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【PFL】石井慧が元UFCマルケスに判定負け、ヘビー級は初回TKO勝ちのフェレイラvs.一本勝ちのゴルゾフの決勝に。女子フェザー級は戦慄14秒TKO勝ちのパチェコと 一本勝ちのモフナトキナが決勝へ

2023/08/19 08:08
 2008年北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの石井慧(チーム・クロコップ・36)が、8月18日(日本時間19日)の『PFL 8: 2023 Playoffs』(米国ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデン・ザ・シアター)に出場した(DAZN配信)。  前日公開計量では、レイ・セフォー代表と両手でがっちり握手をかわした石井は、240.2ポンド(108.95kg)とコールされると、右手でガッツポーズ。  対するダニーロ・マルケス(ブラジル・37)は、石井より7.8ポンド(3.5kg)重い、248.0ポンド(112.49kg)でパスし、笑顔。両手でガッツポーズを見せた。  フェイスオフで向かい合うと身長180cmの石井に対し、身長198cmのマルケスはやはり大きく、正面を向くと、1番のポーズを披露した。  K-1、ボクシング、グラップリングのマットでも活躍してきた石井は、MMAは2022年6月の「FNC 6」での40秒 TKO勝ち以来、1年2カ月ぶり。今回はリーグ戦ではなくワンマッチ出場ながら、PFL参戦は3年10カ月ぶりとなる。  蹴りありのK-1、ボクシングでの近距離の戦い、そして智将ジョン・ダナハーからも学ぶ最先端のグラップリング──これらがMMAとして石井慧のなかでどんな融合を見せるか。  石井が対するマルケスも強豪だ。  UFC2勝2敗の戦績を持つマルケスは、10歳からテコンドーを始め、柔術ではデミアン・マイアの黒帯。MMA14勝5敗。14勝中11のフィニッシュ(4KO・7SUB)を誇り、2022年2月にUFCライトヘビー級でジャイルトン・アルメイダにTKO負け後、Gladiator Challengeでの一本勝ちを経て、2023年2月からPFLに参戦。チャレンジャーシリーズで勝利し、欠場選手の代役としてリーグ戦に出場。1勝1敗でプレーオフ進出は逃している。一本負けは無く、テコンドー仕込みの後ろ蹴りなども見せるマルケスは防御も固い難敵だ。  石井のスタンドでの進化、そして体格差のある相手に、ケージレスリング、さらに柔道をMMAに融合させた足技も持つ石井はいかにテイクダウンするか。PFLは米国のESPNでオンエアされており(日本ではDAZN配信)、フランシス・ガヌーと契約、Bellator買収の動きも報道されるなか、石井が今後、どんなステップを目指すか、注目のデカゴン復帰戦だ。 ▼ヘビー級 5分3R〇ダニーロ・マルケス(ブラジル)15-5-0[判定3-0] ※29-28×3×石井 慧(クロアチア)26-14-1  1R、サウスポー構えの石井に、オーソドックス構えのマルケスが中央を取り、右ハイをガード上に当てる。  左ジャブを突き、右ローを見せるマルケス。さらに右ハイははたく石井も押し戻す。右インローを当てるマルケス。さらに右ハイは遠い。石井は左インロー、ミドルをヒット。マルケスも右ミドルを突くと、石井はワンツーで押し戻す。  マルケスの右インローに左ストレートで飛び込む石井だが、さばくマルケスは右インロー。さらに右ミドル。石井の詰めにワンツーをガード上に当てる。圧力をかける石井に右の後ろ廻し蹴りを見せるマルケスは右インロー。その打ち終わりに詰めて組む石井だが、左回りで切ったマルケス。  右ハイをかわした石井はローシングルも狙うが、右に回るマルケス。右前蹴り、左ローを当てると、残り10秒は両者見合ってゴング。マルケスのラウンドも中盤以降のスタミナは両者どうか。  2R、頭を振って左右で詰める石井。左右の二段蹴りで押し戻すマルケス。石井は左オーバーハンドを振って詰めると左インロー。さらに左フックで前に。近い距離を望む石井に、右ハイを見せるマルケス。ワンツーをはブロックもマルケスのボディ打ちは被弾。  詰めてついに左で差した石井だが、左回りに突き放すマルケス。さらに詰めて首を掴む石井からも離れる。声を上げて左右を振って前に出る石井。マルケスの手数が減るなか、ダブルレッグも。ここも切るマルケスだが、石井は左ストレートを突く。  後退するマルケスになおも左フックで下がらせる石井。マルケスは右前蹴りで距離を取ろうとする。ローシングルを切るマルケスも右オーバーハンド。ブロックする石井も左オーバーハンドを打ち返し。マルケスは右のヒザ蹴りをその入りに狙う。  詰める石井にサークリングから右前蹴りのマルケス。石井は組むが、いい組み手にならない。  3R、中央の取り合い。右前蹴りのマルケスに左を伸ばしてさらに左のダブルから金網に詰めてダブルレッグは石井。差し上げて右で小手に巻くマルケスは突き放すが、なおもアタックする石井が左で差して金網に押し込む。ここも右で小手巻き、首相撲から離れるマルケス。その離れ際に右を振る石井は、前足にシングルレッグ。  放してもすぐに左フックで詰めて、金網n押し込み左フックをこつこつと突く、右で小手に巻き、右で首を掴んで回して離れるマルケスから組みに行くが、これを切って左で押し込む石井のペース。  右で小手に巻き、金網背に凌ぐマルケス。石井はダブルレッグも狙いながら上組み。ここで首相撲のマルケスに右のボディ打ち連打は石井! 金網背にするマルケスは右小手から離れる。  間合いを潰して左右で前進する石井に、後退するマルケスは再び金網背に。頭をアゴ下につけてクリンチボクシングでせっるマルケスに突き放そうとするマルケスだが、詰める石井は打ち合いのなかで左ミドルも打って前に出てゴング。最終回をモノにしたか。判定へ。  AIスコアは1、2Rがマルケス。3Rが石井と出たが、判定は3-0(29-28×3)でマルケスが勝利。接戦を制した。  試合後、マルケスは「彼がテイクダウンを仕掛けてくることを想定していた。サトシ、ありがとう。リスペクトするよ。柔術を愛している。前回はミステイクがあった。今回はプランを実行した」と語った。 [nextpage] PFL 8: 2023 Playoffs 速報 ▼ヘビー級準決勝 5分3R〇ヘナン・フェヘイラ(ブラジル)11-3-0[1R 4分46秒 TKO] ※右ストレート→パウンド×モーリス・グリーン(米国)11-9-0  先にデニス・ゴルソフが決勝進出を決めているヘビー級トーナメントの準決勝。  LFAからPFLに参戦したフェレイラは、2022年のプレーオフでアンテ・デリアに1R TKO負け後、2023年6月の初戦はリズヴァン・クニエフに判定で敗れるもクニエフのドラッグテスト失格によりノーコンテストに。2戦目でマテウス・シェフィールを1R 50秒でKOに沈めている。  対するグリーンは、GLORYキックからLFAを経て、TUF28で勝利後、UFCで4勝4敗。2022年のPFLでデニス・ゴルソフに判定負けすると、2023年はリーグ初戦でマルセロ・ヌネスに2R KO勝ち。  2戦目はアンテ・デリヤに判定負けも、デリヤが初戦後は欠場。決勝進出を決めた。同門のジョン・ジョーンズがセコンドにつく。  1R、ともにオーソドックス構え。フェレイラのワンツーにグリーンは左ボディストレート。スイッチして右ジャブからオーソに戻す。  圧力をかけるフェレイラは強烈な右ミドルを当てて前に。サウスポー構えに変えたグリーンは歩きながら右前蹴りも届かず。  フェレイラは右ローを当てるとグリーンはサウスポー構えに。詰めるフェレイラのワンツーを被弾し、サークリングする。  右ローからサイドキックのグリーンをさばいたフェレイラは右ハイをガード上に叩き込む。サウスポー構えのグリーンに、左前手を回してジャブを突くフェレイラは、狙いすましたように右ストレート!  グリーンが後方に倒れ、飛び込んだフェレイラの鉄槌3発にすぐにレフェリーが間に入った。フェレイラは決勝でゴルソフと対戦に。 [nextpage] ▼女子フェザー級準決勝 5分3R〇ラリッサ・パチェコ(ブラジル)22-4-0[1R 0分14秒 TKO] ※右ストレート→パウンド×オレナ・コレスニク(ウクライナ)9-6-0  女子フェザー級トーナメント準決勝。  2022年のライト級トーナメントからともにフェザー級に落として準決勝に勝ち進んだ。  2022年女子ライト級トーナメント決勝で、絶対女王ケイラ・ハリソンに3度目の対決で勝利し優勝したパチェコ。  2023年のフェザー級トーナメントでは、リーグ戦初戦で元Bellator女子フェザー級王者のジュリア・バッドに判定勝ち。2戦目はアンバー・ライブロックを1R TKOに下し、堂々の1位通過。  対するコレスニクは、2022年の女子ライト級予選で2連勝して決勝トーナメントに出場も、パチェコに1R KO負け。  2023年のフェザー級初戦は元UFCのアスペン・ラッドに判定勝ち。2戦目で東よう子に判定勝ちしている。今回も体重超過で1点減点からのスタート。  1R、サウスポー構えのコレスニに、オーソドックス構えのパチェコが左ジャブを見せて中央を取ると、右インローを当てる。さらに右ストレートで前に。  下がりながら右ジャブを出すコレスニクだが、広いスタンスで踏み込んでの右ストレートはパチェコ。これは届かずも、なおも右ジャブのコレスニクに続けて右ストレート!  被弾したコレスニクが金網に詰まると、そこにパチェコは右! ヒザから崩れたコレスニクにパチェコが中腰のまま右パウンド2発でレフェリーが間に入った。  これで決勝は、ラリッサ・パチェコとマリーナ・モフナトキナの初対決に。両者はケージの中でフェイスオフ。笑みを浮かべたモフナトキナに対し、勝利したばかりのパチェコは表情を崩さなかった。 [nextpage] ▼ヘビー級準決勝 5分3R〇デニス・ゴルソフ(ロシア)32-7-0[1R 4分16秒 肩固め]×ジョーダン・ヘイダーマン(米国)7-1-0  ヘビー級トーナメント準決勝。  2019年のPFLで石井慧に判定勝ちしているゴルソフは、リーグ戦1試合目で元UFCのシーザー・フェレイラに1R TKO勝ち。2戦目もヨルガン・デ・カストロに1R 18秒、右ストレートでKO勝ちで1位通過。  LFAからTUFを経てPFL入りしたヘイダーマンは、リーグ戦は1戦のみ。パトリック・ブレイディに1R KO勝ちを収めている。  1R、ともにオーソドックス構え。先に詰めるヘイダーマンに、ゴルソフは右ロー。ヘイダーマンはワンツーを突く。両脇を差したヘイダーマンにゴルソフはかんぬきから外がけテイクダウン!  サイドからハーフの中に入ってパウンド。蹴り上げから足を戻したヘイダーマンはフルガードに。  しかし上体が長いゴルソフのパウンドに足を解き、ハーフからキムラ狙いもすぐに腕を外したゴルソフがハーフから肩固め! 左肩を極められたヘイダーマンが右手でタップした。ヘイダーマンはTUFを除けば公式戦初黒星。 [nextpage] ▼女子フェザー級準決勝 5分3R〇マリーナ・モフナトキナ(ロシア)11-3-0[1R 1分45秒 腕十字]×アンバー・ライブロック(米国)7-6-0  女子フェザー級トーナメント準決勝。サンボ世界王者のモフナトキナはリーグ戦初戦で、DEEP JEWELSフェザー級王者・東よう子に2R KO勝ち。2戦目でエブリン・マルチンスに判定勝ちで予選2位通過。  ライブロックは、リーグ戦初戦でマルティナ・インドロヴァを1R KOでクイック6獲得。2戦目はラリッサ・パチェコに1R KO負け。  1R、左ジャブを伸ばしてライブロックを金網に詰めて組んだモフナトキナは、両脇を差すライブロックに右で小手巻き、左で差して、右も差し返しながら左足で小外がけテイクダウン!  上四方からサイド、腕十字狙いに。クラッチで凌ぐライブロックが亀になっても前転させて腕を極めにかかると、頭をまたごうとするライブロックの足を外して右腕を伸ばして、腕十字を極めた。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇ネイサン・ケリー(米国)9-2-0[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ダミオン・ネルソン(米国)4-5-0 [nextpage] ▼ヘビー級 5分3R〇ダニーロ・マルケス(ブラジル)15-5-0[判定3-0] ※29-28×3×石井 慧(クロアチア)26-14-1 [nextpage] ▼女子フライ級 5分3R〇マイラ・マザール(ブラジル)9-6-0[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ケイトリン・ニール(米国)7-5-0  1R、ともにオーソドックス構え。左サイドキックのニールも、右ローのマザールから組んでいくが、体を入れ替えたニールが左で差して押し込む。ともにヒザを突いて離れると、マザールはワンツーを上下に散らす。右を返したニール。左インローを当てるニールに、マザールは右ロー。ニールは長いコンパスで左前足でハイを狙う。  出入りのマザールに左ジャブを突くニール。マザールも右の前蹴り。ニールの左ヒザ蹴りを掴もうとしたマザールだが、足を抜いたニール。なおも圧力をかけて詰めるマザールが右で差して組み。そこにニールは右ヒザを突いて突き放す。  2R、ともに前足を使ってけん制し、右オーバーハンドで飛び込むマザール。ムエタイスタイルでその入りに左足を上げてヒザのフェイントのニール。しかしマザールは積極的な飛び込み。ニールの左ジャブに右ストレートを中に突く。  ニールは左ミドルをヒット。さらに前蹴りで距離を取る。サウスポー構えにスイッチを見せると、マザールも右ハイ、右ストレートは遠いが左ローと繋ぐ。ニールの左のサイドキックを掴んでドライブするマザールに片足立ちで足を抜くニールは左の踵落としも見せる。  3R、左ハイをブロック上に突くマザールに、ワンツーを刺すニールは半身構えで左インローを2発。いったん距離を取ったマザール。一進一退の攻防。ワンツーの打ち合いで右を当てたマザール。ともに圧力のかけあいから右ローにマザールに、ニールも左インローを蹴り返す。右ローを当てるマザールも左ジャブのダブルから右で前進。バックステップでかわすニールは左ミドル。  ワンツーの飛び込みを腹に突き、右ローを当てるマザール。ニールの左ジャブの打ち終わりにワンツーを打つ。出入りが終始鋭いマザールは右オーバーハンドで前に! それを掴んで首相撲ヒザはニール! 嫌って離れるマザール。  右関節蹴りのマザールがシングルレッグも逆にニールが左差して押し込みゴング。判定は2-1に割れ、マザールが接戦を制し、2連敗から脱出。ニールは2連勝から黒星となった。
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