Krushを主戦場とする小倉がKNOCK OUTのタイトル奪取に挑む(C)KNOCK OUT
2023年8月6日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.3』にて、KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級タイトルマッチ3分3R延長1Rで王者・古木誠也(G1 TEAM TAKAGI) に挑戦する小倉尚也(スクランブル渋谷)のインタビューが主催者を通じて届いた。
小倉は2017年からK-1 GROUPに参戦しているファイターで、パンチを武器に18勝(9KO)12敗2分の戦績。2021年は第7代Krushスーパー・バンタム級王座決定トーナメントに出場し、優勝候補の呼び声も高かったが、1回戦で内田晶に敗戦。3連敗を喫して心機一転、2022年12月にKNOCK OUTに参戦すると加藤和也に判定勝ち、2022年3月には工藤“red”玲央に初回TKO勝ちして再び波に乗ったが、2023年6月のKNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級次期挑戦者決定戦で武蔵に初回KO負け。その武蔵が所属ジムを退会したため今大会欠場となり、代わって小倉にとって思わぬビッグチャンスが舞い込む形となった。
──6月の挑戦者決定戦では敗れたものの、カード変更によって挑戦者に繰り上がりました。そのあたり、どう受け止めていましたか?
「負けた後、わりとすぐに打診があったので、驚きはしましたけど、逆に8月の試合までは時間があったので、そこからはしっかりと準備することができました。競技練習は少し休みましたけど、フィジカルとかラントレはけっこうすぐに再開しましたし。いつもけっこうダメージの残る試合をすることもあって、普段は試合後けっこう休むんですけど、今回は本当に珍しく、すぐに始めました。『やんなきゃ』っていう気持ちもあって、前向きだったんじゃないですかね」
──実際、最初に聞いた時にはどう思ったんですか?
「カードの打診があった時とかって、自分はあまり即答はしない性格なんですけど、今回は珍しく即答でしたね。やっぱり、気持ちは切れてなかったんじゃないかと思います。迷いはなく、『やる』の一択でした」
「それはあります。ただ、『タイトルマッチだ!』という感じはあまりなくて。タイトルマッチって、もっとそれで頭がいっぱいになったりするのかと思ってたんですけど、意外とそんなこともなくて」
──前回の挑戦者決定戦の時も、その先のことは全く考えてないという発言でした。
「ですね。タイトルうんぬんよりも、古木選手とやるということの方が大きいかもしれないです。ベルトに興味がないわけではなくて、『KNOCK OUT』のベルトも普通にほしいんですけど…メンタルが整ってるのかなという感じですかね」
──そこはキャリアのなせる業なんでしょうか。
「いやでも、タイトルマッチは初めてなので(笑)。当日はもちろん緊張するでしょうし、タイトルのこともよぎってはくるんじゃないかと思いますけど。もちろん今も考えはするんですけど、聞いてた感じではもっと頭いっぱいになると思ってたので」
──では試合への練習に集中できているわけですね。その中で、改めて思う古木選手の強さとは?
「パワーがありますよね。3月に負けてから時間が空いているので、どういう進化をしているかというのが正直、未知数で。そのへんの警戒はあるし、自分は前の試合が6月で、あまり時間も経ってないので、ぶったまげるような進化はできないですからね。そうすると、自分が持っているもので勝負することになるのかなと思っていて。ああいう真面目な性格の選手って急に化けたりするので、怖い部分はありますね」
──しかも先日の記者会見の際、古木選手は「仕事をやめてキック一本にした」と言っていましたよね。
「あまりビビらせないでください(笑)。まあ、リングに上がらないと分からないですけど」
──そういった部分も含めて、どういう試合にしたいですか?
「何回も言ってますけど、自分はタイトルが懸かってるからとか、どういう試合だからとか関係なく、倒しにいくスタイルに憧れて、そこを売りにもしてますし、曲げることはないです。そこはいつも通りですね」
──古木選手とは、タイプは違いますが、「倒して勝つ」という点では共通しています。そこのぶつかり合いという点ではどうですか?
「軽量級だと、倒せない試合も多いじゃないですか。その中で自分たちみたいなパワータイプのハラハラさせる試合が並ぶというのは面白いと思うので、そこは他の2つのタイトルマッチとも色が違うと思うんですよね。そこらへんも楽しみにしてもらえればと思います」
──当日はこの試合を含む3大タイトルマッチがある一方、K-1グループとの対抗戦も前半戦に3試合組まれています。以前も伺いましたが、小倉選手は気持ち的には今も「Krushファイター」なんですよね?
「はい。そこにプライドを持ってるとかではないですけど、やっぱり憧れてきた舞台なので、自分が負けるとその憧れの舞台の価値が下がってしまうじゃないですか。その気持ちはずっとありますね」
──今回勝てば『KNOCK OUT』のチャンピオンになるわけですが……。
「Krushファイターの自分が『KNOCK OUT』のベルトを巻いた上でまたKrushに出るのも面白いと思いますけどね。でも今はそんな先のことは全く考えてるわけではなくて、目の前の一戦だけ見てます。ここを獲らないと、また遠回りになるので。もう遠回りはいいかなと思ってます」
──ベルトに辿り着くために、最後に必要なものは何でしょう?
「いやあ、やっぱり気持ちしかないんじゃないですかね。格闘技ってそういうものだと思うので。まあそうは言っても、心技体、全部揃ってないと厳しいですよね。そんなに技術があるタイプではないですけど、それでも長くやってきたことを出せるかどうかというのは大事だと思っていて。今まで10年とかやってきて、最初の頃にやっていたことでも何でもいいですし、そういう積み重ねが出せればいいかなと思います」
──その意味でこの試合は、キャリアの中で一番大事な試合ですか?
「もちろん初めてタイトルが懸かった試合なので、そうだと思います。今、自宅の部屋にポスターが貼ってあるんですよ。2022年1月23日のKrushで黒田勇斗選手と戦った時のものなんですけど、前の年の10月に母が亡くなってて、あの試合の時は『落とせない』と思ってましたね。あの試合を落としてたら選手を辞めてたかもなと思いますし」
──そうやって、いろんな状況の試合をくぐり抜けてきた数も違うという意識はありますか?
「そうですね。やっぱりキックのキャリアは自分の方が長いので、その意味でもやっぱり負けたくないですね。やってる以上、ベルトはほしいですし。あとはもう本当に、リングで向かい合ってみないと分からないというか。自分はわりと本番に強いタイプだと思うんですけど、こういうプレッシャーがかかったところでの自分というのは、30戦以上やっていても未知数なので。そこらへんがどうなるのかなとは思います」
──では最後なんですが、当日の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「倒しにいくスタイルに憧れて格闘技のリングに上がった自分なので、10年かけて磨き上げてきた『倒すスタイル』を『KNOCK OUT』のリングで見せられればと思ってます。なので、そこに注目してほしいですね」