パンチ、蹴り、ヒジ打ち、ヒザ蹴り、投げ、関節技など多様な攻撃が認められる空道(C)全日本空道連盟
2023年5月13日(土)・14日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館にて『2023北斗旗 第6回世界空道選手権大会』の開催が決定した。
2021年4月、東塾長が癌により永眠。2022年、コロナ問題により、予定していた第6回世界選手権開催がならず。2023年、コロナ問題が完全に収束していない状況ゆえに、ホスト国日本含め、各国の代表を各カテゴリー1~2名に限定して、1年遅れの世界選手権を開催することを決定。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻問題により、ロシア選手の出場の可否が国際世論のうえで問われる状況に…と未曽有の混乱が続いた中、国際空道連盟(KIF)は以下の結論を出した)。
「スポーツ界においてこの1年は国際大会からロシアおよびベラルーシの選手の排除が続けられてきたが、オリンピック憲章では“スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、 スポーツをする機会を与えられなければならない”“スポーツ団体は、スポーツが社会の枠組みの中で営まれることを理解し、政治的に中立でなければならない”“オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教 政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない”と謳われている。
また、我々、日本を代表する文化のひとつであり、武士が愛した文化であり、空道や柔道などと同様に“道”という文字が用いる茶道においては、ホストがゲストに茶を振る舞う茶室(約3メートル四方の狭い空間)は神聖な場所であり、この中では身分や職業、生まれた場所や家系による差別なく皆を平等に扱うというのが、重要な精神のひとつとなっている。
日本が発祥の地である空道においても、試合場に上がったら、どの国の選手であるかよりも、空道を愛する一人の選手であることをリスペクトしあうことが相応しい。空道の“空”という文字は、こだわりなく、あらゆるものを受け入れるという意味を持っている。連盟として、この世界大会にウクライナ・ロシア両国から選手が出場できることを願って調整し努力する」(原文を要約)と宣言するとともに、根強く両国と折衝を重ねてきた。
結果として、ウクライナからの選手招聘はウクライナ国内の事情により叶わぬこととなったが、ロシアからは、-230クラスで世界選手権2005・2009年優勝、2014年準優勝、2018年ベスト4のコリャン・エドガーや、女子-220クラスで世界選手権2018年優勝のアナスタシア・モシキナを含む選手たちが、ロシアという国の代表でなくAAHOC(Athlete Authorized by the Hokutoki Organizing Committee)として『ロシアからの集団(応援団)来場をしない』『大会会場でロシア国旗を使用しない』『ロシアコールをしない』などといった条件受諾のもと、世界選手権に出場することを、KIF理事会の議決に基づく判断として発表するに至った」(プレスリリースより
世界選手権のこれまでの歴史を振り返ると、日本は、2001年の第1回大会では3つ、2005年第2回大会では2つの王座を獲ったものの、2009年の第3回大会では「日本人優勝者ゼロ・全7カテゴリーすべてロシアが優勝」という事態に陥り、2014年の第4回大会、2018年の第5回大会ではそれぞれ1カテゴリーの王座をロシアから取り戻し、首の皮1枚、競技発祥国としての威厳をかろうじて保ってきた。果たして、東塾長の願った「完全なる日本の復権」を今大会で達成することが出来るか?
なお、今大会は『第23回世界空道ジュニア選手権大会』との併催となる。