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【UFC】ダウンを奪った王者グラッソが元王者シェフチェンコの猛追かわし、スプリットドロー防衛「やり切った」、シェフチェンコ「アウェーのプレッシャーが裁定にも響いたのでは?」

2023/09/17 14:09
【UFC】ダウンを奪った王者グラッソが元王者シェフチェンコの猛追かわし、スプリットドロー防衛「やり切った」、シェフチェンコ「アウェーのプレッシャーが裁定にも響いたのでは?」

(C)Zuffa LLC/UFC

 2023年9月16日(日本時間17日)、米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて「ノーチェUFC」(「UFC Fight Night: Grasso vs. Shevchenko 2」(U-NEXT配信)が開催された。

「Noche UFC」と名付けられた今大会は、メキシコ独立記念日である「9月16日」に開催。スペイン語で「夜」を意味する今回のUFC Fight Nightでは、メキシコ人コミュニティのファンとファイターを称える同大会の初開催を記念して、大会前に、UFC世界女子フライ級王者のアレクサ・グラッソに特別な意匠が施された“民族ベルト1号”が贈られている。

 メキシコ初のUFC女子世界王者のグラッソは、前王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコを相手にダイレクトリマッチでフライ級王座を初防衛できるか。

 UFCが2023年の第4四半期にメキシコシティに、最先端のMMAトレーニングおよび育成施設である「UFCパフォーマンス・インスティテュート・メキシコ」をオープンするほど注力するなか、一時は王座に3人が君臨したメキシカンファイター。

 しかし、フライ級世界王者だったブランドン・モレノが7月にアレッシャンドリ・パントージャにスプリット判定で敗れて王座陥落。フェザー級暫定王者のヤイール・ロドリゲスもアレクサンダー・ヴォルカノフスキーとの王座統一戦で敗れ、現在ではグラッソが持つ女子フライ級のベルト一本のみとなっている。

 グラッソは、今回の特別なトライブ・ベルトとともに、黄金のベルトを守ることが出来るか。

▼UFC女子フライ級選手権試合 5分5R
△アレクサ・グラッソ(メキシコ)16勝3敗1分(UFC8勝3敗1分)王者 124.5lbs/56.47kg
[判定1-1] ※48-47,47-48,47-47
△ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)挑戦者 23勝4敗1分(UFC12勝3敗1分)124.5lbs/56.47kg
※グラッソがスプリットドロー防衛

 先にグローブを出したシェフチェンコに、グローブをタッチして応じたグラッソ。

 1R、サウスポー構えのシェフチェンコ。オーソドックス構えから入るグラッソ。先に右ストレートを見せるグラッソに、シェフチェンコもワンツーの左。グラッソのワンツーはバックステップでかわす。

 左ミドルを当てるシェフチェンコ。グラッソはシェフチェンコの左にサウスポー構えで左を合わせに行く。右を出して組もうとしたシェフチェンコを左右で剥がしたグラッソ。

 シェフチェンコは右ジャブのダブルからシングルレッグを試みるが、これを切ったグラッソはサウスポー構えに左を突くが、組んだシェフチェンコが両差しからテイクダウン! パス、マウントに、亀になるグラッソはシェフチェンコのリアネイキドチョーク狙いをすらして立ち上がり。

 2R、ワンツーの右を突くグラッソに組むシェフチェンコだが、突き放したグラッソ。シェフチェンコは右ジャブを刺す。グラッソもサウスポー構え。ワンツーの左を当ててシェフチェンコからダウンを奪うと、後転して立ち上がったシェフチェンコを金網に詰めて右ヒザ蹴り! クリンチアッパーの連打!

 離れたシェフチェンコは前に来たグラッソにダブルレッグテイクダウン! そこにグラッソは両腕ごと頭を抱えると下から蹴り上げ! 体を放したシェフチェンコに下から蹴り。インサイドガードに入ったシェフチェンコに下から細かくパウンドも入れる。

 3R、オーソから入るグラッソはサウスポー構えにスイッチ。ワンツーの左を打ち込むシェフチェンコ。互いに右ジャブの刺し合い。右ローを突くグラッソにシェフチェンコはテイクダウン、スクランブルで立つグラッソにギロチンチョーク! 首を抜いたグラッソだが、バックを奪うシェフチェンコは、4の字ロックから正対狙うグラッソに腕十字狙いもホーン。

 4R、オーソのグラッソ。右ボディストレート狙いから右フックも。サウスポー構えに変えるグラッソは左ロー。出入りのシェフチェンコは右を当ててダブルレッグも、スプロールしたグラッソはがぶりから指だけをつけたシェフチェンコにヒザを連打! さらにダブルレッグテイクダウンから背中を見せたシェフチェンに腕十字へ。

 前に落として逃れたシェフチェンがテイクダウンを奪うが、ここもすぐにグラッソが立ち上がり。スタンドバックから前転しての外ヒールを極めに行くもヒザは固定できず、シェフチェンコは極めさせずホーン。

 5R、オーソからワンツーで入るグラッソ。サウスポー構えにすると、ワンツーで詰めてクリンチアッパーから左。シェフチェンコも声を挙げて右ジャブを連打。グラッソの手数が減るが右ジャブを返す。シェフチェンコは右ジャブ、ワンツー。グラッソは手が出ないなか、右は単発。

 グラッソの右の打ち終わりに脇を潜り組んだシェフチェンコが投げも、それをすかして脇を潜ったグラッソが亀になったシェフチェンコのバックマウントに! 背後からパウンドし、4の字ロック、リアネイキドチョーク狙い。それを防いだシェフチェンコに、バックからフェイスロック。シェフチェンコは絞められながらも背後のグラッソにパンチでホーン。

 2Rにダウンを奪ったグラッソを、猛追したシェフチェンコ。最終ラウンドはシェフチェンコの投げを潰したグラッソが決定的な場面を作ったが極めきれず。

 ジャッジ上條は48-47でグラッソ、ダマートは48-47でシェフチェンコを支持。マイク・ベルは最終5Rに10-8をつけ、47-47のドロー。スプリット判定ドローで王者が“ホーム”でベルトを守った。

 試合後、ベルトを巻いたグラッソは、「自分はやりきった。パンチがハードでダメージも大きかったし、接戦でお互いダメージもあったけど、最終的には極められそうだったし、やり切ったと思う。次は、チームとも相談しながら考えていく」と笑顔で語り、「ビバ、メヒコ!」とメキシコ系ファンに向けてマイク。

 続けてインタビューに応じたシェフチェンコは、「やりつくしたけど、アウェーのプレッシャーが裁定にも響いたのでは? フェアな試合で自分が(ラウンドを)取れたと思う、やり切った」と、険しい表情で語った。

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