GLORY COLLISION 4:HARI vs.OVEREEM THE FINAL ROUND2022年10月9日(日)オランダ・アーネムU-NEXTでLIVE配信
▼メインヘッドラインイベント ヘビー級 3分3R×バダ・ハリ(オランダ/モロッコ/ヘビー級8位)判定0-5 ※26-29、27-28×4〇アリスター・オーフレイム(オランダ)
初代IT'S SHOWTIME世界ヘビー級王者&初代K-1ヘビー級王者のバダ・ハリは、2015年8月のイスマエル・ロント戦での3R TKO勝ち後白星を掴んでおらず、以降6戦で4敗2ノーコンテスト。2016年12月のリコ・ヴァーホーベン戦は肩の脱臼でTKO負け、2018年3月のヘスディ・ゲルゲス戦でのノーコンテストは両者のドーピング検査失格によるもので、2019年12月のヴァーホーベンとの再戦では今度は足の負傷によるTKO負け、2020年12月にはベンジャミン・アデグバイにTKO負けを喫し、2021年9月のアーカディウス・ウルソーセック戦では2度のダウンを奪うもハイキックで逆転KO負け。そして2022年3月の前戦ウルソーセックとの再戦では、ファンの乱闘騒ぎでノーコンテストになっている。
元UFCで、元Strikeforce世界ヘビー級王者&元DREAMヘビー級暫定王者&K-1 WORLD GP 2010王者のアリスターは、2021年2月にアレキサンダー・ヴォルコフに2R TKO負けでUFCをリリース。その後、GLORYと契約し、2021年10月の『GLORY: Collision 3』ヘルレドーム大会でリコ・ヴァーホーベンが持つヘビー級王座に挑戦予定だったが、負傷欠場している(※代わりにジャマル・ベン・サディックがヴァーホーベンに挑戦し、4R TKOでヴァーホーベンが王座防衛)。キックボクシングでは、2010年12月のK-1 WORLD GP決勝でピーター・アーツに1R KO勝ちして以来、実に12年ぶりのスタンディングバウトとなる。
場内がハリ・コールに包まれる中、1R開始のゴングが鳴った。アリスターが中に入っていくとハリの右フックが命中。ハリが右ストレートからの左フック、アリスターは左右に構えをスイッチしつつ、極端に低く構えての左右フックで前へ出る。そこへヒザを合わせにいくハリ。左インロー、右ローを蹴るハリにアリスターはガードを固めながら中に入って行こうとする。
2R、アリスターがローを蹴るとハリが左右フック。前へ出るアリスターには右ロー。アリスターも左ローを蹴るがローブローとなってしまう。アリスターの右カーフに足が流れるハリだが、左右ローを蹴り返して右ストレートから左ボディ、さらに右フック。アリスターのヒザには右ボディを返す。組み付いたアリスターが左フックからの右アッパーでアゴを突き上げるとハリがバランスを崩して身体が泳ぐ。
3R、ハグをかわしてゴング。アリスターは右カーフから左ストレートで飛び込む。ハリはジャブ、アリスターは飛び込んでの左フック、ハリは左ボディ。前へ出るアリスターのボディを叩くハリにアリスターが右フックを叩き込むとハリの動きが鈍る。このチャンスを逃さないアリスターは右フックを連打、後ろを向いたハリから左アッパーでダウンを奪う。
完全に動きが止まったハリにアリスターがラッシュをかけ、右フックで2度目のダウンを追加。ハリは左右ボディ、右フックで応戦し、アリスターは右フック。勝利を確信したアリスターは拳を突き上げて“俺の勝ちだ”とアピール。最後は両者が構えたところで試合終了のゴング。
2Rは優勢に試合を進めながら3Rに逆転のダウンを奪われたハリ。判定は5-0でアリスターの勝利となった。勝利者インタビューを受けるアリスターは「とにかく逆転するために振り切ったよ。いいのが入ったな。バダは経験もあるし強かった」とコメント。
するとリング上にはGLORY世界ヘビー級王者リコ・ヴァーホーベンが上がり、アリスターとフェイスオフで舌戦を繰り広げる。ヴァーホーベンは「俺とやったら2Rもたないぞ。ストリートファイトじゃないんだ」と怒りの表情。
言い争いを続ける両者の間に仲裁に入ったのはハリだった。そして「この試合で引退する」と引退を表明した。
[nextpage]
▼第5試合 GLORY女子スーパーバンタム級チャンピオンシップ 3分5R〇ティファニー・ヴァン・スースト(アメリカ/王者)判定5-0 ※48-47×4、49-46×サラ・モサダック(フランス/挑戦者)※ティファニーが3度目の防衛に成功。
ティファニーは少林流空手を幼い頃から学び、アマチュアでキックボクシングとMMAの試合を経験後、2011年10月にプロムエタイに転向。2013年7月にLION FIGHT女子フェザー級王座を初回TKO勝ちで獲得。11月には初防衛に成功したが、2014年2月に判定2-1で敗れて王座を失うと共に10戦目にしてプロ初黒星を喫した。2015年5月に王座に返り咲くと、2016年1月にはスーパーバンタム級王座も手にして2階級制覇を達成。
5月からGLORYに戦いの場を移し、トーナメントを制してGLORY女子スーパーバンタム級王座に就いた。同王座は初防衛に成功するも、2017年12月にアニッサ・メクセンに敗れて失い、2019年11月にメクセンにリベンジして王座奪還。2021年1月に初防衛に成功すると、今年3月にはRISE QUEENフライ級王者・小林愛三の挑戦も5R TKOに退けて2度目の防衛に成功。戦績は24勝(9KO)6敗2分。セコンドにはアンディ・サワーが就いた。
また、2011年6月にMMAデビューも果たしており、2016年9月にはInvictaに参戦。カリン・シュワルツにリアネイキドチョークで敗れたが、2017年5月の2戦目ではストライカーのクリスティーン・フェレアに判定勝ちを収めている。
挑戦者モサダックは2019年3月にGLORY初参戦を果たすと、2連勝のあとスプリット判定で2連敗。その後、2年間のブランクを経て2021年10月『ファイティングエディション3』にて、プロ初のタイトルとなるISKAヨーロッパ-57kg王座を獲得。続く2022年5月にはWAKO世界-56kg級王座にも就き、2冠王となってGLORYに戻ってきた。戦績は8勝(1KO)2敗。
(写真)前日計量でのフェイスオフでは笑みを浮かべていたティファニーだったが 1R、両者とも軽快なステップを踏み、ローを蹴る。ティファニーは頻繁に左右に構えをスイッチ。ティファニーは蹴りでバランスを崩してもすかさずバックハンドブローを放ってモサダックを近づけさせない。
2R、スイッチしながら左右のストレートを放つティファニーだが、モサダックは前へ出ると連打を繰り出す。ステップで動き続ける両者。ティファニーは前蹴りで突き放し、戻って来るモサダックにヒザ蹴り。その後も前蹴りでモサダックを突き放す。
3Rもステップを止めない両者。ティファニーは前へ出るとワンツーからヒザ蹴り。ティファニーの前蹴りにはモサダックが右ストレートを返す。ティファニーはジャンプしての前蹴りから組み付くとすかさずヒザ蹴り、さらにパンチを入れて再びヒザ蹴り。モサダックも前蹴り。ティファニーは左ボディから組み付いてのヒザ蹴り。
4R、前蹴りの応酬から右ローを蹴っていくのはモサダック。サイドキック、左ミドルでボディを攻めるのはティファニー。モサダックは右フックを浴びせる。前に出てヒザを突き上げるティファニーはジャブ、そしてすぐに組み付いてのヒザ蹴り。モサダックは左右フックで応戦するが、ティファニーは上手くヒザを決めていく。ヒザ蹴りが多く見られたティファニーは最後に右ストレート。
5R、セコンドのアンディ・サワーから檄を受けて飛び出したティファニーは、前蹴りから組み付いてのヒザ蹴り、左フックからのヒザ蹴りと組んでのヒザに活路を見出す。左右フックを繰り出すモサダックにティファニーはバックハンドブロー。モサダックが左右フックで来ると組み付いてのヒザ蹴り、離れるとワンツーからバックハンドブロー、前蹴りからバックハンドブローと印象点を稼ぐかのようなティファニー。バックキックからのバックハンドブローも繰り出す。そして組んでのヒザ蹴りだ。
判定は5-0でティファニーの勝利となったが、場内はブーイングの嵐。勝利者インタビューに答えるティファニーだが、大ブーイングになかなか喋り出すことが出来ない。「モロッコのファンが多いわね」と苦笑するティファニーは「挑戦者は若く強かった。自分はやるべきことはやりました。2022年にやり残したことがあるの。デニス・キールホルツに勝たないといけない。GLORY、どうか調整して」と2014年11月に対戦して敗れているキールホルツとのリベンジマッチを希望した。
[nextpage]
▼第4試合 GLORYライトヘビー級王座決定戦 3分5R〇セルゲイ・マスロボイエフ(リトアニア)判定3-2 ※47-48×2、48-47×2、49-46×タリク・カバベ(モロッコ/オランダ)※マスロボイエフが新王座に就く。
ライトヘビー級王座決定戦は、マスロボイエフとクバベスで争われる。マスロボイエフはGLORYのリングで3連勝中で現在ライトヘビー級3位。MMAとボクシングの試合経験もある。一方、ヘビー級で活躍し、ライトヘビー級に転向したカバベは、この試合がライトヘビー級デビュー戦となる。
1R、マスロボイエフはジャブから右ロー、ガバベは左右ボディを叩く。マスロボイエフの強烈な右ローが何度も決まり、飛びヒザ蹴りも混ぜる。マスロボイエフのコンビネーションパンチの途中に右フック、右アッパーを合わせるガバベ。左右フック&アッパーをまとめたかと思うと右ヒザをアゴに突きあげるマスロボイエフ。ガバベもパンチをまとめて左ローを蹴る。マスロボイエフは右スネが避けて流血。
2R、前に出てワンツーを打つガバベを右ストレートで迎え撃つマスロボイエフ。右ローも狙い撃ち。ガバベもパンチをまとめると左右ローにつなげる。ジャブと右ローを上手く使うマスロボイエフは左アッパーを打ち込むが、ガバベもすかさず右フックをフルスイング。右ローのダメージがありながらも前へ出て左右フックを叩きつけるガバベに、マスロボイエフは右アッパーでアゴをかち上げる。
3R、マスロボイエフの左右アッパーにガバベは右フックを合わせてマスロボイエフを下がらせる。しかし、すぐに持ち直すと左右フック&アッパーで前へ出る。ガバベも負けじと打ち合うが、左フックで大きくグラつく。マスロボイエフは左ジャブをストレートのように伸ばして2発、そして右ロー。それでもガバベは前へ出て右アッパーから左ボディ、そして右ロー。マスロボイエフは左ヒザを突き刺すが、ガバベが右フックからの左ロー。マスロボイエフはジャブで突き放すがガバベは前へ出て左ボディ、左フック、右ストレートと攻めていく。
4Rもジャブを突くマスロボイエフだが、ガバベは構わず前へ出て左右フックと左ロー。マスロボイエフはガバベのタフさに疲れた表情を見せるが、右フックをヒットさせると再び前へ出る。サウスポーに構えたマスロボイエフは左ストレートをヒットさせるが、タフなガバベは前へ出てパンチをまとめての左ロー。マスロボイエフが右フックから右アッパーも、続くヒザがローブローに。明らかに疲れた表情のマスロボイエフにガバベは左ローを蹴っていく。
5R、マスロボイエフがヒザを突き上げ、ジャブから右ストレート。ガバベも右ローで反撃するが、マスロボイエフの右ローで大きくバランスを崩した。パンチをまとめて左ローを蹴るガバベ。インローを蹴り合うが両者ともローブローになってしまう。ガバベは右フックからの左ロー、マスロボイエフはジャブから右ローもガバベがワンツー、右フックで押していく。バテバテのマスロボイエフはジャブを打つが、ガバベが手数で上回る。マスロボイエフは突き放しの右ハイ、右ローを蹴るがガバベの止まらない手数が目立った。
判定は交互に両者の名が呼ばれ2-2となり、最後のジャッジはマスロボイエフ。判定3-2の大接戦でマスロボイエフが新王座に就いた。「夢が叶った。このために幾度もトレーニングを続けてきたんだ。カバべは予想ほどパワーは感じなかった。俺の方がパワーはあったんじゃないか。ディフェンスの美しさも見せられたと思う。手術の影響があってバランスが悪かったし、踏み込めなかった」と勝利者インタビューに答えた。
[nextpage]
▼第3試合 GLORYライト級チャンピオンシップ 3分5R〇ティジャニ・ベスタティ(オランダ/王者)判定4-1 ※48-47×2、47-48、49-46×2×ストヤン・コプリブレンスキー(ブルガリア/挑戦者)※ベスタティが2度目の防衛に成功。
ライト級王者ベズタティは、2度目の防衛戦で同級トップクラスのコプリブレンスキーと対戦する。この2人は過去に2度対戦しており、『GLORY 49』ではコプリフレンスキーが判定勝ちを収め、『GLORY 62』ではベズタティが勝利しており、1勝1敗の決着戦をタイトルマッチで迎えることとなった。
1R、サウスポーのベスタティはジャブ、コプリブレンスキーは右ローを蹴っていく。ジャブを打ちながら左ミドル、左ストレート、左ハイを繰り出すベスタティにコプリブレンスキーは左右ローを狙い撃ち。ベスタティは相手のパンチを見事なスウェーでかわしていくが、ローはもらう。ベスタティの強力な左ボディ、そして右フック。
2R、ベスタティはジャブをどんどん突きながら左ハイ、左ミドル、左フック。コプリブレンスキーのパンチはスウェーでかわしていく。ならばとコプリブレンスキーは左ボディ。ベスタティは左ボディからの左フック、さらに右ストレート。コプリブレンスキーが前へ出ようとするとハイアングルのヒザを突き上げる。ベスタティは前手で距離を取りながら右へ回り込んだかと思えば、オーソドックスに構えてコプリブレンスキーのパンチ、ハイキックをスウェーでかわしてワンツーを打ち返す。
3R、ベスタティのジャブに右クロスを合わせに行くコプリブレンスキー。オーソドックスのベスタティはジャブ、ワンツー、左ボディストレート。コプリブレンスキーのパンチはダッキング&スウェーで鮮やかにかわす。ベスタティは左ボディ、さらに右ヒザ。コプリブレンスキーは右ロングフックを繰り出して前へ出るが、なかなかヒットを奪えない。ベスタティはステップを使ってコプリブレンスキーの突進をかわし、ジャブから飛びヒザ蹴りを放つ。
4R、ベスタティの前蹴りをキャッチしてボディへ左右をヒットさせるコプリブレンスキー。ベスタティは接近戦で左右に身体を振りながらの左右ボディ、すかさず右ストレート。コプリブレンスキーも負けじとジャブ、右ストレート。コプリブレンスキーのパンチが当たり始めると、ベスタティは前蹴りで距離を修正。ジャブで突き放しにいく。コプリブレンスキーは左ボディからの右ストレート、ベスタティも右ストレートで前へ出る。ベスタティのステップが止まり、打ち合いが多く見られるラウンドとなったが、コプリブレンスキーがとった。
5Rも前に出るコプリブレンスキー。ステップを使って回り込むベスタティにイラついたか、足を踏み鳴らして挑発する。ベスタティの左ボディにコプリブレンスキーはワンツー、ベスタティが左ミドルを蹴るとコプリブレンスキーは右ローを蹴り返す。コプリブレンスキーの攻撃をかわして左フック、右ストレートを当てていくベスタティだが、コプリブレンスキーの前進は止まらない。ワンツー、右アッパーでコプリブレンスキーを下がらせるベスタティ。コプリブレンスキーも左ローで応戦した。
判定は4-1でベスタティが防衛に成功。「いい防衛戦だった。世界の乳がんと戦っている女性にこの勝利を捧げたい。先日、私の母も勝ったよ」とメッセージを送った。
[nextpage]
▼第2試合 GLORYフェザー級チャンピオンシップ 3分5R〇ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/王者)判定5-0 ※49-46、50-45×4×アブラハム・ビダレス(メキシコ/挑戦者)※ペットパノムルンが5度目の防衛に成功。
ペットパノムルンはサウスポーで170勝38敗4分の戦績を誇り、2011年にプロムエタイ協会バンタム級王者、2013年にスーパーフェザー級王者となって2階級制覇。2015年にはトーナメント戦の『トヨタ・ムエマラソン』-64kg級で優勝、2016年にWMC世界ライト級王者となった。セクサン、サムエー、ペットモラコット、チャムアックトーンらスター選手としのぎを削って勝利を収め、2016年8月からはGLORYに参戦。
ザカリア・ゾウガリーやアブデラ・エズビリらから勝利を収めると、2018年9月に ロビン・ファン・ロスマレンに挑戦し、判定勝ちでGLORY世界フェザー級王座を奪取した。同王座は3度の防衛に成功している。また、2018年にはGLORYの“ノックアウト・オブ・ザ・イヤー”に輝いた。
2021年11月にRISEに初来日を果たし、原口と対戦して判定3-0(30-29、30-28×2)で勝利すると、今年8月に再来日を果たし、原口との再戦を延長Rで制してRISE世界スーパーライト級(-65kg)初代王者となった。GLORY出場は2020年2月以来となる。
5度目の防衛戦の相手ビダレスは、GLORYでは5戦して4勝(3KO)を収めている。戦績は15勝(12KO)1敗で“ダイナマイトハンド”の異名を持つ強打者。ペットパノムルンは二冠王の座を守れるか。
1R、サウスポーのペットパノムルン(ペッチ)が左ストレートを打つと、すかさず左右フックを返すビダレス。ペッチは左ロー、左インロー、左ミドルを蹴り、ビダレスも右ミドルを蹴り返すがペッチはしっかりスネブロック。
2R、ペッチは左ローをアウトとインに蹴りつつ、左ミドルをしっかり当てていく。ビダレスは右ストレートから右ヒザ蹴りにつなげる。ビダレスはフェイントを駆使して右の蹴りで反撃。ビダレスが右ボディストレートを打ったところでペッチの左インローがローブローとなり試合は中断。再開後、左ミドルを蹴り、左ストレートで入って行くペッチ。ビダレスの右ミドルはスネブロックで防ぐ。
3R、ビダレスの前足へ前蹴りを当て、左ミドルをしっかりと当てていくペッチ。軸足払いで豪快にコカし、ビダレスが左ミドルでバランスを崩すと飛びヒザ蹴りを放つ。ペッチの左ミドルに右フックを合わせに行くビダレスだが、ペッチは顔面前蹴りをクリーンヒットさせる。ペッチは余裕の笑みを浮かべた。
4R、前に出ていくペッチが左ミドル、左ストレート。ビダレスのハイキックは空を切り、バランスを崩すとすかさずペッチがジャンプして蹴りを見舞う。ビダレスはペッチの左ミドルに右アッパーを合わせるが、ペッチはほとんどビダレスにクリーンヒットを許さず、左ミドルと前蹴りをヒットさせていくペッチ。
5R、ビダレスはワンツーを放って前へ出る。ペッチは強烈な前蹴りを連発してビダレスを何度も突き放す。ペッチの左ミドルの軌道から伸びる左ハイを寸前でブロックするビダレス。前へ出てパンチを放つビダレスにペッチは組み付いて連打を許さない。離れると前蹴りと左ミドルだ。最終ラウンドは流し気味に終えたペッチ。
「GLORYの試合に戻って来れて嬉しい。このベルトをタイへ持って帰ることが出来るのが嬉しいです。相手はとても強い選手でした」と勝利者インタビューに答えた。
[nextpage]
▼第1試合 ヘビー級 3分3R〇レヴィ・リグタース(オランダ/同級3位)判定5-0 ※29-28×5×タリク・オサロ(ナイジェリア)
ヘビー級の新星で同級3位のリグタースはオサロと対戦する。2020年12月にGLORYデビューしたリグタースは、3度のKO勝ちを収め、一躍トップクラスに躍り出た。戦績は13勝(6KO)1敗。昨年5月のGLORYデビュー戦でTKO勝ちを収めた20勝(9KO)1敗1分のオサロを相手に、その勢いを持続させたいところだ。両者は過去に練習していたこともあるという。
1R、左右フックで前へ出るのはオサロ。左右フックから飛びヒザ蹴りも放つ。ボディから顔面へと連打を繰り出していくオサロにリグタースはガードを固める。オサロのアグレッシブな攻撃にリグタースは下がりながらも右ローを蹴っていく。オサロが連打から右フックをヒットさせ、リグタースをロープに背負わせて左右フック&アッパー。オサロの圧倒的な手数が目立った。
2Rが始まると同時に左右フックで打ち合う両者。飛び込むオサロが左フック、リグタースは前蹴りで距離を取りワンツーを打つ。オサロは口を大きく開けて早くもスタミナ切れか。リグタースはこのチャンスを逃さず左フック、右アッパーで前へ出る。サウスポーに構えるオサロへ右ロー、さらに右ストレートを打ち抜く。リグタースは左フックからの右ハイ。サウスポーのオサロにリグタースは右ロー、前蹴りでボディを突き刺すとオサロは嫌がる。完全に形勢は逆転した。
3R、左右フックをガードの上から叩きつけるオサロへリグタースは右ロー。かなりガス欠気味ながらも飛び込んでフックを打つオサロに、リグタースはワンツーからバックキック。寄りかかるようにするオサロに細かくパンチを打つリグタース。クリンチが増えたオサロにリグタースは決め手を欠いたが、判定勝ちでGLORYでの4勝目を飾った。
リグタースは勝利者インタビューで「思っていたより厳しい戦いだった。でも、勝てたことが重要だ。もっと練習して成長してなければ。この試合は改善点が多い」と苦笑いして答えた。
[nextpage]
▼プレリム第3試合 ミドル級 3分3R×セルカン・オズカグライヤン(トルコ/オランダ/同級1位)判定0-5 ※26-29×5〇シーザー・アルメイダ(ブラジル/同級4位)
ミドル級トップクラスのオズカグライヤンが王座挑戦権を懸けて4位のアルメイダと対戦。オズカグライヤンはK-1ヘビー級で活躍したグーカン・サキの従兄弟。40勝(34KO)6敗という戦績を持つ。
1R、サウスポーのオズカグライヤンは右へ動きながらの左フック、左ストレート。アルメイダは上体を左右に振りながら右ストレート、右ロー。オズカグライヤンの左フックにアルメイダは右フックを合わせる。アルメイダは右ボディストレート、左フック、そして左右ローと下から崩していく。思い切り左フックを振ってきたオズカグライヤンにアルメイダが右フックを被せてダウンを奪う。左フック、右ストレートでオズカグライヤンにロープを背負わせ、ダウン寸前まで追い詰めて1Rを終えた。
2R、アルメイダは右ボディストレートを打ってから、左フックからの右ストレート、そして右ストレートでダウンを奪う。ラッシュをかけるアルメイダが左右フック、左右ボディでオズカグライヤンにロープを背負わせる。アルメイダのフックで左右に頭が揺れるオズカグライヤン。ガードを固めるオズカグライヤンへ左右フック、右アッパーと一方的に攻撃。するとアルメイダはガードを固めて下がり始め、オズカグライヤンがパンチを振り回して前へ出る。空振りが多いが、攻めるシーンを作った。
3R、オズカグライヤンは前へ出てジャブ、左フック、左ストレートと強打を放つが、アルメイダはステップワークでかわす。前へ出て左ストレート、右フックを打つオズカグライヤンだが、ガードが甘くアルメイダの返しのフックをモロにもらう。アルメイダは右インロー、オズカグライヤンは何とか強打を当てようと前へ出てパンチを繰り出していくが、アルメイダのダッキングに空振りが目立つ。アルメイダは左右ロー、そして右ボディストレート。
逆転を狙うオズカグライヤンにクリーンヒットを許さず、ダウンを奪って上手く戦い抜いたアルメイダの判定勝ちとなった。
[nextpage]
▼プレリム第2試合 ライトヘビー級 3分3R×フェリペ・ミケレッティ(ブラジル/同級3位)判定0-5 ※27-30×5〇ドネギ・アベナ(スリナム/同級5位)
ライトヘビー級トップ5のミケレッティとアベナが王座挑戦権を懸けて激突。ミケレッティは16勝(5KO)9敗で、GLORYでは2勝2敗。アベナは24勝(6KO)9敗でGLORYでは4連敗中。
1R、アベナは右ローから鋭い左フックを繰り出すが、ミケレッティの前蹴り、ジャブに突き放される。アベナは右ボディストレートからの左フックを多用、このコンビネーションが決まりだす。ミケレッティは右ローを狙い撃ちし、右ストレート&右フック。前に出るアベナが左ミドルから飛びヒザ蹴りのコンビネーション。アベナはボディブローを何度も決め、顔面へとつなげていく。ミケレッティはこのボディ攻めでかなり消耗したように見えた。
2Rもボディとローを攻めながら前へ出ていくアベナが右フックをヒットさせる。ミケレッティは右クロスを狙うが、左フックから右ストレートをヒットさせるのはアベナ。前に出るアベナが左右フックをしっかりと当て、ミケレッティは打ち返すもアベナのガードの上だ。パンチを打って来るミケレッティにいきなり飛びヒザ蹴りを放つアベナ。
3Rも前に出るのはアベナ。ミケレッティは右ボディから左フック、そしてジャブを繰り出す。アベナを前蹴りで突き放すミケレッティだが、アベナはどんどん距離を詰めて左フックを打つ。左右ボディからヒザを突き刺すアベナは、隙あらば飛びヒザ蹴りをボディを放つ。コーナーに詰まるミケレッティへアベナはヒザ蹴りから左右フック。最後まで抵抗するミケレッティにアベナは右ハイキック。終了のゴングが鳴るとミケレッティはコーナーに座り込んだ。
判定は圧倒的な手数で攻めたアベナの勝利。GLORYにおける連敗を止め「この試合の勝利はなくなった従兄弟に捧げたい。ベルトに向かって突き進む」と高らかに宣言した。
[nextpage]
▼プレリム第1試合 ミドル級 3分3R×マイケル・ボアペア(ガーナ/同級7位)判定0-3 ※28-28×2、29-27×2、30-26〇セルゲイ・ブラウン(ドイツ)
ボアペアは13勝(6KO)2敗1分の戦績を持ち、今回がGLORYでの2戦目となる。ブラウンは今回がGLORYデビュー戦。2013年6月に来日経験があり、オープンフィンガーグローブ着用で顔面打撃ありの極真館2013全日本ウェイト制空手道選手権大会にて-89kg級で準優勝を飾っている。WKU(World Kyokushin Union)の世界選手権では2度優勝の実績を持つ。
1R序盤からアグレッシブに攻めていくのはブラウン。左右フック、左ボディをボアペアのガードの隙間に打ち込む。ボアペアは前蹴りを多用しつつ、接近するとヒザ蹴りを突き刺す。さらに左ボディストレート。重いパンチを叩き込んでいくブラウンだが、ガードを固めて前に出るボアペアの圧力に下がる展開が続く。ボアペアの右ハイにブラウンは後ろ蹴りを返す。終盤、ボアペアの右ストレートにブラウンがフラつく。両者とも動きの止まらないアグレッシブなスタートとなった。
2R、ボアペアはガードを固めて左右ローを蹴っていく。ブラウンは後ろ廻し蹴り。すぐに前へ出るボアペアがヒザを突き上げる。前に出るボアペアは右ボディから左フック、前蹴りを挟んでの左フック。ブラウンはボアペアの攻撃に後退を余儀なくされるが、しっかりとパンチを打ち返す。しかし終盤、ブラウンの左右フックがヒットし、ボアペアの手が止まる。それでもボアペアが打ち返してこのラウンドも激しい打ち合いに。
3R、両者は至近距離で左右フックを打ち合い、ローを蹴り合う。ブラウンは後ろ蹴りも繰り出す。ボアペアのワンツーにブラウンは右ハイからの後ろ蹴り。両者ともここまで動きを止めないだけに疲労が見えるが、それでも手数を出す。フックの相打ちでグラついたボアペアから左フックでダウンを奪ったブラウンが左ハイキックで大きく下がらせ、ロープを背負ったボアペアに左右フック、前蹴り、そして左右ボディ。KOは逃したが、ダウンを奪ったブラウンが判定で激闘を制した。