勝ち越しを決めた逆転TKO「子供を思い出せ」
3R、グローブタッチ。左ボディ打ちから入る赤沢。若干の回復が見られるが、動きは緩慢でどこで残る力を出し切るか。ウォンジュンはジャブから左ボディの打ち返し。右から左を突くウォンジュンに、顔を腫らした赤沢はジャブの刺し合い。そこにワンツーで飛び込むウォンジュンはさらにワンツースリーの連打から、右ヒジの飛び込み!
後退する赤沢に右ロー。赤沢はバックフィストを見せるが動きは鈍い。ワンツーを被弾した赤沢は金網に詰まり肩で息をする。ここでウォンジュンは左ボディを当ててから左を差し上げて得意の右の足払い! 倒れた赤沢は足も効かず。それをまたいだウォンジュンはマウントからのパウンド連打でレフェリーが間に入った。
場内は割れんばかりの大歓声。0-2からの逆転の3連勝での勝ち越しを決めるTKO勝ちに、ブラック代表は立ち上がり、拳を突き上げる。カメラは憮然とした表情を佐伯繁DEEP代表をとらえる。会場とは別の劇場のスクリーンで観戦したファンも歓喜。
ウォンジュンは赤沢にハグして挨拶してから、ガッツポーズで咆哮した。
体重差を跳ねのけて勝利したウォンジュンは、試合後インタビューで、「ありがとうございます。皆さんが気に入ってくれて嬉しいです。階級差が大きすぎて1Rに苦戦して、本当に大変だったんですが、苦しむたびにコーチに『息子や娘の名前を話してほしい』と伝えていました。それがすごく力になりました」と言って、感極まり涙。
続けて「子供たちはいま家族と見ています。父は今でも私が格闘技をすることに反対しています。どこにいるか分からないけど、お父さん、これくらいならもう認めてくれてもいいでしょう? 1Rを凌げば、2、3Rに勝機が来ると思って(MMAストーリー)会長と作戦を練っていました。練習のおかげでいい結果が出ました。自分は自分の勝利を疑わなかったです。子供たちへ、お父さんは君たちのおかげで耐えて勝ったよ。愛してるよ」とカメラに向かって語りかけた。
続けて王座戦で敗れた“ビッグガイ”ことヤン・ヘジュンへのリヴェンジを誓うと「一言だけ、私は雑魚じゃないです」と笑顔で語った。
配信コンテンツでもある厳しさは、TKO負けした敗者が、ドクターチェックを控え室で行うべき時間に、敗者インタビューでその場に待たされることだ。
ケージに座り込んでもたれかかって待っていた赤沢は、マイクを向けられ、「すごいハードな戦いでした。1R目にテイクダウンして極められると思ったけど、そこでフルパワーを使って、2、3Rとガス欠をしてしまいました」と敗因を語ると、ウォンジュンについて「すごくハートがあって、何回も僕がフィニッシュできる場面で諦めなかった。韓国の国民が持っている強い気持ちを見せつけられたという感じです。BLACK COMBATは人気いっぱいで温かいので、もう1回戻ってきて戦いたいです。彼の子供たちに言いたいのは、あなたたちのお父さんはすごく強かった。帰ったらお父さんにたくさんハグして“強かった”と言ってあげてください」とコメント。
さらに、「自分はまた戻ってきてマンモス選手と戦いたいです。DEEPにはもっと強い選手がいっぱいいるので、次に日本でやるときは、DEEPがボコボコにするので、それまでしっかり練習して頑張ってください」と語った。