MMA
インタビュー

【Bellator】試合中止の堀口恭司が、計量前に語っていたこと「やっぱりファイター人生って短いと思うから──」

2023/04/22 18:04
 2023年4月22日(日本時間23日8時30分からU-NEXT配信)『Bellator 295: Stots vs. Mix』(米国ハワイ州ホノルル・ニール・S・ブレイズデル・センター)で対戦予定だった堀口恭司(日本)とレイ・ボーグ(米国)の試合が中止となった。フライ級(125ポンド/56.7kg)戦から130ポンド(58.96kg)契約試合に変更を申し出ていたボーグが、そこからさらに7ポンド(3.17kg)オーバーしたため。  試合中止に、堀口はSNSで「試合が無くなってしまいました。楽しみにしていた皆様、本当に申し訳ありません。しっかりと次、作っていくので、ぜひまた楽しみにしてください」と自身に非は無いものの、次戦に向けて再び「作っていく」としており、スコット・コーカー代表は「ここ2、3カ月で試合を組みたい」と語っている。  試合は中止となったが、20日の会見後のインタビューで堀口は、BellatorとRIZINフライ級戦線への思いを語り、神龍誠の対戦アピールへの返答、レイ・ボーグ戦を「タフな展開もありうる」と語っていた。さらにATTに出稽古に来た牛久絢太郎、自身が返上したRIZINバンタム級王座の行方なども語っていた。日本時間4月20日に堀口恭司とかわした一問一答全文をここで紹介しておきたい。 相手はやっぱり作れなかったか、と。なるべくコンスタントに試合したい ──この取材前の会見では、最初に海外記者から「キョージサン、ゲンキですか?」と聞かれた後は、すべて英語でやりとりをしてましたね。ヒアリングも出来てもう堪能で。 「全然堪能じゃないです(笑)。ヒアリングだけですね。単語を繋いでやってるだけなんで」 ──会見で英語で意思を伝えられるのは、米国ではとても大きいと思いました。ところで、試合がフライ級の125ポンド(56.7kg)戦ではなく、130ポンド(58.96kg)契約になったそうですね(※取材は試合中止前に行われた)。 「まあ、そうですね。自分はフライ級で全然、大丈夫なんですけど、相手がたぶん落とせないから130ポンドになって」 ──レイ・ボーグはUFC時代から体重超過の常習犯で、正直、今回のフライ級戦も心配していました。 「うーん、“やっぱり作れないか”と思いましたね……まあ、自分は体重が変わっても何も違いはないんでやるだけです」 ──大晦日のRIZINの扇久保博正戦ではフライ級に戻して戦いました。あのときの手応えはいかがでしたか? 「変わんないですよね。減量自体もそこまで辛くはないですし、力で戦ってるわけじゃないので」 ──やっぱりフライ級の身体なんですね。 「まあなんだかんだ慣れちゃってるというのがあるかもしれないです。もうだってフライ級でも何戦やってんだって話で(笑)」 ──そうですね。今回の4月22日の試合に向けて、ハワイ入りしたのは? 「4月12日の水曜日に入りました」 ──パッチー・ミックス戦以来、1年ぶりのハワイでの試合になります。同じホノルルのニール・S・ブレイズデル・アリーナで前回敗れていますが、今回は2連勝でのハワイ入りです。 「そうですね。ハワイにいい思い出がないので、今回はしっかり勝っていい思い出を作りたいなと(笑)」 ーーフロリダからは遠いですが、感覚としては外国での試合のような感じでしょうか。 「時差とかはあって大変なので、早く現地に入ったりとかはしました。まあ、でもあんまりどこで試合やるとか気にしないです。やることは同じなので」 ーー前回の試合が大晦日で4カ月弱、その前も3カ月、試合ペースが短くなってきていますが、ちょうどいい試合間隔でしょうか。 「試合をやらないと試合勘だったりが狂ってきちゃうので。やっぱりファイター人生って短いと思うので、よりファイトをして、みんなに印象つけて覚えてもらいたいなと。自分にとってこの試合間隔は、怪我がなければ早くやりたい方で、可能なら2カ月、3カ月スパンで、なるべくコンスタントにやっていきたいと思っていますね」 ーー今回のスパーリングパートナーは? 「たくさんいて言いづらい(笑)。この人と、とは決まっていないから、何人もATTの選手で回しながらやっていました。たくさんのレスラーやグラップラー、たくさんのボクサータイプの選手とも。いつも、ATTファミリーで練習してきているので、準備はできていますね」 (C)Mike Brown ──今回のセコンドは? 「いつものようにATTからマイク・ブラウンと、ムエタイコーチのアンデウソン・フランカ。それと兄(健太氏)が日本から来ました」 ──お兄様も入られた、ということは空手の動きの確認作業が出来るということですね。 「そうですね。孔宇(二瓶弘宇館長の三男)が仕事で来れなかったんで、フロリダだと空手が出来ないので、ちょっと早めに入って兄貴と空手の練習をします」 [nextpage] 相手はボクシングとレスリング主体のオールドスタイルで、自分はニュージェネレーションスタイル ーー対戦相手のレイ・ボーグの警戒すべきポイントをどうとらえていますか。 「打撃、ボクシングとレスリングがすごく上手いのでそこに気をつけていこうかなと思います。どんな選手も強い部分と弱い部分があるので、そこの穴を上手く突いていければなと」 ──ただ、会見では「相手はボクシングとレスリング主体」ではあるものの「オールドスタイル」で、ご自身を「自分のスタイルは“ニュージェネレーション・スタイル”だ」とも話していましたね。 「全体的に昔のスタイルっぽくて、そこが強みだとも思います。でも、自分は何でもできるから、試合でMMAというものを見せたいですね。自分こそ“リアルMMAファイター”で、全部において優っているところを見せたいです」 ──ただその「昔のスタイル」がゆえにタフな面もあるかと思います。左ボディなど近い距離でも戦う。そこでどう対応するか。 「そうなるとは思うんですよね、タフな展開に。まあそこでうまく自分のペースにハメられるようにしていきます」 ーージョン・ドッドソンが練習パートナーのボーグは前戦で、ボクシングで真っ直ぐ入って行く動きを見せています。そこは堀口選手にとってやりやすい部分もありますか。 「まあ、向こうもゲームプランを考えているのでそういう風にはやってこないと思いますが、出てきてくれるほうがやりやすいと言えばやりやすいですね」 ーー打撃の強さを活かしてテイクダウン、バックからチョークを狙う正攻法でもあります。Bellatorでの前回のミックス戦はバックコントロールされましたが、ミックスとボーグでは体格やリーチも異なります。より堀口選手が持っているものをより出しやすいでしょうか。 「ミックスとやったときは、相手の得意なポジションのバックを取られてしまって。そこはミックス選手の上手さであって、もちろん体格差もありますけど、やっぱりレイ・ボーグもああいうポジションが得意なところがあるので、そこのポジションに入っちゃうとやりづらくなる。その時点でもう相手のペースになっているので、そうさせないようにやっていきたいと思っています」 ──理想の展開は? 「もちろんフィニッシュしたいです。それが一本でもKOでも、自分はフィニッシュしたいと思います」 ーーBellatorでのフライ級戦線での目標はやはりベルトになりますか。 「そうですね。まずはこの試合に勝って、フライ級の階級自体をしっかり作って、ベルトを作ってもらいたいなと思いますね」 [nextpage] 神龍誠からの宣戦布告に「クソガキ、なめんなよ」。ATT出稽古の牛久、返上したRIZINバンタム級王座の行方は── ──ところで、6月16日の『Bellator 297』で、元Bellator世界ライト級王者で現Bellator世界フェザー級王者のパトリシオ・ピットブルがバンタム級に参戦し、王者セルジオ・ペティスに挑戦すると発表されました。 「相当、減量がキツいんじゃないですか。そこで動けるかどうかが鍵になると思いますけど」 ──たしかにほんとうに落として動けるのかと。堀口選手ももしペティスやミックスとの再戦の機会があればバンタム級に挑むこともありうるのでしょうか。 「そうですね。負けてるんで、しっかりやり返したいなというのはありますね。でもそことやるということは、もうバンタムですよ(笑)。トップの2人だから」 ──フライ級では、日本のRIZINでもタイミングが合えば参戦することに? 「そうですね、タイミングがあえば。この試合が終わったら、日本での自分の大会のことも発表していきたいですし、やっぱりそうやってフライ級が盛り上がっていくのはいいことだと思うので、そっちもチェックしていきたいと思っています」 ーーRIZINのフライ級では、神龍誠選手から対戦要求もありました。 「『〇してやる』的なことを言っていましたよね。クソガキ、なめんなと思いましたけど(笑)。(対戦は)機会があればいいですけど、こっちに集中しようとしてますから、なかなか……まあ機会があったら、クソガキなめんなよって、ブッ飛ばしてやりますよ、ハハハッ!」 ーー4月29日の「RIZIN LANDMARK 5」で朝倉未来選手と対戦する牛久絢太郎選手がATTに出稽古に来ていましたね。刺激になった部分も? 「やっぱり強くなりたい意識があってあそこまで来て。フロリダはすごく遠いところなので、ひとりでそうやって来たのはすごいなと思いました。自分も最初の気持ち、初心に帰った、いい刺激になりました」 ーーATTに所属するには堀口選手の許可がいるという話も……。 「ハハハ、そんなことはないですけど、マネージャーのトップのダン・ランバートが『恭司がOK出せば入れていい』と冗談で言われています」 ──堀口選手は、米国で練習して戦う日本人ファイターのパイオニアですが、他の選手に追随してほしいという気持ちも? 「他の選手がどうしたいかは知らないです。自分は強くなりたいから来ただけで、もっと強くなりたいなら来ればいい、そう思います」 ──牛久選手は「ATTで堀口選手によくしてもらい、アドバイスもいただいた」とのことでした。朝倉戦に向けた牛久選手の取り組みをどう見てきましたか。 「自分もその研究をしているわけではないですけど、いいマッチアップじゃないかと思いますね。今回の試合がケージだと聞いてますけど、ケージレスリングにも結構取り組んでいたように思います」 ──堀口選手が返上したバンタム級のベルトを賭けて、Bellaorからはフアン・アーチュレッタ選手が参戦しますね。井上直樹戦をどう考えますか。 「これもいい試合になるんじゃないかと。アーチュレッタがガチャガチャ行って、井上選手がカウンター狙いになったりするんじゃないかと思いますね」 ──朝倉海vs.元谷友貴も含め、競った試合になりそうでしょうか。 「そうですね……格闘技なんで、1発当たっちゃうとそこで終わっちゃう可能性もあるので、一概には言えないところですね」 [nextpage] 聖子さんからWBCに誘われるも観戦は叶わず、村上宗隆選手の『My Time』は嬉しかった ──ところで、ATTがあるフロリダでは、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われていましたが、現地での盛り上がりも感じていましたか。 「知っての通り、あまりいろんなことに興味がないので行われることを知らなかったんです(笑)。それで聖子さん(山本美憂の妹、ダルビッシュ有の妻)が、『フロリダに観に来ているから行きましょう』と誘ってくれて。ただ、試合前というのもあってなかなか都合がつかず、観戦はできなかったです」 ──KRAZY BEE時代からの繋がりですね。そのWBCでは堀口選手の入場曲の『My Time』を、日本代表の村上宗隆選手が使用して話題になっていました。 「怪我して復帰したときに『頑張ってください』とメッセージ動画をもらって、何回かやりとりさせてもらいました。『僕もMy Timeを使っています』と。まあ、自分の曲じゃないですけど(笑)。正直、野球のことはよく知らなかったですけど、そう言ってくれたのは嬉しかったですね」 ──ATTのホルヘ・マスヴィダルが動画で「キョージは練習、練習、釣り、練習、練習しかしなくて、一緒に遊んでくれない」とぼやてましたが(笑)。ほんとうに格闘技に集中していて、息抜きは釣りくらいなんですね。堀口選手が動画で紹介した、米国の巨大釣り店は、自分もほかで見たことがありますが、ワンダーランドというか、一大ショッピングセンターなんですよね。 「そうそう。試合が終わったら、釣りが出来るジェットスキーを買おうと持ってるんですよ。乗りながら海にも出られるんで」 ーーほんとうに「練習、練習、釣り、また練習」の日々ですね。北米MMAという大海に再び乗り出す堀口選手の試合にも注目しています。最後に日本のU-NEXTで視聴するファンにメッセージをお願いします。 「日本の皆さん、日本では2回勝ちましたが、Bellatorでは2連敗しているので、しっかり勝って汚名返上、名誉挽回するので、応援よろしくお願いします!」(※このインタビューから1日半後、レイ・ボーグが変更した契約体重から7ポンドオーバーで試合は中止となった)
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント