勝負を決めたジャオが放った卜部の右フックへの右ストレート 撮影・文/黒崎貴寛
K-1 KRUSH FIGHT.103
2019年7月21日(日)東京・後楽園ホール
▼第9試合 日本vs中国・7対7全面対抗戦・大将戦 K-1 KRUSH FIGHTライト級 3分3R・延長1R
×卜部功也(日本/K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
KO 1R 55秒
〇ジュー・シュアイ(中国/遼寧創新ジム/CFP)
※対抗戦は4勝3敗で中国チームが勝利。
卜部は2009年3月にプロデビューし、K-1 WORLD MAX 2011 -63kg Japanトーナメントで準優勝。2015年1月にはトーナメントを制覇してK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級初代王座を獲得。2016年にはK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級世界最強決定トーナメント優勝、2018年3月にはK-1 WORLD GPライト級王座を奪取して2階級制覇を達成した。
高度なディフェンステクニックとカウンターテクニックを持ち、国内外の名だたる強豪を次々と撃破。長くトップに君臨していたが、2019年3月に後輩でもある林健太に敗れ、ライト級王座を奪われた。今回が再起戦。KRUSHと武林風の対抗戦は過去2回とも功也の兄である卜部弘嵩が大将を務めてきた。今回は代わって功也が務める。
当初、卜部はジェン・ジュンフェンとの対戦が決まっていたが、ジュンフェンが練習中に眼科内側壁骨折及び鼻骨を陥没骨折。医師の診断の結果、ドクターストップとなったため、23歳で16勝(3KO)7敗の戦績を持つシュアイが代打出場することになった。シュアイは欧米人選手との対戦経験も多いファイターだという。
1R、サウスポーの卜部が左ストレート、左ミドル、左ローと左の攻撃で序盤から主導権を握る。しかし、シュアイが前へ出たところで右フックを出そうとした卜部にシュアイの右ストレートがカウンター気味に炸裂。卜部はダウンを喫する。立ち上がるもレフェリーがストップをかけ、卜部の再起戦はわずか55秒、KO負けという結果になった。
生中継の解説を務めていた兄の卜部弘嵩は「一度引退を覚悟したから、もう辞め時かもしれない。引退してもいいかも。気持ちがファイターじゃないです。ダメだよ、ここで負けちゃ」と厳しい言葉を残した。この結果により、日本vs中国7対7は4勝3敗で中国チームの勝利となった。
▼第8試合 日本vs中国・7対7全面対抗戦・副将戦 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R
×伊藤健人(日本/K-1ジム目黒TEAM IGER)
KO 3R16秒 ※右飛びヒザ蹴り
〇ジャオ・チョンヤン(中国/一龍奥宇ジム/CFP)
伊藤は26歳で戦績は8勝(2KO)7敗4分。小澤海斗、芦澤竜誠と引き分けており、今年4月大会では優谷にKO勝ちを飾っている。
対するジャオは21歳で戦績は24勝(14KO)10敗。「武林風で今一番売り出し中の選手で、一身に期待を背負っています。若いながらいいテクニックを持っている。去年の対抗戦で負けている(レオナ・ペタスに2RでKO負け)ので今回は武林風として負けられない、いいプレッシャーを背負ってきている」とCFPの岩熊代表が言うように、「伊藤選手にとって厳しい相手」(中村K-1プロデューサー)となった。
1R、伊藤はサウスポーに構えて左ミドルと左ロー、ジャオは前に出て蹴りからのパンチを狙う。ジャオの右ボディストレートが突き刺さり、続く連打で伊藤はダウン。ジャオはヒザ蹴りと左ミドル。伊藤はオーソドックスに構えてジャブを出し、このラウンドをしのぐ。
2R、オーソドックスの伊藤にジャオは左ミドルを蹴り、左右のボディブロー。ジャオは飛びヒザ蹴りも放つ。伊藤のヒザ蹴りにジャオは右フックを合わせ、伊藤をグラつかせる。ジャオは距離を取って右ストレート、強烈な左ミドルで快音を響かせた。
3R、ジャオが右ストレート、左フック、左ミドルと強い攻撃。前に出るジャオに左フックを打とうとした伊藤に、ジャオが右飛びヒザ蹴りを発射。これが見事に決まり、ジャオが一撃KOを飾った。