ジャマール・ヒルはスタンドだけで勝負しようとしている
──元王者のテイシェイラ危うし、と。
「それはモチベーションの高さだけじゃなくて、過去の試合映像を観るかぎり、ヒルはテイシェイラの試合づくりにまったく付き合ってくれなさそうなんですよ。ヒルは試合展開もとにかくスタンドでKOすることを重視して進めているフシがあって、グラウンドにならないようにするための努力をものすごくやってると思うんですよ。
例えがちょっと違うかもしれないですけど、RIZINで平本(蓮)くんがドミネーター(弥益ドミネーター聡志)とやったとき、グラウンドに付き合わないどころか打撃のプレッシャーの掛け方からすべて、グラウンドにいかせないための戦い方をしていました。ジャマール・ヒルもそういったスタイルが自分の中で完成しつつあるんじゃないかと思うんですよね」
──ヒルは現在3連続KO勝利中ですけど、とにかく自分の得意なスタンドで戦うことを徹底した結果なわけですね。
「前回、組みが強いティアゴ・サントスと対戦したときはテイクダウンを取られることも何度かあったんですけど、立つ動きが早いんですね。倒されてもマットに背中は付けず、すぐスタンドに戻すし、戻してからの打撃への移行も速いので、これはグラウンドのやり取りを一切やらずに、スタンドだけで勝負しようとしているあらわれですよね。そしてこういう戦いをするようになったのは、ポール・クレイグに敗れた反省というのもあると思うんですよ」
――4試合前のポール・クレイグ戦では、腕ひしぎ三角固めを極められたまま頭にエルボー連打を打ちつけられてTKO負けでした。
「あの試合では、ポール・クレイグの引き込みでグラウンドになった時、ヒルは立ちたかったと思うんですけど、上のポジションだったんで一旦間を置いたんですよ。そうしたらクレイグに腕を極める体勢を作られてしまい、後手後手に回ったことで極められてしまった。あの反省から、もう2度と同じ轍は踏まないようにしようと、早め早めの対処でスタンドに戻すっていうことを徹底するようになったんじゃないかな」