MMA
インタビュー

【UFC】佐藤天「自分が作ってきたことを全て出して、勝利を──」=5.20 UFC Fight Night

2023/05/19 14:05
 2023年5月20日(日本時間21日・日曜朝5時~U-NEXT/UFC Fight Pass配信)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Dern vs. Hill』が開催される。  その第1試合に、米国フロリダのキルクリフFCでトレーニングを積む、佐藤天が出場。ウェルター級で元EFC Worldwideウェルター級王者のテンバ・ゴリンボ(ジンバブエ)と対戦する。  佐藤は、UFCデビューから精緻な打撃と強い組みを武器に、北米修行も経て2勝1敗と好スタートを切っていたが、無敗だったミゲール・バエザ、強豪グンナー・ネルソンとの緊急対戦で敗れ、2022年8月の前戦ではTUF優勝のブライアン・バトルにもKO負けで3連敗中。今回、背水の陣でオクタゴンに向かう。  キルクリフFCで、同じUFCファイターの木下憂朔や、Combate Global出場のエフェヴィガ雄志らと共同生活を送るなか佐藤は、いかに自身のMMAを作り上げてきたのか。ラスベガスでホテル入りした佐藤に聞いた。 ゴリンボ戦でも、常に自分から試合を作ること ──2022年8月のブライアン・バトル戦から約7カ月ぶりの試合となります。どのように作ってきましたか。 「前回あんな負け方をしたので、コーチたちと話して、ちょっとスパーリングとかは2カ月から3カ月くらいやらずに空けて、そこからまた作り直してきました。特にこの部分に取り組む、というより全体的なレベルアップと、もう1回ケージに上がるためには、必ず勝てるように準備しないといけないということで、そういう準備は気持ちと身体もどちらもやってきました」 ──ブライアン・バトルのその後の試合を見ても、ミドル級から落としてきた大きさと、下がりながらも打てる懐の深さを感じました。強い選手だなと。 「そうですね。大きいですよね。先週の試合でも14秒でKO勝ちして。いい選手だなと思います」 ──そして、今回の対戦相手は、元EFC Worldwideウェルター級王者のテンバ・ゴリンボとなりました。ゴリンボになると聞いたのは? 「試合の6、7週前に対戦相手を聞いて、ゴリンボの試合を見て、どういう風に練習するかを決めてここまでやってきました」 ──ゴリンボはMMA10勝4敗で6つの一本勝ちということですが、その組みにもここでバックから落とされるかという粗さも感じました。 「組みで勝っているんですけど、全体のレベルはそんなに高くないかなと。手足が長い(身長185cm、リーチ194cm)ので打撃も長いんですけど、倒すような打撃ではないかなと見てては思いますね」 ──その相手にどんな戦いで臨みたいと考えていますか。 「常に自分から試合を作ることをメインに──それを今回、自分の大きなテーマでやってきたので、常にプレッシャーをかけて、打撃の面でも組みの面でも自分がアドバンテージを取れるように、トータルMMAで勝てれば。最終的にはフィニッシュできればいいかなと思います」 ──「自分から作ること」は前回の試合でも? 「前回の試合も自分から作りにいってもらって負けてるんですけど(苦笑)、でもそこを変えるわけじゃなくてやってきたことは間違っていないと思っているので、ああいう風なアクシデントが無いように意識しながらも変わらずプレスをかけて自分で試合を作るのを見せていきたいです」 ──あのとき……バトルが左ジャブから右ストレートを少し佐藤選手の顔の右側に伸ばして、佐藤選手が左に避けるところに右ハイキックを狙った。スローで見返すと、右ストレートを伸ばした時点でバトルは同側の右ハイを打ちに行ってました。練習でもあの動きはあるようなものだったのでしょうか。 「あんまりもらうことは無かったですけど……日本にいるときとかも、反応で左に避ける癖があって。ガードを抜けてああいうアクシデントが起きることもあるので、ああいう動きも気を付けながら、反応で受けてその場にいたからもらってしまうと思うので、見えてるならしっかり外すなり、正しい対処をしないといけないなと。(カマル)ウスマンもそうでしたよね。誰にでも起こるようなことなので、その確率を無くすように──そのあたりの動きも徹底して正しい動きができるようにやってきました」 [nextpage] 木下くんと雄志くんとの共同生活? もう完璧なチームワークです 【写真】木下は佐藤について「ぶちかましてくれると思いますので、楽しみにしています!」と、この笑顔。 ──この試合の前までに、いま後方に木下憂朔選手がいるように、キルクリフFCに、井上直樹選手やエフェヴィガ雄志選手も来たことは、佐藤選手にとってどんな影響がありましたか。 「自分よりも全然若い選手で、木下くんは10個くらい下で、すごい刺激になっていますね。木下くんはいま一緒に生活していて、雄志くんは自分の部屋に3カ月近く泊まっていたんですけど、練習以外では楽しく、ストレスなく──僕はストレスなく、2人はどうか分かりませんけど、まあ年長者なんで(笑)」 ──共同生活も快適そうですね。 「素晴らしい生活が出来てます(笑)。楽しくやってます、普通に。僕と雄志くんがご飯を作って、木下くんが皿を洗うという、もう完璧なチームワークです!」 ──なぜ木下選手だけが皿洗いに回るのかという(笑)。 「それは……雄志くんが結構、料理が好きで上手で、試合が決まってからは、UFCのご飯もあるのですが、雄志くんが作ってくれましたね」 ──ファイターズハウスを出たと目にしたので、どうしているのかなと思っていました。 「あっ、以前のファイターズハウスのルームメイトが彼女と同棲するということで、ほかの選手たちも出て、僕はいまフィルというほかのチームメイトの家に入っている感じです。ファイターズハウスで生活していることには変わりありません」 ──なるほど。佐藤選手は彼女と同棲はしないんですね。 「まだしてないです(笑)。そろそろしようかなと思っているんですけど」 ──しかし、ほかのチームメイトの家に入ることが出来た。それもチームとしての助け合いがすごいですね。キルクリフには、世界から31カ国の選手が集まって、メジャー団体と契約してる選手は40人以上いると。それだけ大所帯でも、強い団結力があると聞きます。それは今回の試合前にも活きていますか。 「本当の家族のように感じています。キルクリフは全員でひとつのチームで練習する、という形なんですど、それが僕も一番だと思うし、今回も試合が決まってどういうタイプの相手なのか、練習仲間も動画を見てスパーリングパートナー何人かにやってもらって、“こうした方がいい”といろいろ話し合いながら対策練習もできています。試合が決まっている選手も多かったので、今回も自分含めてキルクリフから数人(アンドレ・フィリ、マイケル・ジョンソンら)出るので、自分も含めすごくいい雰囲気で練習できましたね」 ──ミゲール・バエザ戦からグンナー・ネルソン、そして売り出し中のバトルと厳しい相手を当てられていますが、UFCに弱い選手はいない。そこで3連敗をしたことのプレッシャーはありますか。 「勝たないといけないですね。プレッシャーは毎回、自分にかけてますけど、それが苦にはならないですし、普段とさほど変わらずに来ました。やることをしっかりやって、調子も今までと比べてもすごくいいですし、今さら緊張してもしょうがないので、あまりプレッシャーはないですね」 ──「強くなるための材料がより多くある」環境で、ある種、現代MMAの最適解もあるようななかで「オリジナリティがぶつかり合うのがMMAの世界」と仰っていました。自分なりのオリジナリティを、そこでどのように見つけているのでしょうか。 「練習もみんな全体でやっていますが、そのなかでも一人ひとりの個性が出るので、少なからず僕にも自分なりの感覚や個性があるので、そういったところは大事にしていこうとやってきました。“やったことを出す”というよりも“自分で練習しながら作ってきたもの”それが自分のMMAのオリジナリティになっていると思います。それをヘンリー(フーフト)らコーチが理解して指導してくれる。その僕らしさを出せればいいかなと思っています」 ──では、最後にU-NEXTを通して、佐藤選手の試合を見るファンにメッセージをお願いします。 「日本時間の日曜日は、自分が作ってきたことを全部出して、勝利という結果を皆さんにお届けしたいと思うので応援、よろしくお願いします!」
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