2023年1月14日の『ONE Fight Night 6: Superbon vs. Allazov』(タイ・インパクトアリーナ)のコ・メインイベントで行われたフライ級(※61.2kg)サブミッショングラップリング世界選手権試合(10分1R)で、王者マイキー・ムスメシ(米国)に完全に左足を極められながらもタップせず、判定に持ち込み敗れたガントゥルム・バヤンドゥレン(モンゴル)が、長期欠場することが分かった。
SNSに「私はトレーニングを少し休むつもりです」と記した挑戦者は、“マイキーロック”でのタップを拒否した代償として、完全に左足を破壊され、ヒザ前十字靱帯(ACL)・ヒザ外側側副靭帯(LCL)および半月板の完全断裂、足首も骨折という大怪我を負い、少なくとも完治までに1年がかかると診断された。
ONEのチャトリ・シットヨートン代表は「ドクターは『まるでバイクの交通事故だ、ヒザが完全に外れている』と言っている。バヤンドゥレンのヒザが筋肉以外でどこともつながっていないんだ」と語っている。
ムスメシはBJJムンジアル4連覇を誇り、競技柔術における軽量級の世界最強の評価を受ける実力者。2022年4月にONEデビューし、今成正和からリアネイキッドチョークで一本勝ち。2022年10月に1勝1敗と長年のライバルであるクレベル・ソウザに判定勝ちし、初代グラップリング フライ級世界王者となった。
今回、当初は2022年のサンボ世界選手権58キロ級優勝のサヤン・ヘルテックがムスメシに挑戦予定だったが負傷欠場となり、コンバットサンボベースで柔術黒帯でもあるバヤンドォーレンと急遽戦うことになった。
試合は、引き込みから足をとらえたムスメシがヒザ十字、内ヒールと足関節で攻めると、バヤンドゥレンは足首が上を向いてしまうほど極められながらもタップせず。
残り90秒でムスメシは自ら足を解き、タップしないなら絞めて落とそうとリアネイキドチョークに切り替えるも、タイムアップ。
完全に左足を破壊されたかに見えるバヤンドゥレンが足を引きながらも立つと、放送席は「立った!」と驚き。判定3-0で勝ち名乗りを受けたムスメシに、いつもの笑顔は無く、困惑した表情で相手とハグをかわした。
試合後、ムスメシは「20回くらいは極められる場面もあって、ダンボールのように裂ける音もしていたけど、彼は耐えた。これまでにないくらい、ひどい気分だ。もっと早くバックに切り替えるべきだったのかな……」と表情を曇らせた。
完全に極められながらも参っただけはしたくなかったのか、バヤンドゥレンは試合後、「あれが唯一の勝つ方法だったと思う。私は強くなって戻ってくる」と記しているが、現地報道によるとバヤンドゥレンは、ヒザを3回に分けて手術し、足首にも手術が必要だという。突如の王座戦抜擢に根性を見せて知名度を高めたバヤンドゥレンだが、再び戦いのマットに戻るには、多くの時間を必要としそうだ。