キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】7・8新宿で引退を迎える炎出丸ラストインタビュー「僕は一番目立つアカレンジャーじゃないけど、僕には僕の役割があるなと」

2023/07/07 14:07

どんな才能があっても続けられずに消えていくヤツは山ほどいる

──そして現体制の『KNOCK OUT』になってからは、BLACKルールに挑んだりもしました。

「その頃になると、いろいろ試行錯誤もしましたね。僕はディフェンスにも自信があって、ガツンともらってのKO負けはほとんどないんですよ。もらわなくなると、『こうすればいいんだ』ってまた違う感覚を掴み始めたという感じですかね」

──始めた頃から考えると、こんなに長く続けることになるとはという気持ちなのでは?

「それはありますね。もう生活の一部になってるので。ただ、振り返って『長いな』とは思わないんですよ。それが当たり前になってるというか」


【写真】2013年7月の宮元戦

──70戦以上のキャリアがある中で、ベストバウトを3つ挙げるとすれば?

「まず思い浮かぶのは宮元啓介選手ですね。彼とは2戦やった(2013年7月に判定勝ち、2017年3月に判定負け)んですけど、初戦の時は会見で煽られて。それで燃えて、試合では首相撲で無双したので周りも喜んでくれて。彼も空手時代からキャリアも豊富で名前もあったので、印象深いですね。あとは……国崇戦ですね」

──2017年11月ですね。見事な逆転勝利でした。

「よくアスリートが『ゾーンに入る』と言いますけど、本当に集中した時の世界を感じて、本当に「無」になって戦えました。本当に目の前のことに集中できましたね。ローをもらって、試合が終わったら歩けなくなってたんですよ。でも試合中はそれも気にならなくて、相手の攻撃が全部見えて倒れる気がしなくなってて。今思えば、極限を超えた状況だったんでしょうね」

──序盤のローでの、脚の腫れ方は尋常じゃなかったですからね。

「あの試合も5Rだったからよかったんですよね。だんだんと時代が3R主流になってきて、自分の得意な味が出せなくなってきてましたから」

──あと1つはどうですか?

「負けた試合も印象に残ってますけど……一戸総太選手との1戦目(2009年9月)ですね。KO負けして、試合内容は全然覚えてなくて。リングに立って向かい合って、次の瞬間にはディファ有明の控室にいましたからね。ハイキック一発で失神というのは、その1回だけなので。2回目は僕寄りの試合に持っていけたんですけど、勝ちまではいけなくて、ドローでした」


【写真】捕まえたら離さない首相撲が得意だった

──これだけやって、やり残したことは?

「いや、もう思いつかないですね。その意味ではやりきったと思います」

──今後はどうされるんでしょうか? キックボクシングとは関わられるんでしょうか。

「キックというか、格闘技とは何らか関わっていくと思います。教えるのもあるかもしれないし、そこだけに特化したくないというのもあるし。現役中もサイドビジネスとかいろいろやってきたので、そこから何かが発展していくかもしれないですし、この先は臨機応変にやっていきたいと思ってます」

─これまでのご自身の経験から、次の世代に一番伝えたいことは?

「とにかく続けることですね。結局分かってきたのは、やっぱりコツコツやるコツを覚えるのが一番大事だなと。僕は心理学とか脳の特徴とかも勉強して、続けるコツも見つけてきたんですよ。人間って楽をしたがる生き物なんですけど、僕は続けるコツについては見つけたつもりなので、何をやっても成功できるかなと思ってるんです。キックをやりたい子には、まず続けること、その中で失敗したらフィードバックして何かを見つけていくことが大事だと、一番に伝えたいですね。もちろん技術的なことも大事ですけど、一番はそこかなと。続けられないと勝てないし、どんな才能があっても続けられずに消えていくヤツは山ほどいるので」

──さて、7・8新宿FACEでは小笠原瑛作選手と引退エキシビションを行うことになりました。最後に何を見せたいですか?

「瑛作にも言いましたけど、かなりガッツリいこうと思ってます。最初、セレモニーの提案をいただいて、ピンと来なかったんですよね。試合でもないのにお客さんを呼ぶのはどうなのかなと。ただ公式戦をやるまでのモチベーションは湧かなかったので、エキシビションをお願いして。最後に、今ノリにノってる瑛作に倒されないように、熱い戦いを見せたいなと思ってます。ヘラヘラ笑ってペチペチやってもしょうがないじゃないですか。だからエキシビションと言っても一つの『作品』になるように、今頑張って準備してますよ(笑)」

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