テイシェイラは、プロハースカのように「やりあってくれる相手」だと活きるけど──
――では寝技師のテイシェイラに対しては、それこそグラウンドに行かせないことに注力しそうですね。
「そこに徹するんじゃないかと思うんですよ。テイシェイラって、前回のイリー・プロハースカのようにやりあってくれる相手だとすごく活きるんです。組もうとする相手を切り返してバックを奪うとか、寝技でスイープを仕掛けながらタックルに切り替えて上のポジションを取ったりとか。そういう技術をたくさん持ってるんですけど、それが使えるのも相手が“やり合ってくれる”からなんですよね」
――相手が寝技で攻めてくれるからこそ、寝技のカウンターを仕掛けることができる、と。
「でもヒルの場合、なかなか触らせてももらえない可能性もある。となると、テイシェイラは仰向けになって“猪木-アリ状態”になってしまったりするのかなと、ちょっと思ったりもしましたけどね」
――無理に何度もタックルを仕掛けたら、体力も消耗しますしね。
「ただ、テイシェイラにとってひとつ好材料は、ジャマール・ヒルは構えが基本サウスポーなんですよ。テイシェイラはサウスの構えの相手に右のパンチを振りながらスイッチして、相手の右足にタックル入るというのがすごく得意で、プロハースカやティアゴ・サントスなどたいていサウスポーの選手はこれでテイクダウンを取られてるんです。そしてヒルもサウスポーのワイドスタンスで右足が前に出ているので、テイシェイラからすると取りやすいと思うんですよ。とは言え、何回もやってる技なので、ヒルも当然そこは対策を練ってくるでしょうけどね」
――そこに重点を置いて試合の準備をしてきそうですよね。
「だからタックルを切りながら、離れた瞬間に右のフックを合わせるとか。そういう動きもヒルは考えていそうではありますね」
――前手のフックは得意ですもんね。
「右のパンチがとにかく強いんですよ。ジョニー・ウォーカー戦ではオーソドックスにスイッチして右のパンチ1発で倒して、その前のジミー・クルート戦では前手の右フック。しかも、体をちょっと開きながらKOしてるんですよ。この打ち方って、イズラエル・アデサニヤが得意のフックの打ち方なんですよね。身体を開きながら、スウェーバックしながら当てて倒すような」