MMA
インタビュー

【ONE】元王者と戦う“サムライジャパン”山北渓人「PANCRASEのチャンピオンとして、そして、勝手に日本代表を背負わせてもらって、しっかり日本人の強さを見せつけたい」

2023/03/22 10:03

動き続けて勝つのが僕のスタイル


【写真】同門でレスリングの先輩でもある倉本一真と。倉本は4月29日にRIZINで太田忍とケージで対戦する。

――それを前戦の北方戦でも5Rのなかでやっていた。あのチャンピオンシップをどう戦いましたか。

「北方選手は、打撃も組みも全部強いなと思ってたんですけど、やっぱり5ラウンド戦というのも、僕けっこうスタミナに自信があるので有利なのもあるし、組みのテクニックで、ちゃんと勝負できる位置にいれたので、気持ちを切らさずにいけば絶対勝てると思っていました」

――山北選手はシングルバックからの攻めもしつこいです。足を四の字で組んで頭をつけて、二重絡みにもして、最後はバックを奪ってもシングルでからめる。

「最近バックを取りに行く動きはけっこう得意なんですけど、フルバックでは逃げられる展開もあるので」

――体格的にフルバックだと正対されるときもあると。

「上取ったときもそうなんですけど、キープだけだとやっぱり逃げやすい。攻めてどんどんポジションを変え続ける、そういう練習をしています」

――レスラーである山北選手ですが、下になることも恐れずにボトムからの展開もある。これはやはり柔術が山北選手の動きに入っているからでしょうか。

「そうですね。柔術をほんとうによく練習をするので。このMe,Weで、総合格闘技を始めるのと同時にやってきました。最近はちょっと出てないですけど、タイトルマッチが終わった後も柔術の大会は、道衣ありとノーギでも出場しています。好きでやっているというのもあります。そういうことをずっとやりたかったので」

――表彰台の姿も見てきました。MMAにおいて、自身のレスリングとの融合が必要だと考えたのでしょうか。

「必要というより、自分のイメージでは、総合格闘家って“全員柔術家”みたいなイメージがあるんです」

──26歳でPRIDEも好きという山北選手らしいです。

「打撃だけならキックボクシングでいいかなみたいな。組み技、寝技もあるから総合格闘技をやってるみたいなところがあります」

――そのつなぎの部分がどう出せるか。

「そうですね。始める前は、ある程度キックボクシングができて、レスリングができて、柔術ができたら、最強なのかなと思っていたら、やっぱりそうでもなくて。1個1個はもちろん大事なんですけど、やっぱそのつなげる作業というのが一番大事かなと思ってやってきました」

――このMe,Weでも、さきほど渡米前の倉本一真選手、藤田大和選手らとディープハーフの形を繰り返していましたね。シウバ選手が得意な形です。

「自分もやることで分かる。柔術の展開でも、ピュア柔術の場合は下から攻める技が多かったりするんですけど、MMAだからちゃんと上を狙うことを意識しています」

――ポジションを失わずに。

「MMAだと狙うポジションを変えたり、下になっても下で攻めるだけじゃなくて、ちゃんと立ちに行く。そして打撃を入れていく。特に今回はけっこうそういう場面が多いと思うので。動き続ける試合になると思います」

――これまでのアレックス・シウバと対戦した日本人選手の試合も参考にしていますか。

「そうですね。一番近いのは箕輪ひろば選手。イメージ的には、まさにああいう試合になるかなと思っています」

――ベテランのアレックス・シウバ選手はいろいろな引き出しがあります。

「打撃もうまい選手でスイッチしてくる。今まで以上に打撃も大事な試合になると思っています。今までは僕がずっと組みたい展開だったんですけど、組みたくない場面になるかもしれない。今まで以上に打撃にも力を入れてやっています。タイトルマッチが終わってからもずっと練習してきたので。ベルトは取れたんですけど、自分が目指している総合格闘技の完成形ではまだない。グラフでいうとでこぼこが無く、もっと大きな円に出来るように。ちゃんと完成に近づけるためにまだまだやることはあります」

――ONEのルールはがぶりヒザが使える。この点では山北選手にとって有利な部分ではないですか。

「そうですね。蹴りたい場面がいっぱいあったので、『Road to ONE』のときも寝技でのヒザありルールでフィニッシュに結び付けることができたので、やっぱり武器が1個増えたなという感触はあります」

――計量ではONE独自のハイドレーションテストもあります。

「以前、計量も見させてもらってたんですけど、いかに通るか。僕、水抜き前でちゃんとフライの体重、56.7kgを作れているので、油断しなければ大丈夫です」

――それは通常体重が小さいということでもありますね。

「そうですね。やっぱり計量を見ていると、ストローの選手でもでかいなとは思っていて、今後、サイズアップが必要だなとも感じています」

──ONEでのアレックス・シウバ戦を初戦にどんな目標を描いていますか。

「アレックス選手は今はノーランカーなので、やっぱり誰でもいいのでランカー相手と戦えるように。そして、最終的なゴールはジャレッド・ブルックスなので」

――王者ブルックスをどう見ていますか。

「タイトルマッチも、その前の試合も見たのですが、試合ごとに進化している感じが強いです。外国人選手特有のパワーもそうですが、瞬発力がやっぱり強い。打撃も組みでも」

――そこにたどり着くためにも山北選手の粘り強さで勝ち上がっていくと。

「そうですね。固められないでスクランブルを作って、動き続けて勝つというのが僕のスタイルなので。このジムには倉本さんや大和さん、ストロー級だとPANCRASE3位の高島俊哉さん、今ちょっとけがで休んでるんですけど神部建斗選手とも練習して、上の階級にも究極に強い人がいっぱいいて、山崎(剛)代表のセコンドがある。心強いです」

――では、シンガポールでの初試合に向けて、最後にファンにメッセージをお願いします。

「今回は初めての国際戦ということで、PANCRASEのチャンピオンとして、PANCRASEを代表して、そして、勝手に日本代表を背負わせてもらって、しっかり日本人の強さを見せつけてきたいなと思います。応援、よろしくお願いします!」

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