかは、向かい合ったときに結構わかったかな? と思っています」
──1R最初から?
「そうですね」
──海外で戦いということで、アゼルバイジャン大会というのはいかがですか?
「それは条件次第で全然行きたいですよ、行ってみたいし。でも行けるんですかね? 戦争とか大丈夫なんですか? あ、終わった? そうなんですか。地デジが家で映らなくて、情報がみんなと逆行してるみたいで、すみません。お話いただいて『日の丸背負って行ってきてくれ』という感じだったら行きますよ、アゼルバイジャンでも」
──神龍誠選手にリベンジはしたいですか?
「いや、そりゃやりたいですよ、まあでも一期一会なんでね。縁があればやるし僕はオファー断らへんから。見てもらったら分かると思いますけど。カーフも怪我なくて、『明々後日にDEEPで神龍君とやって』って言われても『いいよ!』って言いますよ」
──アーセン選手よりもキャリアが豊富です。今回戦ったうえでアーセン選手にアドバイス、言葉を送るとしたら?
「もっともっと戦わないとね! もっと! もっとです」
──試合を重ねないといけない?
「そうです、まあ試合というか、ああいう、“やるか、やられるか”という、そこをですね」
──それが必要だと。
「ファイターには必要。アスリートとして必要かはわからないけど。試合前のインタビューでも言ったけれど僕は“職業=戦士”だと思っているので、戦士にはやるかやらないかが必要。ヒリヒリを体感してもらったと思うので、僕が引退するまでに僕がいるとこに上がってくるようならまたやりたい。それも縁次第。一期一会」
──試合後アーセン選手が「まだ脳は大丈夫」と言っていた際になだめていました。あれはどういう会話を?
「その時は、うんまあ『いいけど、目とか、もっと変になっちゃうかもしれへんで?』って言いました。別に僕はいいんですよ、戦うの好きやから。止まってほしくもないし。でもレフェリー、ドクターが無理って言ったらゴネちゃうと、のちの進行とかにも影響を与えてしまうので、そうジャッジされたら、もうそれまでなんですよね。仕方ないから。それありきの競技で人前でやっているということやっているんで。そうそう、喧嘩じゃないから。喧嘩ならいつでもとなるんで。そういう場でそういうジャッジ下されたら仕方がない。僕ら2人だけで戦っているわけじゃないから。しゃーない。のちの進行のことを考えたっていう感じです」