(C)ゴング格闘技/RIZIN FF/Bellator
堀口恭司の『超RIZIN.2』出場は、逡巡のなかでの「決断」があった。
2023年7月30日(日)さいたまスーパーアリーナにて『超RIZIN.2 powered by U-NEXT』が二部構成での開催が決定した。
その第一部の「Bellatorパート」(ケージ・ユニファイドルール)にて、「Bellatorフライ級初代王者決定戦」として、堀口恭司(アメリカントップチーム)と神龍誠(神龍ワールドジム)が、新設されるBellatorフライ級のベルトを争うことが27日、発表された。
4月22日のBellatorハワイ大会で、元UFCのレイ・ボーグを相手にBellatorでのフライ級デビュー戦に臨むはずだった堀口は、ボーグの体重超過により直前で試合が消滅。かつてUFCで世界王座挑戦まで進んだ「適正階級」での北米復帰戦が流れていた。
そんな状況での7.30『超RIZIN.2』への電撃参戦。
MMA31勝5敗の堀口にとって、半分の戦績のMMA16勝1敗1分の神龍誠は、当初「戦う意味が乏しい」相手だった。
「意味のある試合」と「コーナーマンの不在」
北米での実績はCFFCフライ級王者の肩書を持つものの国際戦は1試合のみ。フライ級で世界の頂きを目指す堀口にとって、10連勝中の22歳、ヤングプロスペクトとの試合は、相手にとってメリットが大きいが、自身にとって戦う意味を見出すことが難しいと、本誌『ゴング格闘技』(NO.326)の取材で堀口は語っていた。
さらに「7月30日」という日時がネックだった。米国ソルトレイクシティで開催される『UFC 291: Poirier vs. Gaethje 2』が日本時間の同日開催で、そこにアメリカントップチームの名伯楽マイク・ブラウンが、メインイベントに臨むダスティン・ポイエーのコーナーマンとしてつくことが先に決まっていたからだ。
神龍といずれ戦うことについて堀口は、「全然いいかなと思っているけど、今回はマイク・ブラウンがたぶん来れないから、どうしようかな、と」と悩める思いを吐露している。
戦う意味と、信頼するコーナーマンの不在。
この2点で堀口は逡巡したが、「戦う意味」は榊原信行CEOとスコット・コーカーBellator代表の話し合いにより、モチベーションが持てるものとなった。
急転直下決定した『超RIZIN.2』でのBellatorとの2部構成により、堀口は神龍と「Bellatorフライ級初代王座」をかけて戦うことになったからだ。しかも、榊原CEOは、この王座は「RIZINフライ級王座」ともリンクすることを明言している。Bellatorフライ級王者は、RIZINフライ級王者とも対戦する可能性があるという。
なにより、堀口にとって、これまでランキングさえ無かったBellatorのフライ級が、王座を制定することによって本格的に動いていくということが、今後に繋がる大きな一歩となる。
自身のSNSで堀口は、「やっとフライ級を作ってもらえたかと。ありがたいですね。自分のおかげということではないとは思いますけど、その一部にはなれているということは嬉しいです。ほんとうに適正階級がフライ級だったので『作ってほしい』ということを何度か言っていたら、スコット(コーカーが)自分のジムのオーナー(ダン・ランバート)と話してくれて、作ってくれました」と語る。
これまで1階級上で、現王者のパッチー・ミックスのような2回りも大きな相手と戦ってきた堀口は、「(世界の強豪が集う)フライ級はUFCとONEくらいしかなくて2択だった。RIZINもあるけど、自分が(フライに)移るとなってからだいぶ力を入れてきた。(Bellatorがフライ級を作ることは)すごいフライ級の小っちゃな選手に夢を与えられるんじゃないかなと思います。(ATTに)自分くらいの体重の選手もいるので、『キョージ、よくやった。俺も行けたら行くよ』という選手が何人かいます」と、自身のみならず、フライ級を適正とする選手たちにも新たな門戸を開く形になったことを喜んだ。