サトシと戦うことは、どんなに大変か(AJ)
かくして、AJ vs.パトリッキーの代わりに、サトシvs.パトリッキーが決定。その「サトシvs.パトリッキー」について、AJが自身と対戦した経験を踏まえて、「もし戦わば」を、本誌『ゴング格闘技』325号で語っている。
このインタビューは、日本でのライト級GP開催が決まる前のもので、ライト級転向後の2試合をパトリッキーから酷評されたことを受けての言葉ゆえ、多少、感情的な部分があることを考慮する必要があるが、急遽決定したGPの新カードを考える上で興味深く、ここに再録したい。
──編集部では先にパトリッキー選手にインタビューしたのですが、そこで彼は『AJの最近の2試合を見る限り、ライト級にフィットしていないのではないか』と話していました。
「ハ! だったらヤツがサトシと戦ってみるがいいぜ!」
──おおっ。
「まったく分かってねえな。サトシと戦って、それがどんなに大変か思い知るがいい!」
──もしパトリッキー対サトシが実現したら、サトシ選手が有利だと。
「(甲高い声で)Yeah! あっという間にチョークで落としちまうだろうよ!」
──そうですか !?
「彼は僕が今まで手を合わせた中でも、もっとも巧妙な柔術の使い手だ。僕のコーチ達を除けばね。サトシが僕との試合で見せた寝技のコンビネーション、腕十字から三角、バック取りやら潜ってのヒザ十字への移行ときたら……あの感覚は本当に言葉で表現できないほどだよ。ものすごく巧妙なんだ。僕は攻撃が来ることは分かるんだけど、それでも彼はものすごく頑固に狙ってくる。絶対に極めてやる、極めねばならぬ、って感じでね」
──極めに全てを賭けてくる。
「サトシがトフィック(ムサエフ)に何をやったかは知っているよね。そしてそのトフィックは以前パトリッキーと戦って、どんな結果だったか」
──パトリッキー選手を激戦の末制したムサエフ選手を、サトシ選手は極めていると。
「もちろん、勝敗は選手のスタイルの相性次第だ(Styles make fights)。でも一つのスタイルをあれだけ高度にマスターした選手と戦い、しかも向こうの専門分野で相手を凌駕するってのはものすごく大変なことなんだよ」
上記は、大晦日にAJが「万全の状態のサトシ」と戦った上での言葉だ。
今回は、パトリッキーはAJと対戦するために、20日前に日本入りし、朝倉未来らとファイトキャンプを行ってきたのに対し、サトシは試合4日前のスクランブル参戦のため、73kg契約。互いに対戦相手の想定練習をしての戦いではなく、特にサトシにとっては、ファイトキャンプを行うことなく、通常練習で、5分5Rの長丁場の大一番に臨むことになる。戦う者にとってはリスクも大きなマッチアップだ。
果たしてスクランブル参戦するサトシは、AJの予想通りの極めの強さを見せるか。