MMA
インタビュー

【UFC】シンガポールで初勝利なるか、ウェルター級で戦う木下憂朔「前回は緊張しなかった。フルラウンド戦うつもりで、一瞬でも隙があったら倒せるように、アグレッシブに行くけど行き過ぎない」

2023/08/23 23:08
 2023年8月26日(土)、シンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムで開催される『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』にて、元Bellatorのビリー・ゴフ(米国)と対戦する木下憂朔(キルグリフFC)が23日、同大会を配信するU-NEXTのインタビューに答えた。 ▼ウェルター級 5分3R木下憂朔(日本)6勝2敗(UFC0勝1敗)ビリー・ゴフ(米国)8勝2敗(UFC0勝0敗)※Bellator 2勝  木下は、2022年8月の「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ(DWCS)」ウェルター級で、ジョゼ・エンヒッキを3R、左ストレートでダウンを奪ってのパウンドでTKOに下して、UFCとの契約を勝ち取った。  オクタゴンデビュー戦となった2月のアダム・フューギット(米国)戦では、先にテイクダウンを奪うフューギットに、木下は立ち上がって左ローを打つもそこに左ストレートを浴びてダウン。パウンド・ヒジを浴びて1R、 4分36秒 TKO負けした。米国フロリダのキルクリフFC所属として、今回は半年ぶりの再起戦となる。MMA6勝2敗の22歳。  対するゴフは、木下が出場したコンテンダーシリーズ2022の4週間前の「Week 2」に出場したMMA8勝2敗の25歳。今回がUFCデビュー戦となる。  アマチュアMMAでの4連勝を経て、2019年にプロMMAデビュー。Bellatorで2戦2勝で、2020年12月の『Bellator 254』では、ホブソン・グレイシーJrを2R、スタンドヒジでTKOに下している。CESでウェルター級のベルトを巻くと、2022年8月のコンテンダーシリーズに参戦。  イスラエルのシモン・スモトリスキイにいきなり左ハイでダウンを喫するも1R中にリカバリーし、左右の連打でフィニッシュ。1R、逆転のTKO勝ちで、UFCとの契約を決めた。  現在、6連勝中で8勝のうち6試合をKO・TKO勝ち。オーソドックス構えで、CESでもDWCSでも、相手の蹴り足を掴んでのシングルレッグなど、組みも混ぜてのダーティーボクシングを得意とし、スモトリスキイ戦では、近距離での右アッパーを効かせて、20連打でダウンを奪い、逆転勝ちを決めている。  タフなゴフを相手に、木下はUFCで初勝利を掴むことができるか。 [nextpage] ヘンリー・フーフトコーチから試合後、「『駆け引きがなさすぎる』と言われて──」 ──シンガポールは初めてですか? 「はい、初めて来ました」 ──米国フロリダのキルクリフFCから長旅だったようですね。 「めちゃくちゃ長かったです。超しんどかったですね(苦笑)。でも、もう時差ぼけは解消できてます」 ──早めにシンガポール入りしたのですよね? 「はい。普段アメリカにいて時差が10数時間あるんで、それを慣らすためにちょっと早く入ろうってなって前週の木曜からシンガポール入りしています」 ──早く到着して、どんな毎日を過ごしてきましたか? 「そうですね。軽く朝走って、夕方動いて。散歩しながらちょっと観光したり……みたいな感じですかね」 ──走ったり歩いたりしたシンガポールはいかがですか。 「やっぱりアジアなので、道なりとか結構日本と似てるなあって感じで、ホッとしましたね。安心感があります」 ──アメリカに初めて行った時よりもその点では落ち着いていられる感じですね。 「そうですね。もう全然違いますね」 ──UFC2戦目に向け、試合3日前となりましたが、現在の心境は? 「いつもだと結構ソワソワし出す時期で、“体重大丈夫かな”とか、“試合どうなるかな”みたいになるのですけど、今回は結構落ち着いてるというか。体重も全然気にならないですし、試合に対しても、緊張感あって、めちゃくちゃ集中出来てるなと実感しますね」 ──「体重も気にならない」ということですが、減量も順調ですか。 「はい、ばっちりですね、今朝起きて、あと5kgぐらい。で、水抜きするぐらいですね」 ──ペースとしては、いつも通り? 「今回は“若干、早いな”ぐらいですかね。いつも、計量オーバーする夢見るんで、今回それがないのでいい感じですね。あとは、動きを落とさへんようにしっかり動いて、それ以外はまあ、ダラダラしてるって感じですね」 ──キルクリフから佐藤天選手と一緒にシンガポール入りしたのですよね。 「そうですね。体動かしたりする時も付き合ってもらうというか、あともう一人チームメイトがいてるんで、その選手とも組んだり、あとはコーチにミットを持ってもらったりしています」 ──今回、佐藤選手とチームメイト以外はどのようなセコンド陣なのですか? 「打撃のコーチに来てもらっています」 ──前回はヘンリー・フーフトコーチがセコンドについていましたが、今回は帯同されず? 「今回はちょっと色々忙しいなか、遠いということもあり、ほかのコーチに来てもらいました」 ──今回の試合に向けて、ヘンリーコーチからはどんなアドバイスをもらいましたか? 「やっぱこう前回がちょっと焦りとか、試合の作りがよくなかったので、落ち着いてしっかり戦うことと、自分の力が出せれば全然問題ない相手、と言ってもらっているので、それを実行するだけかなと思っています」 ──前回の敗戦後はどのような言葉をかけられましたか。 「試合直後のご飯食べてる時に、『駆け引きがなさすぎる』と。自分でも思ってたんですけど、『もっともっとできるのにしなかった』から『もっとやっていこう』と話しました」 ──対アダム・フューギット戦の問題というより、木下選手自身の課題ということですね。 「はい、僕自身のことですね。普段の練習から、自分のテーマを持っていこうと。“今日はそれをクリアする”、それをステップアップさせていってスパーリングの時に、誰が相手でも、その自分のやることを実行する──という。よく堀口(恭司)選手が『ロボットみたいな奴が強い』というようなことを言ってたじゃないですか。それがちょっと分かった気がするかな」って感じです。 ──では逆にそれまでの自分を今振り返ってどう思いますか? 「やっぱこう、気持ちのままに前に出て“KOしてやる!”みたいな感じだったんですけど、負けてちょっと考えなあかんよなって思ったんですよね」 ──前戦の敗因として「緊張しなすぎた」とも言っていましたね。 「はい。緊張しなかった。それだけですね。“よし、よーし! いいよ、いいよ!”みたいにはいつもならないんですけど、そんなに。なんか楽しもうとしたら、それがちょっと良くない方に行ったかなっていう感じです」 ──「気持ちが上がることは悪いことじゃない」と感じたからこそ、自分自身その高揚感を受け入れてしまった、ということなのでしょうか。 「そうですね。はい、やっぱこう程よい緊張感は大事やなって思いましたね」 ──今回は意識的に自分を緊張状態に持っていく感じですか。 「はい、ファイトウィークに入ってからずっと緊張感を持つことができています」 ──メンタル面の改善には専門のコーチについてもらうなどしたのですか? 「特に誰かから何ってというわけでもなく、自分で取り組みました。僕は昔から“これする!”って決めたら“これできる!”というところがあるので、自分の中で、“もうこれはやめて、こうやってやる!”って決めたんで」 ──そうやって気持ちを切り替えて取り組んで、今、自分が自信をつけていることは? 「もともと打撃はやっぱり自信があったんですけど、さらに自分のメンタルコントロールして戦っていこうとやって、スパーリングして“あっ、全然大丈夫やな”っていうのが自信になりました」 [nextpage] ゴフはタフでアグレッシブな、男前 ──今回の対戦相手であるビリー・ゴフ選手の印象は? 「UFCデビュー戦で、僕と同じDWCSから出てきた、タフでアグレッシブな、男前って感じですね」 ──「男前」というのは、ファイターとしての佇まいがですか? 「いや、顔が普通に男前やなと思って(笑)」 ──同じDWCS出身というのは意識はしますか? 「いや、特にそれはなくて、誰が相手でもまあ勝たないといけないっていうのは一緒なんで、あんまり気にはしてないです」 ──今回、その相手に、今までの姿勢を反省して気持ちを切り替えて臨むことになるようですが、ガンガンフィニッシュを狙いに行くというよりは堅実に勝ちを取りに行くイメージなのですか? 「いや、そういうわけではないですけど、今まではもう、“1秒でも早く倒してやる!”みたいな感じで。じゃなくて、フルラウンド戦うつもりで、一瞬でも隙があったら倒せるように、アグレッシブに行くけど行き過ぎないというのがテーマです」 ──相手の、一番注意すべき点、警戒しているところはどういう部分ですか? 「全体的に比べても、そんなにレベルの差は僕と相手にはないと思うので、相手のプレッシャーに飲まれないように、さっき言ったようなメンタル的な部分で、しっかり自分の動きを出来るようにずっとするって感じですかね」 ──どんな試合展開になると思いますか? 「僕もアグレッシブには行くんで、緊張感のある試合ができるんじゃないかなって思ってますね」 ──相手もそれに応えてガンガン来てくれると思いますか? 「来ると思います」 ──土曜日の試合を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。 「U-NEXTをご覧の皆さん、こんにちは。今回の試合は、前回負けて再起戦になるので皆さんあんまり期待してないかもしれないですけど、見ている人が震え上がるような試合をするので楽しみにしていてください! 僕のいいところって思いきりのあるKOだと思うので、去年のDWCSでのアレじゃないですけど、そんなKOを見せられたらなと思っています!」 ──ところで、21日はお誕生日でしたね、おめでとうございます。 「ありがとうございます! 23歳になりました!」 ──抱負をお願いします。 「抱負はあんまりないですけど(笑)、ずっと頑張ってるんで、これまで通り頑張り続けるって感じですかね」 ──ファイトウィークに誕生日を迎えるとお祝いが先送りになってしまいますね。やはり勝利が最大のプレゼントでしょうか。 「……もともと誕生日そんなに、恥ずかしいんですけど、祝われないので(苦笑)。学生の頃からもあんまり祝われてこなかったんですが、ちょっと有名になって、連絡は増えましたね(笑)」 ──では、今回勝利して、祝勝とともに誕生日祝いがさらに増えることを祈っています! 「そうですね! ありがとうございます」
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