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インタビュー

【ONE】元王者と戦う“サムライジャパン”山北渓人「PANCRASEのチャンピオンとして、そして、勝手に日本代表を背負わせてもらって、しっかり日本人の強さを見せつけたい」

2023/03/22 10:03
【ONE】元王者と戦う“サムライジャパン”山北渓人「PANCRASEのチャンピオンとして、そして、勝手に日本代表を背負わせてもらって、しっかり日本人の強さを見せつけたい」

(C)ゴング格闘技

 2023年3月25日(土)シンガポール・インドアスタジアムで行われる『ONE Fight Night 8』で、ONEデビュー戦を、元王者のアレックス・シウバ(ブラジル)と戦う、PANCRASEストロー級王者の山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)

 2018年東日本学生選手権(秋季)フリースタイルレスリング57kg級準優勝などの実績を持ち、プロMMA7戦無敗の山北は、2022年7月の北方大地とのPANCRASEストロー級タイトルマッチで王座奪取以来の試合に向かう。

 対するシウバは、ONEストロー級戦線のパイオニアで、ベテランながら直近1年半で5戦を3勝2敗と勝ち越している。

 四点ヒザが認められたONEルールでも、ボトムからの仕掛けを武器とし、ディープハーフガードからのスイープ、足関節からのトランジッションでポジションを奪い返すなどMMA柔術を駆使して戦う。日本人相手には、内藤のび太と1勝2敗、鈴木隼人に一本勝ちも、猿田洋祐、箕輪ひろばには判定負け。しかし、いずれも熱闘を繰り広げている。

 山北が粘り強いケージレスリングでドミネートするか。シウバが経験を生かした多彩でタフなMMAで新鋭を跳ね返すか。

 シンガポールでの試合に向かう“サムライジャパン”山北渓人に、代々木のMe, Weで聞いた。

「冬の時代」も格闘技が好きだった

――2022年7月にPANCRASEでストロー級のベルトを獲得して、ONE Championshipと契約。2023年3月25日、アレックス・シウバとの試合を迎える山北渓人選手です。まずは、ONEとの契約が決まったことについて、どう感じていますか。

「ベルトを獲るまで負けずに契約できたので、これはすごいいいスタートだと感じていました。(海外参戦は)ベルトを獲った時点でもう決まったなって、やっといけたなって感じで、あとは相手を待つだけだなと」

――試合前から「ベルトを獲ることでスタートラインに立つ」と言っていました。海外勢と試合をしていきたいという思いはいつから?

「僕の世代だとDREAMなんです。DREAMを見て育ったので、DREAMのような舞台で海外トップと戦いたいとずっと思っていました。なかでもビビアーノが好きだったんです」

――DREAMでバンタムとフェザー級で王者だったビビアーノ・フェルナンデス。そして元ONE世界バンタム級王者でもあります。

「そうですね。前もシンガポールに試合を観に行かせてもらって、そのときもちょうどビビアーノの試合もあって。やっぱりずっとDREAMで見ていた選手と、同じ舞台で立てるということで気持ちが高まりましたね」

――そして、3月25日にそのONEの舞台で元ストロー級世界王者アレックス・シウバと戦います。

「もう一番のチャンスというか、一番やりたい選手の一人だったので嬉しかったですね。名前もあって、望むところです。でもここでつまずけないなという感じです。正直全盛期ほどの強さはないですから」

──とはいえONEストロー級戦線のパイオニアでMMAのなかで柔術を駆使する、ほかに類を見ないファイターです。山北選手のバックボーンは三重県いなべ市で始めたレスリングですよね?

「はい。小学校4年からキッズレスリングを始めて、高校、大学とレスリングを続けてきました。総合格闘技は、その頃ブームだったので、父が見ていて、僕も一緒に見ていて、なぜか兄弟のなかで、僕だけがはまっちゃって、3人兄弟なんですけど、格闘技をやっているのは自分だけなんです。その後、ちょうど“冬の時代”というか、PRIDEが無くなって……」

──でもDREAMを見続けたと。

「そうなんです。地上波も無くなったときも格闘技を見続けてましたね。PRIDEの頃に比べれば“冬の時代”でしたけど、中量級の選手も出て来て、その時代に好きだったので、なので、自分もそうとう好きだなって(笑)」

――高校以降も大学でレスリングを続けられた。高校卒業後すぐにMMAに転向するより山北選手にとって良かったのでしょうか。

「そうですね。レスリングでしっかり下地を作りたくて。桜庭和志選手やほかの選手を見ていても、やっぱりMMAでもレスラーが強いなって見ていて思っていたので」

――高校レベルのレスリングよりもさらに上のレベルでレスリングの下地を作りたかった。

「高校にも技術の高い選手もいるのですが、けっこうフィジカルで勝てる舞台だったので、大学のほうが技術のウエイトが高くて、そこを学ぶことが出来ました」

――専修大学レスリング部というと、柔道部とも交流があって、高阪剛選手をはじめ、中村K太郎選手、佐藤天選手、矢地祐介選手らもいますが、世代的にはその後ですよね。

「はい。上迫博仁さんや江藤公洋さん、武田光司さんが先輩で1個上。二つ上に中村倫也先輩、河名真寿斗先輩がいて、たまに江藤先輩も来たり、佐藤天さんも。柔道部の先輩だったんですけど、レスリングにも来ていました」

――恐るべし虎の穴ですね(笑)。それで、佐藤満先生がおられる。佐藤先生は秋田商業ですから、桜庭選手と同じで、時々、山北選手はサクラバロックも使いますよね。レスラーとしては珍しいかと。

「影響、ありますね。サクラバロックとかは昔から好きだったので」

――そして佐藤先生は今でも非常にお強いと。

「強いです。今はもう61、2歳くらいなんですけど、けど、全然重量級とか重い選手でも、合気道みたいなレスリングで力を使わないで、相手を制してます。力のいらない組み方をするというか」

――そういうことが可能なんですね……。

「『1分なら誰でも勝てる』って言ってて」

―─頑張り屋の山北選手もそうしてみたいですか。

「そうですね。やっぱ普段はけっこうフィジカルで勝ってる部分もあると思うんですけど、最終的な目標は、技術を一番上に。あまり力を使い過ぎずに戦えるようになりたいと思っています」

――とはいえ、PANCRASEでの北方大地選手との王座戦でも5Rをクラッチし続けることも出来る。あれはよくもちますね、5ラウンド。

「そうですね。技術的な話なんですけど、クラッチの仕方で、握らない、掛けるだけという組み方も使っているので」

――先日、Bellatorとの対抗戦でガジ・ラバダノフと戦った武田選手にもクラッチについてうかがったのですが、場面に応じていろいろ組み方を変えていると。

「はい。組む箇所によって変えて、こうして指を組むクラッチ、手のひらを合わせるクラッチ、手の甲をかぶせるクラッチ……いろいろ組み替えています」

――いわゆるインディアングリップのときに利き手の親指を上にして組むことも?

「はい。使い分けてますね。たとえば指を組むクラッチでも下の指だけ組むときもありますし」

──おお、ザッツ・レスラー。その組みのメリットはどんなところにあるのですか?

「これは引き付けにくいんですけど、外れない。キープできます」

――なるほど。瞬時に細かく使い分けているのですね。

「そうです。その使い分けが考えずとも出てきます」

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