藤井「タイトル戦と変わらない大きな一戦」
対する王者は“全ての試合が激闘”の藤井伸樹だが、それを可能にさせるトレーニングと進化がある。
後藤丈治、加藤ケンジとサウスポー構えのストライカーを攻略している藤井は、テイクダウンにおいてもシングルレッグから小外の得意パターンに加え、ダブルレッグテイクダウンなどバリエーションも見せており、2022年11月に行われた石井逸人との環太平洋バンタム級王座戦では、目まぐるしく攻守が入れ替わる、全ラウンドフルスロットルの大激戦の末に、スプリット判定を制している。
2022年度「ベストバウト賞」を獲得した藤井は今回、スタンドからグランドワークまで全ての局面で穴のない竹中を相手にどう戦うか。
「ものすごく強い選手だとは知っていて“どうなるのかな”という楽しみな気持ちもありますし、最後まで集中力を切らせられない戦いになるだろうなと思っています。プレッシャーもありながらも、楽しみな気持ちもあるという感じです」と、世界と戦ってきた強豪相手との試合を「楽しみ」と語る。
実は“春高バレー”にも出場したアスリート。そのフィジカルの強さを聞くと「高校時代には(バスケットボールの)リングを掴めました」と明かしてくれた。今回の竹中戦に向けても、もっとも苦しい練習から逃げずに取り組んできた。
「全体的に強化してきたつもりですが、フィジカルの部分、打撃の部分、自分の持ち味であるスタミナを強化──そこはしっかりやってきました」という藤井は、竹中の2試合6Rに対し、4試合12Rを戦ってきた。
「今回、ノンタイトル戦ですけど、ほんとうタイトル戦と変わらない大きな一戦だということは間違いないです」と、コンテンダーと認める相手に「とにかく自分の展開に持ち込むこと──それをやるだけだと思っています」とシンプルに力強く語っている。
真夏の修斗・後楽園で最後に立っているのは竹中か? それとも“ゾンビ”藤井か?